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グマグ火山決戦編
第376話 蒼月の真の力
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「あっ……良かった、やっぱりここに居たんだね」
「リーナ、さん?」
「リーナでいいよ、さん付けと敬語は苦手なんだ」
リーナはナイを見ると笑顔を浮かべ、彼女が待ち構えていた事にナイは戸惑うが、リーナは夜空を見上げる。こんな状況でも夜空は変わらずに美しく、リーナとナイはしばらくは空を眺めた。
「星、綺麗だね……僕、夜空が大好きなんだ」
「へえ、そうなんだ。何となく分かるよ」
「でも、さっきから妙に落ち着かなくてね……ちょっと、今から見回りに行こうと思っていたんだけど、良かったらナイ君も一緒に行かない?」
「見回り?」
バッシュからは今日はもう休むようにナイは言われたが、リーナは何か気になる事があるのかナイと共に見回りを提案してきた。その言葉を聞いてナイは少し考え、彼女に付き合う事にした。
雑談しながら二人は少し離れ、人気のない場所まで移動を行う。すると、リーナは誰も見ていない事を確認すると、改めてナイと向き合う。
「ナイ君……こういうのは本当はあんまり人に話したくはなかったんだけど、明日から一緒に戦う機会も多いから言っておくね」
「リーナ?」
「実は僕……この槍の力を使いこなせないんだ」
リーナは自分の家系に伝わる魔槍「蒼月」を握りしめ、この槍に隠された力を明かす。蒼月はドリスの扱う「真紅」と同様に魔槍の一種ではあるが、リーナはまだ蒼月の力を完全には引き出せない事を明かす。
「僕が黄金級冒険者に昇格できたのもこの蒼月のお陰なんだ。この蒼月には凄い力が眠っている……でも、僕はその力を引き出す事ができない」
「力を……引き出せない?」
「よく見ててね、この蒼月の力を見せてあげるよ」
蒼月を構えたリーナは夜空に浮かぶ三日月と照らし合わせるように構えると、やがて意識を集中させるように瞼を閉じる。しばらくすると槍が光り輝き、刃に冷気が発生した。
刃から冷気が迸った途端、リーナの周囲の気温が急激に下がり、ナイはあまりの寒さに体を震わせる。そしてリーナは近くに生えている樹木を切りつける。
「やああっ!!」
「うわっ!?」
蒼月が樹木に触れた途端、切りつけられた箇所が一瞬にして氷結化し、やがて罅割れて砕け散る。切り裂くというよりは凍結させて砕くという表現が正しく、リーナは汗を流しながらも蒼月の能力を解除した。
「ふうっ……これが僕の蒼月の力だよ」
「まさか……冷気を操る能力?」
「そういう事、僕も一応は水属性の魔力適性があるんだ。今のは魔力を抑えたけど、本気を出せばこの木を氷漬けにして砕く事も出来たよ」
リーナが砕いた樹木は切り付けられた部分が凍結したが、本人によれば全力を出せば樹木その物を氷漬けにして破壊することもできる。これはナイが旋斧で水属性の魔法剣を使う時と全く同じ効果だが、出力にあまりに差があった。
ナイの旋斧ならば水属性の魔力を送り込めば冷気は発生させる事は可能だが、相手を一瞬にして氷漬けにする事はできない。リーナの蒼月と旋斧では能力は同じでも出力に大きな差があり、とてもナイにはリーナの真似は出来ない。
「レッドゴーレムの弱点は水属性なんだよね?だから僕もこの討伐隊に参加したんだけど……僕はこの力を制御できる自信がないんだ」
「どうして?」
「今のはどうにか何とかなったけど、僕って興奮すると周りの事が目に見えなくなっちゃうからさ……もしも蒼月を使った時、周りに他の人が居たら迷惑をかけちゃうかもしれない」
「迷惑なんて……」
「ナイ君も気づいているでしょ?さっきから身体が震えてるよ。ごめんね、寒かったよね……僕のせいで」
リーナに言われてナイは自分の身体が震えている事に気付き、どうやらリーナの蒼月の影響を受けて身体が無意識に震えていたらしい。
蒼月は凄まじい力を持つ魔槍だが、リーナは完全に制御できない。そのため、常に魔法槍を使っている間は周囲に冷気を放出するため、他の人間にも影響を与えてしまう。
「僕が他の人と組まないのこの蒼月の力を使いこなせないから、もしも能力を発動した時に他の人が巻き込んだら大変になるからなんだ。だから、僕は仲間を作らずにここまで一人で戦ってきた」
「そうだったんだ……」
「でも、明日からはそんな事は言えないんだよね。今日のレッドゴーレムとの戦闘で僕もよく分かったよ。もう能力を発動するのに躊躇するわけにはいかないって……」
基本的には冒険者は他の人間と組んで仕事に当たる事が多いが、リーナがこれまでに単独で冒険者活動を続けていた理由、それは彼女が蒼月の能力を使いこなせない事が原因だと明かす。
蒼月は強力な魔槍だが、その力のせいでリーナは他の人間を巻き込むと思い、彼女は能力を使用する事を躊躇してしまう。だから明日の戦闘でもリーナはナイの指揮下に入るが、自分は一人で戦いたいことを告げた。
「リーナ、さん?」
「リーナでいいよ、さん付けと敬語は苦手なんだ」
リーナはナイを見ると笑顔を浮かべ、彼女が待ち構えていた事にナイは戸惑うが、リーナは夜空を見上げる。こんな状況でも夜空は変わらずに美しく、リーナとナイはしばらくは空を眺めた。
「星、綺麗だね……僕、夜空が大好きなんだ」
「へえ、そうなんだ。何となく分かるよ」
「でも、さっきから妙に落ち着かなくてね……ちょっと、今から見回りに行こうと思っていたんだけど、良かったらナイ君も一緒に行かない?」
「見回り?」
バッシュからは今日はもう休むようにナイは言われたが、リーナは何か気になる事があるのかナイと共に見回りを提案してきた。その言葉を聞いてナイは少し考え、彼女に付き合う事にした。
雑談しながら二人は少し離れ、人気のない場所まで移動を行う。すると、リーナは誰も見ていない事を確認すると、改めてナイと向き合う。
「ナイ君……こういうのは本当はあんまり人に話したくはなかったんだけど、明日から一緒に戦う機会も多いから言っておくね」
「リーナ?」
「実は僕……この槍の力を使いこなせないんだ」
リーナは自分の家系に伝わる魔槍「蒼月」を握りしめ、この槍に隠された力を明かす。蒼月はドリスの扱う「真紅」と同様に魔槍の一種ではあるが、リーナはまだ蒼月の力を完全には引き出せない事を明かす。
「僕が黄金級冒険者に昇格できたのもこの蒼月のお陰なんだ。この蒼月には凄い力が眠っている……でも、僕はその力を引き出す事ができない」
「力を……引き出せない?」
「よく見ててね、この蒼月の力を見せてあげるよ」
蒼月を構えたリーナは夜空に浮かぶ三日月と照らし合わせるように構えると、やがて意識を集中させるように瞼を閉じる。しばらくすると槍が光り輝き、刃に冷気が発生した。
刃から冷気が迸った途端、リーナの周囲の気温が急激に下がり、ナイはあまりの寒さに体を震わせる。そしてリーナは近くに生えている樹木を切りつける。
「やああっ!!」
「うわっ!?」
蒼月が樹木に触れた途端、切りつけられた箇所が一瞬にして氷結化し、やがて罅割れて砕け散る。切り裂くというよりは凍結させて砕くという表現が正しく、リーナは汗を流しながらも蒼月の能力を解除した。
「ふうっ……これが僕の蒼月の力だよ」
「まさか……冷気を操る能力?」
「そういう事、僕も一応は水属性の魔力適性があるんだ。今のは魔力を抑えたけど、本気を出せばこの木を氷漬けにして砕く事も出来たよ」
リーナが砕いた樹木は切り付けられた部分が凍結したが、本人によれば全力を出せば樹木その物を氷漬けにして破壊することもできる。これはナイが旋斧で水属性の魔法剣を使う時と全く同じ効果だが、出力にあまりに差があった。
ナイの旋斧ならば水属性の魔力を送り込めば冷気は発生させる事は可能だが、相手を一瞬にして氷漬けにする事はできない。リーナの蒼月と旋斧では能力は同じでも出力に大きな差があり、とてもナイにはリーナの真似は出来ない。
「レッドゴーレムの弱点は水属性なんだよね?だから僕もこの討伐隊に参加したんだけど……僕はこの力を制御できる自信がないんだ」
「どうして?」
「今のはどうにか何とかなったけど、僕って興奮すると周りの事が目に見えなくなっちゃうからさ……もしも蒼月を使った時、周りに他の人が居たら迷惑をかけちゃうかもしれない」
「迷惑なんて……」
「ナイ君も気づいているでしょ?さっきから身体が震えてるよ。ごめんね、寒かったよね……僕のせいで」
リーナに言われてナイは自分の身体が震えている事に気付き、どうやらリーナの蒼月の影響を受けて身体が無意識に震えていたらしい。
蒼月は凄まじい力を持つ魔槍だが、リーナは完全に制御できない。そのため、常に魔法槍を使っている間は周囲に冷気を放出するため、他の人間にも影響を与えてしまう。
「僕が他の人と組まないのこの蒼月の力を使いこなせないから、もしも能力を発動した時に他の人が巻き込んだら大変になるからなんだ。だから、僕は仲間を作らずにここまで一人で戦ってきた」
「そうだったんだ……」
「でも、明日からはそんな事は言えないんだよね。今日のレッドゴーレムとの戦闘で僕もよく分かったよ。もう能力を発動するのに躊躇するわけにはいかないって……」
基本的には冒険者は他の人間と組んで仕事に当たる事が多いが、リーナがこれまでに単独で冒険者活動を続けていた理由、それは彼女が蒼月の能力を使いこなせない事が原因だと明かす。
蒼月は強力な魔槍だが、その力のせいでリーナは他の人間を巻き込むと思い、彼女は能力を使用する事を躊躇してしまう。だから明日の戦闘でもリーナはナイの指揮下に入るが、自分は一人で戦いたいことを告げた。
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