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ゴブリンキングの脅威
第466話 絶望の侵攻
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――グギィイイイッ!!
日が暮れた瞬間、遂にゴブリンの軍勢が動き出す。城壁に向けて梯子が立てかけられ、櫓に乗り込んだ弓兵のホブゴブリンが援護を行おうとした。
しかし、既に城壁には少数の兵士しか残されておらず、彼等は城壁を守るために配置された兵士ではなく、ゴブリンの軍勢を監視するために残された兵士に過ぎない。
「き、来たぞ!!」
「慌てるな、手順通りに動け!!まずは下に降りて馬に乗れ!!」
兵士達は城壁を放棄し、事前に用意していた馬に乗って逃走を開始する。その様子を見ていたゴブリンの軍勢は一気に城壁を乗り越えてきた。
「グギィイイッ!!」
「グギャギャッ!!」
最初に城壁を乗り越えたゴブリン達は階段を降りると、真っ先に城門を開いて外に待機していたゴブリンの軍勢を招こうとした。しかし、扉は簡単に開かれない様に内側から鍵が施され、その鍵も溶接されて開かない様になっていたが、力の強いホブゴブリンが無理やりに鍵を破壊して門を開く。
街の四方の門がほぼ同時に解放され、外側から大量のゴブリンの軍勢が遂に街中に侵入を果たす。ゴブリンの軍勢は先に逃げた兵士の後を追う。
「グギィッ!!」
「ギギィッ!!」
「ガアアッ!!」
ホブゴブリンが指示を出すとファングに乗り込んだゴブリンの群れが流れ込み、移動速度に関してはホブゴブリンよりもファングの方が素早く、馬に乗った兵士に追いつく。
「く、くそっ……こいつら、もう追いついてきたぞ!?」
「怯むな、いいから走れ!!」
馬に乗り込んだ兵士の元にファングに乗り込んだゴブリンが迫り、ゴブリンは布に巻き付けた石を振り回し、兵士に目掛けて投石を放つ。
「ギギィッ!!」
「ギィアッ!!」
「ぎゃあっ!?」
「ヒヒンッ!?」
ファングが移動中も背中のゴブリンは攻撃を行えるため、逃走の際中だった兵士達は次々と攻撃を受けてしまう。中には馬に石が当たって体勢を崩し、街道に倒れ込む兵士もいた。
「なっ!?くそ、今助けて……」
「お、俺の事はもういい!!それよりも早く行けぇっ!!」
「く、くそぉっ……すまないっ!!」
「「「ギィイイイッ!!」」」
「「「ガアアアッ!!」」」
転倒した仲間を助けようとした兵士もいたが、倒れた仲間達はもう助からないと判断し、自分を置いて逃げる様に促す。そんな兵士にゴブリンとファングは容赦なく襲い掛かる。
辛うじて落馬を免れた兵士達は涙を流しながら振り返らず、作戦通りに街の中心部に向かう。やがて家具に封鎖された街道を発見すると、ここで封鎖された街道の近くの建物の屋根から矢が放たれた。
「よし、来たぞ!!」
「援護しろ!!」
「うおおおっ!!」
事前に建物の屋根には弓兵が待ち構え、ここまで逃げてきた兵士達を救うために矢を放つ。その結果、街道まで追いかけてきたゴブリンとファングに大量の矢が降り注ぐ。
「ギャインッ!?」
「ギィアッ!?」
「ギギィッ……!!」
伏兵の矢を受けて次々とゴブリンとファングは地面に倒れ込む。兵士達を追跡していたゴブリン達は生憎と武装はしておらず、鎧や兜の類は身に着けていない。
重量の大きい防具を身に着けるとファングに負担が掛かり、折角の優れた機動力が殺されてしまう可能性がある。そのためにゴブリン達は余計な装備を身に着けずに軽装でいた事が功を奏し、この作戦によって厄介なファングとゴブリンの群れを圧倒する。
「おい、お前等こっちだ!!早く通れ!!」
「あ、ああ……」
「馬は捨てろ!!もう置いていくしかない!!」
封鎖した建物の窓から他の民兵がここまで逃げてきた兵士達を招き寄せ、建物を通り抜けて防衛網の内側へと移動させる。その後は建物の出入り口は全て封鎖し、これで城壁の兵士全員が防衛網に避難する事に成功した。
「住民の避難は!?」
「もう開始されている!!だが、全員が下水道に逃げるには時間が掛かる!!」
「おい、奴等が来たぞ!!」
「何だと!?早すぎるだろう!?」
――グギィイイイッ!!
今度は街道の方から多数のホブゴブリンの鳴き声が響き渡り、その声を耳にした兵士は恐怖する。予想以上にゴブリンの軍勢の本隊が出現し、彼等を食い止めるために兵士達は迎え撃つ。
「屋根の上に居る者は援護を頼む!!矢が尽きるまで打ち続けろ、いざという時は石でも煉瓦でも落とせ!!」
「正面から戦えば勝ち目はない!!火の準備はいいな!?」
「来るぞ、怯むな!!」
数百のホブゴブリンの群れが街道に駆けつけ、兵士達は何としても一般人が逃げ出すための時間を稼ぐために矢を放つ。矢が尽きれば石を放ち、その石も無くなれば建物を燃やして侵攻を防ぐ。
ホブゴブリンの大群は兵士達の妨害を受けながらも中心部に集まった人間達を襲うために突っ込み、本格的な防衛戦が開始された――
日が暮れた瞬間、遂にゴブリンの軍勢が動き出す。城壁に向けて梯子が立てかけられ、櫓に乗り込んだ弓兵のホブゴブリンが援護を行おうとした。
しかし、既に城壁には少数の兵士しか残されておらず、彼等は城壁を守るために配置された兵士ではなく、ゴブリンの軍勢を監視するために残された兵士に過ぎない。
「き、来たぞ!!」
「慌てるな、手順通りに動け!!まずは下に降りて馬に乗れ!!」
兵士達は城壁を放棄し、事前に用意していた馬に乗って逃走を開始する。その様子を見ていたゴブリンの軍勢は一気に城壁を乗り越えてきた。
「グギィイイッ!!」
「グギャギャッ!!」
最初に城壁を乗り越えたゴブリン達は階段を降りると、真っ先に城門を開いて外に待機していたゴブリンの軍勢を招こうとした。しかし、扉は簡単に開かれない様に内側から鍵が施され、その鍵も溶接されて開かない様になっていたが、力の強いホブゴブリンが無理やりに鍵を破壊して門を開く。
街の四方の門がほぼ同時に解放され、外側から大量のゴブリンの軍勢が遂に街中に侵入を果たす。ゴブリンの軍勢は先に逃げた兵士の後を追う。
「グギィッ!!」
「ギギィッ!!」
「ガアアッ!!」
ホブゴブリンが指示を出すとファングに乗り込んだゴブリンの群れが流れ込み、移動速度に関してはホブゴブリンよりもファングの方が素早く、馬に乗った兵士に追いつく。
「く、くそっ……こいつら、もう追いついてきたぞ!?」
「怯むな、いいから走れ!!」
馬に乗り込んだ兵士の元にファングに乗り込んだゴブリンが迫り、ゴブリンは布に巻き付けた石を振り回し、兵士に目掛けて投石を放つ。
「ギギィッ!!」
「ギィアッ!!」
「ぎゃあっ!?」
「ヒヒンッ!?」
ファングが移動中も背中のゴブリンは攻撃を行えるため、逃走の際中だった兵士達は次々と攻撃を受けてしまう。中には馬に石が当たって体勢を崩し、街道に倒れ込む兵士もいた。
「なっ!?くそ、今助けて……」
「お、俺の事はもういい!!それよりも早く行けぇっ!!」
「く、くそぉっ……すまないっ!!」
「「「ギィイイイッ!!」」」
「「「ガアアアッ!!」」」
転倒した仲間を助けようとした兵士もいたが、倒れた仲間達はもう助からないと判断し、自分を置いて逃げる様に促す。そんな兵士にゴブリンとファングは容赦なく襲い掛かる。
辛うじて落馬を免れた兵士達は涙を流しながら振り返らず、作戦通りに街の中心部に向かう。やがて家具に封鎖された街道を発見すると、ここで封鎖された街道の近くの建物の屋根から矢が放たれた。
「よし、来たぞ!!」
「援護しろ!!」
「うおおおっ!!」
事前に建物の屋根には弓兵が待ち構え、ここまで逃げてきた兵士達を救うために矢を放つ。その結果、街道まで追いかけてきたゴブリンとファングに大量の矢が降り注ぐ。
「ギャインッ!?」
「ギィアッ!?」
「ギギィッ……!!」
伏兵の矢を受けて次々とゴブリンとファングは地面に倒れ込む。兵士達を追跡していたゴブリン達は生憎と武装はしておらず、鎧や兜の類は身に着けていない。
重量の大きい防具を身に着けるとファングに負担が掛かり、折角の優れた機動力が殺されてしまう可能性がある。そのためにゴブリン達は余計な装備を身に着けずに軽装でいた事が功を奏し、この作戦によって厄介なファングとゴブリンの群れを圧倒する。
「おい、お前等こっちだ!!早く通れ!!」
「あ、ああ……」
「馬は捨てろ!!もう置いていくしかない!!」
封鎖した建物の窓から他の民兵がここまで逃げてきた兵士達を招き寄せ、建物を通り抜けて防衛網の内側へと移動させる。その後は建物の出入り口は全て封鎖し、これで城壁の兵士全員が防衛網に避難する事に成功した。
「住民の避難は!?」
「もう開始されている!!だが、全員が下水道に逃げるには時間が掛かる!!」
「おい、奴等が来たぞ!!」
「何だと!?早すぎるだろう!?」
――グギィイイイッ!!
今度は街道の方から多数のホブゴブリンの鳴き声が響き渡り、その声を耳にした兵士は恐怖する。予想以上にゴブリンの軍勢の本隊が出現し、彼等を食い止めるために兵士達は迎え撃つ。
「屋根の上に居る者は援護を頼む!!矢が尽きるまで打ち続けろ、いざという時は石でも煉瓦でも落とせ!!」
「正面から戦えば勝ち目はない!!火の準備はいいな!?」
「来るぞ、怯むな!!」
数百のホブゴブリンの群れが街道に駆けつけ、兵士達は何としても一般人が逃げ出すための時間を稼ぐために矢を放つ。矢が尽きれば石を放ち、その石も無くなれば建物を燃やして侵攻を防ぐ。
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