133 / 1,110
逃れられぬ運命
第133話 技能の強化
しおりを挟む
「ナイ、お主は最初の頃と比べてレベルが上がりにくくなっておるのではないか?」
「えっ……」
「例えば新しい技能を覚える度、レベルを上げるのに必要な魔物を倒す数が増えたとか……心当たりはあるか?」
「……あっ!?」
ナイはマホの言葉を聞いて思い出す。それは村で魔物を狩っていた頃、何故か最初の頃と比べて魔物を倒しても簡単にはレベルが上がらなくなった。
子供の頃は一角兎を倒すだけでナイはレベルを上げていたが、習得した技能の数が増える度にレベル上げに必要な魔物の数が増えていった。
当時のナイも魔物を倒してもレベルが上がりにくくなった事に気付いていたが、その原因までは分からなかった。肉体が成長するとレベルを上げるのに必要な経験値が増えるのかと思ったが、確かにマホの言う通りに技能を多数覚えてからレベル上げに必要な経験値の量が増加したような気がする。
「やはりな……ふむ、どうやらお主は気づいていないようだが実は技能を覚えれば覚える程、レベルが上がるのに必要な経験値が多くなるのじゃ」
「そ、そうだったんですか……でも、どうして?」
「理由は簡単じゃ、レベルが上がる度に技能も強化されるからじゃ」
「え、技能が……強化?」
「ああ、その話なら聞いた事があります!!」
「俺もだ……だが、本当の話だったのか」
マホの言葉を聞いてエルマとゴンザレスは心当たりがあるらしく、彼等は技能が強化される事を知っていたらしい。しかし、ナイの方は身に付けた技能が強化されるなど初めて知った。
「ちょっと待ってください、技能って……強化できるんですか?」
「うむ、一般人にはあまり知られておらんが技能はレベルが上がれば強化される。というか、お主は気づいておらんのか?例えばそうじゃな……跳躍の技能を覚えているといったな。ならば最初に覚えた時と今を比べてみたらどっちの方が高く跳べる?」
「それは……今ですね」
ナイはマホの言葉を聞いて考え、確かに跳躍の技能を覚えたばかりの頃と比べ、今の方が跳躍を発動させる際の飛距離が伸びているのは確かだった。それ以外にも移動速度や低空跳躍なども、昔はできなかった事も行えるようになった。
「そうであろうな。他の技能も覚えたばかりの頃と比べて、性能が上がっているのではないか?」
「……言われてみれば確かにそんな気がします」
跳躍以外の技能も昔と比べて性能が上がっているように感じられ、特に「剛力」が最も強化されているように感じた。この剛力のお陰でナイは赤毛熊のような化物にも勝てた。
他にも剛力は跳躍などの他の技能と組み合わせる事もできるようになり、最もナイが利用している技能である。更に剛力を覚えてからナイ自身の素の身体能力も上がっているように思われた。
「お主がレベル1でありながら魔物と互角以上に戦える理由、それは技能が強化されておるからじゃ。そして強化された技能は衰える事はない」
「え、でも……ずっと使用していなかった技能は使えなかった事もありますけど」
「それは使い方を一時的に忘れてただけに過ぎん。技能の性能その物は変わっておらんはずじゃ。そしてここからが重要な話になるが、技能が強化する方法は二つに限られる。一つ目は技能を多用する事、もう一つは経験値を得てレベルを上げる事じゃな」
「多用する事と、レベルを上げる事……」
「ナイよ、お主は何度もレベルを上げ、その度に貧弱の効果でレベルは1に戻された。しかし、貧弱の効果はレベルを下げる事はあってもレベルの上昇によって強化された技能までは元に戻す効果はない。だからこそお主はレベルが戻っても大して身体能力が低下せず、むしろレベルを上げる事を繰り返す事で肉体自体はより強靭になっておるのじゃ。儂の見立てでは恐らくお主はレベル50の戦士にも劣らぬ力を持っておる」
「レベル50!?一流の冒険者でもそこまでレベルに達した人はそうはいませんよ!?」
話を聞き終えたナイは驚いた様子で自分の掌に視線を向け、言われてみれば確かに子供の時と比べてもナイの肉体は頑強に育ち、巨人族のゴンザレスを蹴り飛ばす程の力を身に付けていた。これも貧弱の技能の恩恵と言えなくもないが、マホはここでナイに注意を行う。
「だが、その反面にお主は技能を覚え過ぎたせいでレベルが上がりにくい状態に陥っておる」
「あれ、そういえば……どうしてレベルが上がりにくくなったんですか?」
「結論から言えばお主が覚えた技能のせいじゃ……技能は覚える度にレベルを上げる際に必要な経験値の量が増加する。だからこそ常人の何倍も技能を習得しているお主はその分にレベル上げに必要な経験値の絶対量も増えておるのだ」
「えっ……ええっ!?」
技能を習得した場合、レベルの上昇に必要な経験値の絶対量が増える事をナイは初めて知り、現在のナイは最初の頃と比べてもレベルが非常に上がりにくい状態に陥っていた。
※やっとナイの肉体の秘密を明かせました。この話を持っていくのにどれだけ時間が掛かったか……(;´・ω・)
「えっ……」
「例えば新しい技能を覚える度、レベルを上げるのに必要な魔物を倒す数が増えたとか……心当たりはあるか?」
「……あっ!?」
ナイはマホの言葉を聞いて思い出す。それは村で魔物を狩っていた頃、何故か最初の頃と比べて魔物を倒しても簡単にはレベルが上がらなくなった。
子供の頃は一角兎を倒すだけでナイはレベルを上げていたが、習得した技能の数が増える度にレベル上げに必要な魔物の数が増えていった。
当時のナイも魔物を倒してもレベルが上がりにくくなった事に気付いていたが、その原因までは分からなかった。肉体が成長するとレベルを上げるのに必要な経験値が増えるのかと思ったが、確かにマホの言う通りに技能を多数覚えてからレベル上げに必要な経験値の量が増加したような気がする。
「やはりな……ふむ、どうやらお主は気づいていないようだが実は技能を覚えれば覚える程、レベルが上がるのに必要な経験値が多くなるのじゃ」
「そ、そうだったんですか……でも、どうして?」
「理由は簡単じゃ、レベルが上がる度に技能も強化されるからじゃ」
「え、技能が……強化?」
「ああ、その話なら聞いた事があります!!」
「俺もだ……だが、本当の話だったのか」
マホの言葉を聞いてエルマとゴンザレスは心当たりがあるらしく、彼等は技能が強化される事を知っていたらしい。しかし、ナイの方は身に付けた技能が強化されるなど初めて知った。
「ちょっと待ってください、技能って……強化できるんですか?」
「うむ、一般人にはあまり知られておらんが技能はレベルが上がれば強化される。というか、お主は気づいておらんのか?例えばそうじゃな……跳躍の技能を覚えているといったな。ならば最初に覚えた時と今を比べてみたらどっちの方が高く跳べる?」
「それは……今ですね」
ナイはマホの言葉を聞いて考え、確かに跳躍の技能を覚えたばかりの頃と比べ、今の方が跳躍を発動させる際の飛距離が伸びているのは確かだった。それ以外にも移動速度や低空跳躍なども、昔はできなかった事も行えるようになった。
「そうであろうな。他の技能も覚えたばかりの頃と比べて、性能が上がっているのではないか?」
「……言われてみれば確かにそんな気がします」
跳躍以外の技能も昔と比べて性能が上がっているように感じられ、特に「剛力」が最も強化されているように感じた。この剛力のお陰でナイは赤毛熊のような化物にも勝てた。
他にも剛力は跳躍などの他の技能と組み合わせる事もできるようになり、最もナイが利用している技能である。更に剛力を覚えてからナイ自身の素の身体能力も上がっているように思われた。
「お主がレベル1でありながら魔物と互角以上に戦える理由、それは技能が強化されておるからじゃ。そして強化された技能は衰える事はない」
「え、でも……ずっと使用していなかった技能は使えなかった事もありますけど」
「それは使い方を一時的に忘れてただけに過ぎん。技能の性能その物は変わっておらんはずじゃ。そしてここからが重要な話になるが、技能が強化する方法は二つに限られる。一つ目は技能を多用する事、もう一つは経験値を得てレベルを上げる事じゃな」
「多用する事と、レベルを上げる事……」
「ナイよ、お主は何度もレベルを上げ、その度に貧弱の効果でレベルは1に戻された。しかし、貧弱の効果はレベルを下げる事はあってもレベルの上昇によって強化された技能までは元に戻す効果はない。だからこそお主はレベルが戻っても大して身体能力が低下せず、むしろレベルを上げる事を繰り返す事で肉体自体はより強靭になっておるのじゃ。儂の見立てでは恐らくお主はレベル50の戦士にも劣らぬ力を持っておる」
「レベル50!?一流の冒険者でもそこまでレベルに達した人はそうはいませんよ!?」
話を聞き終えたナイは驚いた様子で自分の掌に視線を向け、言われてみれば確かに子供の時と比べてもナイの肉体は頑強に育ち、巨人族のゴンザレスを蹴り飛ばす程の力を身に付けていた。これも貧弱の技能の恩恵と言えなくもないが、マホはここでナイに注意を行う。
「だが、その反面にお主は技能を覚え過ぎたせいでレベルが上がりにくい状態に陥っておる」
「あれ、そういえば……どうしてレベルが上がりにくくなったんですか?」
「結論から言えばお主が覚えた技能のせいじゃ……技能は覚える度にレベルを上げる際に必要な経験値の量が増加する。だからこそ常人の何倍も技能を習得しているお主はその分にレベル上げに必要な経験値の絶対量も増えておるのだ」
「えっ……ええっ!?」
技能を習得した場合、レベルの上昇に必要な経験値の絶対量が増える事をナイは初めて知り、現在のナイは最初の頃と比べてもレベルが非常に上がりにくい状態に陥っていた。
※やっとナイの肉体の秘密を明かせました。この話を持っていくのにどれだけ時間が掛かったか……(;´・ω・)
9
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる