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旋斧の秘密
第326話 岩石の巨人
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「発見された魔物の名前はゴーレム……皆も知っている通り、岩石で構成された魔人族だ」
「ゴーレム!?ゴーレムというと、あのゴーレムの事ですか?」
「ゴーレムがどうして火山地帯に……」
ゴーレムの存在は魔物の中でも有名であるため、この場に存在する全員が知っていた。王国内部でも山岳地帯に生息する種であり、一応は魔人族に分類されている種だった。ゴーレムは人型の岩石の化物としか表現できず、通常種の場合は3~4メートルほどの大きさを誇る。成人した巨人族とほぼ同じぐらい程度の大きさではあるが、危険度は赤毛熊よりも高い。
自分の縄張りを侵す存在は決して許さず、それが自分よりも強大な力を持つ魔物だろうと躊躇せずに襲い掛かる。しかも厄介な事にゴーレムは全身が頑強な岩石で構成されており、並の冒険者では手も足も出ない相手だった。
「グマグ火山で発見されたゴーレムの大きさは通常種の10倍近く……しかも火属性の魔石を喰らっていたらしい」
「10倍!?そんな巨大なゴーレムがあの火山に……!?」
「それに火属性の魔石を喰らっていた、だと?ゴーレムの主食は地属性の魔石ではないのか?」
基本的にはゴーレムは他の魔物と違って普通の食べ物は食さず、彼等が好物としているのは地属性の魔石などの魔力を帯びた鉱石である。ゴーレムは魔力を宿した鉱石を大の好物としており、そのために良質な地属性の魔石が手に入りやすい山岳地帯などに生息している。
「報告によればグマグ火山で発見された大型ゴーレムは火口付近で採掘できる火属性の魔石を喰らい、魔石から魔力を吸収した後にマグマに吐き出しているらしい」
「マグマに吐き出した?それは本当ですか?」
「アルトよ、何か気になるのか?」
宰相の話を聞いていたアルトは驚愕の表情を浮かべ、その反応に国王は不思議に思って尋ねると、彼はゴーレムの行動に疑問を抱く。
「いえ……実は魔力を失った魔石は普通の場合は脆くなって使い物になりませんが、ある条件を満たすと魔力を取り戻す場合もあります。例えば火属性の魔石の場合は炎などで長時間燃やし続けていれば極稀に魔力を取り戻す場合もあるのです」
「それは真か?」
「はい、最も燃やし続けるにしても相当な時間が必要になりますし、仮に1日中燃やし続けたとしても取り戻せる魔力はほんの僅か……正直、効率が悪すぎて誰も真似はしません」
「なるほどな」
アルトの言葉を聞いて国王は納得したように頷き、まさか魔力を失った魔石を元に戻す方法があるのかと思ったが、そんなに上手い話はない事に少し残念に思う。だが、今回の場合は重要なのはゴーレムの行動だった。
「ですが、溶岩の場合ならば話は別です。魔力を失った魔石を溶岩の中に沈めれば炎で炙るよりも魔力を吸収しやすい可能性もあります」
「何だと?炎と溶岩ではどう違う?」
「炎で魔石を燃やす場合、炎を吸収する事で魔力を取り戻します。しかし、そのためには常に炎を燃やし続けなければなりません。ですが、火山の場合は火口の中に沈めてしまえば常に魔石は溶岩の熱を受け続けます。しかも溶岩は普通の炎とは異なり、高密度の火属性の魔力を宿しています。実際に火山などで良質な火属性の魔石が採取しやすいのは溶岩の影響が大きいでしょう」
「という事は……炎で炙るよりも溶岩に沈めた方が魔石の魔力は戻りやすいというのか?」
「はい、それをその大型ゴーレムが理解した上で行っているのかは分かりませんが……この方法ならば一度吸いつくした魔石も魔力を取り戻し、再び吸収する事ができます」
アルトの言葉に他の者達は黙り込み、まさか魔物のゴーレムが魔石に魔力を取り戻す方法を知って実践しているとは思えない。しかし、状況的に考えても大型ゴーレムは火属性の魔石を吸収した後、溶岩に放り込む事で魔石の魔力を取り戻そうとしているようにしか思えない。
この方法ならば何度魔石を喰らおうと、溶岩によって魔力が回復した魔石を再び喰らう事ができる。いくらでも魔石の魔力を吸収しては溶岩に浸からせ、再び吸収してはまた元に戻す。溶岩が尽きない限りは何度でも大型ゴーレムは魔石を喰らい続ける事ができる。
「ゴーレムは魔石の魔力を吸収すればするほどに力を増し、また能力も変化すると聞きます。恐らく、そのゴーレムは火山の魔石を喰らって急成長を遂げたのでしょう」
「だが、どうして火属性の魔石なんだ?通常のゴーレムは地属性の魔石を好むのではないのか?」
「宰相、そのゴーレムはどのような色をしていたのか聞いていますか?通常種のゴーレムは土気色ですが、大型ゴーレムの場合は違う色だったのでは?」
「む?そういえば……確かに普通のゴーレムとは色合いが違うと言っていたような気がするが……赤褐色と言っていましたかな」
「やはり……」
アルトは「赤褐色」という言葉に確信を抱き、大型ゴーレムの正体を見抜いた。
「ゴーレム!?ゴーレムというと、あのゴーレムの事ですか?」
「ゴーレムがどうして火山地帯に……」
ゴーレムの存在は魔物の中でも有名であるため、この場に存在する全員が知っていた。王国内部でも山岳地帯に生息する種であり、一応は魔人族に分類されている種だった。ゴーレムは人型の岩石の化物としか表現できず、通常種の場合は3~4メートルほどの大きさを誇る。成人した巨人族とほぼ同じぐらい程度の大きさではあるが、危険度は赤毛熊よりも高い。
自分の縄張りを侵す存在は決して許さず、それが自分よりも強大な力を持つ魔物だろうと躊躇せずに襲い掛かる。しかも厄介な事にゴーレムは全身が頑強な岩石で構成されており、並の冒険者では手も足も出ない相手だった。
「グマグ火山で発見されたゴーレムの大きさは通常種の10倍近く……しかも火属性の魔石を喰らっていたらしい」
「10倍!?そんな巨大なゴーレムがあの火山に……!?」
「それに火属性の魔石を喰らっていた、だと?ゴーレムの主食は地属性の魔石ではないのか?」
基本的にはゴーレムは他の魔物と違って普通の食べ物は食さず、彼等が好物としているのは地属性の魔石などの魔力を帯びた鉱石である。ゴーレムは魔力を宿した鉱石を大の好物としており、そのために良質な地属性の魔石が手に入りやすい山岳地帯などに生息している。
「報告によればグマグ火山で発見された大型ゴーレムは火口付近で採掘できる火属性の魔石を喰らい、魔石から魔力を吸収した後にマグマに吐き出しているらしい」
「マグマに吐き出した?それは本当ですか?」
「アルトよ、何か気になるのか?」
宰相の話を聞いていたアルトは驚愕の表情を浮かべ、その反応に国王は不思議に思って尋ねると、彼はゴーレムの行動に疑問を抱く。
「いえ……実は魔力を失った魔石は普通の場合は脆くなって使い物になりませんが、ある条件を満たすと魔力を取り戻す場合もあります。例えば火属性の魔石の場合は炎などで長時間燃やし続けていれば極稀に魔力を取り戻す場合もあるのです」
「それは真か?」
「はい、最も燃やし続けるにしても相当な時間が必要になりますし、仮に1日中燃やし続けたとしても取り戻せる魔力はほんの僅か……正直、効率が悪すぎて誰も真似はしません」
「なるほどな」
アルトの言葉を聞いて国王は納得したように頷き、まさか魔力を失った魔石を元に戻す方法があるのかと思ったが、そんなに上手い話はない事に少し残念に思う。だが、今回の場合は重要なのはゴーレムの行動だった。
「ですが、溶岩の場合ならば話は別です。魔力を失った魔石を溶岩の中に沈めれば炎で炙るよりも魔力を吸収しやすい可能性もあります」
「何だと?炎と溶岩ではどう違う?」
「炎で魔石を燃やす場合、炎を吸収する事で魔力を取り戻します。しかし、そのためには常に炎を燃やし続けなければなりません。ですが、火山の場合は火口の中に沈めてしまえば常に魔石は溶岩の熱を受け続けます。しかも溶岩は普通の炎とは異なり、高密度の火属性の魔力を宿しています。実際に火山などで良質な火属性の魔石が採取しやすいのは溶岩の影響が大きいでしょう」
「という事は……炎で炙るよりも溶岩に沈めた方が魔石の魔力は戻りやすいというのか?」
「はい、それをその大型ゴーレムが理解した上で行っているのかは分かりませんが……この方法ならば一度吸いつくした魔石も魔力を取り戻し、再び吸収する事ができます」
アルトの言葉に他の者達は黙り込み、まさか魔物のゴーレムが魔石に魔力を取り戻す方法を知って実践しているとは思えない。しかし、状況的に考えても大型ゴーレムは火属性の魔石を吸収した後、溶岩に放り込む事で魔石の魔力を取り戻そうとしているようにしか思えない。
この方法ならば何度魔石を喰らおうと、溶岩によって魔力が回復した魔石を再び喰らう事ができる。いくらでも魔石の魔力を吸収しては溶岩に浸からせ、再び吸収してはまた元に戻す。溶岩が尽きない限りは何度でも大型ゴーレムは魔石を喰らい続ける事ができる。
「ゴーレムは魔石の魔力を吸収すればするほどに力を増し、また能力も変化すると聞きます。恐らく、そのゴーレムは火山の魔石を喰らって急成長を遂げたのでしょう」
「だが、どうして火属性の魔石なんだ?通常のゴーレムは地属性の魔石を好むのではないのか?」
「宰相、そのゴーレムはどのような色をしていたのか聞いていますか?通常種のゴーレムは土気色ですが、大型ゴーレムの場合は違う色だったのでは?」
「む?そういえば……確かに普通のゴーレムとは色合いが違うと言っていたような気がするが……赤褐色と言っていましたかな」
「やはり……」
アルトは「赤褐色」という言葉に確信を抱き、大型ゴーレムの正体を見抜いた。
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