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王都での騒動
第211話 漆黒のガーゴイル
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「――はあっ、はあっ……くそ、まだいるのか」
「思っていたよりも守りながらの戦いはきつい……」
「このままでは……」
『ギャギャギャッ……!!』
屋敷の中にてナイ達は全身から汗を流しながら自分達を取り囲むガーゴイルの群れに視線を向ける。既に屋敷の中にいる人間の中で生き残っているのはナイ達だけであった。
敷地内に存在した兵士の殆どは既に逃げ出しているか、屋敷の中に引きこもってしまった。ナイ達は彼等を守るためにガーゴイルと戦い、あの後のに3匹のガーゴイルを倒す事は出来た。だが、残りのガーゴイルがナイ達を標的と定める。
(こいつら……ゴブリンよりも頭が良い、ずっと攻撃が当たらない場所で俺達の隙を伺っている)
ナイ達を取り囲む3体のガーゴイルは空を飛んでおり、迂闊にナイ達に近付くような真似はしない。常に一か所には留まらずにナイ達を翻弄するように動き続けていた。
(くそ、魔力を使いすぎたかな……思うように動けない)
先の戦闘でナイは二度も魔操術を使用して怪我の治療を行ったナイは頭を抑え、どうにも身体が言う事を聞かない。その隙を突いてガーゴイルの1匹がナイに飛び掛かってきた。
『ギャウッ!!』
「くっ!?」
「させません!!」
「ていっ」
ナイに向かってきたガーゴイルに対してヒイロが烈火を振るい、ミイナも如意斧を伸ばして牽制を行う。二人のお陰でナイはガーゴイルの攻撃を免れたが、二人ともここまでの戦闘の疲労が蓄積されており、こちらも限界が近い。
「くっ、このままではまずいかもしれません……援軍はまだでしょうか?」
「もう少しで来ると思うけど、そこまで私達が持ち堪えられるかどうか」
「ごめん、二人とも……」
「謝らなくていい、ナイのお陰で私は救われた」
「仲間同士、遠慮は不要ですよ!!」
自分を助けてくれた二人にナイは礼を言うと、二人はこんな状況でも笑みを浮かべて気遣ってくれる。そんな二人のためにナイも諦めずに戦う意思を貫く。
だが、いくら気持ちがあってもナイ達の肉体の疲労は限界近くまで蓄積されており、これ以上にガーゴイルの猛攻を受ければ耐え切れない。その前に手を打つ必要があるが、生憎とナイ達にガーゴイルを打ち倒す術はない。
(体力が万全ならこんな奴等、敵じゃないのに……いや、せめて旋斧と盾があれば)
ナイは自分が持っている退魔刀なる武器に視線を向け、ここまでの戦闘で使用してきたが、やはり旋斧と比べると大きすぎて違和感がある。ガーゴイルを破壊できる武器である事は有難いが、それでも使い慣れていない武器のせいで思うように戦えない。
(この調子だと剛力も後は3、4回ぐらいが限界か……となると、もう外す事は出来ない)
剛力を発動するにも体力と魔力を消費するため、ナイは残ったガーゴイルを倒すための方法を考える。相手の弱点は水である事は分かっているが、生憎と近くに水はない。
ガーゴイルたちはナイ達の周囲を旋回しながらも隙を伺い、3匹はそれぞれに狙いを定めると、同時に襲い掛かる。鋭い牙と爪を繰り出し、仕留めようとてしてきた。
『ギィアアアアッ!!』
「来るっ!!」
「くぅっ!?」
「……やるしかない!!」
3体同時に飛び掛かってくるのを確認すると、ナイは剛力を発動させて自分に迫りくるガーゴイルに向けて退魔刀を放つ。ヒイロも烈火を振りかざし、ミイナも如意斧を放とうとした時、唐突に屋敷の方から轟音が鳴り響く。
何事かとナイ達も3匹のガーゴイルも建物に視線を向けると、壁を崩壊させて姿を現したのは全身が漆黒に染まったガーゴイルであった。しかも通常のガーゴイルと比べても二回りほど大きく、巨人という表現が正しい。
『シャアアアアアッ!!』
通常のガーゴイルとは異なる鳴き声を放ち、その声を耳にしたナイ達はたまらずに耳元を抑え、3匹のガーゴイルは怯えた様に地上へと着地した。最後に現れた「10体目」のガーゴイルを目にしてナイ達は戸惑う。
「何なんですか、あれは……!?」
「あれもガーゴイル……でも、雰囲気が違う」
「まさか……亜種!?」
漆黒に染まったガーゴイルは明らかに通常種のガーゴイルとは外見も雰囲気も異なり、即座にナイはガーゴイルの色合いを見てかつて自分が遭遇した「コボルト亜種」を思い出す。
亜種とは突然変異で生まれた魔物であり、その能力は通常種よりも遥かに上回る。現にコボルト亜種は赤毛熊を上回る速度を誇り、ナイも危うく殺されかけた危険な相手だった。しかも今回はコボルトよりも危険度が高いガーゴイルの亜種となればより恐ろしい存在なのは間違いない。
『シャアッ!!』
『ギャギャッ……!?』
ガーゴイルの亜種は他の3匹のガーゴイルを視界に収めると、腕を振り払う素振りを行う。その行動を察したガーゴイル達は慌てて距離を取り、邪魔にならない様に離れる。その様子を見て力関係はどうやらガーゴイル亜種が上だと判明し、ナイ達は改めてガーゴイル亜種と向き直った。
「思っていたよりも守りながらの戦いはきつい……」
「このままでは……」
『ギャギャギャッ……!!』
屋敷の中にてナイ達は全身から汗を流しながら自分達を取り囲むガーゴイルの群れに視線を向ける。既に屋敷の中にいる人間の中で生き残っているのはナイ達だけであった。
敷地内に存在した兵士の殆どは既に逃げ出しているか、屋敷の中に引きこもってしまった。ナイ達は彼等を守るためにガーゴイルと戦い、あの後のに3匹のガーゴイルを倒す事は出来た。だが、残りのガーゴイルがナイ達を標的と定める。
(こいつら……ゴブリンよりも頭が良い、ずっと攻撃が当たらない場所で俺達の隙を伺っている)
ナイ達を取り囲む3体のガーゴイルは空を飛んでおり、迂闊にナイ達に近付くような真似はしない。常に一か所には留まらずにナイ達を翻弄するように動き続けていた。
(くそ、魔力を使いすぎたかな……思うように動けない)
先の戦闘でナイは二度も魔操術を使用して怪我の治療を行ったナイは頭を抑え、どうにも身体が言う事を聞かない。その隙を突いてガーゴイルの1匹がナイに飛び掛かってきた。
『ギャウッ!!』
「くっ!?」
「させません!!」
「ていっ」
ナイに向かってきたガーゴイルに対してヒイロが烈火を振るい、ミイナも如意斧を伸ばして牽制を行う。二人のお陰でナイはガーゴイルの攻撃を免れたが、二人ともここまでの戦闘の疲労が蓄積されており、こちらも限界が近い。
「くっ、このままではまずいかもしれません……援軍はまだでしょうか?」
「もう少しで来ると思うけど、そこまで私達が持ち堪えられるかどうか」
「ごめん、二人とも……」
「謝らなくていい、ナイのお陰で私は救われた」
「仲間同士、遠慮は不要ですよ!!」
自分を助けてくれた二人にナイは礼を言うと、二人はこんな状況でも笑みを浮かべて気遣ってくれる。そんな二人のためにナイも諦めずに戦う意思を貫く。
だが、いくら気持ちがあってもナイ達の肉体の疲労は限界近くまで蓄積されており、これ以上にガーゴイルの猛攻を受ければ耐え切れない。その前に手を打つ必要があるが、生憎とナイ達にガーゴイルを打ち倒す術はない。
(体力が万全ならこんな奴等、敵じゃないのに……いや、せめて旋斧と盾があれば)
ナイは自分が持っている退魔刀なる武器に視線を向け、ここまでの戦闘で使用してきたが、やはり旋斧と比べると大きすぎて違和感がある。ガーゴイルを破壊できる武器である事は有難いが、それでも使い慣れていない武器のせいで思うように戦えない。
(この調子だと剛力も後は3、4回ぐらいが限界か……となると、もう外す事は出来ない)
剛力を発動するにも体力と魔力を消費するため、ナイは残ったガーゴイルを倒すための方法を考える。相手の弱点は水である事は分かっているが、生憎と近くに水はない。
ガーゴイルたちはナイ達の周囲を旋回しながらも隙を伺い、3匹はそれぞれに狙いを定めると、同時に襲い掛かる。鋭い牙と爪を繰り出し、仕留めようとてしてきた。
『ギィアアアアッ!!』
「来るっ!!」
「くぅっ!?」
「……やるしかない!!」
3体同時に飛び掛かってくるのを確認すると、ナイは剛力を発動させて自分に迫りくるガーゴイルに向けて退魔刀を放つ。ヒイロも烈火を振りかざし、ミイナも如意斧を放とうとした時、唐突に屋敷の方から轟音が鳴り響く。
何事かとナイ達も3匹のガーゴイルも建物に視線を向けると、壁を崩壊させて姿を現したのは全身が漆黒に染まったガーゴイルであった。しかも通常のガーゴイルと比べても二回りほど大きく、巨人という表現が正しい。
『シャアアアアアッ!!』
通常のガーゴイルとは異なる鳴き声を放ち、その声を耳にしたナイ達はたまらずに耳元を抑え、3匹のガーゴイルは怯えた様に地上へと着地した。最後に現れた「10体目」のガーゴイルを目にしてナイ達は戸惑う。
「何なんですか、あれは……!?」
「あれもガーゴイル……でも、雰囲気が違う」
「まさか……亜種!?」
漆黒に染まったガーゴイルは明らかに通常種のガーゴイルとは外見も雰囲気も異なり、即座にナイはガーゴイルの色合いを見てかつて自分が遭遇した「コボルト亜種」を思い出す。
亜種とは突然変異で生まれた魔物であり、その能力は通常種よりも遥かに上回る。現にコボルト亜種は赤毛熊を上回る速度を誇り、ナイも危うく殺されかけた危険な相手だった。しかも今回はコボルトよりも危険度が高いガーゴイルの亜種となればより恐ろしい存在なのは間違いない。
『シャアッ!!』
『ギャギャッ……!?』
ガーゴイルの亜種は他の3匹のガーゴイルを視界に収めると、腕を振り払う素振りを行う。その行動を察したガーゴイル達は慌てて距離を取り、邪魔にならない様に離れる。その様子を見て力関係はどうやらガーゴイル亜種が上だと判明し、ナイ達は改めてガーゴイル亜種と向き直った。
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