412 / 1,110
グマグ火山決戦編
閑話 〈伝説の鍛冶師フクツ〉
しおりを挟む
――伝説の鍛冶師と謳われながら生涯で2本の魔剣しか打たなかった「フクツ」彼はどうして伝説と呼ばれるようになったのか、それは彼の出生が関わっている。
フクツの先祖はかつて存在した「和国」という名前の小国で暮らしており、代々鍛冶師の家系であった。しかし、この和国は彼が生まれる遥か前に「ダイダラボッチ」なる魔物によって滅ぼされていた。
国が滅びた後のフクツの先祖は王国に移り住み、鍛冶師として働く。彼の家系は人間であったが、彼等の作り出す品々は小髭族の作り上げる道具にも劣らなかった。
フクツも幼少の頃から鍛冶を学び、彼は他の誰よりも鍛冶師としての才能に恵まれ、僅か15才で家を継ぐ。その後、フクツは他の鍛冶師から一目置かれる存在となり、そしてある時に彼の元に王族が訪れた。
「お主がフクツか……実はお主に打ち直して貰いたい武器がある。遥か昔、火竜を打ち倒した勇者が使用していたという武器じゃ」
「まさか……聖剣の事ですか!?」
歴史上でただ一人だけ火竜を打ち倒したという勇者レノが所有していた聖剣「カラドボルグ」その存在はフクツも知っており、その実物を目の当たりにした。
レノの死後、カラドボルグは行方不明になったと聞いていたが、実際の所は王家が管理しており、彼は変わり果てた聖剣の修復を依頼される。聖剣カラドボルグは酷く錆びつき、しかも下手に触れようとすると聖剣に内蔵されている雷属性の魔水晶が反応して電流を放つ。
「これまで誰もこの聖剣を直す事が出来なかった。しかし、もしもお主が直してくれるのであればどんな望みでも叶えてやろう」
「望みなどありませぬ……伝説の聖剣を我が手で直せるのならば私にとってはこれ以上のない誇りになりましょう!!」
フクツは当時の国王の依頼を引き受け、カラドボルグの修復を試みた。今までに何十人、何百人という人間が挑んだが聖剣を直す事は出来なかった。しかし、フクツはやり遂げる。
修復を開始してから三日が経過すると、フクツは国王の元に見事なまでに磨き上げられた聖剣を渡す。国王は完全に修復されたカラドボルグを見て驚き、どのような方法で聖剣を直したのかを問う。
「信じられぬ、あの錆びた剣をこれほどまでに鍛え直すとは……フクツよ、お主はどんな手段を用いて直したのじゃ」
「信じられぬかもしれませんが、私には武器の声が聞こえるのです。その声に従い、修理を施したお陰で私は電撃に一度も襲われる事もなく直す事が出来ました」
「な、何と……」
国王はフクツの言葉を聞いて信じられなかったが、実際に彼の身体は三日三晩の作業で薄汚れてはいたが、火傷や服が焦げたような跡は一切残っていなかった。伝説の聖剣を修復させた事により、フクツは人々から伝説の鍛冶師と呼ばれる――
――後にフクツは聖剣に触れた事で彼はある目標を抱く。それは何時の日か自分は聖剣を越える武器を作り出すと心に誓い、彼はその後は旅に出て世界中を回り、様々な鍛冶師と出会って知識や技術を吸収する。
やがて彼は王国に戻るとレイという名前の剣士に出会い、この剣士との出会いが彼の人生を一変させる。そしてフクツは初めて魔剣を作り出した。その魔剣は剣士は気に入り、家宝として扱う事を約束してくれた。
しかし、魔剣を作り出した後にフクツはもう1本だけ魔剣を作り出す。その理由は彼は誰にも語らなかったが、死ぬ前に一言だけ家族に言い残したという。
「儂は力がある剣を求めすぎた故に重大な失敗を犯した……どれほど強力な武器であろうと、それを扱う人間によって最悪の事態を引き起こす可能性を忘れていた。もしも、儂の魔剣が悪しき者に渡った時、もう片方の魔剣で破壊してくれ……」
フクツは子孫にそれだけを言い残すと、岩砕剣と名付けた剣を子孫に託して逝った。だが、残念ながら彼の子孫は後に戦争で死んでしまい、岩砕剣も他の人間の手に渡ってしまう――
――そしてフクツの死後、彼の手によって修復が果たされた聖剣カラドボルグは何者かの手によって盗み出された。聖剣は現在も行方知らずであり、その居場所を知る者はいない。
フクツの先祖はかつて存在した「和国」という名前の小国で暮らしており、代々鍛冶師の家系であった。しかし、この和国は彼が生まれる遥か前に「ダイダラボッチ」なる魔物によって滅ぼされていた。
国が滅びた後のフクツの先祖は王国に移り住み、鍛冶師として働く。彼の家系は人間であったが、彼等の作り出す品々は小髭族の作り上げる道具にも劣らなかった。
フクツも幼少の頃から鍛冶を学び、彼は他の誰よりも鍛冶師としての才能に恵まれ、僅か15才で家を継ぐ。その後、フクツは他の鍛冶師から一目置かれる存在となり、そしてある時に彼の元に王族が訪れた。
「お主がフクツか……実はお主に打ち直して貰いたい武器がある。遥か昔、火竜を打ち倒した勇者が使用していたという武器じゃ」
「まさか……聖剣の事ですか!?」
歴史上でただ一人だけ火竜を打ち倒したという勇者レノが所有していた聖剣「カラドボルグ」その存在はフクツも知っており、その実物を目の当たりにした。
レノの死後、カラドボルグは行方不明になったと聞いていたが、実際の所は王家が管理しており、彼は変わり果てた聖剣の修復を依頼される。聖剣カラドボルグは酷く錆びつき、しかも下手に触れようとすると聖剣に内蔵されている雷属性の魔水晶が反応して電流を放つ。
「これまで誰もこの聖剣を直す事が出来なかった。しかし、もしもお主が直してくれるのであればどんな望みでも叶えてやろう」
「望みなどありませぬ……伝説の聖剣を我が手で直せるのならば私にとってはこれ以上のない誇りになりましょう!!」
フクツは当時の国王の依頼を引き受け、カラドボルグの修復を試みた。今までに何十人、何百人という人間が挑んだが聖剣を直す事は出来なかった。しかし、フクツはやり遂げる。
修復を開始してから三日が経過すると、フクツは国王の元に見事なまでに磨き上げられた聖剣を渡す。国王は完全に修復されたカラドボルグを見て驚き、どのような方法で聖剣を直したのかを問う。
「信じられぬ、あの錆びた剣をこれほどまでに鍛え直すとは……フクツよ、お主はどんな手段を用いて直したのじゃ」
「信じられぬかもしれませんが、私には武器の声が聞こえるのです。その声に従い、修理を施したお陰で私は電撃に一度も襲われる事もなく直す事が出来ました」
「な、何と……」
国王はフクツの言葉を聞いて信じられなかったが、実際に彼の身体は三日三晩の作業で薄汚れてはいたが、火傷や服が焦げたような跡は一切残っていなかった。伝説の聖剣を修復させた事により、フクツは人々から伝説の鍛冶師と呼ばれる――
――後にフクツは聖剣に触れた事で彼はある目標を抱く。それは何時の日か自分は聖剣を越える武器を作り出すと心に誓い、彼はその後は旅に出て世界中を回り、様々な鍛冶師と出会って知識や技術を吸収する。
やがて彼は王国に戻るとレイという名前の剣士に出会い、この剣士との出会いが彼の人生を一変させる。そしてフクツは初めて魔剣を作り出した。その魔剣は剣士は気に入り、家宝として扱う事を約束してくれた。
しかし、魔剣を作り出した後にフクツはもう1本だけ魔剣を作り出す。その理由は彼は誰にも語らなかったが、死ぬ前に一言だけ家族に言い残したという。
「儂は力がある剣を求めすぎた故に重大な失敗を犯した……どれほど強力な武器であろうと、それを扱う人間によって最悪の事態を引き起こす可能性を忘れていた。もしも、儂の魔剣が悪しき者に渡った時、もう片方の魔剣で破壊してくれ……」
フクツは子孫にそれだけを言い残すと、岩砕剣と名付けた剣を子孫に託して逝った。だが、残念ながら彼の子孫は後に戦争で死んでしまい、岩砕剣も他の人間の手に渡ってしまう――
――そしてフクツの死後、彼の手によって修復が果たされた聖剣カラドボルグは何者かの手によって盗み出された。聖剣は現在も行方知らずであり、その居場所を知る者はいない。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる