203 / 1,110
王都での騒動
第202話 修行の成果「魔操術」
しおりを挟む
(――右腕に魔力を集中するんだ)
旅立ちの前にマホから教わった「魔操術」の事を思い出したナイは目を閉じて集中すると、体内に宿る自分の魔力を感じとる。ナイは聖属性の適性が高く、聖属性の本質は「身体機能」を強化する魔力である。
回復魔法を発動させる際、他者に魔力を送り込む。その行為によって魔力を送り込まれた人間の自然治癒力を強化させて怪我を治す。これが回復魔法の原理であり、ならばどうして回復魔法は自分自身の肉体を治せないのか、それは単純に回復魔法は他者に魔力を分け与える技術でしかないからだった。
ナイは自分の中に宿る魔力を感じ取り、それを怪我をした箇所に送り込む。右腕に魔力を集中させ、活性化させる事で自分の肉体の自然治癒力を強化させ、怪我を治す。この時にナイは「自然回復」の技能も備えているため、通常の人間よりも自然治癒力が非常に強い。しかも普段からよく怪我をするので自然回復の技能は他の技能よりも発達している。
(要領は剛力を発動させる時と同じだ。難しく考える必要はない)
剛力などの技能を発動する際もナイは無意識に聖属性の魔力を使用し、筋力を強化させている。そして今回の場合は魔力で強化させるのは筋力ではなく、肉体の「再生機能」である。
(よし、痛みが引いてきた。次に骨の罅と、腫れを引けば……)
ナイの右腕が回復魔法を発動した時と同じように光り輝き、右腕の怪我は跡形もなく消えてしまう。ナイは目を開くとそこにはいつも通りの右腕が存在し、僅か10秒足らずで怪我を治す事に成功した。
「よし、治った」
「えっ……えっ!?」
「嘘っ!?あんなに腫れてたのに……」
「な、何だと!?馬鹿な、どういう事だ!?」
「ギャギャッ……!?」
部屋の中の全員がナイの声を聞いて振り返ると、そこには右腕を完治させたナイの姿が存在し、何事もなかったように退魔刀を持ち上げる。それを見た誰もがは信じられない表情を浮かべ、その一方でナイはガーゴイルに睨みつける。
怪我の治療のために魔力は消耗したが、それでも戦う事には問題なく、改めてナイはガーゴイルと向き合う。相手が石像の化物であろうと、ナイは一年以上も前に自分の身の丈を越える巨岩を破壊し続けた実績がある。
(思い出すんだ、修行してきた日々を……)
鋼鉄のような硬度を誇る赤毛熊を倒すため、ナイは毎日旋斧で岩を破壊する修行を行い、一撃で巨岩を破壊するだけの攻撃力を手にした。ガーゴイルが石像の化物だとしたら岩を破壊するナイに破壊できないはずがない。
「二人とも、下がって」
「う、うん……」
「大丈夫なの……?」
「く、くそっ……ガーゴイル!!そいつを殺せ!!」
『ギャアアアッ!!』
ヒナとモモを下がらせるとナイは退魔刀を構え、それを見たバーリはガーゴイルに命令する。その声に反応する様にガーゴイルは駆け出すと、それに対してナイは退魔刀を両手で握り締めて上段に構えた。
この時にナイは子供の頃に岩に向けて旋斧を叩き込む日々を思い出し、あの頃よりもナイは筋力を身に付け、剛力の技能も強化されていた。今ならば巨岩どころか鉄の塊だろうと叩き斬る事が出来る気がした。
(――ぶっ壊す!!)
相手を石像の化物だろうと構わず、ナイは子供の時のように巨岩に対して全力で剣を振り回す。その結果、ナイの放った退魔刀の刃はガーゴイルの頭部に食い込み、そのまま肉体を一刀両断した。
「円斧!!」
『アガァッ……!?』
上半身と下半身を真っ二つに切り裂かれたガーゴイルは何が起きたのか分からず、二つに分かれた肉体は床に倒れ込む。この時にガーゴイルの腹の部分に埋め込まれていた紫色の魔石も真っ二つに切り裂かれ、光を失う――
※今回は短めですが、ここまでにしておきます。
旅立ちの前にマホから教わった「魔操術」の事を思い出したナイは目を閉じて集中すると、体内に宿る自分の魔力を感じとる。ナイは聖属性の適性が高く、聖属性の本質は「身体機能」を強化する魔力である。
回復魔法を発動させる際、他者に魔力を送り込む。その行為によって魔力を送り込まれた人間の自然治癒力を強化させて怪我を治す。これが回復魔法の原理であり、ならばどうして回復魔法は自分自身の肉体を治せないのか、それは単純に回復魔法は他者に魔力を分け与える技術でしかないからだった。
ナイは自分の中に宿る魔力を感じ取り、それを怪我をした箇所に送り込む。右腕に魔力を集中させ、活性化させる事で自分の肉体の自然治癒力を強化させ、怪我を治す。この時にナイは「自然回復」の技能も備えているため、通常の人間よりも自然治癒力が非常に強い。しかも普段からよく怪我をするので自然回復の技能は他の技能よりも発達している。
(要領は剛力を発動させる時と同じだ。難しく考える必要はない)
剛力などの技能を発動する際もナイは無意識に聖属性の魔力を使用し、筋力を強化させている。そして今回の場合は魔力で強化させるのは筋力ではなく、肉体の「再生機能」である。
(よし、痛みが引いてきた。次に骨の罅と、腫れを引けば……)
ナイの右腕が回復魔法を発動した時と同じように光り輝き、右腕の怪我は跡形もなく消えてしまう。ナイは目を開くとそこにはいつも通りの右腕が存在し、僅か10秒足らずで怪我を治す事に成功した。
「よし、治った」
「えっ……えっ!?」
「嘘っ!?あんなに腫れてたのに……」
「な、何だと!?馬鹿な、どういう事だ!?」
「ギャギャッ……!?」
部屋の中の全員がナイの声を聞いて振り返ると、そこには右腕を完治させたナイの姿が存在し、何事もなかったように退魔刀を持ち上げる。それを見た誰もがは信じられない表情を浮かべ、その一方でナイはガーゴイルに睨みつける。
怪我の治療のために魔力は消耗したが、それでも戦う事には問題なく、改めてナイはガーゴイルと向き合う。相手が石像の化物であろうと、ナイは一年以上も前に自分の身の丈を越える巨岩を破壊し続けた実績がある。
(思い出すんだ、修行してきた日々を……)
鋼鉄のような硬度を誇る赤毛熊を倒すため、ナイは毎日旋斧で岩を破壊する修行を行い、一撃で巨岩を破壊するだけの攻撃力を手にした。ガーゴイルが石像の化物だとしたら岩を破壊するナイに破壊できないはずがない。
「二人とも、下がって」
「う、うん……」
「大丈夫なの……?」
「く、くそっ……ガーゴイル!!そいつを殺せ!!」
『ギャアアアッ!!』
ヒナとモモを下がらせるとナイは退魔刀を構え、それを見たバーリはガーゴイルに命令する。その声に反応する様にガーゴイルは駆け出すと、それに対してナイは退魔刀を両手で握り締めて上段に構えた。
この時にナイは子供の頃に岩に向けて旋斧を叩き込む日々を思い出し、あの頃よりもナイは筋力を身に付け、剛力の技能も強化されていた。今ならば巨岩どころか鉄の塊だろうと叩き斬る事が出来る気がした。
(――ぶっ壊す!!)
相手を石像の化物だろうと構わず、ナイは子供の時のように巨岩に対して全力で剣を振り回す。その結果、ナイの放った退魔刀の刃はガーゴイルの頭部に食い込み、そのまま肉体を一刀両断した。
「円斧!!」
『アガァッ……!?』
上半身と下半身を真っ二つに切り裂かれたガーゴイルは何が起きたのか分からず、二つに分かれた肉体は床に倒れ込む。この時にガーゴイルの腹の部分に埋め込まれていた紫色の魔石も真っ二つに切り裂かれ、光を失う――
※今回は短めですが、ここまでにしておきます。
10
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる