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グマグ火山決戦編
第374話 自爆
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「ゴォオオオッ……!!」
「ぬうっ!?こいつ、いったい何を……」
「何だか様子がおかしい!!誰でもいいから早く仕留めて下さい!!」
「ナイの言う通りだ、喧嘩している場合ではない!!早く始末しろ!!」
レッドゴーレムは身体を丸めると、防御を固めながら身体から放たれる熱を更に強めた。その様子を見てナイは嫌な予感を浮かべ、バッシュも彼の意見に賛成する。
喧嘩していた者達も危険を察すると、各々がレッドゴーレムを仕留めるために動き出そうとした。しかし、既にレッドゴーレムの肉体は本物のマグマのように変化し、それを見たビャクは危険を察してナイの服に噛みついて引き寄せる。
「ガウッ!!」
「うわっ……!?」
「これは……まずい、全員伏せろっ!!」
リンの声が響き渡ると、ビャクはナイを引き連れて上空へ跳び上がり、その直後にレッドゴーレムの身体が赤色に光り輝く。
――次の瞬間、レッドゴーレムの肉体が爆散すると周囲に破片が飛び散り、周囲に立ち尽くしていた騎士や魔術兵に襲い掛かった。爆発の近くに立っていたリンたちは咄嗟に反応して身体を伏せてやり過ごそうとしたが、完全に防ぐ事は出来ずに全員が吹き飛ばされる。
あちこちで悲鳴が上がり、超高温の破片が飛び散った事で多くの騎士が倒れ込む。ナイはビャクが救ってくれたお陰で被害は免れたが、慌てて地上に降り立つと被害を受けた人間達の元へ駆けつける。
「大丈夫ですか!?」
「ううっ……腕がぁっ!?」
「熱い、熱いぃっ……!!」
「死ぬ、助けてくれぇっ……!!」
レッドゴーレムの自爆によって討伐隊の半数近くが被害を受け、中には鎧が貫通して身体に破片が食い込んだ物もいた。特に自爆したレッドゴーレムの近くに立っていた者達の被害は酷い。
ドリス、リン、ハマーン、ガオウの4人に至っては直前までレッドゴーレムを倒そうと近付いていたために怪我を負い、すぐにナイは治療を施そうとした。
「待っててください、すぐに治しますから……うっ!?」
「これは……ひ、酷い火傷です!!」
「……これだと回復薬を使ってもすぐには治らない」
大抵の怪我は回復薬を飲用するから傷口に注ぐだけですぐに治す事は出来るが、3人の場合は火傷が酷く、この手の傷は回復薬で治療するにしても回復までに時間が掛かり過ぎてしまう。
回復薬も決して万能ではなく、火傷の類は瞬時に治す事はできない。それでも回復魔法ならば回復速度を高めるため、ナイは全員の治療を試みる。
「ヒール!!」
「うっ……ナイ、か?」
一番怪我が酷いリンに対してナイは回復魔法を施すと、気絶していたリンは目を覚まし、ナイの顔を見て驚いた表情を浮かべる。そんな彼女を見てすぐにナイは他の者に指示を出す。
「誰か、包帯を持ってますか!?すぐに回復薬に浸して持ってきてください!!」
「ほ、包帯?」
「おい、誰か包帯を持ってきてやれ!!」
ナイの指示を聞いてすぐにバッシュは指示を出し、彼も怪我を負った四人の元へ向かう。思っていた以上に四人の怪我は酷く、特に老体のハマーンは意識を失っていた。
「ハマーンさん!!起きて、ハマーンさん!?」
「うっ……」
「揺らしたら駄目だ!!無理やり起こすのも……すぐに服を脱がせて!!怪我をした箇所を確認してください!!」
「あ、ああ……リンダ、ドリスとリンを頼むぞ!!」
「は、はい!!」
バッシュはナイの言葉を聞いてここは彼に従う事を決め、ドリスの親衛隊であるリンに二人を任せる事にした。流石に女性の服を脱がすのは同性に任せるしかなく、他の者達も治療を手伝う。
陽光教会で世話になっていた時にナイはヨウから様々な怪我の対処と治療法を教わっており、火傷の類には回復薬を直接振りかけるよりも、回復液を染み込ませた包帯や薬草の粉末の方が効果がある事は教わっていた。
「これでよし……応急処置ですけど、しばらくしたら目を覚ますと思います」
「そうか……それは良かった」
「ナイ、水を持って来た」
「火傷を治す野草もあります!!アルト王子から出発前に渡されていました!!」
ナイの指示の元に騎士達は動き、この状況ではナイだけが頼りだった。レッドゴーレムの爆発による被害を受けた騎士の中には衛生兵も含まれており、残念ながらこの状況を対応できるのはナイだけである。
治療を必要とするのはリンたちだけではなく、他の騎士達も被害を受けており、全員の治療を完了した頃には既に時刻は夕方を迎えていた。本来の予定ならば今日の内に火山に到着する予定だったが、結局は今夜も夜営を行う事になった――
「ぬうっ!?こいつ、いったい何を……」
「何だか様子がおかしい!!誰でもいいから早く仕留めて下さい!!」
「ナイの言う通りだ、喧嘩している場合ではない!!早く始末しろ!!」
レッドゴーレムは身体を丸めると、防御を固めながら身体から放たれる熱を更に強めた。その様子を見てナイは嫌な予感を浮かべ、バッシュも彼の意見に賛成する。
喧嘩していた者達も危険を察すると、各々がレッドゴーレムを仕留めるために動き出そうとした。しかし、既にレッドゴーレムの肉体は本物のマグマのように変化し、それを見たビャクは危険を察してナイの服に噛みついて引き寄せる。
「ガウッ!!」
「うわっ……!?」
「これは……まずい、全員伏せろっ!!」
リンの声が響き渡ると、ビャクはナイを引き連れて上空へ跳び上がり、その直後にレッドゴーレムの身体が赤色に光り輝く。
――次の瞬間、レッドゴーレムの肉体が爆散すると周囲に破片が飛び散り、周囲に立ち尽くしていた騎士や魔術兵に襲い掛かった。爆発の近くに立っていたリンたちは咄嗟に反応して身体を伏せてやり過ごそうとしたが、完全に防ぐ事は出来ずに全員が吹き飛ばされる。
あちこちで悲鳴が上がり、超高温の破片が飛び散った事で多くの騎士が倒れ込む。ナイはビャクが救ってくれたお陰で被害は免れたが、慌てて地上に降り立つと被害を受けた人間達の元へ駆けつける。
「大丈夫ですか!?」
「ううっ……腕がぁっ!?」
「熱い、熱いぃっ……!!」
「死ぬ、助けてくれぇっ……!!」
レッドゴーレムの自爆によって討伐隊の半数近くが被害を受け、中には鎧が貫通して身体に破片が食い込んだ物もいた。特に自爆したレッドゴーレムの近くに立っていた者達の被害は酷い。
ドリス、リン、ハマーン、ガオウの4人に至っては直前までレッドゴーレムを倒そうと近付いていたために怪我を負い、すぐにナイは治療を施そうとした。
「待っててください、すぐに治しますから……うっ!?」
「これは……ひ、酷い火傷です!!」
「……これだと回復薬を使ってもすぐには治らない」
大抵の怪我は回復薬を飲用するから傷口に注ぐだけですぐに治す事は出来るが、3人の場合は火傷が酷く、この手の傷は回復薬で治療するにしても回復までに時間が掛かり過ぎてしまう。
回復薬も決して万能ではなく、火傷の類は瞬時に治す事はできない。それでも回復魔法ならば回復速度を高めるため、ナイは全員の治療を試みる。
「ヒール!!」
「うっ……ナイ、か?」
一番怪我が酷いリンに対してナイは回復魔法を施すと、気絶していたリンは目を覚まし、ナイの顔を見て驚いた表情を浮かべる。そんな彼女を見てすぐにナイは他の者に指示を出す。
「誰か、包帯を持ってますか!?すぐに回復薬に浸して持ってきてください!!」
「ほ、包帯?」
「おい、誰か包帯を持ってきてやれ!!」
ナイの指示を聞いてすぐにバッシュは指示を出し、彼も怪我を負った四人の元へ向かう。思っていた以上に四人の怪我は酷く、特に老体のハマーンは意識を失っていた。
「ハマーンさん!!起きて、ハマーンさん!?」
「うっ……」
「揺らしたら駄目だ!!無理やり起こすのも……すぐに服を脱がせて!!怪我をした箇所を確認してください!!」
「あ、ああ……リンダ、ドリスとリンを頼むぞ!!」
「は、はい!!」
バッシュはナイの言葉を聞いてここは彼に従う事を決め、ドリスの親衛隊であるリンに二人を任せる事にした。流石に女性の服を脱がすのは同性に任せるしかなく、他の者達も治療を手伝う。
陽光教会で世話になっていた時にナイはヨウから様々な怪我の対処と治療法を教わっており、火傷の類には回復薬を直接振りかけるよりも、回復液を染み込ませた包帯や薬草の粉末の方が効果がある事は教わっていた。
「これでよし……応急処置ですけど、しばらくしたら目を覚ますと思います」
「そうか……それは良かった」
「ナイ、水を持って来た」
「火傷を治す野草もあります!!アルト王子から出発前に渡されていました!!」
ナイの指示の元に騎士達は動き、この状況ではナイだけが頼りだった。レッドゴーレムの爆発による被害を受けた騎士の中には衛生兵も含まれており、残念ながらこの状況を対応できるのはナイだけである。
治療を必要とするのはリンたちだけではなく、他の騎士達も被害を受けており、全員の治療を完了した頃には既に時刻は夕方を迎えていた。本来の予定ならば今日の内に火山に到着する予定だったが、結局は今夜も夜営を行う事になった――
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