394 / 1,110
グマグ火山決戦編
第384話 手負いの火竜
しおりを挟む
火口から生還を果たした火竜ではあったが、やはり大型ゴーレムとの戦闘での負傷が激しく、身体を動かすのもやっとの状態だった。火竜は自身の怪我を治すため、餌が必要だと判断する。
火竜が好む餌は火属性の魔石であり、火属性の魔石は火竜にとってはただの好物ではなく、火竜の力の源といっても過言ではない。魔石に蓄積されている火属性の魔力を吸収すればするほどに火竜は成長し、より膨大な魔力を肉体に宿す事が出来る。
だが、火属性の魔力をいくら吸い上げても怪我の類は治す事は出来ない。怪我を治療するのに最適なのは「聖属性」の魔力であり、大量の聖属性の魔力を摂取すれば火竜は自己再生で怪我を治す事が出来た。
しかし、火山のような場所では聖属性の魔石は回収する事は出来ず、そもそも火竜は火属性以外の魔石を食すことができない。仮に火竜が他の属性の魔石を喰らった場合は体内の魔力が暴走し、最悪の場合は死に至る。ならばどのような方法で聖属性の魔力を吸収するのか、その答えは火竜はよく知っていた。
――聖属性の魔力は生者を喰らう事で吸収する事が出来る。実際に過去に火竜は負傷したさい、他の生物を喰らう事で聖属性の魔力を吸収し、肉体の再生を行ってきた。
聖属性の魔力は生物であるのならばどんな存在でも身に宿すため、火竜は怪我を負った時だけ他の生物を食す。普段は火属性の魔石を喰らう事で生命を維持できるが、肉体が破損した時に限って火竜は生物を喰らう。
だが、例外として火竜は休眠状態に陥ると何十年、下手をすれば100年以上も眠り続ける。そして目を覚ました時に眠っていた分の間に消耗していた聖属性の魔力を求めて大虐殺を行う。
歴史上で人間に大きな被害を与えた火竜の殆どは休眠状態から復活を果たし、聖属性の魔力を求めて暴れた個体ばかりだった。逆に言えば基本的には火竜は聖属性の魔力が欠乏しない限りは他の生物を襲わない。
しかし、生存本能が優れた魔物ほど火竜の復活の時期を迎えると無意識に逃亡する事が多く、特に一角兎のような力が弱い魔物ほどその影響を受けやすい。王都周辺で一角兎が全く見られなくなった原因は火竜であり、いち早く火竜の存在を察知して逃げ出したのだ。
――ここまで討伐隊が移動する際中、普通の魔物が一切見当たらなかった真の理由は火竜が復活を果たしたからであり、生存本能が優れた魔物達は既に危険を察して逃げ出した。
魔物と比べて危機感知能力が低いのは人間だけであり、火竜が休眠から目覚める度に最も人間が被害を大きかった理由、それは人間が野生の魔物と違って生存本能が低いのが原因だと言える。
傷を負った火竜は周囲を見渡し、並外れた生存本能と直感だけで火竜は火山に接近する討伐隊の存在を感じとる。火竜は自分の怪我を癒すため、生物を喰らって聖属性の魔力を得る必要があり、討伐隊を最初の獲物と認定した。
「シャアアッ……!!」
火竜の翼は大型ゴーレムとの戦闘でもがれたので飛ぶ事は出来ないが、獣のように四つ足で駆け出し、討伐隊の元へ向かう。災害の化身とまで恐れられる存在が討伐隊へ迫ろうとしていた――
――だが、火竜は気づいていなかった。この時に別の場所から火口に接近する存在が居た事を。後々に火竜はこの存在を見逃した事が大きな仇となるが、その事に気付かずに火竜は餌を求めて火山を降りた。
火竜が好む餌は火属性の魔石であり、火属性の魔石は火竜にとってはただの好物ではなく、火竜の力の源といっても過言ではない。魔石に蓄積されている火属性の魔力を吸収すればするほどに火竜は成長し、より膨大な魔力を肉体に宿す事が出来る。
だが、火属性の魔力をいくら吸い上げても怪我の類は治す事は出来ない。怪我を治療するのに最適なのは「聖属性」の魔力であり、大量の聖属性の魔力を摂取すれば火竜は自己再生で怪我を治す事が出来た。
しかし、火山のような場所では聖属性の魔石は回収する事は出来ず、そもそも火竜は火属性以外の魔石を食すことができない。仮に火竜が他の属性の魔石を喰らった場合は体内の魔力が暴走し、最悪の場合は死に至る。ならばどのような方法で聖属性の魔力を吸収するのか、その答えは火竜はよく知っていた。
――聖属性の魔力は生者を喰らう事で吸収する事が出来る。実際に過去に火竜は負傷したさい、他の生物を喰らう事で聖属性の魔力を吸収し、肉体の再生を行ってきた。
聖属性の魔力は生物であるのならばどんな存在でも身に宿すため、火竜は怪我を負った時だけ他の生物を食す。普段は火属性の魔石を喰らう事で生命を維持できるが、肉体が破損した時に限って火竜は生物を喰らう。
だが、例外として火竜は休眠状態に陥ると何十年、下手をすれば100年以上も眠り続ける。そして目を覚ました時に眠っていた分の間に消耗していた聖属性の魔力を求めて大虐殺を行う。
歴史上で人間に大きな被害を与えた火竜の殆どは休眠状態から復活を果たし、聖属性の魔力を求めて暴れた個体ばかりだった。逆に言えば基本的には火竜は聖属性の魔力が欠乏しない限りは他の生物を襲わない。
しかし、生存本能が優れた魔物ほど火竜の復活の時期を迎えると無意識に逃亡する事が多く、特に一角兎のような力が弱い魔物ほどその影響を受けやすい。王都周辺で一角兎が全く見られなくなった原因は火竜であり、いち早く火竜の存在を察知して逃げ出したのだ。
――ここまで討伐隊が移動する際中、普通の魔物が一切見当たらなかった真の理由は火竜が復活を果たしたからであり、生存本能が優れた魔物達は既に危険を察して逃げ出した。
魔物と比べて危機感知能力が低いのは人間だけであり、火竜が休眠から目覚める度に最も人間が被害を大きかった理由、それは人間が野生の魔物と違って生存本能が低いのが原因だと言える。
傷を負った火竜は周囲を見渡し、並外れた生存本能と直感だけで火竜は火山に接近する討伐隊の存在を感じとる。火竜は自分の怪我を癒すため、生物を喰らって聖属性の魔力を得る必要があり、討伐隊を最初の獲物と認定した。
「シャアアッ……!!」
火竜の翼は大型ゴーレムとの戦闘でもがれたので飛ぶ事は出来ないが、獣のように四つ足で駆け出し、討伐隊の元へ向かう。災害の化身とまで恐れられる存在が討伐隊へ迫ろうとしていた――
――だが、火竜は気づいていなかった。この時に別の場所から火口に接近する存在が居た事を。後々に火竜はこの存在を見逃した事が大きな仇となるが、その事に気付かずに火竜は餌を求めて火山を降りた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる