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ゴブリンキングの脅威
第429話 旧聖女騎士団
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「紹介するよ、こいつらはあたしと同じく聖女騎士団に所属していた団員達さ。揃いも揃って王都に戻って来た奴等さ」
「へえ、この子達があんたの子供かい?全然似てないね」
「よろしくな、お嬢ちゃんたち」
「待て、一人は男の子だぞ」
「え、えっと……」
「ど、どうも……」
三人の女性の迫力にヒナとモモは気圧され、誰も彼もがテンと同様に只者ではない雰囲気を纏っていた。格好から見る限りに三人とも傭兵だと思われ、テンによると自分のように聖女騎士団の解散後も王都に残っていた者達だと告げる。
「こいつらはあたしと同じようにここで新しい居場所を探して残っていた連中さ。どいつもこいつも腕っぷししか自慢できないから、傭兵稼業で今日まで食いつないできたみたいでね。全く、碌でもない奴等ばかりさ」
「あんたに言われる筋合いはないよ!!ひとりだけちゃっかり指導官なんて立場で食いつないできた癖に!!」
「宿屋の主人なら宿屋だけで稼げ!!」
「全く、相変わらずだな……」
「いててっ!?ちょ、離しなっ!!」
テンの言葉に人間と森人族の傭兵は彼女に突っかかり、その様子を巨人族の女性は呆れた様子で見下ろす。そんな彼女達のやり取りを見てナイ達は呆気に取られ、ここまでテンに馴れ馴れしい態度を取れる3人組に驚く。
どうやら3人ともテンと同じく聖女騎士団に所属していた猛者である事は間違いなく、しかも傭兵として常に戦い続けてきたのでテンのように実力は殆ど衰えていない。
「たく、うちのガキどもが驚いてるだろうが。それと、こいつらはあくまで私が面倒を見ているだけだ。本当の子供じゃないよ」
「それがどうしたっていうの?血が繋がってなかろうと関係ないでしょ、うちの傭兵団だって子供を何人も抱えているよ。そんな事より……初めまして、私はテンの友人のアリシアだよ」
「え、アリシア……?」
「まさか、イリアさんのお母さん!?」
森人族の女性が自己紹介を行うとナイ達は驚き、イリアの話だと王都から離れた街で傭兵団を結成していると聞いていたが、どうしてその彼女がここにいるのかと戸惑う。
「ああ、こいつはイリアの母親で間違いないよ。私も驚いたけどね、偶々こっちに来てたんだよ」
「火竜が復活するかもしれないという噂を聞きつけてやってきたんだけどね、結局は私達の出番はなかったね。折角、火竜の素材を手に入れる好機だと思ったのに……」
「馬鹿、火竜を舐めんじゃないよ。あんた程度でどうにかなる相手じゃないよ!!」
「はっ、現役を引退して力が衰えてるあんたでも生き残れるような相手だろう?なら、私の傭兵団だけでも十分何とかできたよ」
「喧嘩売ってんのかい!?」
「やるかい!?」
「ちょ、ちょっと!!落ち着いて下さい!!」
今にも喧嘩しそうな雰囲気なテンとアリシアをナイは落ち着かせようとすると、二人は同時に腕を振り払う。
「「邪魔だよ!!」」
「うわぁっ!?」
「キャインッ!?」
「な、ナイ君!?」
「嘘っ!?ナイ君が吹っ飛ばされた!?」
火竜とゴーレムキングの戦いを経てより強くなったナイだが、テンとアリシアが同時に腕を振り払っただけで派手に吹き飛ぶ。この時にビャクの身体に当たってしまい、慌ててモモとヒナが手を貸す。
アリシアもテンと負けないほどの腕力を誇るらしく、傭兵団の頭を務めるだけの力を持っている。他の二人も恐らくはテンと同等かそれ以上の実力を誇り、王国最強の騎士団に所属していたという話も納得できた。
「ナイ君、大丈夫?何処か怪我してない?」
「へ、平気だよ……ふうっ、びっくりした」
「クゥ~ンッ……」
「へえ、今のを受けて平気と言い張るのかい……中々頑丈だね、あんたの息子かい?」
「だからこいつらはあたしの本当の子供じゃないと言っただろ……それに舐めない方が良いよ。ああ見えてもあたしよりも腕力に関しては優れているからね」
「へえっ……あんな子供が」
アリシアは自分に吹っ飛ばされても特に怪我もせず立ち上がったナイを見て感心し、更にテンの話を聞いて興味を抱いた様に彼を見つめる。
一見するだけではとても強そうには見えないが、武人としての勘がナイが只者ではないと告げる。彼女はナイの背負っている二つの大剣に視線を向け、笑みを浮かべた。
「ちょいとその力、確かめさせて貰うよ」
「ちょ、待ちな!?」
「えっ?」
起き上がったナイに対してアリシアは腰に差していた「レイピア」を引き抜き、ナイの元に向かおうとした。それを見たテンは止めようとしたが、その前に彼女の前に立ちはだかる人物が居た。
「いい加減にしろ!!」
「うわっ!?」
ナイを救ったのは片目を眼帯で覆い隠した女性であり、彼女は目にも止まらぬ速度でアリシアの先回りをすると、双剣を抜いて彼女に刃を振り抜く。咄嗟にアリシアはレイピアで弾き返すが、もしも不用意に突っ込んでいたらアリシアの身体は切り裂かれていただろう。
「へえ、この子達があんたの子供かい?全然似てないね」
「よろしくな、お嬢ちゃんたち」
「待て、一人は男の子だぞ」
「え、えっと……」
「ど、どうも……」
三人の女性の迫力にヒナとモモは気圧され、誰も彼もがテンと同様に只者ではない雰囲気を纏っていた。格好から見る限りに三人とも傭兵だと思われ、テンによると自分のように聖女騎士団の解散後も王都に残っていた者達だと告げる。
「こいつらはあたしと同じようにここで新しい居場所を探して残っていた連中さ。どいつもこいつも腕っぷししか自慢できないから、傭兵稼業で今日まで食いつないできたみたいでね。全く、碌でもない奴等ばかりさ」
「あんたに言われる筋合いはないよ!!ひとりだけちゃっかり指導官なんて立場で食いつないできた癖に!!」
「宿屋の主人なら宿屋だけで稼げ!!」
「全く、相変わらずだな……」
「いててっ!?ちょ、離しなっ!!」
テンの言葉に人間と森人族の傭兵は彼女に突っかかり、その様子を巨人族の女性は呆れた様子で見下ろす。そんな彼女達のやり取りを見てナイ達は呆気に取られ、ここまでテンに馴れ馴れしい態度を取れる3人組に驚く。
どうやら3人ともテンと同じく聖女騎士団に所属していた猛者である事は間違いなく、しかも傭兵として常に戦い続けてきたのでテンのように実力は殆ど衰えていない。
「たく、うちのガキどもが驚いてるだろうが。それと、こいつらはあくまで私が面倒を見ているだけだ。本当の子供じゃないよ」
「それがどうしたっていうの?血が繋がってなかろうと関係ないでしょ、うちの傭兵団だって子供を何人も抱えているよ。そんな事より……初めまして、私はテンの友人のアリシアだよ」
「え、アリシア……?」
「まさか、イリアさんのお母さん!?」
森人族の女性が自己紹介を行うとナイ達は驚き、イリアの話だと王都から離れた街で傭兵団を結成していると聞いていたが、どうしてその彼女がここにいるのかと戸惑う。
「ああ、こいつはイリアの母親で間違いないよ。私も驚いたけどね、偶々こっちに来てたんだよ」
「火竜が復活するかもしれないという噂を聞きつけてやってきたんだけどね、結局は私達の出番はなかったね。折角、火竜の素材を手に入れる好機だと思ったのに……」
「馬鹿、火竜を舐めんじゃないよ。あんた程度でどうにかなる相手じゃないよ!!」
「はっ、現役を引退して力が衰えてるあんたでも生き残れるような相手だろう?なら、私の傭兵団だけでも十分何とかできたよ」
「喧嘩売ってんのかい!?」
「やるかい!?」
「ちょ、ちょっと!!落ち着いて下さい!!」
今にも喧嘩しそうな雰囲気なテンとアリシアをナイは落ち着かせようとすると、二人は同時に腕を振り払う。
「「邪魔だよ!!」」
「うわぁっ!?」
「キャインッ!?」
「な、ナイ君!?」
「嘘っ!?ナイ君が吹っ飛ばされた!?」
火竜とゴーレムキングの戦いを経てより強くなったナイだが、テンとアリシアが同時に腕を振り払っただけで派手に吹き飛ぶ。この時にビャクの身体に当たってしまい、慌ててモモとヒナが手を貸す。
アリシアもテンと負けないほどの腕力を誇るらしく、傭兵団の頭を務めるだけの力を持っている。他の二人も恐らくはテンと同等かそれ以上の実力を誇り、王国最強の騎士団に所属していたという話も納得できた。
「ナイ君、大丈夫?何処か怪我してない?」
「へ、平気だよ……ふうっ、びっくりした」
「クゥ~ンッ……」
「へえ、今のを受けて平気と言い張るのかい……中々頑丈だね、あんたの息子かい?」
「だからこいつらはあたしの本当の子供じゃないと言っただろ……それに舐めない方が良いよ。ああ見えてもあたしよりも腕力に関しては優れているからね」
「へえっ……あんな子供が」
アリシアは自分に吹っ飛ばされても特に怪我もせず立ち上がったナイを見て感心し、更にテンの話を聞いて興味を抱いた様に彼を見つめる。
一見するだけではとても強そうには見えないが、武人としての勘がナイが只者ではないと告げる。彼女はナイの背負っている二つの大剣に視線を向け、笑みを浮かべた。
「ちょいとその力、確かめさせて貰うよ」
「ちょ、待ちな!?」
「えっ?」
起き上がったナイに対してアリシアは腰に差していた「レイピア」を引き抜き、ナイの元に向かおうとした。それを見たテンは止めようとしたが、その前に彼女の前に立ちはだかる人物が居た。
「いい加減にしろ!!」
「うわっ!?」
ナイを救ったのは片目を眼帯で覆い隠した女性であり、彼女は目にも止まらぬ速度でアリシアの先回りをすると、双剣を抜いて彼女に刃を振り抜く。咄嗟にアリシアはレイピアで弾き返すが、もしも不用意に突っ込んでいたらアリシアの身体は切り裂かれていただろう。
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