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忌み子と呼ばれた少年
第68話 ミスリル鉱石、採取の技能の本領発揮
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「いいか、悪ガキ。何があろうとここの事は絶対に話すなよ。もしも他の人間にばらしたら……今度は拳骨だけじゃすまないからな!!」
「わ、分かったよ……誰にも言わないって!!」
「爺ちゃん、あんまり脅かしちゃ可哀想だよ」
「ウォンッ!!」
ゴマンにアルは凄むと彼は怯えた表情を浮かべてナイの後ろに隠れ、その様子を見ていたビャクも彼を庇うように鳴き声を上げる。年齢的にはゴマンの方がナイよりも年上なのだが、これではまるでナイが親分でゴマンが子分のようだった。
アルはゴマンの態度を見てこれだけ脅しておけば誰にも話さないと思い、とりあえずは納得した。だが、この場所の秘密を他の人間に知られるとまずいのは嘘ではなく、もしも金に目がくらんだ悪党に知られたら大変な事態に陥る。
この場所の事をアルがずっと誰にも話さなかったのは他人に話すと面倒事に発展する可能性が高いと判断したからであり、こんな状況でもなければ義理の息子であるナイにも話すつもりはなかった。だが、ここを知られた以上は黙っておくわけにもいかず、アルはこの場所の秘密は決して口外しない様に厳重に注意した。
「いいか、何があろうとこの場所の事は話したら駄目だぞ!?分かったな!!」
「わ、分かったよ!!しつこいな、もう……」
「うん、誰にも言わないよ」
「よし、良い子だ!!それなら帰る前にここの鉱石をいくつか持って帰るか……ほら、お前等も手伝え」
「えっ!?僕達も!?」
「そうだよ。ほら、文句を言わずに手伝え!!」
アルはナイとゴマンにもピッケルを手渡し、それを受け取った二人は戸惑いながらも彼の作業を手伝う。その様子をビャクは不思議そうな表情で地べたに身体を預けながら見つめていた。
「たくっ、なんで僕がこんな事を……」
「いいから文句を言わずにやれ!!もしもいい鉱石を手に入れたお前の武器を作ってやってもいいんだぞ!?」
「ほ、本当か!?よし、約束だからな!!」
「ああ、約束してやるよ。だからさっさと掘れ!!」
「爺ちゃん、僕のも作ってくれるの?」
「おう、当たり前だ!!良い鉱石を掘り当てればそれだけ良い武器が作れるからな!!」
アルの言葉を聞いてナイとゴマンは俄然にやる気が上がると、二人は松明の光に反応して光り輝く鉱石の発掘を行う。だが、ピッケルで鉱石を掘ろうとするが、普通の鉱石よりも硬いのかピッケルを利用しても上手くいかない。
「くそっ、このっ……だ、駄目だ!!硬くて剥がれないぞ!?」
「せいぜい頑張れ、力をもっと籠めないとこいつは簡単には採れないからな」
「力を込める……」
ゴマンは必死にピッケルを叩きつけるが一向にミスリル鉱石が発掘できる様子がなく、その姿を見ていたナイは生半可な力ではミスリル鉱石の回収は出来ないと悟る。
それならば思い切り力を込めてピッケルを振る事にしたナイは周囲を伺い、最も強い光を放つ鉱石を発見した。鉱洞内の中でも一番輝きが強く、それが気になったナイはピッケルを構えた。
(これだ!!)
採取の技能のお陰でナイはこの一番光り輝いている鉱石が良質な素材だと気付き、ピッケルを構える。この時にナイは剛力を発動させ、勢いよく鉱石に目掛けてピッケルを振り抜く。
「ふんっ!!」
「うおっ!?」
「な、何だっ!?」
「ウォンッ!?」
ナイが全力でピッケルを叩き込むと鉱洞に振動と音が鳴り響き、それに気づいた他の者達がナイに視線を向けた。そこにはピッケルを岩壁にめり込ませたナイの姿が存在し、やがてピッケルが突き刺さった箇所から壁に亀裂が走り、埋もれていたミスリル鉱石が剥がれ落ちた。
地面に落ちたミスリル鉱石をナイは拾い上げると、鉱石の輝きが一層に強まる。その光は松明よりも強い輝きを放ち、それを見たアルは呆気に取られた表情を浮かべる。
「こ、こいつは……ナイ、それを見せてみろ!!」
「あ、うん」
「うわ、眩しいっ!?」
「クゥ~ンッ……」
ナイがミスリル鉱石を差し出すとその光でゴマンは目が眩み、ビャクの方も顔を逸らす。一方でアルの方は目元を細めながらもナイからミスリル鉱石を受け取ると、彼は身体を震わせた。
(まさか……信じられねえ、こいつは間違いなく俺が見てきた魔法鉱石の中でも最高の素材だ!!これさえあれば……とんでもない物を作り出せるぞ!!)
採取の技能によってナイが発見したミスリル鉱石は他の鉱石よりも「純度」が高く、魔法鉱石は純度が高いほどに良質な素材として扱われる。ナイが取り出したミスリル鉱石は間違いなく一級品であり、これを上手く加工すれば最高の武器や防具を作り出せる。これほどの代物を手に入れたのはナイが採取の技能を身に付けていたお陰だった。
「わ、分かったよ……誰にも言わないって!!」
「爺ちゃん、あんまり脅かしちゃ可哀想だよ」
「ウォンッ!!」
ゴマンにアルは凄むと彼は怯えた表情を浮かべてナイの後ろに隠れ、その様子を見ていたビャクも彼を庇うように鳴き声を上げる。年齢的にはゴマンの方がナイよりも年上なのだが、これではまるでナイが親分でゴマンが子分のようだった。
アルはゴマンの態度を見てこれだけ脅しておけば誰にも話さないと思い、とりあえずは納得した。だが、この場所の秘密を他の人間に知られるとまずいのは嘘ではなく、もしも金に目がくらんだ悪党に知られたら大変な事態に陥る。
この場所の事をアルがずっと誰にも話さなかったのは他人に話すと面倒事に発展する可能性が高いと判断したからであり、こんな状況でもなければ義理の息子であるナイにも話すつもりはなかった。だが、ここを知られた以上は黙っておくわけにもいかず、アルはこの場所の秘密は決して口外しない様に厳重に注意した。
「いいか、何があろうとこの場所の事は話したら駄目だぞ!?分かったな!!」
「わ、分かったよ!!しつこいな、もう……」
「うん、誰にも言わないよ」
「よし、良い子だ!!それなら帰る前にここの鉱石をいくつか持って帰るか……ほら、お前等も手伝え」
「えっ!?僕達も!?」
「そうだよ。ほら、文句を言わずに手伝え!!」
アルはナイとゴマンにもピッケルを手渡し、それを受け取った二人は戸惑いながらも彼の作業を手伝う。その様子をビャクは不思議そうな表情で地べたに身体を預けながら見つめていた。
「たくっ、なんで僕がこんな事を……」
「いいから文句を言わずにやれ!!もしもいい鉱石を手に入れたお前の武器を作ってやってもいいんだぞ!?」
「ほ、本当か!?よし、約束だからな!!」
「ああ、約束してやるよ。だからさっさと掘れ!!」
「爺ちゃん、僕のも作ってくれるの?」
「おう、当たり前だ!!良い鉱石を掘り当てればそれだけ良い武器が作れるからな!!」
アルの言葉を聞いてナイとゴマンは俄然にやる気が上がると、二人は松明の光に反応して光り輝く鉱石の発掘を行う。だが、ピッケルで鉱石を掘ろうとするが、普通の鉱石よりも硬いのかピッケルを利用しても上手くいかない。
「くそっ、このっ……だ、駄目だ!!硬くて剥がれないぞ!?」
「せいぜい頑張れ、力をもっと籠めないとこいつは簡単には採れないからな」
「力を込める……」
ゴマンは必死にピッケルを叩きつけるが一向にミスリル鉱石が発掘できる様子がなく、その姿を見ていたナイは生半可な力ではミスリル鉱石の回収は出来ないと悟る。
それならば思い切り力を込めてピッケルを振る事にしたナイは周囲を伺い、最も強い光を放つ鉱石を発見した。鉱洞内の中でも一番輝きが強く、それが気になったナイはピッケルを構えた。
(これだ!!)
採取の技能のお陰でナイはこの一番光り輝いている鉱石が良質な素材だと気付き、ピッケルを構える。この時にナイは剛力を発動させ、勢いよく鉱石に目掛けてピッケルを振り抜く。
「ふんっ!!」
「うおっ!?」
「な、何だっ!?」
「ウォンッ!?」
ナイが全力でピッケルを叩き込むと鉱洞に振動と音が鳴り響き、それに気づいた他の者達がナイに視線を向けた。そこにはピッケルを岩壁にめり込ませたナイの姿が存在し、やがてピッケルが突き刺さった箇所から壁に亀裂が走り、埋もれていたミスリル鉱石が剥がれ落ちた。
地面に落ちたミスリル鉱石をナイは拾い上げると、鉱石の輝きが一層に強まる。その光は松明よりも強い輝きを放ち、それを見たアルは呆気に取られた表情を浮かべる。
「こ、こいつは……ナイ、それを見せてみろ!!」
「あ、うん」
「うわ、眩しいっ!?」
「クゥ~ンッ……」
ナイがミスリル鉱石を差し出すとその光でゴマンは目が眩み、ビャクの方も顔を逸らす。一方でアルの方は目元を細めながらもナイからミスリル鉱石を受け取ると、彼は身体を震わせた。
(まさか……信じられねえ、こいつは間違いなく俺が見てきた魔法鉱石の中でも最高の素材だ!!これさえあれば……とんでもない物を作り出せるぞ!!)
採取の技能によってナイが発見したミスリル鉱石は他の鉱石よりも「純度」が高く、魔法鉱石は純度が高いほどに良質な素材として扱われる。ナイが取り出したミスリル鉱石は間違いなく一級品であり、これを上手く加工すれば最高の武器や防具を作り出せる。これほどの代物を手に入れたのはナイが採取の技能を身に付けていたお陰だった。
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