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ゴブリンキングの脅威
第494話 天然の要塞
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――陽光教会には怪我人が集められ、他の街から派遣された教会の人間や医者が集まり、怪我の治療を行う。幸いにも人材だけではなく、薬品の類も送り込まれたため、生き残った人間の治療が再開された。
「これでもう大丈夫です、後はゆっくり休めば明日には動けるようになります」
「へへっ……信じられねえな、俺達なんかが生き残るなんて」
「何を言っているのですが……貴方達はこの街を救ってくれた英雄です」
怪我人の大半は民兵であり、リノと共に最後まで命を懸けて街を守ろうとした人々だった。ナイ達が辿り着くまで街を守り切れたのは彼等の力が大きく、少なくとも騎士と兵士だけではこの街を守り通す事は出来なかった。
昨日までは碌に薬品も回復魔法の使い手もいなかったので満足な治療は出来なかったが、今は他の街から物資が送り届けられた事により、十分な治療が可能だった。ヨウも疲れてはいるが、それでも今はやる気に満ち溢れる。
自分の予知夢の運命をナイが打ち破った事で今までにないほどヨウは心が満たされ、疲れが吹き飛んだ気分だった。だが、そんな彼女の前に思いもよらぬ人物が訪れた。
「ヨウ司教……」
「貴女は……イン?」
ヨウは振り返ると、そこには憔悴しきった表情のインの姿が存在し、自分の元を離れて街から逃げたはずの彼女が戻ってきた事にヨウは驚く。だが、すぐにヨウは冷静な態度で問い質す。
「……いったい何をしに戻って来たのです。貴方はもう修道女ではありません、それなのにどうして戻って来たのですか?」
「申し訳ありませんでした……」
インはヨウの言葉を聞いた途端に謝罪を行い、その言葉は修道女を辞めて逃げ出した事への謝罪かとヨウは思ったが、インの雰囲気が変わっている事に気付く。
「私は……修道女として、いや人として過ちを犯しました」
「…………」
「教会に仕える身でありながら私は苦しむ人を見捨て、逃げ出してしまった……もう私が修道女に戻る資格はありません。それでも……謝らせてください」
「その謝罪に何の意味があるのですか?」
今更インが謝罪した所で彼女が修道女に戻る事は出来ず、怪我人を見捨てて逃げ出そうとした事に変わりはない。それでもインはけじめをつけるためにここへ訪れた。
「ナイがここへ戻っていると聞いています。彼に会わせてください」
「……ナイに会ってどうするつもりですか?」
「謝りたいのです……彼の事を、私は差別してしまった。彼の気持ちも理解しようともせず、忌み子だからなどという理由で私は彼に辛く当たってしまった」
涙を流しながらインは謝罪を行い、そんな彼女に対してヨウは色々と思う所は会ったが、はっきりと告げる。
「今の貴方にナイを会わせる事は出来ません」
「どうしても……ですか?」
「ええ、ですが……貴女が本当に反省し、彼に謝りたいというのであれば行動で示しなさい」
「えっ……」
「貴女はもう修道女ではありません。しかし、この教会で学んだ知識は生かせるはずです。さあ、怪我人の治療を手伝いなさい……ここには修道女でなくても怪我人を治せる人間はいます」
「あっ……はい!!」
インはヨウの言葉に頷き、涙を拭って彼女は怪我人の治療を手伝う。その姿を見てヨウは苦笑いを浮かべ、心の底からインはこれまでの自分の行動を後悔している事は察した。
今すぐにヨウはインの事をナイに会わせるつもりはない。直接的にはインはナイを苦しめていたわけではないが、それでも心に深い傷を負っていたナイを蔑ろにした事は事実である。そんなインがいきなりナイに謝罪しても彼が納得するかは分からない。
それでも優しいナイならば表面上は平静を装ってインを許してしまうかもしれない。しかし、それでは意味はなく、彼が許しの言葉を与えればインは気が楽になるかもしれないが、本当の意味でナイと和解は出来ない。
今はヨウはインとナイを会わせる事は出来ないが、何時の日かインが本当に改心した時、ナイと会わせる事を決める――
「――あの山がゴブリンの住処に!?」
「落ち着くんだ、ナイ君……気持ちは分かるが、まずは冷静になるんだ」
飛行船内には討伐部隊の面子が集まり、救出したリノから話を聞く。現在の彼女は男装は辞めてリンの予備の銀狼騎士団の制服を着こんでいた。
リノは一か月以上前にナイの村の近くに存在する山にてホブゴブリンとゴブリンの集団が住み着き、要塞を建設していた事を突き留める。彼女は騎士団を率いて攻め入ったが、結果から言えば返り討ちにあってイチノまで引き返す。
「元々、私達が発見した当初はあの山には百匹程度のホブゴブリンしか確認出来なかった。だから私は騎士団を率いて攻め入ったが、それ自体が罠だった……奴等は事前に山の周辺に仲間を潜め、私達の退路を断ってから襲い掛かってきた。私はまんまと罠に引っかかってしまった」
「魔物が罠を仕掛けるなんて……」
「確かに狡猾な知能を持つゴブリンならばあり得ん話ではないが、それにしても銀狼騎士団の精鋭部隊が敗れるとは……」
「ゴブリン共が……!!」
リノが率いていた騎士達は銀狼騎士団の中でも精鋭揃いだったが、ゴブリンの仕掛けた罠にはまり、この時点で半数の騎士が命を落とす。それでも騎士団は撤退には成功し、イチノへと引き返した。
それから二か月以上もホブゴブリンの軍勢が街を攻め寄せ、徐々に戦力を削られて遂に城壁を突破されて追い詰められてしまう。だが、援軍が間に合った事でゴブリンの軍勢は殲滅に成功したと思われたが、まだ生き残ったゴブリンがいるのならば山に引き返す可能性が高い。
「この街を攻め寄せたホブゴブリンやゴブリン達は普通ではない……一匹でも放置すれば厄介な事になるかもしれない」
「となると、その要塞に攻め込む必要がありますわね」
「だが、この街も放置するわけにはいかん。四方の城門は破壊され、大勢の住民がここへ戻って来た。誰かが守備をしなければなるまい」
「そういう事ならば儂に任せてくれんか?船の修理はもうすぐ完了するが、魔石を確保しない事には船は動かせんからのう。復興作業の手伝いがてら、儂等がこの街を守ろう」
「爺さんは人が良いな……」
イチノの守護は黄金級冒険者であるハマーンが行い、彼の弟子たちも復興作業を手伝う事が決まる。この時にエルマとゴンザレスも挙手した。
「そういう事ならば私達は飛行船に残らせてください。老師の容体が良くなるまで動かす事は出来ませんし、この飛行船の守護は私達が行います」
「どんな敵が訪れようと俺達が守って見せる」
「うむ、そういう事なら君達に任せよう」
エルマとゴンザレスは飛行船に残り、現在治療中のマホを守る事を誓う。マホは昨日の広域魔法の影響で今だに眠り込んでおり、しばらくは目覚める様子がない。
「そういう事なら私がマホさんを診ておきますよ。もしも容体が急変しても私以外の人間に対処できるとは思えませんし……」
「分かった。では飛行船には最低限の兵士を残し、残った者達はゴブリンが住処にしている山へ向かう……それでいいな?」
「ええ、構いませんわ」
「我が騎士達の仇、必ず討たねばならん」
「僕も文句ないよ」
「…………」
アッシュの言葉に全員が頷く中、ナイだけは一人だけ考え込み、まさか自分がよく訪れていた山でゴブリンが要塞を築いているなど思いもしなかった。
赤毛熊が山から下りて逃げ出した理由もゴブリンの軍勢が関係しており、山の主であった赤毛熊はゴブリンに追い払われて山から下りて森に住処を移動したのだ。そう考えると間接的にゴブリンの軍勢はナイの養父のアルを死なせる原因を作った存在ともいえる。
(ゴブリン……)
ナイ達が対峙した巨人の正体が「ゴブリンキング」と呼ばれる存在だと思われ、少なくとも軍勢を築き上げた存在は既に死亡している。
(もしかしたら今まで村を襲ってきたホブゴブリンやゴブリンも……)
度々にナイが暮らしていた村はホブゴブリンやゴブリンに襲われていた事を思い出し、これらの敵はイチノを襲ったゴブリンの軍勢の仲間である可能性も高い。ならばナイは残されたゴブリンを打ち倒し、今度こそゴマンや村人の仇討ちを果たせるかもしれない。
村人を襲ったホブゴブリンはナイは殲滅したが、他にも仲間がいるのならば容赦は出来ず、無意識に拳を握りしめる。すると、ナイの気持ちに反応したかの様に旋斧が震えた――
――同時刻、会議が行われている部屋の扉の前ではヒナとモモが掃除の際中に盗み聞きをしており、二人はナイ達がゴブリンの要塞へ向かう事を知る。
「ど、どうしようヒナちゃん……また、ナイ君達が危険な場所に行きそうな話をしてるよ」
「どうしようと言われても……私達にはどうしようも出来ないわよ」
ヒナとモモは船に乗せてもらっているのはアッシュの計らいであり、二人は非戦闘員なので船の雑用を行っている。残念ながら二人ともテンの指導を受けて鍛え上げられているとはいえ、これ以上の厳しい戦いには付いていけない。
「これでもう大丈夫です、後はゆっくり休めば明日には動けるようになります」
「へへっ……信じられねえな、俺達なんかが生き残るなんて」
「何を言っているのですが……貴方達はこの街を救ってくれた英雄です」
怪我人の大半は民兵であり、リノと共に最後まで命を懸けて街を守ろうとした人々だった。ナイ達が辿り着くまで街を守り切れたのは彼等の力が大きく、少なくとも騎士と兵士だけではこの街を守り通す事は出来なかった。
昨日までは碌に薬品も回復魔法の使い手もいなかったので満足な治療は出来なかったが、今は他の街から物資が送り届けられた事により、十分な治療が可能だった。ヨウも疲れてはいるが、それでも今はやる気に満ち溢れる。
自分の予知夢の運命をナイが打ち破った事で今までにないほどヨウは心が満たされ、疲れが吹き飛んだ気分だった。だが、そんな彼女の前に思いもよらぬ人物が訪れた。
「ヨウ司教……」
「貴女は……イン?」
ヨウは振り返ると、そこには憔悴しきった表情のインの姿が存在し、自分の元を離れて街から逃げたはずの彼女が戻ってきた事にヨウは驚く。だが、すぐにヨウは冷静な態度で問い質す。
「……いったい何をしに戻って来たのです。貴方はもう修道女ではありません、それなのにどうして戻って来たのですか?」
「申し訳ありませんでした……」
インはヨウの言葉を聞いた途端に謝罪を行い、その言葉は修道女を辞めて逃げ出した事への謝罪かとヨウは思ったが、インの雰囲気が変わっている事に気付く。
「私は……修道女として、いや人として過ちを犯しました」
「…………」
「教会に仕える身でありながら私は苦しむ人を見捨て、逃げ出してしまった……もう私が修道女に戻る資格はありません。それでも……謝らせてください」
「その謝罪に何の意味があるのですか?」
今更インが謝罪した所で彼女が修道女に戻る事は出来ず、怪我人を見捨てて逃げ出そうとした事に変わりはない。それでもインはけじめをつけるためにここへ訪れた。
「ナイがここへ戻っていると聞いています。彼に会わせてください」
「……ナイに会ってどうするつもりですか?」
「謝りたいのです……彼の事を、私は差別してしまった。彼の気持ちも理解しようともせず、忌み子だからなどという理由で私は彼に辛く当たってしまった」
涙を流しながらインは謝罪を行い、そんな彼女に対してヨウは色々と思う所は会ったが、はっきりと告げる。
「今の貴方にナイを会わせる事は出来ません」
「どうしても……ですか?」
「ええ、ですが……貴女が本当に反省し、彼に謝りたいというのであれば行動で示しなさい」
「えっ……」
「貴女はもう修道女ではありません。しかし、この教会で学んだ知識は生かせるはずです。さあ、怪我人の治療を手伝いなさい……ここには修道女でなくても怪我人を治せる人間はいます」
「あっ……はい!!」
インはヨウの言葉に頷き、涙を拭って彼女は怪我人の治療を手伝う。その姿を見てヨウは苦笑いを浮かべ、心の底からインはこれまでの自分の行動を後悔している事は察した。
今すぐにヨウはインの事をナイに会わせるつもりはない。直接的にはインはナイを苦しめていたわけではないが、それでも心に深い傷を負っていたナイを蔑ろにした事は事実である。そんなインがいきなりナイに謝罪しても彼が納得するかは分からない。
それでも優しいナイならば表面上は平静を装ってインを許してしまうかもしれない。しかし、それでは意味はなく、彼が許しの言葉を与えればインは気が楽になるかもしれないが、本当の意味でナイと和解は出来ない。
今はヨウはインとナイを会わせる事は出来ないが、何時の日かインが本当に改心した時、ナイと会わせる事を決める――
「――あの山がゴブリンの住処に!?」
「落ち着くんだ、ナイ君……気持ちは分かるが、まずは冷静になるんだ」
飛行船内には討伐部隊の面子が集まり、救出したリノから話を聞く。現在の彼女は男装は辞めてリンの予備の銀狼騎士団の制服を着こんでいた。
リノは一か月以上前にナイの村の近くに存在する山にてホブゴブリンとゴブリンの集団が住み着き、要塞を建設していた事を突き留める。彼女は騎士団を率いて攻め入ったが、結果から言えば返り討ちにあってイチノまで引き返す。
「元々、私達が発見した当初はあの山には百匹程度のホブゴブリンしか確認出来なかった。だから私は騎士団を率いて攻め入ったが、それ自体が罠だった……奴等は事前に山の周辺に仲間を潜め、私達の退路を断ってから襲い掛かってきた。私はまんまと罠に引っかかってしまった」
「魔物が罠を仕掛けるなんて……」
「確かに狡猾な知能を持つゴブリンならばあり得ん話ではないが、それにしても銀狼騎士団の精鋭部隊が敗れるとは……」
「ゴブリン共が……!!」
リノが率いていた騎士達は銀狼騎士団の中でも精鋭揃いだったが、ゴブリンの仕掛けた罠にはまり、この時点で半数の騎士が命を落とす。それでも騎士団は撤退には成功し、イチノへと引き返した。
それから二か月以上もホブゴブリンの軍勢が街を攻め寄せ、徐々に戦力を削られて遂に城壁を突破されて追い詰められてしまう。だが、援軍が間に合った事でゴブリンの軍勢は殲滅に成功したと思われたが、まだ生き残ったゴブリンがいるのならば山に引き返す可能性が高い。
「この街を攻め寄せたホブゴブリンやゴブリン達は普通ではない……一匹でも放置すれば厄介な事になるかもしれない」
「となると、その要塞に攻め込む必要がありますわね」
「だが、この街も放置するわけにはいかん。四方の城門は破壊され、大勢の住民がここへ戻って来た。誰かが守備をしなければなるまい」
「そういう事ならば儂に任せてくれんか?船の修理はもうすぐ完了するが、魔石を確保しない事には船は動かせんからのう。復興作業の手伝いがてら、儂等がこの街を守ろう」
「爺さんは人が良いな……」
イチノの守護は黄金級冒険者であるハマーンが行い、彼の弟子たちも復興作業を手伝う事が決まる。この時にエルマとゴンザレスも挙手した。
「そういう事ならば私達は飛行船に残らせてください。老師の容体が良くなるまで動かす事は出来ませんし、この飛行船の守護は私達が行います」
「どんな敵が訪れようと俺達が守って見せる」
「うむ、そういう事なら君達に任せよう」
エルマとゴンザレスは飛行船に残り、現在治療中のマホを守る事を誓う。マホは昨日の広域魔法の影響で今だに眠り込んでおり、しばらくは目覚める様子がない。
「そういう事なら私がマホさんを診ておきますよ。もしも容体が急変しても私以外の人間に対処できるとは思えませんし……」
「分かった。では飛行船には最低限の兵士を残し、残った者達はゴブリンが住処にしている山へ向かう……それでいいな?」
「ええ、構いませんわ」
「我が騎士達の仇、必ず討たねばならん」
「僕も文句ないよ」
「…………」
アッシュの言葉に全員が頷く中、ナイだけは一人だけ考え込み、まさか自分がよく訪れていた山でゴブリンが要塞を築いているなど思いもしなかった。
赤毛熊が山から下りて逃げ出した理由もゴブリンの軍勢が関係しており、山の主であった赤毛熊はゴブリンに追い払われて山から下りて森に住処を移動したのだ。そう考えると間接的にゴブリンの軍勢はナイの養父のアルを死なせる原因を作った存在ともいえる。
(ゴブリン……)
ナイ達が対峙した巨人の正体が「ゴブリンキング」と呼ばれる存在だと思われ、少なくとも軍勢を築き上げた存在は既に死亡している。
(もしかしたら今まで村を襲ってきたホブゴブリンやゴブリンも……)
度々にナイが暮らしていた村はホブゴブリンやゴブリンに襲われていた事を思い出し、これらの敵はイチノを襲ったゴブリンの軍勢の仲間である可能性も高い。ならばナイは残されたゴブリンを打ち倒し、今度こそゴマンや村人の仇討ちを果たせるかもしれない。
村人を襲ったホブゴブリンはナイは殲滅したが、他にも仲間がいるのならば容赦は出来ず、無意識に拳を握りしめる。すると、ナイの気持ちに反応したかの様に旋斧が震えた――
――同時刻、会議が行われている部屋の扉の前ではヒナとモモが掃除の際中に盗み聞きをしており、二人はナイ達がゴブリンの要塞へ向かう事を知る。
「ど、どうしようヒナちゃん……また、ナイ君達が危険な場所に行きそうな話をしてるよ」
「どうしようと言われても……私達にはどうしようも出来ないわよ」
ヒナとモモは船に乗せてもらっているのはアッシュの計らいであり、二人は非戦闘員なので船の雑用を行っている。残念ながら二人ともテンの指導を受けて鍛え上げられているとはいえ、これ以上の厳しい戦いには付いていけない。
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