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王都での騒動
第185話 地下牢からの脱出
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「ひ、酷い……」
「このままだと私達もここに捕まった人間のように酷い目に遭わされるはね……それにしてもこんな血文字も消さずに残しているあたり、バーリの奴は相当に悪趣味ね」
「う~んっ……まだ頭がくらくらして力が入らないよう」
ヒナは悔しそうに牢の鉄格子を蹴りつけ、モモの方は睡眠華の影響が残っているのか気分が悪そうだった。一方でナイの方は自分の手足の縄に視線を向け、これさえどうにかすれば服の中に隠していた刺剣を利用して皆を解放できる。
実を言えばナイはダンに捕まったのはわざとであり、最初の不意打ちを受けた際に気絶したふりをした。受け身と頑丈を身に着けていたお陰でダンの攻撃など大して効いておらず、わざと捕まってミイナの元にまで運んでもらおうと賭けに出た。
(あの人……何をしたんだ?姿が消えたと思ったら、いつの間にか攻撃を受けていたし……)
しかし、最初の不意打ちを避けられなかったのは事実であり、ナイはダンが何を仕掛けたのか分からなかった。一応はダンに受けた攻撃による怪我はないが、バーリの指示があったからこそダンはナイを気絶させる程度で済ませた。しかし、もしも彼が本気で殺すつもりだったら最初の一撃でナイは死んでいた可能性もある。
「ダン、とか言われてたな……何者だろう」
「ダン?ダンがどうかしたの?」
「えっ?ミイナさん、ダンを知ってるんですか?」
「……名前なら聞いた事がある、傭兵の間では「疾風のダン」と呼ばれている男。私はそいつにやられた」
「ミイナさんも!?」
ミイナによると彼女はダンに敗れて捕まったらしく、本人は悔しそうに彼と戦った時の事を話す。ミイナはヒイロを逃がす際に暗殺者集団と対峙していたのだが、ここでダンが現れた。
『どうも……あんたが噂に聞く王国騎士見習いかい』
『……貴方、誰?』
『ははっ、俺の事を知らないか……こう見えても同業者には疾風と呼ばれてるんだけどな』
『疾風……まさか、疾風のダン?』
ダンの噂はミイナも耳にした事があり、凄腕の傭兵だと聞いていた。そんな傭兵がどうして自分の前に現れたのかと思ったが、ダンの目的はミイナを捕まえる事らしい。
『あんた、うちと繋がりがある連中を捕まえたんだろう?悪いけど、そいつらが捕まると色々と面倒になるんでね……だからこっちも手を打つ必要があるわけだ』
『言っている意味が分からない』
『あんたは王国騎士見習いだが、王子とも繋がりがあるはずだ。噂は聞いているぜ?あんたともう一人の王国騎士見習いは王子と仲が良いんだろう?だったらあんたを人質にして王子と取引を行おうと思ってな』
『……そんな事、出来るはずがない』
『それが出来るんだよ。あんたを調教してうちの主人の操り人形にした後、王子の元に送り届ける。そうすれば王子を捕まえる事も容易い、その後は……どうなると思う?』
『ふざけないで……!!』
自分を利用して仕えている主人の命を狙おうとするダンに対し、ミイナは怒りを抱く。だが、そんな彼女に対してダンは余裕の笑みを浮かべた。
この時にミイナはダンに切りかかろうとしたが、ナイの時と同じく、ダンの姿が一瞬にして消えてしまう。彼女が戸惑う間にダンはミイナの背後へ移動を行い、彼女の首筋に短剣の柄を叩き込む。
『遅い』
『うあっ――!?』
こうしてミイナはダンに敗れて意識を失う。彼女の目でもダンの動きは捉えきれず、呆気なく破れてしまったという。
「……あの男が何をしたのか分からない。でも、まるで透明人間のように消えた。そう思った次の瞬間には背後を取られていた」
「それって……超高速で動いて背後に移動したんじゃないの?」
「その可能性もある……でも、何か変な気がする。何かを見落としたような気が……」
「いや、その話を聞いて分かりました。あの男が何をしたのか……」
「え、本当に!?凄いね、ナイ君!!私は全然分からないよ~」
「貴方も少しは考えなさいよ……」
ナイはミイナの言葉を聞いてダンの動きが彼女でも捉えられなかった事、そして自分と同じように気絶に追い込まれた事を知って確信を抱く
もしもナイの予測が合っていた場合、次にダンに遭遇した時はナイは彼を打ち破る方法があった。だが、これはあくまでもナイの予測が正しかった場合であり、もしも失敗すれば今度こそ命を取られるかもしれない。
(色々と考える前にまずは脱出だな。とりあえず、この縄を何とかしないと)
ナイは自分の手足に巻き付かれている縄に視線を向け、この程度ならば問題ないと悟り、剛力の技能を発動して両腕と両足に力を込める。すると縄は簡単に引きちぎれ、ナイは自由を得た。
「ふんっ!!」
「えっ!?嘘でしょ!?」
「流石……」
「ナイ君、凄い!?」
簡単に縄を引きちぎって立ち上がったナイを見て他の三人は驚くが、すぐにナイは服の中に隠していた刺剣を取り出すと、まずはヒナとモモを縛り付けている縄を斬る。怪しまれない様に刺剣は一本しか持ち込んでおらず、これが唯一の武器となる。
「このままだと私達もここに捕まった人間のように酷い目に遭わされるはね……それにしてもこんな血文字も消さずに残しているあたり、バーリの奴は相当に悪趣味ね」
「う~んっ……まだ頭がくらくらして力が入らないよう」
ヒナは悔しそうに牢の鉄格子を蹴りつけ、モモの方は睡眠華の影響が残っているのか気分が悪そうだった。一方でナイの方は自分の手足の縄に視線を向け、これさえどうにかすれば服の中に隠していた刺剣を利用して皆を解放できる。
実を言えばナイはダンに捕まったのはわざとであり、最初の不意打ちを受けた際に気絶したふりをした。受け身と頑丈を身に着けていたお陰でダンの攻撃など大して効いておらず、わざと捕まってミイナの元にまで運んでもらおうと賭けに出た。
(あの人……何をしたんだ?姿が消えたと思ったら、いつの間にか攻撃を受けていたし……)
しかし、最初の不意打ちを避けられなかったのは事実であり、ナイはダンが何を仕掛けたのか分からなかった。一応はダンに受けた攻撃による怪我はないが、バーリの指示があったからこそダンはナイを気絶させる程度で済ませた。しかし、もしも彼が本気で殺すつもりだったら最初の一撃でナイは死んでいた可能性もある。
「ダン、とか言われてたな……何者だろう」
「ダン?ダンがどうかしたの?」
「えっ?ミイナさん、ダンを知ってるんですか?」
「……名前なら聞いた事がある、傭兵の間では「疾風のダン」と呼ばれている男。私はそいつにやられた」
「ミイナさんも!?」
ミイナによると彼女はダンに敗れて捕まったらしく、本人は悔しそうに彼と戦った時の事を話す。ミイナはヒイロを逃がす際に暗殺者集団と対峙していたのだが、ここでダンが現れた。
『どうも……あんたが噂に聞く王国騎士見習いかい』
『……貴方、誰?』
『ははっ、俺の事を知らないか……こう見えても同業者には疾風と呼ばれてるんだけどな』
『疾風……まさか、疾風のダン?』
ダンの噂はミイナも耳にした事があり、凄腕の傭兵だと聞いていた。そんな傭兵がどうして自分の前に現れたのかと思ったが、ダンの目的はミイナを捕まえる事らしい。
『あんた、うちと繋がりがある連中を捕まえたんだろう?悪いけど、そいつらが捕まると色々と面倒になるんでね……だからこっちも手を打つ必要があるわけだ』
『言っている意味が分からない』
『あんたは王国騎士見習いだが、王子とも繋がりがあるはずだ。噂は聞いているぜ?あんたともう一人の王国騎士見習いは王子と仲が良いんだろう?だったらあんたを人質にして王子と取引を行おうと思ってな』
『……そんな事、出来るはずがない』
『それが出来るんだよ。あんたを調教してうちの主人の操り人形にした後、王子の元に送り届ける。そうすれば王子を捕まえる事も容易い、その後は……どうなると思う?』
『ふざけないで……!!』
自分を利用して仕えている主人の命を狙おうとするダンに対し、ミイナは怒りを抱く。だが、そんな彼女に対してダンは余裕の笑みを浮かべた。
この時にミイナはダンに切りかかろうとしたが、ナイの時と同じく、ダンの姿が一瞬にして消えてしまう。彼女が戸惑う間にダンはミイナの背後へ移動を行い、彼女の首筋に短剣の柄を叩き込む。
『遅い』
『うあっ――!?』
こうしてミイナはダンに敗れて意識を失う。彼女の目でもダンの動きは捉えきれず、呆気なく破れてしまったという。
「……あの男が何をしたのか分からない。でも、まるで透明人間のように消えた。そう思った次の瞬間には背後を取られていた」
「それって……超高速で動いて背後に移動したんじゃないの?」
「その可能性もある……でも、何か変な気がする。何かを見落としたような気が……」
「いや、その話を聞いて分かりました。あの男が何をしたのか……」
「え、本当に!?凄いね、ナイ君!!私は全然分からないよ~」
「貴方も少しは考えなさいよ……」
ナイはミイナの言葉を聞いてダンの動きが彼女でも捉えられなかった事、そして自分と同じように気絶に追い込まれた事を知って確信を抱く
もしもナイの予測が合っていた場合、次にダンに遭遇した時はナイは彼を打ち破る方法があった。だが、これはあくまでもナイの予測が正しかった場合であり、もしも失敗すれば今度こそ命を取られるかもしれない。
(色々と考える前にまずは脱出だな。とりあえず、この縄を何とかしないと)
ナイは自分の手足に巻き付かれている縄に視線を向け、この程度ならば問題ないと悟り、剛力の技能を発動して両腕と両足に力を込める。すると縄は簡単に引きちぎれ、ナイは自由を得た。
「ふんっ!!」
「えっ!?嘘でしょ!?」
「流石……」
「ナイ君、凄い!?」
簡単に縄を引きちぎって立ち上がったナイを見て他の三人は驚くが、すぐにナイは服の中に隠していた刺剣を取り出すと、まずはヒナとモモを縛り付けている縄を斬る。怪しまれない様に刺剣は一本しか持ち込んでおらず、これが唯一の武器となる。
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