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旋斧の秘密
第305話 強化術と再生術
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――モモのお陰でナイとテンは治療してもらい、魔力を回復する事が出来た。彼女の魔力量は二人よりも多いとはいえ、流石に一度に二人を治療したせいでかなりの魔力を消耗し、ヒナに身体を支えてもらう。
「う~んっ……やっぱりきついよう」
「お疲れ様、モモ……よく頑張ったわね」
「ウォンッ!!」
ナイを助けてくれた事に感謝したビャクはモモの身体に擦り寄り、ヒナの代わりにモモを支える。白狼種の温かく柔らかい毛皮で覆われたモモは気持ちよさそうな声を上げる。
「わあっ、もふもふだぁっ……気持ちいいよ」
「良かったわね、それで……どうして二人はこんな事を仕出かしたのかしら?」
「ううっ……」
「ちょっと待ってくれよ。少し休ませな……」
モモの事をビャクに任せると、ヒナは深い溜息を吐きながら地面に座り込むナイとテンに視線を向けた。一応はモモのお陰で肉体は回復した二人だが、流石に疲労の色は濃く、どちらも疲れ切った表情を浮かべていた。
肉体は治せても体力はまだ完全回復しておらず、ナイとテンはお互いに背中を合わせた状態で座り込み、そんな二人にヒナは呆れた表情を浮かべる。
「全く、もう……二人とも無茶をし過ぎよ。いくら魔力が休めば回復するからって、無理に使いすぎれば下手をしたら死んじゃうのよ?」
「ごめんなさい……」
「悪かったね……でも、こっちもおふざけで戦っていたわけじゃないんだよ」
テンは頭を抑えながらもどうにか立ち上がり、自然回復の技能を持っているナイよりも立ち直りが早い。彼女も人間離れした回復力を身に付けているらしく、ナイの腕を掴んで無理やりに立ち上がらせる。
「久々に身体を動かして鈍った肉体と勘を取り戻そうと思ったんだけどね……思っていた以上にこいつは大した奴だよ。まさかあたしに強化術を使わせるなんてね」
「えっ……強化術?」
「何だい、あんた知らずに使ってたのかい?魔操術と肉体強化系の技能を応用すれば全身の筋力を強化できる事はもう知ってるだろう?あたし達の間ではこれは強化術と呼ばれているのさ。ちなみに肉体を再生する方は再生術と呼ばれているんだ。一応は覚えておきな」
「あ、はい……分かりました」」
テンの説明によるとこれまでにナイは「全身強化」と呼んでいた魔操術の肉体強化は「強化術」という名前が付けられていたらしく、これは魔操術を操れる人間ならば誰もが知っている言葉らしい
全身強化改め「強化術」は魔操術を習得している人間の中でも聖属性の適正が高い者しか扱えず、そういう意味ではヒイロなどのように他の属性の適正が高い人間は強化術は残念ながら発動できない。もう一つの「再生術」ナイが超再生と呼んでいた聖属性の魔力を利用した回復方法だと判明する。
「それで……女将さんから見てナイ君はどうなの?見た限りだとかなり追い込まれていた様だけど」
「そうだね……まあ、正直に言わせてもらうと予想以上だよ」
ヒナの言葉にテンは素直にナイの力を認め、あと少しで自分が敗北する所だった事を考えてもナイの力は彼女の想像を超えていた。
バッシュやリンダとの戦闘を見た時からナイの実力は把握していたつもりだが、まさか強化術を自力で発動できる段階にまで至っているとは夢にも思わなかった。
(あたしが魔操術を習得して強化術まで出来るようになったのに数年はかかったのに……この坊主は半年で身に付けたのか。才能がない自分が恨めしいね)
ナイは魔操術を身に付けたのは半年前という話はテンも聞いていたが、まさか半年程度で強化術や再生術を習得した人間などテンの知る限りは一人もいない。これは最早才能があったという話ではなく、元々ナイが魔力を操る術を身に付けていた節がある。
(そういえば王子の話によるとあの旋斧とやらは所有者の魔力を吸い上げる機能があるとか言ってたね……という事は、こいつは魔操術を身に付ける前の段階からあの武器を使っていたという事は、魔力を吸収され続けたせいで知らず知らずに鍛えられていたのかもしれないね……)
旋斧は触れた人間の聖属性の魔力のみを吸収する機能が備わっており、どうして使用者に負担をかける様な機能がある事にテンは疑問を抱いてたが、もしかしたらナイが魔操術を半年で身に付ける事が出来たのは旋斧のお陰ではないかと考える。
まだ魔操術を身に付ける前の段階からナイは常日頃から旋斧に魔力を吸い上げられる生活を送っていた。それは肉体にかなりの負担を与えるが、逆に普段から魔力を吸い上げられているお陰でナイは無意識に魔力を吸い取られる感覚を知っていた。
以前にテンは魔術師が自分の持っている魔力を増やす場合、毎日限界まで魔力を消耗し、身体を休める事で魔力の限界量を伸ばす訓練を行うという話を聞いた事がある。それと同じ要領でナイは旋斧に毎日の様に魔力を搾り取られ、その反面に魔力の限界量を伸ばしていたのかもしれない。
だからこそナイは最初の頃は旋斧を武器として扱うだけでも精いっぱいだったが、年齢を重ねるごとに使いこなせるようになったのは彼が腕力を身に付けたからではなく、旋斧でも吸収しきれない程の魔力を手に入れたのだろう。
※初期のナイの魔力量は一般人と大差はありませんが、旋斧を使い始めてから伸び始め、現在はテンと同程度の魔力を持ち合わせています。ちなみにモモはナイの3倍、マホの場合は10倍以上の魔力量です。
「う~んっ……やっぱりきついよう」
「お疲れ様、モモ……よく頑張ったわね」
「ウォンッ!!」
ナイを助けてくれた事に感謝したビャクはモモの身体に擦り寄り、ヒナの代わりにモモを支える。白狼種の温かく柔らかい毛皮で覆われたモモは気持ちよさそうな声を上げる。
「わあっ、もふもふだぁっ……気持ちいいよ」
「良かったわね、それで……どうして二人はこんな事を仕出かしたのかしら?」
「ううっ……」
「ちょっと待ってくれよ。少し休ませな……」
モモの事をビャクに任せると、ヒナは深い溜息を吐きながら地面に座り込むナイとテンに視線を向けた。一応はモモのお陰で肉体は回復した二人だが、流石に疲労の色は濃く、どちらも疲れ切った表情を浮かべていた。
肉体は治せても体力はまだ完全回復しておらず、ナイとテンはお互いに背中を合わせた状態で座り込み、そんな二人にヒナは呆れた表情を浮かべる。
「全く、もう……二人とも無茶をし過ぎよ。いくら魔力が休めば回復するからって、無理に使いすぎれば下手をしたら死んじゃうのよ?」
「ごめんなさい……」
「悪かったね……でも、こっちもおふざけで戦っていたわけじゃないんだよ」
テンは頭を抑えながらもどうにか立ち上がり、自然回復の技能を持っているナイよりも立ち直りが早い。彼女も人間離れした回復力を身に付けているらしく、ナイの腕を掴んで無理やりに立ち上がらせる。
「久々に身体を動かして鈍った肉体と勘を取り戻そうと思ったんだけどね……思っていた以上にこいつは大した奴だよ。まさかあたしに強化術を使わせるなんてね」
「えっ……強化術?」
「何だい、あんた知らずに使ってたのかい?魔操術と肉体強化系の技能を応用すれば全身の筋力を強化できる事はもう知ってるだろう?あたし達の間ではこれは強化術と呼ばれているのさ。ちなみに肉体を再生する方は再生術と呼ばれているんだ。一応は覚えておきな」
「あ、はい……分かりました」」
テンの説明によるとこれまでにナイは「全身強化」と呼んでいた魔操術の肉体強化は「強化術」という名前が付けられていたらしく、これは魔操術を操れる人間ならば誰もが知っている言葉らしい
全身強化改め「強化術」は魔操術を習得している人間の中でも聖属性の適正が高い者しか扱えず、そういう意味ではヒイロなどのように他の属性の適正が高い人間は強化術は残念ながら発動できない。もう一つの「再生術」ナイが超再生と呼んでいた聖属性の魔力を利用した回復方法だと判明する。
「それで……女将さんから見てナイ君はどうなの?見た限りだとかなり追い込まれていた様だけど」
「そうだね……まあ、正直に言わせてもらうと予想以上だよ」
ヒナの言葉にテンは素直にナイの力を認め、あと少しで自分が敗北する所だった事を考えてもナイの力は彼女の想像を超えていた。
バッシュやリンダとの戦闘を見た時からナイの実力は把握していたつもりだが、まさか強化術を自力で発動できる段階にまで至っているとは夢にも思わなかった。
(あたしが魔操術を習得して強化術まで出来るようになったのに数年はかかったのに……この坊主は半年で身に付けたのか。才能がない自分が恨めしいね)
ナイは魔操術を身に付けたのは半年前という話はテンも聞いていたが、まさか半年程度で強化術や再生術を習得した人間などテンの知る限りは一人もいない。これは最早才能があったという話ではなく、元々ナイが魔力を操る術を身に付けていた節がある。
(そういえば王子の話によるとあの旋斧とやらは所有者の魔力を吸い上げる機能があるとか言ってたね……という事は、こいつは魔操術を身に付ける前の段階からあの武器を使っていたという事は、魔力を吸収され続けたせいで知らず知らずに鍛えられていたのかもしれないね……)
旋斧は触れた人間の聖属性の魔力のみを吸収する機能が備わっており、どうして使用者に負担をかける様な機能がある事にテンは疑問を抱いてたが、もしかしたらナイが魔操術を半年で身に付ける事が出来たのは旋斧のお陰ではないかと考える。
まだ魔操術を身に付ける前の段階からナイは常日頃から旋斧に魔力を吸い上げられる生活を送っていた。それは肉体にかなりの負担を与えるが、逆に普段から魔力を吸い上げられているお陰でナイは無意識に魔力を吸い取られる感覚を知っていた。
以前にテンは魔術師が自分の持っている魔力を増やす場合、毎日限界まで魔力を消耗し、身体を休める事で魔力の限界量を伸ばす訓練を行うという話を聞いた事がある。それと同じ要領でナイは旋斧に毎日の様に魔力を搾り取られ、その反面に魔力の限界量を伸ばしていたのかもしれない。
だからこそナイは最初の頃は旋斧を武器として扱うだけでも精いっぱいだったが、年齢を重ねるごとに使いこなせるようになったのは彼が腕力を身に付けたからではなく、旋斧でも吸収しきれない程の魔力を手に入れたのだろう。
※初期のナイの魔力量は一般人と大差はありませんが、旋斧を使い始めてから伸び始め、現在はテンと同程度の魔力を持ち合わせています。ちなみにモモはナイの3倍、マホの場合は10倍以上の魔力量です。
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