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逃れられぬ運命
第135話 儂の弟子にならぬか?
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「ナイ、お主が覚えた技能の中には肉体を強化する技能をいくつか習得しておるな?」
「あ、はい。結構ありますけど……」
「肉体強化系の技能を身に付けた事、聖属性の魔力は身体機能を強化する効果がある事、この二つは無関係ではない。お主が肉体強化系の技能を覚える度に体内の聖属性の魔力も同時に増えておる。しかもレベルを上げる事によって技能が強化され、同時に魔力の方も成長しておる……今のお主の魔力は我が弟子たちよりも上じゃ」
「えっ!?師匠、それは私よりも上なのですか!?」
「そうじゃ。最もお主とナイの場合では魔力の質が異なるがな」
マホによるとナイは複数の肉体強化系の技能(剛力や腕力強化など)を覚えた事により、いつの間にか聖属性の魔力量も増えていたらしい。その魔力の大きさはマホの弟子であるエルマよりも上らしく、彼女は心の底から驚く。
森人族であるエルマは普通の人間よりも魔法の才能が優れているが、ナイの場合は人間でありながら彼女を越える程の魔力を持っているという。但し、ナイの場合は「聖属性」の魔力に特化しているのに対してエルマの場合は「風属性」の魔力のため、一概にもどちらが優れているとは言えない。
「随分と話は長くなったが、お主の肉体強化系の技能が強化される度に聖属性の魔力も強くなっておるという事じゃ。しかし、惜しい事にお主は聖属性の魔力を使いこなしておらん」
「えっ……でも、回復魔法は使えますよ?」
「うむ、確かにその通りじゃ。お主の魔力量ならば初級の回復魔法でも十分な効果を発揮するじゃろう。しかし、回復魔法以外にも他の使い道がある」
「それは……浄化魔法の事ですか?」
聖属性の魔法は他者を癒すだけではなく、悪霊などの存在を浄化させる魔法がある事は先ほども話した。しかし、浄化魔法は高等魔法のため、陽光教会に所属する人間でも浄化魔法を扱える者は少ない。だからこそナイも習ってはいなかったのだが、マホが言いたいのはそういう事ではないらしい。
「いいや、もう一つあるじゃろう?さっきも言ったが聖属性の魔力は身体機能を強化する効果もある……ならば、その性質を生かして自分の身体能力を強化しようとは思わんのか?」
「え、でも……そんな事が出来るんですか?」
「何を言っておる。現にお主は何度か使っているはずじゃ。剛力などの技能を発動させる際、肉体を強化する際に魔力を無意識に使用している事に気付いておらんのか」
「あっ……」
ナイは言われてみれば剛力を発動させる際、身体能力を一時的に強化している事を思い出す。確かに剛力が身体機能を強化させる技能ならば聖属性の魔力を消費していてもおかしくはない。
だが、この理論だとナイは剛力を発動させる度に既に聖属性の魔力を利用している事になる。そうなるとマホの聖属性の魔力を使いこなしていないという言葉に矛盾すると思われるが、マホによるとナイの場合は使い方が下手だという。
「お主が魔力を真に使いこなす方法、それを伝授してやってもよい。その方法を学べばお主はもっと強くなれるだろう」
「強く……」
「この方法は本来は秘伝なのだが……アルの孫というのであれば特別じゃ。お主、儂の弟子にならんか?」
「おおっ!!」
「し、師匠!?本気ですか!?」
ナイを自分の弟子に勧誘したマホにゴンザレスとエルマは驚き、彼女が弟子を勧誘するなど珍しい事らしい。その一方でナイはマホの弟子になればもっと強くなれる方法を学べるという言葉に悩む。
(これからの戦い、もっと強い魔物と戦うかもしれない。それならここで弟子になった方が良いかも……)
大切な人たちを守るため、魔物に対抗する力を得るためにナイはマホの提案を受け入れて弟子になろうかと考えた時、ここで3人の元に駆け寄る人物が現れた。それはマホの弟子のガロであり、彼は血相を変えて駆けつけてきた。
「婆さん!!あんた、このガキを弟子に加えるつもりか!?何を考えてやがる!!」
「ガロ……お主、盗み聞きしておったのか」
「ガロ……君?」
犬型の獣人族であるガロは人間よりも耳が良いため、彼はどうやら離れた場所から盗み聞きしていたらしく、マホがナイを弟子に勧誘した事が不満なのか二人を睨みつける。
急に現れたガロが睨みつけてきた事にナイは戸惑うが、ガロは彼を押し退けてマホの元へ向かい、ナイを指差しながら怒鳴りつけた。
「さっきから聞いていればこんなガキが俺よりも魔力を持っているだと!?ふざけやがって、そんな話があるか!!」
「ふざけてはおらん。この子の魔力量はお主よりも上回っておる」
「馬鹿な、ただの人間にそれだけの力が手に入るはずがねえっ!!」
「ガロ、お主が認めようと認めまいとナイが弟子になるかどうかは儂とナイが決める事じゃ。お主に口出しする権利はない」
「うぐっ……」
マホは語気を強めてガロに語り掛けると、流石のガロもマホの威圧に気圧される。しかし、すぐに彼はナイを指差す。
「あ、はい。結構ありますけど……」
「肉体強化系の技能を身に付けた事、聖属性の魔力は身体機能を強化する効果がある事、この二つは無関係ではない。お主が肉体強化系の技能を覚える度に体内の聖属性の魔力も同時に増えておる。しかもレベルを上げる事によって技能が強化され、同時に魔力の方も成長しておる……今のお主の魔力は我が弟子たちよりも上じゃ」
「えっ!?師匠、それは私よりも上なのですか!?」
「そうじゃ。最もお主とナイの場合では魔力の質が異なるがな」
マホによるとナイは複数の肉体強化系の技能(剛力や腕力強化など)を覚えた事により、いつの間にか聖属性の魔力量も増えていたらしい。その魔力の大きさはマホの弟子であるエルマよりも上らしく、彼女は心の底から驚く。
森人族であるエルマは普通の人間よりも魔法の才能が優れているが、ナイの場合は人間でありながら彼女を越える程の魔力を持っているという。但し、ナイの場合は「聖属性」の魔力に特化しているのに対してエルマの場合は「風属性」の魔力のため、一概にもどちらが優れているとは言えない。
「随分と話は長くなったが、お主の肉体強化系の技能が強化される度に聖属性の魔力も強くなっておるという事じゃ。しかし、惜しい事にお主は聖属性の魔力を使いこなしておらん」
「えっ……でも、回復魔法は使えますよ?」
「うむ、確かにその通りじゃ。お主の魔力量ならば初級の回復魔法でも十分な効果を発揮するじゃろう。しかし、回復魔法以外にも他の使い道がある」
「それは……浄化魔法の事ですか?」
聖属性の魔法は他者を癒すだけではなく、悪霊などの存在を浄化させる魔法がある事は先ほども話した。しかし、浄化魔法は高等魔法のため、陽光教会に所属する人間でも浄化魔法を扱える者は少ない。だからこそナイも習ってはいなかったのだが、マホが言いたいのはそういう事ではないらしい。
「いいや、もう一つあるじゃろう?さっきも言ったが聖属性の魔力は身体機能を強化する効果もある……ならば、その性質を生かして自分の身体能力を強化しようとは思わんのか?」
「え、でも……そんな事が出来るんですか?」
「何を言っておる。現にお主は何度か使っているはずじゃ。剛力などの技能を発動させる際、肉体を強化する際に魔力を無意識に使用している事に気付いておらんのか」
「あっ……」
ナイは言われてみれば剛力を発動させる際、身体能力を一時的に強化している事を思い出す。確かに剛力が身体機能を強化させる技能ならば聖属性の魔力を消費していてもおかしくはない。
だが、この理論だとナイは剛力を発動させる度に既に聖属性の魔力を利用している事になる。そうなるとマホの聖属性の魔力を使いこなしていないという言葉に矛盾すると思われるが、マホによるとナイの場合は使い方が下手だという。
「お主が魔力を真に使いこなす方法、それを伝授してやってもよい。その方法を学べばお主はもっと強くなれるだろう」
「強く……」
「この方法は本来は秘伝なのだが……アルの孫というのであれば特別じゃ。お主、儂の弟子にならんか?」
「おおっ!!」
「し、師匠!?本気ですか!?」
ナイを自分の弟子に勧誘したマホにゴンザレスとエルマは驚き、彼女が弟子を勧誘するなど珍しい事らしい。その一方でナイはマホの弟子になればもっと強くなれる方法を学べるという言葉に悩む。
(これからの戦い、もっと強い魔物と戦うかもしれない。それならここで弟子になった方が良いかも……)
大切な人たちを守るため、魔物に対抗する力を得るためにナイはマホの提案を受け入れて弟子になろうかと考えた時、ここで3人の元に駆け寄る人物が現れた。それはマホの弟子のガロであり、彼は血相を変えて駆けつけてきた。
「婆さん!!あんた、このガキを弟子に加えるつもりか!?何を考えてやがる!!」
「ガロ……お主、盗み聞きしておったのか」
「ガロ……君?」
犬型の獣人族であるガロは人間よりも耳が良いため、彼はどうやら離れた場所から盗み聞きしていたらしく、マホがナイを弟子に勧誘した事が不満なのか二人を睨みつける。
急に現れたガロが睨みつけてきた事にナイは戸惑うが、ガロは彼を押し退けてマホの元へ向かい、ナイを指差しながら怒鳴りつけた。
「さっきから聞いていればこんなガキが俺よりも魔力を持っているだと!?ふざけやがって、そんな話があるか!!」
「ふざけてはおらん。この子の魔力量はお主よりも上回っておる」
「馬鹿な、ただの人間にそれだけの力が手に入るはずがねえっ!!」
「ガロ、お主が認めようと認めまいとナイが弟子になるかどうかは儂とナイが決める事じゃ。お主に口出しする権利はない」
「うぐっ……」
マホは語気を強めてガロに語り掛けると、流石のガロもマホの威圧に気圧される。しかし、すぐに彼はナイを指差す。
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