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王都での騒動
第216話 ナイVSガーゴイル亜種
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『シャアアアッ!!』
「くぅっ!?」
「させるかぁあああっ!!」
ガーゴイル亜種がミイナに向けて攻撃を仕掛ける寸前、背中に強烈な衝撃が走り、悲鳴が響く。何が起きたのかとガーゴイル亜種は振り返ると、そこには自分の背中に退魔刀を突き刺すナイの姿が存在した。
ナイが攻撃を仕掛ける際、全力で退魔刀を突き刺す。繰り出した刃はガーゴイル亜種の肉体に深々と突き刺さり、それによってガーゴイル亜種は悲鳴を上げる。
『シャギャアアアッ!?』
「まだまだ!!」
背中に突き刺さった退魔刀に目掛けてナイは蹴りを繰り出して更に深く貫く。ガーゴイル亜種は体勢を崩して膝を地面に着く。
ガーゴイル亜種が動けない間にナイはミイナの元へと急ぎ、疲労困憊の彼女を抱き上げて距離を取る。ミイナは吹き飛ばされたはずナイが戻ってきた事に戸惑うが、彼女は自分を救ってくれたナイに素直に感謝した。
「あ、ありがとう……」
「もう大丈夫、後は僕に任せて」
「ナ、ナイさん……申し訳ありません」
先に吹き飛ばされたヒイロの元にナイは駆けつけ、彼女の傍にミイナを下ろすと後の事は任せる。今はナイしか戦える人間はおらず、彼は改めてガーゴイル亜種と向き合う。
ガーゴイル亜種は背中に突き刺さった退魔刀を引き抜こうとするが、上手く抜け出せずにもがいていた。完全にナイ達の事は眼中になく、それを確認したナイは二人に避難する様に促す。
「二人は隠れてて……後の事は僕が何とかする」
「む、無茶です……いくらナイさんといえども、あの化物に一人で立ち向かうなんて」
「ヒイロ、ここはナイに任せるしかない……ナイ、頑張って」
ヒイロはナイの言葉を聞いて慌てて止めようとするが、ミイナの方はナイの雰囲気が変化している事に気付き、彼に任せる事にした。その言葉にナイは頷き、旋斧を引き抜く。
(体調は万全、旋斧と盾も手に入れた……負ける気がしない!!)
ガーゴイル亜種に向けてナイは駆け出すと、この時に剛力と跳躍を発動させて一気に距離を詰める。その移動速度は目にも止まらず、ガーゴイル亜種は接近するナイに対して目を見開く。
『シャアッ……!?』
「はああっ!!」
ナイはガーゴイル亜種の足元に目掛けて旋斧を振りかざし、全力の一撃を叩き込む。その結果、ガーゴイル亜種の右足に刃が叩き込まれ、亀裂が走った。
『グギャッ!?』
「くぅっ……やっぱり、硬いな」
赤毛熊をも切り裂くナイの攻撃力でもガーゴイル亜種の肉体を切断するまでには至らず、罅割れを起こすのが精いっぱいだった。だが、攻撃を続ければいつかは壊れるのは間違いなく、ナイは続けて何度も同じ個所に攻撃を行う。
「このっ!!」
『アガァッ!?グゥッ……シャアアッ!!』
「うわっ!?」
ガーゴイル亜種の方も執拗に攻撃を繰り返すナイに対して腕を放ち、彼を仕留めようとした。いくら回復したとはいえ、ガーゴイル亜種の攻撃を喰らえばナイも無事では済まず、死ぬ可能性もある。
それでもナイは距離を開かずに敢えてガーゴイル亜種の懐に飛び込み、攻撃を繰り返す。逃げ腰ではガーゴイル亜種に勝てるはずがなく、敢えて危地に踏み込んで攻撃を仕掛ける。それ以外にナイがガーゴイル亜種に勝てる手段はなかった。
(もう少しで……壊せる!!)
幾度もナイはガーゴイル亜種の肉体に旋斧を叩きつけ、徐々に全身に亀裂が広がっていく。このまま攻撃を続ければガーゴイル亜種の肉体を砕く事は間違いなく、ナイは渾身の力を込めて旋斧を振り抜く。
「やああっ!!」
『ギャアッ!?』
遂にはナイの旋斧が右足に食い込み、破壊まであと一歩だった。しかし、ここでガーゴイル亜種は旋斧の刃を掴み、右腕に食い込んだ状態のまま手放さない。
『グゥウッ……!?』
「このっ……離せっ!!」
往生際が悪く傷口にめり込んだ旋斧を外そうとしないガーゴイル亜種にナイは必死に旋斧を引き抜こうとするが、単純な膂力はガーゴイル亜種が勝る。剛力を発動して腕力を強化しても旋斧は引き抜けず、このままでは奪われてしまう。
(まずい、何とかしないと……!!)
ナイは右腕の盾に視線を向け、ある事を思い出す。それはモモが使用した「発勁」と呼ばれる技であり、あの技は壁越しでも衝撃を伝えて向かい側に存在する兵士さえも吹き飛ばした。
発勁はそもそも体内に衝撃を送り込む技なのだとヒナは説明していたが、その発勁ならばガーゴイルのような相手にも通じるのではないかと考える。ナイは盾を構え、旋斧を手放すと刺剣を取り出す。
(一か八か!!)
剛力を利用して刺剣を手にした左腕の筋力を強化させ、盾に向けて刺剣を突き刺す。ゴマンから借り受けたこの盾は外部から攻撃を受けると衝撃波で跳ね返す性質を持ち合わせ、攻撃の威力が強ければ強いほどに衝撃波を放つ。
「喰らえっ!!」
『ッ――!?』
盾に刺剣が衝突した瞬間、衝撃波が発生するとガーゴイル亜種の肉体に放たれ、身体のあちこちに発生していた亀裂が更に広まり、ガーゴイル亜種は悲鳴を上げた。
「くぅっ!?」
「させるかぁあああっ!!」
ガーゴイル亜種がミイナに向けて攻撃を仕掛ける寸前、背中に強烈な衝撃が走り、悲鳴が響く。何が起きたのかとガーゴイル亜種は振り返ると、そこには自分の背中に退魔刀を突き刺すナイの姿が存在した。
ナイが攻撃を仕掛ける際、全力で退魔刀を突き刺す。繰り出した刃はガーゴイル亜種の肉体に深々と突き刺さり、それによってガーゴイル亜種は悲鳴を上げる。
『シャギャアアアッ!?』
「まだまだ!!」
背中に突き刺さった退魔刀に目掛けてナイは蹴りを繰り出して更に深く貫く。ガーゴイル亜種は体勢を崩して膝を地面に着く。
ガーゴイル亜種が動けない間にナイはミイナの元へと急ぎ、疲労困憊の彼女を抱き上げて距離を取る。ミイナは吹き飛ばされたはずナイが戻ってきた事に戸惑うが、彼女は自分を救ってくれたナイに素直に感謝した。
「あ、ありがとう……」
「もう大丈夫、後は僕に任せて」
「ナ、ナイさん……申し訳ありません」
先に吹き飛ばされたヒイロの元にナイは駆けつけ、彼女の傍にミイナを下ろすと後の事は任せる。今はナイしか戦える人間はおらず、彼は改めてガーゴイル亜種と向き合う。
ガーゴイル亜種は背中に突き刺さった退魔刀を引き抜こうとするが、上手く抜け出せずにもがいていた。完全にナイ達の事は眼中になく、それを確認したナイは二人に避難する様に促す。
「二人は隠れてて……後の事は僕が何とかする」
「む、無茶です……いくらナイさんといえども、あの化物に一人で立ち向かうなんて」
「ヒイロ、ここはナイに任せるしかない……ナイ、頑張って」
ヒイロはナイの言葉を聞いて慌てて止めようとするが、ミイナの方はナイの雰囲気が変化している事に気付き、彼に任せる事にした。その言葉にナイは頷き、旋斧を引き抜く。
(体調は万全、旋斧と盾も手に入れた……負ける気がしない!!)
ガーゴイル亜種に向けてナイは駆け出すと、この時に剛力と跳躍を発動させて一気に距離を詰める。その移動速度は目にも止まらず、ガーゴイル亜種は接近するナイに対して目を見開く。
『シャアッ……!?』
「はああっ!!」
ナイはガーゴイル亜種の足元に目掛けて旋斧を振りかざし、全力の一撃を叩き込む。その結果、ガーゴイル亜種の右足に刃が叩き込まれ、亀裂が走った。
『グギャッ!?』
「くぅっ……やっぱり、硬いな」
赤毛熊をも切り裂くナイの攻撃力でもガーゴイル亜種の肉体を切断するまでには至らず、罅割れを起こすのが精いっぱいだった。だが、攻撃を続ければいつかは壊れるのは間違いなく、ナイは続けて何度も同じ個所に攻撃を行う。
「このっ!!」
『アガァッ!?グゥッ……シャアアッ!!』
「うわっ!?」
ガーゴイル亜種の方も執拗に攻撃を繰り返すナイに対して腕を放ち、彼を仕留めようとした。いくら回復したとはいえ、ガーゴイル亜種の攻撃を喰らえばナイも無事では済まず、死ぬ可能性もある。
それでもナイは距離を開かずに敢えてガーゴイル亜種の懐に飛び込み、攻撃を繰り返す。逃げ腰ではガーゴイル亜種に勝てるはずがなく、敢えて危地に踏み込んで攻撃を仕掛ける。それ以外にナイがガーゴイル亜種に勝てる手段はなかった。
(もう少しで……壊せる!!)
幾度もナイはガーゴイル亜種の肉体に旋斧を叩きつけ、徐々に全身に亀裂が広がっていく。このまま攻撃を続ければガーゴイル亜種の肉体を砕く事は間違いなく、ナイは渾身の力を込めて旋斧を振り抜く。
「やああっ!!」
『ギャアッ!?』
遂にはナイの旋斧が右足に食い込み、破壊まであと一歩だった。しかし、ここでガーゴイル亜種は旋斧の刃を掴み、右腕に食い込んだ状態のまま手放さない。
『グゥウッ……!?』
「このっ……離せっ!!」
往生際が悪く傷口にめり込んだ旋斧を外そうとしないガーゴイル亜種にナイは必死に旋斧を引き抜こうとするが、単純な膂力はガーゴイル亜種が勝る。剛力を発動して腕力を強化しても旋斧は引き抜けず、このままでは奪われてしまう。
(まずい、何とかしないと……!!)
ナイは右腕の盾に視線を向け、ある事を思い出す。それはモモが使用した「発勁」と呼ばれる技であり、あの技は壁越しでも衝撃を伝えて向かい側に存在する兵士さえも吹き飛ばした。
発勁はそもそも体内に衝撃を送り込む技なのだとヒナは説明していたが、その発勁ならばガーゴイルのような相手にも通じるのではないかと考える。ナイは盾を構え、旋斧を手放すと刺剣を取り出す。
(一か八か!!)
剛力を利用して刺剣を手にした左腕の筋力を強化させ、盾に向けて刺剣を突き刺す。ゴマンから借り受けたこの盾は外部から攻撃を受けると衝撃波で跳ね返す性質を持ち合わせ、攻撃の威力が強ければ強いほどに衝撃波を放つ。
「喰らえっ!!」
『ッ――!?』
盾に刺剣が衝突した瞬間、衝撃波が発生するとガーゴイル亜種の肉体に放たれ、身体のあちこちに発生していた亀裂が更に広まり、ガーゴイル亜種は悲鳴を上げた。
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