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王都での騒動
第227話 その盾だけは渡せない
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もしも仮に反魔の盾が優れた魔道具でもなければ、リンたちがここまで固執するはずがない。実際にオウソウが価値のある代物と告げた時点でリンたちがこの盾が歴史的価値がある物と認識しているのは確かだった。
結局のところは王国が盾の返却を求める理由は反魔の盾が魔道具だからであり、このまま手放すのが惜しいだけのようにしかナイには思えない。無論、ナイ自身も親友の形見を奪われたくはないという思いで王国に対して偏見を抱いている部分もあるが、仮にも一度渡した物を持ち主がいなくなったから返せという言い分には納得できない。
「お願いします、この反魔の盾は僕の物じゃなくてゴマンの物なんです。どうか返してください」
「リン、あたしはこの子の言う通りだと思うよ。その盾は騎士ゴルドに渡した時点でもう王国の所有物じゃない、それなのに後から返せなんて……そっちの方が道理が通らないだろう」
「それにその盾はナイさんの親友の形見です!!」
「私もナイの言っている事が間違いだとは思わない。ナイが使うのが問題があるとしても、その親友の子の墓に祀るのが正しいと思う」
「むむっ……」
ここでテン達もナイの気持ちを共感し、リンを説得しようとした。そんな彼等を見てドリスも頷き、意外な発言を行う。
「リンさん、私も彼の言い分が間違っているとは思いませんわ。その盾はあくまでもゴルドの子孫の所有物、そして彼はその子孫の友人として盾を借り受けたというのならば返すべきだと思いますわ」
「なっ!?ドリス、お前まで何を……」
「そうです!!何を言っておられるのですかドリス副団長!?」
思わぬドリスの発言にリンは驚くが、それ以上にオウソウの方が信じられない表情を浮かべる。彼としては反魔の盾をただの一般人であるナイに返却する事自体が納得できない様子だった。
「皆さんも落ち着いて下さい!!そもそもこの男が本当の事を話しているかどうかも怪しいではないですか。もしかしたら、ゴルドの子孫と友人であったというのも作り話かもしれません。偶然にも盾を見つけ、それを自分の物にするために作り上げた話かもしれないんですぞ!?」
「はあっ?あんた、本気で言ってるのかい?だいたい、作り話をするならどうしてリンの奴に最初にゴルドの子孫かと尋ねられたとき、自分が子孫だと名乗り上げなかったんだい。嘘を吐くならそっちの方がいいだろう?」
「そ、それは……そうかもしれませんが」
テンの呆れた声にオウソウも何も言い返せず、実際にナイが最初にゴルドの子孫だと嘘を吐いていれば話はここまでこじれる事はなかった。だが、ナイは決して嘘は吐かず、反魔の盾はあくまでもゴルドの子孫のゴマンの物だと主張を貫く。
ゴマンが死んでも反魔の盾は彼の物であり、あくまでもナイは借り受けている立場に過ぎない。ナイは盾を持っている理由はゴマンの形見を手放したくはなかった事、そして盾を身に付けていれば彼が自分を守ってくれているようで心強いからである。
「お願いします、どうかその盾だけは返してください。その盾は僕の友達の大切な物なんです……」
「なっ!?」
「ナイさん!?」
「そこまでするなんて……」
ナイはその場に膝を突き、深々と頭を下げる。その姿に他の者達は驚き、頭を下げてきたナイを見てリンも唖然とする。どんなにみっともなくてもナイはゴマンの盾を他の人間に渡されるわけにはいかず、親友の形見を取り返したい一心で頭を下げた。
「リン、もういいじゃないかい。あんたの言いたい事は分からないでもないけど、理屈はともかく、人としての道理はこの子の方が正しいとあたしは思うよ」
「うっ……待ってくれ、これでは私が悪役のようではないですか」
「リンさん、貴女も本当はこの子のいう事が正しいと思い始めているのでしょう?」
「むううっ……」
「くっ、私は断固反対ですぞ!!」
「そもそもあんたが口を挟む権利はないよ。さっきから偉そうにしているけど、一介の騎士に過ぎない癖に何様のつもりだい?」
「な、何だと!?」
オウソウだけは反対の意志を貫くが、そもそも話し合いを行っているのはリンとナイであり、彼に口を挟む権利はない。これはあくまでも盾を所有していたナイにリンが説得するために設けた場であり、彼の意見を聞く理由がない。
大半の人間がナイの言い分に共感する中、リンの方は頭を抑えて考え込む。彼女としては上からの命令で反魔の盾を手に入れた経緯をナイに問い質す様に言われ、場合によっては回収する様に命じられていた。
もしもナイがゴルドの子孫であれば話はここまでこじれる事はなかったが、彼がゴルドの子孫ではない場合は何としても盾を回収するように言いつけられていた。
(全く、ここで盾を回収してもしなくても私が後で責められる立場ではないか……)
リンとしては立場的には反魔の盾を回収しなければならないが、心情的にはナイの言い分を聞いて彼の気持ちは痛いほどに分かる。大切な親友の形見をいきなり渡せと言われて納得できるはずがない。もしもリンがナイの立場ならば納得できるはずがない。
結局のところは王国が盾の返却を求める理由は反魔の盾が魔道具だからであり、このまま手放すのが惜しいだけのようにしかナイには思えない。無論、ナイ自身も親友の形見を奪われたくはないという思いで王国に対して偏見を抱いている部分もあるが、仮にも一度渡した物を持ち主がいなくなったから返せという言い分には納得できない。
「お願いします、この反魔の盾は僕の物じゃなくてゴマンの物なんです。どうか返してください」
「リン、あたしはこの子の言う通りだと思うよ。その盾は騎士ゴルドに渡した時点でもう王国の所有物じゃない、それなのに後から返せなんて……そっちの方が道理が通らないだろう」
「それにその盾はナイさんの親友の形見です!!」
「私もナイの言っている事が間違いだとは思わない。ナイが使うのが問題があるとしても、その親友の子の墓に祀るのが正しいと思う」
「むむっ……」
ここでテン達もナイの気持ちを共感し、リンを説得しようとした。そんな彼等を見てドリスも頷き、意外な発言を行う。
「リンさん、私も彼の言い分が間違っているとは思いませんわ。その盾はあくまでもゴルドの子孫の所有物、そして彼はその子孫の友人として盾を借り受けたというのならば返すべきだと思いますわ」
「なっ!?ドリス、お前まで何を……」
「そうです!!何を言っておられるのですかドリス副団長!?」
思わぬドリスの発言にリンは驚くが、それ以上にオウソウの方が信じられない表情を浮かべる。彼としては反魔の盾をただの一般人であるナイに返却する事自体が納得できない様子だった。
「皆さんも落ち着いて下さい!!そもそもこの男が本当の事を話しているかどうかも怪しいではないですか。もしかしたら、ゴルドの子孫と友人であったというのも作り話かもしれません。偶然にも盾を見つけ、それを自分の物にするために作り上げた話かもしれないんですぞ!?」
「はあっ?あんた、本気で言ってるのかい?だいたい、作り話をするならどうしてリンの奴に最初にゴルドの子孫かと尋ねられたとき、自分が子孫だと名乗り上げなかったんだい。嘘を吐くならそっちの方がいいだろう?」
「そ、それは……そうかもしれませんが」
テンの呆れた声にオウソウも何も言い返せず、実際にナイが最初にゴルドの子孫だと嘘を吐いていれば話はここまでこじれる事はなかった。だが、ナイは決して嘘は吐かず、反魔の盾はあくまでもゴルドの子孫のゴマンの物だと主張を貫く。
ゴマンが死んでも反魔の盾は彼の物であり、あくまでもナイは借り受けている立場に過ぎない。ナイは盾を持っている理由はゴマンの形見を手放したくはなかった事、そして盾を身に付けていれば彼が自分を守ってくれているようで心強いからである。
「お願いします、どうかその盾だけは返してください。その盾は僕の友達の大切な物なんです……」
「なっ!?」
「ナイさん!?」
「そこまでするなんて……」
ナイはその場に膝を突き、深々と頭を下げる。その姿に他の者達は驚き、頭を下げてきたナイを見てリンも唖然とする。どんなにみっともなくてもナイはゴマンの盾を他の人間に渡されるわけにはいかず、親友の形見を取り返したい一心で頭を下げた。
「リン、もういいじゃないかい。あんたの言いたい事は分からないでもないけど、理屈はともかく、人としての道理はこの子の方が正しいとあたしは思うよ」
「うっ……待ってくれ、これでは私が悪役のようではないですか」
「リンさん、貴女も本当はこの子のいう事が正しいと思い始めているのでしょう?」
「むううっ……」
「くっ、私は断固反対ですぞ!!」
「そもそもあんたが口を挟む権利はないよ。さっきから偉そうにしているけど、一介の騎士に過ぎない癖に何様のつもりだい?」
「な、何だと!?」
オウソウだけは反対の意志を貫くが、そもそも話し合いを行っているのはリンとナイであり、彼に口を挟む権利はない。これはあくまでも盾を所有していたナイにリンが説得するために設けた場であり、彼の意見を聞く理由がない。
大半の人間がナイの言い分に共感する中、リンの方は頭を抑えて考え込む。彼女としては上からの命令で反魔の盾を手に入れた経緯をナイに問い質す様に言われ、場合によっては回収する様に命じられていた。
もしもナイがゴルドの子孫であれば話はここまでこじれる事はなかったが、彼がゴルドの子孫ではない場合は何としても盾を回収するように言いつけられていた。
(全く、ここで盾を回収してもしなくても私が後で責められる立場ではないか……)
リンとしては立場的には反魔の盾を回収しなければならないが、心情的にはナイの言い分を聞いて彼の気持ちは痛いほどに分かる。大切な親友の形見をいきなり渡せと言われて納得できるはずがない。もしもリンがナイの立場ならば納得できるはずがない。
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