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ゴブリンキングの脅威
第445話 捕虜の対応
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「捕まえた者達の様子は?」
「先に捕まえた二人は重要な情報を持っていないと判断し、現在は薬で眠らせています。ですけど、先ほど捕まえた二人は怪我の治療の後、未だに気を失っています」
「腕を刺された男の方は今すぐに起こして尋問を行え。もしも反抗的な態度を取るようならば拷問しても構わん」
「うむ、ならば自白剤を与えよう」
「そ、そんな物まで常備しているんですの?」
「イリアに作ってもらった物じゃ」
マホは怪しい色合いの液体が入った小瓶をアッシュに手渡し、最悪の場合はこれを飲ませて捕まえた者達から情報を引き出さねばならない。
捕まえた四人から引き出せた情報は闇ギルドが飛行船を爆破させ、邪魔者を排除しようとしたと事しか聞き出せていない。しかし、彼等の目的は他にもあるとアッシュは長年の勘が告げていた。
「闇ギルドの目的がこの飛行船だけとは思えん。もしかしたらこの船に忍び込んだのは他に目的があるのやもしれん」
「目的というと……」
「例えば……この船に乗った人間の魔剣や魔道具の回収かもしれん」
「なるほど……儂等を殺すだけではなく、儂等の所有物も狙いか」
現在の飛行船には魔剣や魔槍を所持した人物が乗っており、特にこの船に乗っている人間の魔剣や魔槍は価値が高い代物ばかりである。
ドリスが所有する「真紅」はフレア公爵家の家宝であり、リーナの「蒼月」もアッシュ公爵家の家宝である。ミイナの「如意斧」も元々は王国が管理していた魔斧である。そしてリンが所有している魔剣も有名な物だった。
「愚かな奴等だ。私の暴風を他の人間が扱えると思っているのか……」
「扱える者が現れずとも、その脅威を取り除く事は出来ると判断したのかもしれん。しかし、闇ギルドの奴等も思い切った事をしてきたのう」
「うむ、マジク魔導士が死んだ事で奴等も調子に乗ってきたのかもしれん……これは帰還次第、本格的に奴等を始末する必要があるな」
アッシュは殺気を込めると、他の者達も顔色を変え、闇ギルドの報復を誓う。しかし、今は第二王子リノの救出を優先しなければならない。
「マホ魔導士、先ほどナイに渡したのは何という名前の植物だ?眠り薬だといっていたが……」
「ああ、あれは私が育てている香草の葉じゃ。実際の所は良い臭いがするだけで催眠効果などない」
「え?では何故、あんなことを……?」
「今のあの子に必要な事は心を落ち着かせる事……あの葉の臭いで心が落ち着かせて安心させれば疲れを癒すために身体の方が勝手に睡眠を求める。今頃は眠りこけているじゃろう」
マホの言う通り、現在のナイは彼女に渡された香草の葉の臭いを嗅いで落ち着くと、肉体の方が休息を求めて気絶する様に眠っていた――
――次にナイは目を覚ましたのは飛行船が激しく揺れた時であり、何事かとナイは窓を眺めると、飛行船が飛び立とうとしている事に気付く。
(飛行船が動いている……もう、出発の時刻だったのか)
昨夜に渡されたマホの葉のお陰か、ナイは目を覚ますと頭はすっきりとしており、昨日の動揺が嘘のように消えて心が落ち着いていた。部屋の中を見渡すと誰もおらず、どうやら全員帰ったらしい。
(昨日はみんなに心配をかけちゃったな……)
他の皆に迷惑をかけた事に悪いと思いながらもナイは身体を起き上げ、そして自分の掌を見つめる。昨夜の一件は忘れておらず、今更ながらにナイは自分自身の力と向き合うために瞑想を行う。
子供の頃は非力でアルの手助けがなければ日常生活もまともに送る事ができない日々を過ごしてきた。しかし、技能を覚え始めた時からナイは強くなるために訓練を行い、実際に自分が強くなっていく事を自覚し、より一層に強さを求めた。
だが、今の自分が強くなりすぎた事に関してはナイは気付けず、そのせいで昨日の戦闘では危うく人を殺しかけたてしまった。その事を理解した上でナイは自分自身の強さを正確に測る。
(もう子供の時とは違うんだ……この技能《ちから》はむやみやたらに使っていい力じゃない)
凶悪な魔物やテンのような強い武人と戦うならばともかく、相手が一般人や大した力量も持ち合わせていない敵に対してナイは「剛力」を使用する事を禁ずることにした。確かに剛力は強力な技能ではあるが、頼り過ぎると取り返しのつかない事態を引き起こす。
今後は対人戦の時はナイは剛力を極力使わないようにすると心で近い、仮に相手が犯罪者だとしても無暗に剛力に頼らない事を誓う。技能に頼らずとも今のナイならば十分に戦える力を持っていた。
「よし……皆の所へ行こう」
昨日の一件で心配をかけたので皆に謝りに行こうと考えたナイは部屋から出て行こうとした時、唐突に飛行船に振動が走る。この際に壁にぶつかってしまい、何が起きたのか分からずに混乱する。
「先に捕まえた二人は重要な情報を持っていないと判断し、現在は薬で眠らせています。ですけど、先ほど捕まえた二人は怪我の治療の後、未だに気を失っています」
「腕を刺された男の方は今すぐに起こして尋問を行え。もしも反抗的な態度を取るようならば拷問しても構わん」
「うむ、ならば自白剤を与えよう」
「そ、そんな物まで常備しているんですの?」
「イリアに作ってもらった物じゃ」
マホは怪しい色合いの液体が入った小瓶をアッシュに手渡し、最悪の場合はこれを飲ませて捕まえた者達から情報を引き出さねばならない。
捕まえた四人から引き出せた情報は闇ギルドが飛行船を爆破させ、邪魔者を排除しようとしたと事しか聞き出せていない。しかし、彼等の目的は他にもあるとアッシュは長年の勘が告げていた。
「闇ギルドの目的がこの飛行船だけとは思えん。もしかしたらこの船に忍び込んだのは他に目的があるのやもしれん」
「目的というと……」
「例えば……この船に乗った人間の魔剣や魔道具の回収かもしれん」
「なるほど……儂等を殺すだけではなく、儂等の所有物も狙いか」
現在の飛行船には魔剣や魔槍を所持した人物が乗っており、特にこの船に乗っている人間の魔剣や魔槍は価値が高い代物ばかりである。
ドリスが所有する「真紅」はフレア公爵家の家宝であり、リーナの「蒼月」もアッシュ公爵家の家宝である。ミイナの「如意斧」も元々は王国が管理していた魔斧である。そしてリンが所有している魔剣も有名な物だった。
「愚かな奴等だ。私の暴風を他の人間が扱えると思っているのか……」
「扱える者が現れずとも、その脅威を取り除く事は出来ると判断したのかもしれん。しかし、闇ギルドの奴等も思い切った事をしてきたのう」
「うむ、マジク魔導士が死んだ事で奴等も調子に乗ってきたのかもしれん……これは帰還次第、本格的に奴等を始末する必要があるな」
アッシュは殺気を込めると、他の者達も顔色を変え、闇ギルドの報復を誓う。しかし、今は第二王子リノの救出を優先しなければならない。
「マホ魔導士、先ほどナイに渡したのは何という名前の植物だ?眠り薬だといっていたが……」
「ああ、あれは私が育てている香草の葉じゃ。実際の所は良い臭いがするだけで催眠効果などない」
「え?では何故、あんなことを……?」
「今のあの子に必要な事は心を落ち着かせる事……あの葉の臭いで心が落ち着かせて安心させれば疲れを癒すために身体の方が勝手に睡眠を求める。今頃は眠りこけているじゃろう」
マホの言う通り、現在のナイは彼女に渡された香草の葉の臭いを嗅いで落ち着くと、肉体の方が休息を求めて気絶する様に眠っていた――
――次にナイは目を覚ましたのは飛行船が激しく揺れた時であり、何事かとナイは窓を眺めると、飛行船が飛び立とうとしている事に気付く。
(飛行船が動いている……もう、出発の時刻だったのか)
昨夜に渡されたマホの葉のお陰か、ナイは目を覚ますと頭はすっきりとしており、昨日の動揺が嘘のように消えて心が落ち着いていた。部屋の中を見渡すと誰もおらず、どうやら全員帰ったらしい。
(昨日はみんなに心配をかけちゃったな……)
他の皆に迷惑をかけた事に悪いと思いながらもナイは身体を起き上げ、そして自分の掌を見つめる。昨夜の一件は忘れておらず、今更ながらにナイは自分自身の力と向き合うために瞑想を行う。
子供の頃は非力でアルの手助けがなければ日常生活もまともに送る事ができない日々を過ごしてきた。しかし、技能を覚え始めた時からナイは強くなるために訓練を行い、実際に自分が強くなっていく事を自覚し、より一層に強さを求めた。
だが、今の自分が強くなりすぎた事に関してはナイは気付けず、そのせいで昨日の戦闘では危うく人を殺しかけたてしまった。その事を理解した上でナイは自分自身の強さを正確に測る。
(もう子供の時とは違うんだ……この技能《ちから》はむやみやたらに使っていい力じゃない)
凶悪な魔物やテンのような強い武人と戦うならばともかく、相手が一般人や大した力量も持ち合わせていない敵に対してナイは「剛力」を使用する事を禁ずることにした。確かに剛力は強力な技能ではあるが、頼り過ぎると取り返しのつかない事態を引き起こす。
今後は対人戦の時はナイは剛力を極力使わないようにすると心で近い、仮に相手が犯罪者だとしても無暗に剛力に頼らない事を誓う。技能に頼らずとも今のナイならば十分に戦える力を持っていた。
「よし……皆の所へ行こう」
昨日の一件で心配をかけたので皆に謝りに行こうと考えたナイは部屋から出て行こうとした時、唐突に飛行船に振動が走る。この際に壁にぶつかってしまい、何が起きたのか分からずに混乱する。
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