貧弱の英雄

カタナヅキ

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王都での騒動

第198話 強行突破

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「なっ!?き、貴様等……どうして!?」
「ゴウさんとダンさんは……」
「まさか、やられたというのか!?」


兵士達は書斎からゴウとダンではなく、ナイ達だけが現れた事に驚きく。彼等二人はこの屋敷に雇われている傭兵の中では指折りの実力者であり、兵士達は二人がナイ達を捕まえて出てくると信じて待機していた。しかし、予想に反して出てきたのはナイ達だけである。。


「た、隊長!!どうしますか!?」
「くっ……怯えるな、たかが子供だ!!数で押し切れ!!」
「子供だからって舐めてると痛い目に遭いますよ」


兵士の隊長の言葉を聞いてナイは笑みを浮かべ、背中の退魔刀を引き抜く。その退魔刀を見た兵士達は唖然とした表情を浮かべ、普通の子供が扱える大きさの武器ではない。


「あ、あんな大きな剣を軽々と……」
「ど、どれだけのレベルがあればあんな物を片手で持ち上げられるんだ……」
「お、怯えるなと言っただろう!!あんな物、扱えるはずが……」
「ふんっ!!」


ナイは兵士達に踏み込むと、片腕だけで大剣を振り払う。その結果、刃の腹の部分を受けた兵士達は次々と吹き飛び、通路の左右の壁や天井にまで吹き飛ばされる。


「「「ぎゃああああっ!?」」」
「ひいいっ!?」
「ば、化物だ!!」
「何だこいつ、巨人族のハーフか!?」
「ば、馬鹿な……!?」


退魔刀の一撃で一気に数名の兵士が戦闘不能に追い込まれ、他の兵士達は怖気づく。隊長もナイの腕力を見て信じられない表情を浮かべるが、その一方でミイナの方もナイに負けじと如意斧を振りかざす。


「流石はナイ……なら、今度は私の番」
「な、何だ……あの戦斧は!?」
「柄がどんどんと長く……!?」


ミイナは如意斧を構えると、彼女の意志に反応するように柄の部分が伸びていき、最終的にはナイの大剣よりもリーチが長くなる。彼女は柄を伸ばした如意斧を兵士達に叩き込む。

先ほどと同じように兵士達は吹き飛び、今度は窓を破壊して外へ放り出される兵士もいた。窓が割れるを音を聞いて外で待機していた兵士達も異変に気付き、何事かと様子を伺う。


「「「いぎゃあああっ!?」」」
「うわっ!?」
「な、何だ!?侵入者か!!」
「くそっ、すぐに屋敷へ向かえっ!!」


ナイとミイナの攻撃によって通路内の兵士達は蹴散らされ、残されたのは一人で頭を抱えて隅っこで震えていた隊長だけだった。隊長でありながら配下の兵士がやられる姿を見て怯えて動けない様子であり、そんな彼の姿にヒナは呆れる。


「貴方……本当に隊長なの?」
「ひいっ!?ち、近寄るな……」
「どうやら自分の立場が分かってない様ね……」
「や、止めろっ!!来ないでくれ!?」


隊長の男は腰が抜けたのか必死に壁に背中を預けて情けなく震え上がるが、そんな彼に対してミイナは如意斧を構え、バーリの居場所を問う。


「バーリは何処にいる?」
「そ、それは……だ、駄目だ!!それだけは言えない!!」
「もう、早く答えてよう!!」
「うひぃっ!?わ、分かった……話す、話すから許してくれ!!バーリ様は寝室にて寝ておられるはずだ!!この屋敷の三階にある!!」
「サン階ね……行こう!!」


隊長の言葉を聞いてナイ達は三階へ向けて移動を開始すると、残された隊長は安堵するが、倒れている兵士達に視線を向けて信じられない表情を浮かべる。


「な、何だったんだ奴等は……?」


全員未成年でありながら、信じられない力を持つ子供達に隊長は愕然とすることしか出来なかった――





――その後もナイ達は屋敷内の兵士達を蹴散らしながら進み、バーリが居るはずの寝室を探す。ノイが目を覚ませば正確な場所も分かるのだが、生憎と彼女はまだ目を覚まさない。仕方ないのでナイ達は三階の部屋を片っ端から探し回るしかなかった。


「そっちの部屋は!?」
「……いない、ここも違う」
「こっちの部屋も外れよ!!」
「もう、何処に居るの~!?隠れてないで出てきてよ!!」


部屋を見かける度にナイ達は中の様子を確認するが、バーリらしき人物は見つからない。捜索の途中も兵士達が駆けつけ、ナイ達を捕縛しようとする。


「いたぞ、あそこだ!!今度こそ捕まえろ!!」
「子供だからって油断するな!!化物みたいな力を持っているからな!!」
「女の子に対して化物なんて失礼ね!!」


通路に現れた兵士達に対してノイを抱えた状態でヒナは鉄扇を放り投げると、まるでブーメランの如く鉄扇は兵士達の前を横切り、慌てて彼等は鉄扇を回避する。


「うおっ!?な、何だっ!?」
「くそ、奇怪な技を……」
「おい、誰か弓を持ってこい!!こうなったら殺すしかない!!」
「馬鹿、止めろ!!女は殺してはならないと言われているだろ!!」


どうやら兵士達はバーリの命令でナイ以外の女性陣は捕縛する様に命じられているらしく、それがナイ達には都合が良かった。兵士達は女性陣を殺さない様に気を配らなければならないのに対し、ナイ達は遠慮せずに全力で戦えた。
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