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ゴブリンキングの脅威
第428話 女傑
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――時は少し前に遡り、イチノの救援のために黄金級冒険者が招集され、その中には当然だがリーナも含まれていた。彼女は先の火竜とゴーレムキング戦でも活躍しており、何よりも今回の到達部隊の指揮を執るアッシュの娘である。
アッシュは公爵ではあるのと同時に将軍職にも就いており、この国では二番目に偉い将軍である。ちなみに一番上の立場の大将軍は猛虎騎士団の団長が兼任しており、現在は北の国境に滞在しているので王都には不在のため、アッシュが討伐部隊の指揮を執る事になった。
「忙しい中、わざわざ集まって貰ってすまない。特にハマーン殿は整備も忙しい時にご迷惑をおかけした」
「なに、船の整備はもう殆ど終わっておる。後は燃料になる魔石を運び込めば大丈夫じゃろう」
「無理するなよ爺さん、俺と違ってあんたは年老いてんだから怪我の影響も残ってるんじゃないのか?」
「ふんっ!!小髭族の回復力を舐めるな、あの程度の火傷などもう何ともないわ!!」
レッドゴーレムの爆発に巻き込まれて酷い火傷を負っていたガロウもハマーンも回復魔法と回復薬の処置によって完全に回復し、万全の状態だった。特にガオウの方は前回の討伐隊の時は自分が対して役に立てずに引き返した事に負い目を感じていた。
(油断していたとはいえ、あんな爆発に巻き込まれて途中離脱とは……これ以上にへまをしたら王国の信用を失う。もう失敗は許されないな……)
ガオウは焦りを抱いており、今回の仕事に関しては何としても成果を上げなければならないと意気込んでいた。そんなガオウの心を読み取ったかのようにアッシュは三人を呼び出して説明を行う。
「今回の遠征はハマーン殿は船の整備を頼みたい。イチノへ到着した場合、船が襲われる可能性もある。王都へ帰還するためにもこの船は必要不可欠、何としても守らねばならんのだ」
「うむ、船の事は儂に任せろ」
「ガオウ殿、それとリーナ……御二人には船が降りている間は船の守護を任せたい」
「はっ!?ちょっと待って……下さい、船の警護という事は俺達は戦わないんですか!?」
「船の警護も重要な役目だ。この飛行船を失えば我々は帰る手段を失う……まさか陸路で二か月も費やして戻るわけにはいかんからな」
飛行船の守護を頼まれたガオウは戸惑いの表情を浮かべるが、アッシュとしてはふざけているわけではない。飛行船がなければ王都への帰還の際に問題となり、飛行船が魔物に襲われない様に誰かが守らなければならない。
討伐部隊を率いるアッシュは前線で指揮を執る必要があり、他の者に守護を任せられるとしたらドリスかリン、あるいは黄金級冒険者の三人だけである。
「この船が我々の生命線といっても過言ではない。もしも到着時にイチノが陥落していた場合、我々は撤退手段を確保しなければならん。だからこの船の守護をする人間が必要不可欠なのだ」
「そうじゃろうな。儂は異論はないぞ、この船が壊れた時に対処できるのも儂だけだからのう」
「それはそうかもしれませんけど……ドリス副団長やリン副団長に任せればいいじゃないですか!?」
「あの二人は前回の任務の失態の件を引きずっている。だからこそ、二人には活躍の場を与えておきたい。勿論、この船を守り切る事が出来れば君達の功績として私は国王様に上層し、勲章を渡す様に頼もう」
「く、勲章を……」
「ええっ!?」
「ほほうっ……それはいいのう」
勲章という言葉にガオウもリーナも驚愕し、ハマーンは顎髭を撫でながら笑みを浮かべる。国王から直々に勲章を授与された場合、冒険者としては国の信頼の証を得た事になる。
もしも勲章を手に入れれば国からの信頼の厚い冒険者として名が広がり、冒険者の立場も向上される。船を守り切るだけで勲章を貰えるかもしれないという話にガオウは内心喜ぶ。
(そういえばこの爺さんは前に技師として勲章を貰っていたな……だからこんなに冷静なのか。ちっ、だけど勘違いするなよ。あんたの場合は冒険者としてではなく、あくまでも鍛冶師として認められたからこその勲章だ)
ガオウはハマーンの余裕の態度が過去に既に彼は技師としての腕を認められ、勲章を授かっている事を思い出す。しかし、ガオウからすればハマーンが勲章を貰えたのは冒険者として優秀だからと認められたわけではなく、あくまでも技師としての腕を買われたに過ぎないと内心で笑う。
(嬢ちゃんも勲章は貰っていなかったはずだが、この嬢ちゃんの場合はアッシュ公爵の娘だ。公爵家の娘なら勲章なんかどうでもいいんだろ……だが、俺の場合は違う。俺は冒険者としての実力だけでこの勲章を勝ち取ってやる)
冒険者としてガオウは地道に功績を重ね、遂には黄金級冒険者に到達できた。ここで勲章を手に入ればガオウは冒険者としての頂点に近付くと判断し、何としても活躍して功績を上げる事を誓う――
――翌朝、アルトの屋敷にてナイは目を覚ますと、久々によく眠れた気がした。身体を起き上げると、裏庭の方で眠っているビャクを起こすために彼の元へ向かう。
「ビャク、起きてる?」
「クォオッ……」
横たわっていたビャクに声を掛けると、ビャクは眠たそうに欠伸を行い、顔を激しく振って眠気を吹き飛ばす。遠征の際はビャクも同行するため、ナイは彼の頭を撫でる。
「一緒にドルトンさんたちを助けよう」
「ウォンッ!!」
ビャクはナイの言葉を聞いて力強く頷き、改めてナイは部屋へと戻ると装備を整える。旋斧と岩砕剣も背中に背負うと、部屋の扉がノックされてヒナとモモの声が響く。
『ナイ君、ご飯だよ~』
『出発までまだ時間はあるでしょう?一緒に食べましょう』
大分早い時間帯なのだが、どうやら二人ともナイのために朝食を用意してくれたらしく、有難くナイは出発する前に朝食を味わう事にした――
――食堂に赴くとそこには既にヒナとモモの他に屋敷の使用人も並んでおり、机の上には食事が用意されていた。ナイはヒナとモモに挟まれる形で座り込むと、ここでテンの姿が見えない事に気付いた。
「あれ、テンさんは?」
「それが昨日から戻ってないの……一応、白猫亭にも戻って見たんだけどいなかったわ」
「何処に行っちゃったのかな……でも、きっと戻ってくると思うよ」
「そっか……」
昨日のイリアとのやり取りでテンが何を思ったのかは分からないが、出発前には戻ってくる事を信じてナイは先に食事を頂く。
最初の内はヒナとモモと雑談しながら食べていたが、出発の時刻が近付くにつれて二人とも無口になり、やがて意を決したようにモモは尋ねる。
「ねえ……ナイ君は王都に戻ってくるんだよね?」
「え?」
「その……イチノという街で困っている王子様を助けた後はナイ君も王都に戻ってきてくれるんだよね」
「モモ……」
モモの不安そうな言葉にヒナは彼女に視線を向け、改めてナイの顔を伺う。ナイにとってはイチノは自分の故郷の次に思い入れがある場所であり、もう彼は王都に戻ってこないのではないかとモモは不安を抱く。だが、そんなモモの気持ちとは裏腹にナイは不思議そうな表情を浮かべ、平然と答える。
「勿論、戻ってくるよ」
「ほ、本当に!?そのまま帰ったりしないの?」
「いや……帰らないよ。そもそも帰っても誰もいないし、それにここでまだやり残した事があると思うんだ」
「そ、そっか……えへへ、戻ってくるんだ~」
「良かったわね、モモ!!」
ナイの言葉を聞いてモモは安心した様に微笑み、ヒナの方も安堵した。ここでナイが戻らないと言い出したらどうしようかと思ったが、ナイとしてはイチノへ引き返して暮らす理由がない。
ドルトン達の事は心配だが、ナイが旅に出た目的は自分が何をしたいのかを探すためであり、その答えはまだ見つかっていない。そしてその答えはこの王都で見つかるような気がした。
(居場所、か……)
昨日のテンとイリアの会話を思い出したナイは自分が求めているのは「居場所」ではないかと考える。自分の事を必要としてくれる人たち、そして自分も必要とする人達がいる場所、それこそがナイが探し求めていた物かもしれない。
王都へ訪れてから色々な事は合ったが、時には大変な事態に巻き込まれたりもしたが、それでもナイにとっては楽しい日々だった。その日々を守るためにもナイは生きて戻る事を誓う。
「そろそろ時間ね……行きましょうか」
「ううっ……ナイ君、絶対戻ってきてね」
「大丈夫、必ず帰ってくるよ」
モモはナイの腕に抱きつき、別れを寂しがる。そんな彼女にナイは頭を撫でてやると、ここで外で待機しているビャクが鳴き声を上げる。
『ウォンッ!!ウォンッ!!』
「ビャク?どうしたんだろう……」
「あ、もしかしてテンさんが返ってきたのかしら?それを知らせようとしてくれたりして……」
「じゃあ、迎えに行かなきゃっ!!」
ビャクの声を聞いたナイ達は外へ向かうと、屋敷の出入口の前に立っている人物を見て驚きの声を上げる。
「よう、あんた達……待たせたね」
「テンさん!!良かった、戻ってきて……え?」
「えっと……その人たち、誰?」
「その顔、どうしたの!?」
屋敷の外に待ち構えていたのはテンであり、彼女は何故か両頬が赤く腫れていた。まるで誰かに何度もビンタを受けたような跡が残っていた。
帰ってきたテンの傍には彼女と同世代ぐらいだと思われる女性たちが立っており、一人一人が只者ではない雰囲気を纏っていた。眼帯を身に付けた人間の女性、額に傷を持つ巨人族の女性、エルマのように若々しい外見の森人族の女性が立っていた。3人とも只者ではない雰囲気を発しており、テンは彼女達の事を紹介する。
アッシュは公爵ではあるのと同時に将軍職にも就いており、この国では二番目に偉い将軍である。ちなみに一番上の立場の大将軍は猛虎騎士団の団長が兼任しており、現在は北の国境に滞在しているので王都には不在のため、アッシュが討伐部隊の指揮を執る事になった。
「忙しい中、わざわざ集まって貰ってすまない。特にハマーン殿は整備も忙しい時にご迷惑をおかけした」
「なに、船の整備はもう殆ど終わっておる。後は燃料になる魔石を運び込めば大丈夫じゃろう」
「無理するなよ爺さん、俺と違ってあんたは年老いてんだから怪我の影響も残ってるんじゃないのか?」
「ふんっ!!小髭族の回復力を舐めるな、あの程度の火傷などもう何ともないわ!!」
レッドゴーレムの爆発に巻き込まれて酷い火傷を負っていたガロウもハマーンも回復魔法と回復薬の処置によって完全に回復し、万全の状態だった。特にガオウの方は前回の討伐隊の時は自分が対して役に立てずに引き返した事に負い目を感じていた。
(油断していたとはいえ、あんな爆発に巻き込まれて途中離脱とは……これ以上にへまをしたら王国の信用を失う。もう失敗は許されないな……)
ガオウは焦りを抱いており、今回の仕事に関しては何としても成果を上げなければならないと意気込んでいた。そんなガオウの心を読み取ったかのようにアッシュは三人を呼び出して説明を行う。
「今回の遠征はハマーン殿は船の整備を頼みたい。イチノへ到着した場合、船が襲われる可能性もある。王都へ帰還するためにもこの船は必要不可欠、何としても守らねばならんのだ」
「うむ、船の事は儂に任せろ」
「ガオウ殿、それとリーナ……御二人には船が降りている間は船の守護を任せたい」
「はっ!?ちょっと待って……下さい、船の警護という事は俺達は戦わないんですか!?」
「船の警護も重要な役目だ。この飛行船を失えば我々は帰る手段を失う……まさか陸路で二か月も費やして戻るわけにはいかんからな」
飛行船の守護を頼まれたガオウは戸惑いの表情を浮かべるが、アッシュとしてはふざけているわけではない。飛行船がなければ王都への帰還の際に問題となり、飛行船が魔物に襲われない様に誰かが守らなければならない。
討伐部隊を率いるアッシュは前線で指揮を執る必要があり、他の者に守護を任せられるとしたらドリスかリン、あるいは黄金級冒険者の三人だけである。
「この船が我々の生命線といっても過言ではない。もしも到着時にイチノが陥落していた場合、我々は撤退手段を確保しなければならん。だからこの船の守護をする人間が必要不可欠なのだ」
「そうじゃろうな。儂は異論はないぞ、この船が壊れた時に対処できるのも儂だけだからのう」
「それはそうかもしれませんけど……ドリス副団長やリン副団長に任せればいいじゃないですか!?」
「あの二人は前回の任務の失態の件を引きずっている。だからこそ、二人には活躍の場を与えておきたい。勿論、この船を守り切る事が出来れば君達の功績として私は国王様に上層し、勲章を渡す様に頼もう」
「く、勲章を……」
「ええっ!?」
「ほほうっ……それはいいのう」
勲章という言葉にガオウもリーナも驚愕し、ハマーンは顎髭を撫でながら笑みを浮かべる。国王から直々に勲章を授与された場合、冒険者としては国の信頼の証を得た事になる。
もしも勲章を手に入れれば国からの信頼の厚い冒険者として名が広がり、冒険者の立場も向上される。船を守り切るだけで勲章を貰えるかもしれないという話にガオウは内心喜ぶ。
(そういえばこの爺さんは前に技師として勲章を貰っていたな……だからこんなに冷静なのか。ちっ、だけど勘違いするなよ。あんたの場合は冒険者としてではなく、あくまでも鍛冶師として認められたからこその勲章だ)
ガオウはハマーンの余裕の態度が過去に既に彼は技師としての腕を認められ、勲章を授かっている事を思い出す。しかし、ガオウからすればハマーンが勲章を貰えたのは冒険者として優秀だからと認められたわけではなく、あくまでも技師としての腕を買われたに過ぎないと内心で笑う。
(嬢ちゃんも勲章は貰っていなかったはずだが、この嬢ちゃんの場合はアッシュ公爵の娘だ。公爵家の娘なら勲章なんかどうでもいいんだろ……だが、俺の場合は違う。俺は冒険者としての実力だけでこの勲章を勝ち取ってやる)
冒険者としてガオウは地道に功績を重ね、遂には黄金級冒険者に到達できた。ここで勲章を手に入ればガオウは冒険者としての頂点に近付くと判断し、何としても活躍して功績を上げる事を誓う――
――翌朝、アルトの屋敷にてナイは目を覚ますと、久々によく眠れた気がした。身体を起き上げると、裏庭の方で眠っているビャクを起こすために彼の元へ向かう。
「ビャク、起きてる?」
「クォオッ……」
横たわっていたビャクに声を掛けると、ビャクは眠たそうに欠伸を行い、顔を激しく振って眠気を吹き飛ばす。遠征の際はビャクも同行するため、ナイは彼の頭を撫でる。
「一緒にドルトンさんたちを助けよう」
「ウォンッ!!」
ビャクはナイの言葉を聞いて力強く頷き、改めてナイは部屋へと戻ると装備を整える。旋斧と岩砕剣も背中に背負うと、部屋の扉がノックされてヒナとモモの声が響く。
『ナイ君、ご飯だよ~』
『出発までまだ時間はあるでしょう?一緒に食べましょう』
大分早い時間帯なのだが、どうやら二人ともナイのために朝食を用意してくれたらしく、有難くナイは出発する前に朝食を味わう事にした――
――食堂に赴くとそこには既にヒナとモモの他に屋敷の使用人も並んでおり、机の上には食事が用意されていた。ナイはヒナとモモに挟まれる形で座り込むと、ここでテンの姿が見えない事に気付いた。
「あれ、テンさんは?」
「それが昨日から戻ってないの……一応、白猫亭にも戻って見たんだけどいなかったわ」
「何処に行っちゃったのかな……でも、きっと戻ってくると思うよ」
「そっか……」
昨日のイリアとのやり取りでテンが何を思ったのかは分からないが、出発前には戻ってくる事を信じてナイは先に食事を頂く。
最初の内はヒナとモモと雑談しながら食べていたが、出発の時刻が近付くにつれて二人とも無口になり、やがて意を決したようにモモは尋ねる。
「ねえ……ナイ君は王都に戻ってくるんだよね?」
「え?」
「その……イチノという街で困っている王子様を助けた後はナイ君も王都に戻ってきてくれるんだよね」
「モモ……」
モモの不安そうな言葉にヒナは彼女に視線を向け、改めてナイの顔を伺う。ナイにとってはイチノは自分の故郷の次に思い入れがある場所であり、もう彼は王都に戻ってこないのではないかとモモは不安を抱く。だが、そんなモモの気持ちとは裏腹にナイは不思議そうな表情を浮かべ、平然と答える。
「勿論、戻ってくるよ」
「ほ、本当に!?そのまま帰ったりしないの?」
「いや……帰らないよ。そもそも帰っても誰もいないし、それにここでまだやり残した事があると思うんだ」
「そ、そっか……えへへ、戻ってくるんだ~」
「良かったわね、モモ!!」
ナイの言葉を聞いてモモは安心した様に微笑み、ヒナの方も安堵した。ここでナイが戻らないと言い出したらどうしようかと思ったが、ナイとしてはイチノへ引き返して暮らす理由がない。
ドルトン達の事は心配だが、ナイが旅に出た目的は自分が何をしたいのかを探すためであり、その答えはまだ見つかっていない。そしてその答えはこの王都で見つかるような気がした。
(居場所、か……)
昨日のテンとイリアの会話を思い出したナイは自分が求めているのは「居場所」ではないかと考える。自分の事を必要としてくれる人たち、そして自分も必要とする人達がいる場所、それこそがナイが探し求めていた物かもしれない。
王都へ訪れてから色々な事は合ったが、時には大変な事態に巻き込まれたりもしたが、それでもナイにとっては楽しい日々だった。その日々を守るためにもナイは生きて戻る事を誓う。
「そろそろ時間ね……行きましょうか」
「ううっ……ナイ君、絶対戻ってきてね」
「大丈夫、必ず帰ってくるよ」
モモはナイの腕に抱きつき、別れを寂しがる。そんな彼女にナイは頭を撫でてやると、ここで外で待機しているビャクが鳴き声を上げる。
『ウォンッ!!ウォンッ!!』
「ビャク?どうしたんだろう……」
「あ、もしかしてテンさんが返ってきたのかしら?それを知らせようとしてくれたりして……」
「じゃあ、迎えに行かなきゃっ!!」
ビャクの声を聞いたナイ達は外へ向かうと、屋敷の出入口の前に立っている人物を見て驚きの声を上げる。
「よう、あんた達……待たせたね」
「テンさん!!良かった、戻ってきて……え?」
「えっと……その人たち、誰?」
「その顔、どうしたの!?」
屋敷の外に待ち構えていたのはテンであり、彼女は何故か両頬が赤く腫れていた。まるで誰かに何度もビンタを受けたような跡が残っていた。
帰ってきたテンの傍には彼女と同世代ぐらいだと思われる女性たちが立っており、一人一人が只者ではない雰囲気を纏っていた。眼帯を身に付けた人間の女性、額に傷を持つ巨人族の女性、エルマのように若々しい外見の森人族の女性が立っていた。3人とも只者ではない雰囲気を発しており、テンは彼女達の事を紹介する。
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