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ゴブリンキングの脅威
第431話 聖女騎士団の結成のために
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――テンが聖女騎士団の再結成を誓ったすぐ後、屋敷に迎えの馬車が訪れた。この時に迎えに訪れたのはアルトであり、彼はテンの他の三人の女性を見て驚いた表情を浮かべる。
「これは……どちら様かな?こんな朝早くにお客さんがいるとは思いもしなかったよ」
「ああ、悪いねアルト王子。紹介するよ、こいつらはあたしと同じく聖女騎士団に所属していた奴等さ」
「聖女騎士団……?」
「アルト王子って……まさか、第三王子の!?」
「は、初めまして……」
「テン、どうしてこの屋敷がアルト王子の屋敷だと伝えなかった!?」
三人はアルトと対面するのは初めてらしく、慌てて頭を下げた。そんな彼女達にアルトは不思議に思いながらもナイ達に話しかけた。
「ナイ君、そろそろ出発の時間だ。準備はいいかい?」
「うん、大丈夫だけど……」
「その前にちょっといいかい、あたしは悪いけど王都に残らせてもらうよ」
「えっ!?」
テンの思いがけない発言にアルトだけではなく、他の者達も驚いた。テンは頭を掻きながら自分のやるべき事を話す。
「色々と考えたんだけどさ、イリアも言っていた通りに王都を放っておくと悪さをする奴等が絶対に現れるんだと思うんだ。だからあたしは表向きは遠征に参加したと思わせて、ここに残って聖女騎士団の団員を探す事にするよ」
「それは本気で言っているのかい?」
「ああ、だから悪いんだけどアルト王子にもちょっと手伝ってほしいんだ。私は覚悟を決めたよ……聖女騎士団を再結成させて、もう一度この国の騎士に戻る事をね」
アルトはテンの言葉を聞いて驚き、彼としてもいきなりテンが王国騎士に復帰してしかも聖女騎士団を再結成する事を言い出すなど予想もしなかった。
だが、テンの元に集まった三人は覚悟を決めたらしく、既に彼女達の心は決まっていた。テンは聖女騎士団を再結成する事を国王に伝え、その間に三人は散り散りになった聖女騎士団の団員を探し出すという。
「レンとリファンの居所なら分かるよ。二人とも冒険者として活動しているはずだ」
「カルミラはもう結婚してたはずだけど、一応は声を掛けてみるか」
「リーゼなら今でも手紙でやり取りしている。連絡は取れると思う」
「よし、あんた等は他の仲間を集めるのを頼むよ。あたしは今からアルト王子と一緒に国王様に直談判してくる」
「えっ……ぼ、僕もかい?」
「うちのナイを貸してやってんだからそれぐらい協力してくれてもいいだろう?」
「あれ、ナイ君もうちの子になってたの?」
「いや、初耳なんだけど……」
テンはアルトの肩を掴み、彼と共に王城へ向かう事を告げる。この際にナイ達に振り返り、テンは親指を立てて伝えた。
「……という事だから、王都の守護はあたし達に任せな。あんたは気にせずに自分の大切な人達を助けに行きな」
「テンさん……」
「安心しな、あんた等が戻ってくるまで必ずこの王都はあたし達が守ってみせるよ」
「そういう事だから、安心して行ってきなさい」
「無理をしたら駄目だぞ」
「息子《ゴンザレス》の事をよろしく頼む」
「……え!?ランファンさんがゴンザレス君のお母さんだったの!?」
「道理で似てると思ったわ……」
ナイに対してテン達は笑みを浮かべると、彼女達を見てナイは王都の安全は彼女達が守るという言葉に異様な安心感を覚えた。これでイチノへ向かってドルトン達を救出する事に専念できる。
聖女騎士団の再結成のためにテンはアルトを連れ出し、王城へと向かう。そしてナイも馬車に乗り込み、ヒナとモモも見送りのために一緒に乗り込む。
「ナイ君……この間は色々と言ってしまったが、気を付けてくれ」
「ううん、気にしてないよ」
「ナイ!!あんたは自分が思っているよりも強い子だよ!!ゴブリンキングだろうがなんだろうがぶっ倒しな!!」
「はい!!」
「気を付けてね!!」
「無事に帰ってくるんだぞ」
馬車に乗り込んだナイ達は一足先に工場区へ向かい、その様子をテン達は見送る。残されたテンはアルトの肩を掴み、どう国王を説得するのか相談する。
「さてと……アルト王子、あんただけが頼りだよ。一緒に国王様を説得してもらおうか」
「やれやれ……まあ、仕方ないね」
テンはアルトを連れて王城へと向かい、伝説の聖女騎士団の復活のためにも彼女はどうしても国王を説得しなければならなかった――
――ナイ達を乗せた馬車は工場区の北東に移動すると、そこには巨大な船が設置されていた。王都の近くには海や湖が存在しないにもかかわらず、しかも城下町に巨大船が作り出される光景など普通ならばあり得ない光景である。
「これが……飛行船?」
「わあっ……大きいね」
「いや、確かに大きいけど……何、この船?」
馬車の窓越しにナイ達は飛行船の様子を観察した時、その大きさよりも外見の方に驚かされる。飛行船の外装は何故か海に生息する「鮫」を想像させ、その外見を見たモモは子供のようにはしゃぐ。
「わあっ!!見て見て、鮫さんだよ!!格好いいね!!」
「さめ……?」
「ああ、ナイ君は知らないのね……鮫というのは海の動物なのよ」
「へ、へえっ……」
山育ちのナイは海を見た事がなく、今までの旅でも港町などは立ち寄った事がなかった。ナイは飛行船の外装を見て初めて鮫という存在を知る。
「これは……どちら様かな?こんな朝早くにお客さんがいるとは思いもしなかったよ」
「ああ、悪いねアルト王子。紹介するよ、こいつらはあたしと同じく聖女騎士団に所属していた奴等さ」
「聖女騎士団……?」
「アルト王子って……まさか、第三王子の!?」
「は、初めまして……」
「テン、どうしてこの屋敷がアルト王子の屋敷だと伝えなかった!?」
三人はアルトと対面するのは初めてらしく、慌てて頭を下げた。そんな彼女達にアルトは不思議に思いながらもナイ達に話しかけた。
「ナイ君、そろそろ出発の時間だ。準備はいいかい?」
「うん、大丈夫だけど……」
「その前にちょっといいかい、あたしは悪いけど王都に残らせてもらうよ」
「えっ!?」
テンの思いがけない発言にアルトだけではなく、他の者達も驚いた。テンは頭を掻きながら自分のやるべき事を話す。
「色々と考えたんだけどさ、イリアも言っていた通りに王都を放っておくと悪さをする奴等が絶対に現れるんだと思うんだ。だからあたしは表向きは遠征に参加したと思わせて、ここに残って聖女騎士団の団員を探す事にするよ」
「それは本気で言っているのかい?」
「ああ、だから悪いんだけどアルト王子にもちょっと手伝ってほしいんだ。私は覚悟を決めたよ……聖女騎士団を再結成させて、もう一度この国の騎士に戻る事をね」
アルトはテンの言葉を聞いて驚き、彼としてもいきなりテンが王国騎士に復帰してしかも聖女騎士団を再結成する事を言い出すなど予想もしなかった。
だが、テンの元に集まった三人は覚悟を決めたらしく、既に彼女達の心は決まっていた。テンは聖女騎士団を再結成する事を国王に伝え、その間に三人は散り散りになった聖女騎士団の団員を探し出すという。
「レンとリファンの居所なら分かるよ。二人とも冒険者として活動しているはずだ」
「カルミラはもう結婚してたはずだけど、一応は声を掛けてみるか」
「リーゼなら今でも手紙でやり取りしている。連絡は取れると思う」
「よし、あんた等は他の仲間を集めるのを頼むよ。あたしは今からアルト王子と一緒に国王様に直談判してくる」
「えっ……ぼ、僕もかい?」
「うちのナイを貸してやってんだからそれぐらい協力してくれてもいいだろう?」
「あれ、ナイ君もうちの子になってたの?」
「いや、初耳なんだけど……」
テンはアルトの肩を掴み、彼と共に王城へ向かう事を告げる。この際にナイ達に振り返り、テンは親指を立てて伝えた。
「……という事だから、王都の守護はあたし達に任せな。あんたは気にせずに自分の大切な人達を助けに行きな」
「テンさん……」
「安心しな、あんた等が戻ってくるまで必ずこの王都はあたし達が守ってみせるよ」
「そういう事だから、安心して行ってきなさい」
「無理をしたら駄目だぞ」
「息子《ゴンザレス》の事をよろしく頼む」
「……え!?ランファンさんがゴンザレス君のお母さんだったの!?」
「道理で似てると思ったわ……」
ナイに対してテン達は笑みを浮かべると、彼女達を見てナイは王都の安全は彼女達が守るという言葉に異様な安心感を覚えた。これでイチノへ向かってドルトン達を救出する事に専念できる。
聖女騎士団の再結成のためにテンはアルトを連れ出し、王城へと向かう。そしてナイも馬車に乗り込み、ヒナとモモも見送りのために一緒に乗り込む。
「ナイ君……この間は色々と言ってしまったが、気を付けてくれ」
「ううん、気にしてないよ」
「ナイ!!あんたは自分が思っているよりも強い子だよ!!ゴブリンキングだろうがなんだろうがぶっ倒しな!!」
「はい!!」
「気を付けてね!!」
「無事に帰ってくるんだぞ」
馬車に乗り込んだナイ達は一足先に工場区へ向かい、その様子をテン達は見送る。残されたテンはアルトの肩を掴み、どう国王を説得するのか相談する。
「さてと……アルト王子、あんただけが頼りだよ。一緒に国王様を説得してもらおうか」
「やれやれ……まあ、仕方ないね」
テンはアルトを連れて王城へと向かい、伝説の聖女騎士団の復活のためにも彼女はどうしても国王を説得しなければならなかった――
――ナイ達を乗せた馬車は工場区の北東に移動すると、そこには巨大な船が設置されていた。王都の近くには海や湖が存在しないにもかかわらず、しかも城下町に巨大船が作り出される光景など普通ならばあり得ない光景である。
「これが……飛行船?」
「わあっ……大きいね」
「いや、確かに大きいけど……何、この船?」
馬車の窓越しにナイ達は飛行船の様子を観察した時、その大きさよりも外見の方に驚かされる。飛行船の外装は何故か海に生息する「鮫」を想像させ、その外見を見たモモは子供のようにはしゃぐ。
「わあっ!!見て見て、鮫さんだよ!!格好いいね!!」
「さめ……?」
「ああ、ナイ君は知らないのね……鮫というのは海の動物なのよ」
「へ、へえっ……」
山育ちのナイは海を見た事がなく、今までの旅でも港町などは立ち寄った事がなかった。ナイは飛行船の外装を見て初めて鮫という存在を知る。
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