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王都での騒動
第257話 ドリスとの邂逅
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「ヒナさん、あれって……金狼騎士団じゃない?」
「えっ?」
ナイの言葉を聞いてヒナは顔を上げると、噴水広場の方に金色の紋章が刻まれた鎧兜を身に付けた騎馬隊が現れ、広場を通り抜けようとしていた。それを見た城下町の住民達は慌てて道を開き、中には羨望の視線を向ける者もいた。
「おい、見ろよ。金狼騎士団だぜ!!」
「先頭を歩いているあの綺麗な女の人が「黄金騎士ドリス」か!?」
「やっぱりいい女だよな。特にあのスカートからでも分かる形言いお尻……最高だぜ」
「おい、殺されるぞ……」
ただ一人だけ黒色の鎧兜ではなく、黄金に光り輝く鎧と兜を装着した女性の騎士が先頭を歩く姿に人々は見惚れる。彼女こそが黒狼騎士団の副団長であり、王国騎士の中でも指折りの実力者として名を知らしめている「ドリス」である。
ドリスは公爵家の家系であり、彼女の家系はこの国の建国以来からずっと公爵家として国を支えている。彼女は現在はこの国の王太子であるバッシュ王子に仕え、立場的には彼の右腕として知られていた。
(あの時にいた王国騎士の人か……改めて見るとひとりだけ派手な格好をしているな)
何故か黒狼騎士団は団員は黒色の鎧兜に統一しているにも関わらず、ドリスだけは黒色ではなく、黄金の鎧と兜を身に付けていた。そのせいで他の団員と比べても非常に目立ち、注目を浴びる。しかし、当の彼女本人は全く気にしていない。
「もしかしてあの人が黒狼騎士団の副団長のドリス様なの?噂には聞いていたけど、派手な見た目ね……」
「あれ、ヒナは見るのは初めてなの?」
「遠目で見かけた事はあったけど……こんなに近くで見たのは初めてね」
ヒナはドリスを間近で見るのは初めてらしく、彼女の姿を見て緊張している様子だった。ナイの方も金狼騎士団がこんな場所で何をしているのかと不思議に思うと、ここで先頭歩いていたドリスがナイの方に振り返り、彼の顔を見て声を上げる。
「あら、そこにいるのはナイ君ではありませんか?」
「あ、どうも……」
「えっ!?」
ドリスが声を掛けるとヒナは驚いた様子でナイに振り返り、その一方で話しかけられたナイは軽く会釈する。その様子を見ていた他の街の住民も驚き、団員達もドリスの態度に戸惑う。
「副団長、あの少年とお知り合いなのですか?」
「知り合いも何も、うちの団長を打ち負かした子ですわ」
「えっ!?という事は反魔の盾を持つ事を許されたというあの……!?」
「ほ、本当に子供じゃないか……バッシュ様がこんな子供に敗れたというのか」
団員達はドリスの言葉を聞いて動揺を隠せず、彼等はナイとバッシュの立ち合いの際には同席しておらず、ここで初めてナイの顔を見た。
バッシュは王子ではあるが国内では優秀な武人として知られており、金狼騎士団の団員からすれば自分達の直属の上司である。バッシュの強さは彼等はよく知っており、それだけにバッシュがナイのような子供に敗れたと聞いて簡単には信じられない。
「ナイさん、話は聞きましたわよ。昨日、この場所で暴れていたミノタウロスを討伐してくれたそうですわね。本来ならばこの王都を守るのは我々の役目ですが、貴方のお陰で被害は最小限に抑えられましたわ。この国を守る人間として礼を言わせてください」
「いや、そんなに気にしないでください……」
ドリスが頭を下げるとナイは慌てて顔を上げさせようとするが、それを見ていた他の住民や団員はドリスが一般人の少年に頭を下げた事に動揺を隠しきれない。
「な、何だあの子供……ドリス様に頭を下げられたぞ?」
「あの黄金騎士が頭を下げる相手……いったい何者だ?」
「まさか、噂に聞く引きこもりの第三王子か!?」
周囲の人間達が騒ぎ出し、その様子に気付いたナイは困った表情を浮かべ、早急にこの場を離れた方が良いと判断し、ドリスに別れを告げようとした。
「じゃ、じゃあ……僕達はこれで失礼します。ヒナ、行こうか」
「え?え、ええっ……そうね」
「あら、そちらの方は……前に見かけたことがありますわね。確か、テンさんの元で世話になっている女の子ですわね」
「えっ!?」
ヒナはドリスに自分の存在が知られている事に驚くが、そんな彼女に対してドリスは馬を降りると握手を求める。
「私、子供の頃からテンさんに憧れていましたの。私が騎士を志したのもテンさんのような立派な女騎士になりたいと思ったからですわ。よろしければ今度、テンさんの話をお聞かせ願えませんか?」
「は、はい!!喜んで!!」
「そんなに緊張しなくてもいいですわ。実はこう見えても私、一時期だけどテンさんの元で直接指導を受けていましたわ。つまりは私と貴女は姉妹弟子、遠慮などいりませんわ」
「と、とんでもない!!だいたい、私の場合は騎士じゃありませんし……」
ドリスの言葉にヒナは感動気味に答え、彼女からすれば、というよりも一般人からすれば王国騎士は尊敬の対象であり、その中でもドリスは有名な存在なのでヒナが緊張するのも無理はない。
「えっ?」
ナイの言葉を聞いてヒナは顔を上げると、噴水広場の方に金色の紋章が刻まれた鎧兜を身に付けた騎馬隊が現れ、広場を通り抜けようとしていた。それを見た城下町の住民達は慌てて道を開き、中には羨望の視線を向ける者もいた。
「おい、見ろよ。金狼騎士団だぜ!!」
「先頭を歩いているあの綺麗な女の人が「黄金騎士ドリス」か!?」
「やっぱりいい女だよな。特にあのスカートからでも分かる形言いお尻……最高だぜ」
「おい、殺されるぞ……」
ただ一人だけ黒色の鎧兜ではなく、黄金に光り輝く鎧と兜を装着した女性の騎士が先頭を歩く姿に人々は見惚れる。彼女こそが黒狼騎士団の副団長であり、王国騎士の中でも指折りの実力者として名を知らしめている「ドリス」である。
ドリスは公爵家の家系であり、彼女の家系はこの国の建国以来からずっと公爵家として国を支えている。彼女は現在はこの国の王太子であるバッシュ王子に仕え、立場的には彼の右腕として知られていた。
(あの時にいた王国騎士の人か……改めて見るとひとりだけ派手な格好をしているな)
何故か黒狼騎士団は団員は黒色の鎧兜に統一しているにも関わらず、ドリスだけは黒色ではなく、黄金の鎧と兜を身に付けていた。そのせいで他の団員と比べても非常に目立ち、注目を浴びる。しかし、当の彼女本人は全く気にしていない。
「もしかしてあの人が黒狼騎士団の副団長のドリス様なの?噂には聞いていたけど、派手な見た目ね……」
「あれ、ヒナは見るのは初めてなの?」
「遠目で見かけた事はあったけど……こんなに近くで見たのは初めてね」
ヒナはドリスを間近で見るのは初めてらしく、彼女の姿を見て緊張している様子だった。ナイの方も金狼騎士団がこんな場所で何をしているのかと不思議に思うと、ここで先頭歩いていたドリスがナイの方に振り返り、彼の顔を見て声を上げる。
「あら、そこにいるのはナイ君ではありませんか?」
「あ、どうも……」
「えっ!?」
ドリスが声を掛けるとヒナは驚いた様子でナイに振り返り、その一方で話しかけられたナイは軽く会釈する。その様子を見ていた他の街の住民も驚き、団員達もドリスの態度に戸惑う。
「副団長、あの少年とお知り合いなのですか?」
「知り合いも何も、うちの団長を打ち負かした子ですわ」
「えっ!?という事は反魔の盾を持つ事を許されたというあの……!?」
「ほ、本当に子供じゃないか……バッシュ様がこんな子供に敗れたというのか」
団員達はドリスの言葉を聞いて動揺を隠せず、彼等はナイとバッシュの立ち合いの際には同席しておらず、ここで初めてナイの顔を見た。
バッシュは王子ではあるが国内では優秀な武人として知られており、金狼騎士団の団員からすれば自分達の直属の上司である。バッシュの強さは彼等はよく知っており、それだけにバッシュがナイのような子供に敗れたと聞いて簡単には信じられない。
「ナイさん、話は聞きましたわよ。昨日、この場所で暴れていたミノタウロスを討伐してくれたそうですわね。本来ならばこの王都を守るのは我々の役目ですが、貴方のお陰で被害は最小限に抑えられましたわ。この国を守る人間として礼を言わせてください」
「いや、そんなに気にしないでください……」
ドリスが頭を下げるとナイは慌てて顔を上げさせようとするが、それを見ていた他の住民や団員はドリスが一般人の少年に頭を下げた事に動揺を隠しきれない。
「な、何だあの子供……ドリス様に頭を下げられたぞ?」
「あの黄金騎士が頭を下げる相手……いったい何者だ?」
「まさか、噂に聞く引きこもりの第三王子か!?」
周囲の人間達が騒ぎ出し、その様子に気付いたナイは困った表情を浮かべ、早急にこの場を離れた方が良いと判断し、ドリスに別れを告げようとした。
「じゃ、じゃあ……僕達はこれで失礼します。ヒナ、行こうか」
「え?え、ええっ……そうね」
「あら、そちらの方は……前に見かけたことがありますわね。確か、テンさんの元で世話になっている女の子ですわね」
「えっ!?」
ヒナはドリスに自分の存在が知られている事に驚くが、そんな彼女に対してドリスは馬を降りると握手を求める。
「私、子供の頃からテンさんに憧れていましたの。私が騎士を志したのもテンさんのような立派な女騎士になりたいと思ったからですわ。よろしければ今度、テンさんの話をお聞かせ願えませんか?」
「は、はい!!喜んで!!」
「そんなに緊張しなくてもいいですわ。実はこう見えても私、一時期だけどテンさんの元で直接指導を受けていましたわ。つまりは私と貴女は姉妹弟子、遠慮などいりませんわ」
「と、とんでもない!!だいたい、私の場合は騎士じゃありませんし……」
ドリスの言葉にヒナは感動気味に答え、彼女からすれば、というよりも一般人からすれば王国騎士は尊敬の対象であり、その中でもドリスは有名な存在なのでヒナが緊張するのも無理はない。
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