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旋斧の秘密
第280話 浄化魔法
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「恐らくだが……この旋斧は聖属性の魔力に関しては物体であろうと吸収する力を持つんだ。だから聖属性の魔石がこんな状態に陥ったんだろう」
「え?という事は……この旋斧に触れるだけで魔力を奪われるんですか?」
「ああ、そういう事になるね。恐らく、この旋斧を武器として扱えるのはナイ君のように聖属性の魔法の適正が高い人間じゃないと不可能だろう」
物体に宿る魔力は吸い上げる事ができないと思われた旋斧だが、唯一の例外として聖属性の魔力を吸い上げるとしたら、今もナイが手にしているだけでも魔力を吸い上げている事になる。
持ち主であるナイ自身も初めて知り、どうしてそのような機能があるのかと疑問を抱くが、光り輝く旋斧を見てナイは綺麗に見えた。
「という事は……この状態は聖属性の魔力を宿しているという事になるのかな?」
「ああ、そういう事だろうね。何か変化はあるかい?」
「う~ん……特に何も感じないかな?」
刃に聖属性の魔力を宿した事で光を放つようになったが、特にそれ以外に変化はなく、別に特別な力が宿ったようには見えない。火属性の魔力を吸い上げた時は刃が赤く光り輝き、発熱していたが今回の場合は熱は感じられない。
「試し切りでもしてみたらどうだい?」
「試し切りか……でも、何を切ればいいのか」
「クゥ~ンッ」
テンの言葉を聞いてナイは悩むと、ここでビャクが駆けつけてきた。彼は口元に自分が食した大皿を咥えており、これを使えとばかりに差し出す。この大皿は元々は食堂の物ではあるが、アルトの旋斧の強さを確認したいために許可を出す。
「なら、その大皿を試しに斬ってみるといいよ。責任は僕が持つから遠慮せずに斬ってくれ」
「いいの?じゃあ、そういう事なら……ビャク、それを俺に向けて投げてくれる?この間の遊んだ時みたいに」
「ワフッ!!」
ビャクはナイの言葉を聞いて頷き、先日にナイはドリスの屋敷から受け取った大皿を利用して彼と遊んだ事を思い出す。あの時はお互いに大皿をフリスビー代わりに利用してお互いに投げ合った時のように自分に投げる様に指示する。
大皿を咥えたビャクは勢いよく首元を動かし、ナイへ目掛けて大皿を放つ。それに対してナイは上段から旋斧を構えると、迫りくる大皿を切り裂く。
「はあああっ!!」
「わあっ!?」
「す、凄い!!」
「真っ二つに切れた……」
迫りくる大皿に対してナイは全力で旋斧を振り下ろすと、大皿は空中にて切り裂かれてそれを見ていた他の者達は感嘆する。食堂の使用人たちも咄嗟に拍手する程だったが、二つに切り裂かれた大皿は床に落ちてしまう。
「……で、どうだい?何か違いはあったかい?」
「いや……特に何も感じないかな」
「ええっ!?そんなに格好良く光ってるのに!?」
テンが問いかけるとナイは首を振り、確かに大皿を真っ二つに切り裂く事には成功したが、残念ながらナイは旋斧に特に変化は感じられなかった。大皿を斬る事ぐらいならば旋斧が魔力を宿す前の状態でもナイならば軽く切り裂ける。
結局は食堂の大皿を一枚無駄にしてしまう形になったが、光を放つ旋斧を見てナイは考え込み、不意に陽光教会に居た時の事を思い出す。
『ナイ、貴方は悪霊《ゴースト》の存在を知ってますか?』
『悪霊?お化け、ですか?』
『いいえ、お化けよりも恐ろしい存在です。悪霊とは死して尚も現世に未練がある霊魂が暴走し、生ける存在に害を為す危険な存在です』
『それは……魔物とは違うんですか?』
『魔物が悪霊と化す事は滅多にありません。むしろ、人間ような意志が強い存在が悪霊と化す事の方が多いのです。悪霊に対抗できるのは聖属性の魔法の力のみ、そして最も有効的なのは浄化魔法です。この事は覚えておきなさい』
『浄化魔法……それは回復魔法とは異なるんですか?』
『ええ、回復魔法は他者に魔力を送り込む癒しの魔法ですが、浄化魔法の場合は魔力を送り込むという点は同じですが、違いがあるとすれば攻撃に利用できるという点です。分かりやすく言えば回復魔法が魔力を与える力であれば、浄化魔法は魔力を相手にぶつける力、といった感じでしょうか……』
ヨウから教わった浄化魔法の事を思い出したナイは旋斧に視線を向け、現在の旋斧は魔力を帯びており、刃自体が光っているというよりは白い炎を纏っているように見えた。
(これ、前にも見た事があるような……そうだ、思い出した!!これは白炎だ!!)
先日のアッシュ公爵の屋敷に赴いた時の事をナイは思い出し、現在の旋斧は聖属性の魔力が溢れている状態であり、この魔力が溢れる状態を「白炎」と呼ばれる事をナイは思い出す。
白炎といっても実際には炎のような魔力を発しているだけで高熱を帯びているわけではなく、触れたとしても身体が焼かれる事はない。火属性の魔力を吸い上げた時のように攻撃性能が上がるわけでもないが、ヨウから教わった浄化魔法を思い出したナイはこの状態ならば悪霊のような敵に有効的な攻撃が出来るのではないかと考えた。
※シェフ「よくも皿を……」壁|д゚#)ピキピキ ← ラスボス候補
「え?という事は……この旋斧に触れるだけで魔力を奪われるんですか?」
「ああ、そういう事になるね。恐らく、この旋斧を武器として扱えるのはナイ君のように聖属性の魔法の適正が高い人間じゃないと不可能だろう」
物体に宿る魔力は吸い上げる事ができないと思われた旋斧だが、唯一の例外として聖属性の魔力を吸い上げるとしたら、今もナイが手にしているだけでも魔力を吸い上げている事になる。
持ち主であるナイ自身も初めて知り、どうしてそのような機能があるのかと疑問を抱くが、光り輝く旋斧を見てナイは綺麗に見えた。
「という事は……この状態は聖属性の魔力を宿しているという事になるのかな?」
「ああ、そういう事だろうね。何か変化はあるかい?」
「う~ん……特に何も感じないかな?」
刃に聖属性の魔力を宿した事で光を放つようになったが、特にそれ以外に変化はなく、別に特別な力が宿ったようには見えない。火属性の魔力を吸い上げた時は刃が赤く光り輝き、発熱していたが今回の場合は熱は感じられない。
「試し切りでもしてみたらどうだい?」
「試し切りか……でも、何を切ればいいのか」
「クゥ~ンッ」
テンの言葉を聞いてナイは悩むと、ここでビャクが駆けつけてきた。彼は口元に自分が食した大皿を咥えており、これを使えとばかりに差し出す。この大皿は元々は食堂の物ではあるが、アルトの旋斧の強さを確認したいために許可を出す。
「なら、その大皿を試しに斬ってみるといいよ。責任は僕が持つから遠慮せずに斬ってくれ」
「いいの?じゃあ、そういう事なら……ビャク、それを俺に向けて投げてくれる?この間の遊んだ時みたいに」
「ワフッ!!」
ビャクはナイの言葉を聞いて頷き、先日にナイはドリスの屋敷から受け取った大皿を利用して彼と遊んだ事を思い出す。あの時はお互いに大皿をフリスビー代わりに利用してお互いに投げ合った時のように自分に投げる様に指示する。
大皿を咥えたビャクは勢いよく首元を動かし、ナイへ目掛けて大皿を放つ。それに対してナイは上段から旋斧を構えると、迫りくる大皿を切り裂く。
「はあああっ!!」
「わあっ!?」
「す、凄い!!」
「真っ二つに切れた……」
迫りくる大皿に対してナイは全力で旋斧を振り下ろすと、大皿は空中にて切り裂かれてそれを見ていた他の者達は感嘆する。食堂の使用人たちも咄嗟に拍手する程だったが、二つに切り裂かれた大皿は床に落ちてしまう。
「……で、どうだい?何か違いはあったかい?」
「いや……特に何も感じないかな」
「ええっ!?そんなに格好良く光ってるのに!?」
テンが問いかけるとナイは首を振り、確かに大皿を真っ二つに切り裂く事には成功したが、残念ながらナイは旋斧に特に変化は感じられなかった。大皿を斬る事ぐらいならば旋斧が魔力を宿す前の状態でもナイならば軽く切り裂ける。
結局は食堂の大皿を一枚無駄にしてしまう形になったが、光を放つ旋斧を見てナイは考え込み、不意に陽光教会に居た時の事を思い出す。
『ナイ、貴方は悪霊《ゴースト》の存在を知ってますか?』
『悪霊?お化け、ですか?』
『いいえ、お化けよりも恐ろしい存在です。悪霊とは死して尚も現世に未練がある霊魂が暴走し、生ける存在に害を為す危険な存在です』
『それは……魔物とは違うんですか?』
『魔物が悪霊と化す事は滅多にありません。むしろ、人間ような意志が強い存在が悪霊と化す事の方が多いのです。悪霊に対抗できるのは聖属性の魔法の力のみ、そして最も有効的なのは浄化魔法です。この事は覚えておきなさい』
『浄化魔法……それは回復魔法とは異なるんですか?』
『ええ、回復魔法は他者に魔力を送り込む癒しの魔法ですが、浄化魔法の場合は魔力を送り込むという点は同じですが、違いがあるとすれば攻撃に利用できるという点です。分かりやすく言えば回復魔法が魔力を与える力であれば、浄化魔法は魔力を相手にぶつける力、といった感じでしょうか……』
ヨウから教わった浄化魔法の事を思い出したナイは旋斧に視線を向け、現在の旋斧は魔力を帯びており、刃自体が光っているというよりは白い炎を纏っているように見えた。
(これ、前にも見た事があるような……そうだ、思い出した!!これは白炎だ!!)
先日のアッシュ公爵の屋敷に赴いた時の事をナイは思い出し、現在の旋斧は聖属性の魔力が溢れている状態であり、この魔力が溢れる状態を「白炎」と呼ばれる事をナイは思い出す。
白炎といっても実際には炎のような魔力を発しているだけで高熱を帯びているわけではなく、触れたとしても身体が焼かれる事はない。火属性の魔力を吸い上げた時のように攻撃性能が上がるわけでもないが、ヨウから教わった浄化魔法を思い出したナイはこの状態ならば悪霊のような敵に有効的な攻撃が出来るのではないかと考えた。
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