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逃れられぬ運命
第158.5話 修行の旅
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――村を離れてから一か月ほど経過した頃、ナイはとある森で修行を行っていた。一か月前の戦闘でナイは戦闘の勘を取り戻したが、今後は技能が錆びないように毎日欠かさず訓練を行うことにした。
「ふうっ……ふうっ……もう一回!!」
「クゥ~ンッ……」
全身汗だくになりながらナイは旋斧を構え、その状態で剛力を発動させた。これまでの戦闘では攻撃の際にだけ剛力を発動させていたが、マホから言われた言葉を思い出す。
(技能は使えば使う程に強化される……それなら剛力だってもっと強くできるはずだ)
先日にナイは「隠密」と「無音歩行」の技能を極めたと思われる白銀級冒険者の兄妹と遭遇した。あの時の彼等は屋根の上から飛び降りても音も立てずに着地し、常に隠密を発動させていたことで存在感を消していた。
二人と同じ技能を覚えているはずのナイでも兄妹の真似はとてもできないが、もしもナイが隠密と無音歩行の技能を極めればきっと同じことができるはずだった。だが、ナイが最も利用するのは「剛力」の技能であり、この技能を更に極めるために練習を行う。
(一瞬で発動させるだけじゃ駄目だ……もっと長く、そして今以上の力を引き出せるようにならないと)
剛力の技能を磨くためにナイは発動時間を伸ばす練習を行い、それと同時に今まで以上の力を引き出すために身体を鍛える。この訓練は肉体の負荷が大きいが、それに備えて山で集めた薬草からイーシャン直伝の「丸薬」を作り出す。
(薬草なら森や山に行けば手に入るし、一角兎を倒せば滋養強壮剤も作れる)
採取の技能のお陰で薬草を見つけることは困難ではなく、一角兎などの魔物は最近ではどこでも住んでいるので身体を癒すための薬を用意するのは問題なかった。調合の技能も前よりも磨かれ、作り出す薬の効果も高まっている気がする。
「もっと強くならないと……」
「クォオッ……」
真剣に訓練を行うナイに対して相棒のビャクは暇なのか眠たそうに欠伸を行う。呑気に過ごす相棒の姿にナイはため息を吐くが、マホの弟子たちを思い出す。
(あの三人は本当に強かった。多分、全員が赤毛熊にも勝てるだろうな……)
ナイは赤毛熊を倒せたのは運の要素が大きく、入念な準備を行っていたというのに危うく殺されかけた場面もあった。もしもビャクが居なければナイは今頃は死んでいただろう。
魔導士のマホの弟子たちは三人とも今のナイでは敵わない実力者だった。マホの魔弓術、ゴンザレスの超怪力、ガロの高速の剣技、どれもナイが持ち合わせない素晴らしい能力である。この三人なら赤毛熊を相手に一人で戦っても勝てるかもしれない。
(ゴンザレス君とガロ君は俺と年齢はそう変わらないんだ。まあ、二人とも巨人族と獣人族だけど……)
人間と違って巨人族と獣人族は生まれながらに優れた身体能力を誇り、いくら身体を鍛えてもレノでは二人に追いつけないかもしれない。だが、それでもレノは強くなることを諦めずに訓練に集中する。
「もっと使いこなすんだ……俺の技能を」
貧弱という異能によって手に入れた数多の技能を極め、ナイはもう大切な人を守れるだけの実力を身に着けるために修行に専念した――
「ふうっ……ふうっ……もう一回!!」
「クゥ~ンッ……」
全身汗だくになりながらナイは旋斧を構え、その状態で剛力を発動させた。これまでの戦闘では攻撃の際にだけ剛力を発動させていたが、マホから言われた言葉を思い出す。
(技能は使えば使う程に強化される……それなら剛力だってもっと強くできるはずだ)
先日にナイは「隠密」と「無音歩行」の技能を極めたと思われる白銀級冒険者の兄妹と遭遇した。あの時の彼等は屋根の上から飛び降りても音も立てずに着地し、常に隠密を発動させていたことで存在感を消していた。
二人と同じ技能を覚えているはずのナイでも兄妹の真似はとてもできないが、もしもナイが隠密と無音歩行の技能を極めればきっと同じことができるはずだった。だが、ナイが最も利用するのは「剛力」の技能であり、この技能を更に極めるために練習を行う。
(一瞬で発動させるだけじゃ駄目だ……もっと長く、そして今以上の力を引き出せるようにならないと)
剛力の技能を磨くためにナイは発動時間を伸ばす練習を行い、それと同時に今まで以上の力を引き出すために身体を鍛える。この訓練は肉体の負荷が大きいが、それに備えて山で集めた薬草からイーシャン直伝の「丸薬」を作り出す。
(薬草なら森や山に行けば手に入るし、一角兎を倒せば滋養強壮剤も作れる)
採取の技能のお陰で薬草を見つけることは困難ではなく、一角兎などの魔物は最近ではどこでも住んでいるので身体を癒すための薬を用意するのは問題なかった。調合の技能も前よりも磨かれ、作り出す薬の効果も高まっている気がする。
「もっと強くならないと……」
「クォオッ……」
真剣に訓練を行うナイに対して相棒のビャクは暇なのか眠たそうに欠伸を行う。呑気に過ごす相棒の姿にナイはため息を吐くが、マホの弟子たちを思い出す。
(あの三人は本当に強かった。多分、全員が赤毛熊にも勝てるだろうな……)
ナイは赤毛熊を倒せたのは運の要素が大きく、入念な準備を行っていたというのに危うく殺されかけた場面もあった。もしもビャクが居なければナイは今頃は死んでいただろう。
魔導士のマホの弟子たちは三人とも今のナイでは敵わない実力者だった。マホの魔弓術、ゴンザレスの超怪力、ガロの高速の剣技、どれもナイが持ち合わせない素晴らしい能力である。この三人なら赤毛熊を相手に一人で戦っても勝てるかもしれない。
(ゴンザレス君とガロ君は俺と年齢はそう変わらないんだ。まあ、二人とも巨人族と獣人族だけど……)
人間と違って巨人族と獣人族は生まれながらに優れた身体能力を誇り、いくら身体を鍛えてもレノでは二人に追いつけないかもしれない。だが、それでもレノは強くなることを諦めずに訓練に集中する。
「もっと使いこなすんだ……俺の技能を」
貧弱という異能によって手に入れた数多の技能を極め、ナイはもう大切な人を守れるだけの実力を身に着けるために修行に専念した――
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