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旋斧の秘密
第278話 解き明かされた旋斧の秘密
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「あ、あれ?」
「どうかしたのかい?」
「いや、さっきと違って旋斧が急に軽くなったような……ふんっ!!」
「えっ!?」
「嘘っ……!?」
ヒイロは力を込めると今度はあっさりと旋斧を持ち上げる事に成功し、彼女自身も信じられない表情を浮かべる。先ほどは持ち上げる事もできなかったために動揺を隠しきれない。
ナイはヒイロが旋斧を持ち上げる姿に驚愕し、これまでに自分以外に旋斧を扱える人間など一人もいなかった。テンのように怪力を誇る剣士でさえも旋斧をナイ以上に巧みに扱う事は出来なかったが、ヒイロは旋斧を見事に振り払う。
「はあっ!!せいっ!!ふうっ……結構きついですけど、これなら使えなくはないですね」
「信じられない……王子、これはどういう事?」
「その手袋に何か秘密があるのかい?身に付けた物の筋力を強化する魔道具があるとは噂に聞いた事があるけど……」
「いや、その手袋自体は本当にただの手袋だよ。だけど、これで判明したね……どうやらこの旋斧は所有者からも魔力を吸い上げる力を持っているようだ」
「魔力を……?」
アルトの説明にナイはどういうことなのかと疑問を抱くと、彼は旋斧を机の上に置くようにヒイロに指示する。彼女は机の上に旋斧を置いて手袋を彼に返す。
「ヒイロ、君は最初に持った時と手袋を付けた時は旋斧の重量が変わったように感じたのかい?」
「え、ええっ……手袋を付ける前はこんなに重い剣を振り回せるはずがないと思ったんですけど、手袋を付けた途端に急に軽くなった気がして……それでも十分に重かったですけど」
「ふむ、恐らくはこの旋斧の本来の重量はヒイロでもどうにか持てる程度の重さしかないんだろうね」
「待って、それはおかしい……私も前に持った事はあるけど、その旋斧は私の持っている如意斧よりも重いように感じた」
「あたしも何度か持ったけど、ヒイロ程度の力じゃ扱える重さじゃないはずだけどね……」
「わ、私程度って……」
説明を聞いていたミイナとテンが異議を申し、この二人は前にナイから旋斧を借りた事も有るが、どちらも重すぎて使いこなせなかった。ミイナもテンも女性ではあるがかなりの力の持ち主であり、少なくともヒイロよりも上回る腕力を持っている。
その二人が扱えなかった旋斧をヒイロが手袋をした途端に扱えた事にナイ達は動揺を隠せない中、アルトは手袋を見つめながら説明を付け加える。
「恐らくだが、この旋斧を直に持った人間は本来の重量よりも重く感じる理由……それはこの旋斧が触れた人間の魔力を吸い上げているんだ」
「え?魔力を吸い上げる?」
「ちょっと待ってください、それなら私が最初に持ち上げた時に重いと感じたのは魔力を吸い上げられていた事が原因なんですか!?」
「ああ、その可能性が高い」
アルトの説明を聞いたヒイロは驚き、他の者達もどういうことなのかと彼に顔を向けると、アルトは旋斧に触れながら自分の推論を告げた。
「この旋斧はどうやら武器の使い手から魔力を吸い上げる機能を持っている。そのせいでこの旋斧を直に触れた人間は魔力を吸い取られて体調を乱し、実際の重量よりも重く感じるんだろう」
「な、なるほど……だから私が最初に持ち上げようとした時は重く感じたんですね」
「ちょっと待って、それはおかしくないですか?だって、この旋斧は付与魔法を使った武器のように物体に宿った魔力は吸い上げる事ができないんでしょう?それなら人間の身体に宿した魔力を吸い上げる事もできないはずじゃないんですか?」
「ウォンッ?」
説明を聞いていたヒナがここで口を挟み、先ほど魔法剣などの付与魔法による物体に宿した魔力は旋斧でも吸収できないと言っていたが、それならば人間が体内に持つ魔力をどうして旋斧が吸収できるのか矛盾が生じてしまう。
ヒナの指摘に関してはアルトも気になっていたらしく、彼はここで机の上に鞄を置く。その鞄を見て皆は何のつもりかと思ったが、ここでヒイロとミイナはある事に気付く。
「その鞄は……もしかして収納鞄《ストレージパック》ですか?」
「収納……鞄?」
「魔道具の一種で内部が異空間に繋がっている。この異空間に物を預ければどんな物を入れても鞄の重さは変わらないし、入れた物は時間の概念を受けない。氷とか入れても溶ける事はないし、逆に温かい物も冷める事はない」
「その代わり、入れる事が出来るのは鞄の蓋の大きさに合わせた物しか入れられないし、制限重量もあるけどね」
アルトは取り出したのは収納鞄と呼ばれる魔道具を開くと、中身は暗闇が広がっていた。鞄の中は異空間に繋がっており、その中にアルトは手を突っ込むとここで彼は赤色と白色に光り輝く魔石を取りだす。
「どうかしたのかい?」
「いや、さっきと違って旋斧が急に軽くなったような……ふんっ!!」
「えっ!?」
「嘘っ……!?」
ヒイロは力を込めると今度はあっさりと旋斧を持ち上げる事に成功し、彼女自身も信じられない表情を浮かべる。先ほどは持ち上げる事もできなかったために動揺を隠しきれない。
ナイはヒイロが旋斧を持ち上げる姿に驚愕し、これまでに自分以外に旋斧を扱える人間など一人もいなかった。テンのように怪力を誇る剣士でさえも旋斧をナイ以上に巧みに扱う事は出来なかったが、ヒイロは旋斧を見事に振り払う。
「はあっ!!せいっ!!ふうっ……結構きついですけど、これなら使えなくはないですね」
「信じられない……王子、これはどういう事?」
「その手袋に何か秘密があるのかい?身に付けた物の筋力を強化する魔道具があるとは噂に聞いた事があるけど……」
「いや、その手袋自体は本当にただの手袋だよ。だけど、これで判明したね……どうやらこの旋斧は所有者からも魔力を吸い上げる力を持っているようだ」
「魔力を……?」
アルトの説明にナイはどういうことなのかと疑問を抱くと、彼は旋斧を机の上に置くようにヒイロに指示する。彼女は机の上に旋斧を置いて手袋を彼に返す。
「ヒイロ、君は最初に持った時と手袋を付けた時は旋斧の重量が変わったように感じたのかい?」
「え、ええっ……手袋を付ける前はこんなに重い剣を振り回せるはずがないと思ったんですけど、手袋を付けた途端に急に軽くなった気がして……それでも十分に重かったですけど」
「ふむ、恐らくはこの旋斧の本来の重量はヒイロでもどうにか持てる程度の重さしかないんだろうね」
「待って、それはおかしい……私も前に持った事はあるけど、その旋斧は私の持っている如意斧よりも重いように感じた」
「あたしも何度か持ったけど、ヒイロ程度の力じゃ扱える重さじゃないはずだけどね……」
「わ、私程度って……」
説明を聞いていたミイナとテンが異議を申し、この二人は前にナイから旋斧を借りた事も有るが、どちらも重すぎて使いこなせなかった。ミイナもテンも女性ではあるがかなりの力の持ち主であり、少なくともヒイロよりも上回る腕力を持っている。
その二人が扱えなかった旋斧をヒイロが手袋をした途端に扱えた事にナイ達は動揺を隠せない中、アルトは手袋を見つめながら説明を付け加える。
「恐らくだが、この旋斧を直に持った人間は本来の重量よりも重く感じる理由……それはこの旋斧が触れた人間の魔力を吸い上げているんだ」
「え?魔力を吸い上げる?」
「ちょっと待ってください、それなら私が最初に持ち上げた時に重いと感じたのは魔力を吸い上げられていた事が原因なんですか!?」
「ああ、その可能性が高い」
アルトの説明を聞いたヒイロは驚き、他の者達もどういうことなのかと彼に顔を向けると、アルトは旋斧に触れながら自分の推論を告げた。
「この旋斧はどうやら武器の使い手から魔力を吸い上げる機能を持っている。そのせいでこの旋斧を直に触れた人間は魔力を吸い取られて体調を乱し、実際の重量よりも重く感じるんだろう」
「な、なるほど……だから私が最初に持ち上げようとした時は重く感じたんですね」
「ちょっと待って、それはおかしくないですか?だって、この旋斧は付与魔法を使った武器のように物体に宿った魔力は吸い上げる事ができないんでしょう?それなら人間の身体に宿した魔力を吸い上げる事もできないはずじゃないんですか?」
「ウォンッ?」
説明を聞いていたヒナがここで口を挟み、先ほど魔法剣などの付与魔法による物体に宿した魔力は旋斧でも吸収できないと言っていたが、それならば人間が体内に持つ魔力をどうして旋斧が吸収できるのか矛盾が生じてしまう。
ヒナの指摘に関してはアルトも気になっていたらしく、彼はここで机の上に鞄を置く。その鞄を見て皆は何のつもりかと思ったが、ここでヒイロとミイナはある事に気付く。
「その鞄は……もしかして収納鞄《ストレージパック》ですか?」
「収納……鞄?」
「魔道具の一種で内部が異空間に繋がっている。この異空間に物を預ければどんな物を入れても鞄の重さは変わらないし、入れた物は時間の概念を受けない。氷とか入れても溶ける事はないし、逆に温かい物も冷める事はない」
「その代わり、入れる事が出来るのは鞄の蓋の大きさに合わせた物しか入れられないし、制限重量もあるけどね」
アルトは取り出したのは収納鞄と呼ばれる魔道具を開くと、中身は暗闇が広がっていた。鞄の中は異空間に繋がっており、その中にアルトは手を突っ込むとここで彼は赤色と白色に光り輝く魔石を取りだす。
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