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王都での騒動
第254話 魔操術を極める事
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「この魔操術はあんたが考えてるよりずっと奥が深いんだ。魔操術を極めれば魔術師の真似事だって出来る。場合によっては本場の魔術師でも出来ない芸当だって出来るからね」
「そうなんですか?」
「世の中で魔術師と呼ばれる奴等は生まれた時から自分の魔力を利用して魔法の力を変える事ができる連中さ。だけど、連中の大半は自分の生まれ持った力に過信してそれを磨こうとしない。そんな奴等よりも自力で魔力を操る技術を身に付けた奴等の方があたしは恐ろしいね」
「ちなみに女将さんは現役だった頃は他の騎士達も全員が魔操術を習得していたそうよ」
「そうだったんですか!?」
テンが所属していた聖女騎士団《ワルキューレ》は騎士団員全員が魔操術を習得していたらしく、現在の騎士団の中でも魔操術を扱う人間は多い。
「世間で名前が有名な奴等の殆どは魔操術を習得しているよ。中には誰にも教わらず、無意識に魔操術を身に付けた奴もいるだろうしね。ちなみにこの国の王族は全員が幼い頃から魔操術を学んでいるはずだよ」
「えっ……じゃあ、バッシュ王子やリノ王子も?」
「そういう事になるね。ちなみにバッシュ王子はあんたとの戦いでは魔操術を利用していないよ。仮に王子が魔操術を使っていたらあんたも勝てたかどうか……まあ、それは実際に試してみないと分からないんだけどね」
先日にナイが戦ったバッシュも魔操術を習得しているという話に驚き、もしもバッシュが魔操術を利用していた場合、勝負の結果は変わっていたかもしれない。
魔操術がマホ魔導士や彼女の弟子たち以外にも扱える人間が居た事にナイは驚いたが、最初にモモから治療を受けた時から魔操術を扱える人間が他にいるのではないかと予想はしていた。
「ちなみに女将さんを除いてあたし達の中で魔操術が一番上手いのはモモかミイナね。私も一応は習ってはいるんだけど、まだまだモモやミイナみたいに上手く扱えないわ」
「えへへ、私は他の人の怪我や疲労を治すのが得意なんだ~」
「あっ……もしかしてミイナがあの体型で如意斧を振り回せるのって」
「そういう事だよ。あの娘も魔操術を利用して身体能力を強化させているのさ。まあ、あんたと違ってあの娘の場合は肉体に負担を掛けすぎない様に上手く調整しているけどね」
ミイナが外見に似合わずに怪力なのは魔操術の恩恵であり、彼女は普段から肉体を強化させて重量が大きい如意斧を扱っているという。その話を聞いてナイは納得し、同時にヒイロの事を思い出す。
「そういえばヒイロも魔操術を使えるんですか?」
「あの娘の場合は聖属性じゃなくて火属性の適正が高いからね、あんた達のようには戦えないよ。でも、だからといってあの娘があんた達に劣っているわけじゃないからね」
「ほら、ヒイロが剣を使う時に炎を纏うでしょう?あれは魔剣の力だけじゃなくてヒイロの魔操術のお陰で火力を高める事が出来るの」
「そんな使い方が……」
ヒイロの場合はナイ達と違って聖属性よりも火属性の適正が高いため、肉体を強化する事は得意ではない。その代わりに火属性の魔力を扱う事に長けており、彼女は魔剣を炎に纏う時も魔操術を駆使して火力を高めているという。
ちなみに彼女の魔剣「烈火」は火属性の適正が高い人間しか扱えず、仮に適性がない人間が触れても能力は発揮できない。そういう意味では魔剣に選ばれるほどの高い適性の資質をヒイロは持ち合わせていた事になる。
「テンさんも魔操術が使えるんですよね」
「まあね、といってもあたしの場合はあんたと同じように身体強化ぐらいしかできないけどね。モモのように他人を回復させるなんて器用な真似はできないよ」
「え、そうなんですか?」
「同じ属性の適性があっても、人によっては得意不得意がある事は覚えておきな」
テンの場合はナイのように身体強化をする魔操術は得意だが、モモのように他人に魔力を分け与える事は苦手としていた。逆にモモは他者を癒す事は得意だが、自分の身体能力を強化するのは苦手らしい(その割には並外れた身体能力を誇るが)。
同系統の属性の適正が高くても必ずしも皆が同じ事ができるというわけではなく、ナイの場合は身体強化も他者を癒す事も出来る。そういう点ではテンやモモの中間に位置する能力と言える。
「そんな事よりもあんた、いったい何を仕出かしたんだい。アッシュ公爵にはなんて言われたんだい?」
「あ、いや……大惨事になる前にミノタウロスを仕留めてくれたお礼を言われました。お菓子の方は詫びの品で貰いました」
「詫びの品がお菓子!?アッシュ公爵らしくないね……ああ、どうせ好きな物を何でも用意するとか言い出したんだろう?」
「え、良く分かりましたね……?」
「まあ、あの人とも昔色々とあってね……」
テンはどうやらアッシュ公爵と知り合いらしく、元々はテンも国に仕える騎士であり、アッシュと知り合いで合ったとしてもおかしくはない。
「そうなんですか?」
「世の中で魔術師と呼ばれる奴等は生まれた時から自分の魔力を利用して魔法の力を変える事ができる連中さ。だけど、連中の大半は自分の生まれ持った力に過信してそれを磨こうとしない。そんな奴等よりも自力で魔力を操る技術を身に付けた奴等の方があたしは恐ろしいね」
「ちなみに女将さんは現役だった頃は他の騎士達も全員が魔操術を習得していたそうよ」
「そうだったんですか!?」
テンが所属していた聖女騎士団《ワルキューレ》は騎士団員全員が魔操術を習得していたらしく、現在の騎士団の中でも魔操術を扱う人間は多い。
「世間で名前が有名な奴等の殆どは魔操術を習得しているよ。中には誰にも教わらず、無意識に魔操術を身に付けた奴もいるだろうしね。ちなみにこの国の王族は全員が幼い頃から魔操術を学んでいるはずだよ」
「えっ……じゃあ、バッシュ王子やリノ王子も?」
「そういう事になるね。ちなみにバッシュ王子はあんたとの戦いでは魔操術を利用していないよ。仮に王子が魔操術を使っていたらあんたも勝てたかどうか……まあ、それは実際に試してみないと分からないんだけどね」
先日にナイが戦ったバッシュも魔操術を習得しているという話に驚き、もしもバッシュが魔操術を利用していた場合、勝負の結果は変わっていたかもしれない。
魔操術がマホ魔導士や彼女の弟子たち以外にも扱える人間が居た事にナイは驚いたが、最初にモモから治療を受けた時から魔操術を扱える人間が他にいるのではないかと予想はしていた。
「ちなみに女将さんを除いてあたし達の中で魔操術が一番上手いのはモモかミイナね。私も一応は習ってはいるんだけど、まだまだモモやミイナみたいに上手く扱えないわ」
「えへへ、私は他の人の怪我や疲労を治すのが得意なんだ~」
「あっ……もしかしてミイナがあの体型で如意斧を振り回せるのって」
「そういう事だよ。あの娘も魔操術を利用して身体能力を強化させているのさ。まあ、あんたと違ってあの娘の場合は肉体に負担を掛けすぎない様に上手く調整しているけどね」
ミイナが外見に似合わずに怪力なのは魔操術の恩恵であり、彼女は普段から肉体を強化させて重量が大きい如意斧を扱っているという。その話を聞いてナイは納得し、同時にヒイロの事を思い出す。
「そういえばヒイロも魔操術を使えるんですか?」
「あの娘の場合は聖属性じゃなくて火属性の適正が高いからね、あんた達のようには戦えないよ。でも、だからといってあの娘があんた達に劣っているわけじゃないからね」
「ほら、ヒイロが剣を使う時に炎を纏うでしょう?あれは魔剣の力だけじゃなくてヒイロの魔操術のお陰で火力を高める事が出来るの」
「そんな使い方が……」
ヒイロの場合はナイ達と違って聖属性よりも火属性の適正が高いため、肉体を強化する事は得意ではない。その代わりに火属性の魔力を扱う事に長けており、彼女は魔剣を炎に纏う時も魔操術を駆使して火力を高めているという。
ちなみに彼女の魔剣「烈火」は火属性の適正が高い人間しか扱えず、仮に適性がない人間が触れても能力は発揮できない。そういう意味では魔剣に選ばれるほどの高い適性の資質をヒイロは持ち合わせていた事になる。
「テンさんも魔操術が使えるんですよね」
「まあね、といってもあたしの場合はあんたと同じように身体強化ぐらいしかできないけどね。モモのように他人を回復させるなんて器用な真似はできないよ」
「え、そうなんですか?」
「同じ属性の適性があっても、人によっては得意不得意がある事は覚えておきな」
テンの場合はナイのように身体強化をする魔操術は得意だが、モモのように他人に魔力を分け与える事は苦手としていた。逆にモモは他者を癒す事は得意だが、自分の身体能力を強化するのは苦手らしい(その割には並外れた身体能力を誇るが)。
同系統の属性の適正が高くても必ずしも皆が同じ事ができるというわけではなく、ナイの場合は身体強化も他者を癒す事も出来る。そういう点ではテンやモモの中間に位置する能力と言える。
「そんな事よりもあんた、いったい何を仕出かしたんだい。アッシュ公爵にはなんて言われたんだい?」
「あ、いや……大惨事になる前にミノタウロスを仕留めてくれたお礼を言われました。お菓子の方は詫びの品で貰いました」
「詫びの品がお菓子!?アッシュ公爵らしくないね……ああ、どうせ好きな物を何でも用意するとか言い出したんだろう?」
「え、良く分かりましたね……?」
「まあ、あの人とも昔色々とあってね……」
テンはどうやらアッシュ公爵と知り合いらしく、元々はテンも国に仕える騎士であり、アッシュと知り合いで合ったとしてもおかしくはない。
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