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忌み子と呼ばれた少年
第51話 三つ目の技能
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「グギィイイッ!!」
「うぐぅっ……!?」
ゴブリンが振り下ろした剣をナイは旋斧で受け止めようとしたが、上手く足元に力が入らず、攻撃を受けた瞬間に吹き飛ばされる。この際に旋斧が手元を離れ、ホブゴブリンは地面に倒れ込んだナイを踏みつけた。
「グギャアッ!!」
「がはぁっ!?」
「や、やばいぞ!?」
「殺されちまう!!」
ホブゴブリンに踏みつけられたナイを見て村人たちは流石に焦り、このままではナイが殺されると思った彼等は助けに向かう。もう邪魔をするゴブリンの群れは存在せず、しかも残ったホブゴブリンも片腕がなくなった状態だった。
今ならば全員が力を合わせればホブゴブリンにも勝てるかもしれない、そう考えた村の大人達はナイを助けるためにホブゴブリンの元へ向かう。だが、それを見たホブゴブリンは血走った目で睨みつけ、ホブゴブリンはナイを蹴飛ばす。
「グギィッ!!」
「ぐはっ!?」
蹴飛ばされたナイは身体が浮き上がると数メートル先まで吹き飛ばされ、地面に転がり込む。その様子を確認したホブゴブリンはもうナイが襲い掛かる事はないと判断し、自分に向かってくる村人たちに向けて剣を振り払う。
「グギャギャッ!!」
「うわぁっ!?」
「ひいっ!?」
「こ、こいつ……まだこんなに動けるのか!?」
負傷しているにも関わらずにホブゴブリンは戦意を失わず、村人を剣で追い散らす。魔物との戦闘経験がない村人たちは剣を手にしたホブゴブリンに怯えて思うように身体が動かず、再び怖気づいて近づくこともできない。
「グギギッ……!!」
しかし、流石にホブゴブリンの方も損傷が激しく、切り裂かれた腕から血を流す。ホブゴブリンは村人を追い払うと、今度は背中を向けて村から離れていく。
「な、何だ……あいつ、逃げていくぞ?」
「た、助かった、のか?」
「良かった……」
立ち去っていくホブゴブリンの姿を見て村人たちは安堵するが、そんな彼等の様子をホブゴブリンは憎々し気に睨みつけ、当然ではあるがこのままホブゴブリンは黙って引き返すはずがなかった。
今は深手を負ってしまったので逃げ帰る事しか出来ないが、このままホブゴブリンは村を諦めるつもりはなく、今度はもっと手下を増やして村を襲う事を心の中で誓う。仲間を失おうと、腕を切り裂かれようとホブゴブリンは諦めるつもりは毛頭なく、必ずやこの村の人間を根絶やしにする事を決めた。
「グギィイイッ……!!」
傷口から大量の血を流し、剣を引きずりながらもホブゴブリンは山へ向けて戻ろうとした時、この時にホブゴブリンは不意に後ろから物音が聞こえた気がした。それは何か蓋が開くような音である事に気付き、ホブゴブリンは振り返る。
「はあっ……はあっ……まだ、だ」
「グ、グギィッ……!?」
――信じられない事にホブゴブリンの視界には立ち上がるナイの姿が存在し、先ほどまでは立つ事もままならない状態だったにも関わらず、何故か今はしっかりと立っていた。そんな彼の手元には空の硝子瓶が握りしめられていた。
硝子瓶を手にしたナイは口元を拭い、この時に緑色の液体が垂れていた。瀕死のナイが立ち上がる事に成功したのは彼が持っていた「回復薬」のお陰である。
回復薬は薬草よりも回復効果が高く、それを飲用した事でナイの身体は復活を果たす。だが、いくら回復効果が強いと言っても限度が存在し、普通ならば短時間でこれほど回復する事はあり得ない。
しかし、ナイの場合は実はある技能のお陰により、通常の人間ならば考えられない程の回復速度を発揮し、そのお陰で立ち上がれるまでに回復を果たす。その技能とは彼が今日の内に覚えた3つ目の技能である。
――時は少し前に遡り、時刻は日付が変わったばかりの頃、ナイは「貧弱」の効果によってレベルがリセットされてしまう。この時にナイは折角上げたレベルが1に戻ってしまったが、逆にそれを利用して再びレベル上げを行う。
レベルがリセットされた後にナイは残っていたもう半分の経験石を破壊し、大量の経験値を入手する。そして最後の経験石を破壊した時に丁度ナイはレベルが11まで上昇し、あと1つだけ技能を覚えられる程のSPの入手に成功した。
『覚えるとしたら……やっぱり、これかな』
SPを獲得したナイは新たな技能を覚えるため、彼が選んだのは「自然回復」という技能だった。最初は「脚力強化」や「気配感知」あるいは「索敵」などの技能を覚えるのがいいかと思ったが、ナイの手元には回復薬が存在した。
魔物との戦闘で深手を負った際、ナイは思うように身体が動かず、何度も窮地に追い込まれた事を思い出す。だが、この自然回復の技能を身に付ければ怪我の回復も早まり、回復薬や傷薬などの回復効果も高まるかもしれないと考えた。
結果から言えばナイの判断は正しく、あれほど瀕死だったナイの肉体は回復薬を飲んだ途端に身体を動かせる程に回復した。それでも完全回復にはもうしばらくの時間は必要だろうが、逃げ去ろうとするホブゴブリンを放っておけずにナイは立ち上がる。
「うぐぅっ……!?」
ゴブリンが振り下ろした剣をナイは旋斧で受け止めようとしたが、上手く足元に力が入らず、攻撃を受けた瞬間に吹き飛ばされる。この際に旋斧が手元を離れ、ホブゴブリンは地面に倒れ込んだナイを踏みつけた。
「グギャアッ!!」
「がはぁっ!?」
「や、やばいぞ!?」
「殺されちまう!!」
ホブゴブリンに踏みつけられたナイを見て村人たちは流石に焦り、このままではナイが殺されると思った彼等は助けに向かう。もう邪魔をするゴブリンの群れは存在せず、しかも残ったホブゴブリンも片腕がなくなった状態だった。
今ならば全員が力を合わせればホブゴブリンにも勝てるかもしれない、そう考えた村の大人達はナイを助けるためにホブゴブリンの元へ向かう。だが、それを見たホブゴブリンは血走った目で睨みつけ、ホブゴブリンはナイを蹴飛ばす。
「グギィッ!!」
「ぐはっ!?」
蹴飛ばされたナイは身体が浮き上がると数メートル先まで吹き飛ばされ、地面に転がり込む。その様子を確認したホブゴブリンはもうナイが襲い掛かる事はないと判断し、自分に向かってくる村人たちに向けて剣を振り払う。
「グギャギャッ!!」
「うわぁっ!?」
「ひいっ!?」
「こ、こいつ……まだこんなに動けるのか!?」
負傷しているにも関わらずにホブゴブリンは戦意を失わず、村人を剣で追い散らす。魔物との戦闘経験がない村人たちは剣を手にしたホブゴブリンに怯えて思うように身体が動かず、再び怖気づいて近づくこともできない。
「グギギッ……!!」
しかし、流石にホブゴブリンの方も損傷が激しく、切り裂かれた腕から血を流す。ホブゴブリンは村人を追い払うと、今度は背中を向けて村から離れていく。
「な、何だ……あいつ、逃げていくぞ?」
「た、助かった、のか?」
「良かった……」
立ち去っていくホブゴブリンの姿を見て村人たちは安堵するが、そんな彼等の様子をホブゴブリンは憎々し気に睨みつけ、当然ではあるがこのままホブゴブリンは黙って引き返すはずがなかった。
今は深手を負ってしまったので逃げ帰る事しか出来ないが、このままホブゴブリンは村を諦めるつもりはなく、今度はもっと手下を増やして村を襲う事を心の中で誓う。仲間を失おうと、腕を切り裂かれようとホブゴブリンは諦めるつもりは毛頭なく、必ずやこの村の人間を根絶やしにする事を決めた。
「グギィイイッ……!!」
傷口から大量の血を流し、剣を引きずりながらもホブゴブリンは山へ向けて戻ろうとした時、この時にホブゴブリンは不意に後ろから物音が聞こえた気がした。それは何か蓋が開くような音である事に気付き、ホブゴブリンは振り返る。
「はあっ……はあっ……まだ、だ」
「グ、グギィッ……!?」
――信じられない事にホブゴブリンの視界には立ち上がるナイの姿が存在し、先ほどまでは立つ事もままならない状態だったにも関わらず、何故か今はしっかりと立っていた。そんな彼の手元には空の硝子瓶が握りしめられていた。
硝子瓶を手にしたナイは口元を拭い、この時に緑色の液体が垂れていた。瀕死のナイが立ち上がる事に成功したのは彼が持っていた「回復薬」のお陰である。
回復薬は薬草よりも回復効果が高く、それを飲用した事でナイの身体は復活を果たす。だが、いくら回復効果が強いと言っても限度が存在し、普通ならば短時間でこれほど回復する事はあり得ない。
しかし、ナイの場合は実はある技能のお陰により、通常の人間ならば考えられない程の回復速度を発揮し、そのお陰で立ち上がれるまでに回復を果たす。その技能とは彼が今日の内に覚えた3つ目の技能である。
――時は少し前に遡り、時刻は日付が変わったばかりの頃、ナイは「貧弱」の効果によってレベルがリセットされてしまう。この時にナイは折角上げたレベルが1に戻ってしまったが、逆にそれを利用して再びレベル上げを行う。
レベルがリセットされた後にナイは残っていたもう半分の経験石を破壊し、大量の経験値を入手する。そして最後の経験石を破壊した時に丁度ナイはレベルが11まで上昇し、あと1つだけ技能を覚えられる程のSPの入手に成功した。
『覚えるとしたら……やっぱり、これかな』
SPを獲得したナイは新たな技能を覚えるため、彼が選んだのは「自然回復」という技能だった。最初は「脚力強化」や「気配感知」あるいは「索敵」などの技能を覚えるのがいいかと思ったが、ナイの手元には回復薬が存在した。
魔物との戦闘で深手を負った際、ナイは思うように身体が動かず、何度も窮地に追い込まれた事を思い出す。だが、この自然回復の技能を身に付ければ怪我の回復も早まり、回復薬や傷薬などの回復効果も高まるかもしれないと考えた。
結果から言えばナイの判断は正しく、あれほど瀕死だったナイの肉体は回復薬を飲んだ途端に身体を動かせる程に回復した。それでも完全回復にはもうしばらくの時間は必要だろうが、逃げ去ろうとするホブゴブリンを放っておけずにナイは立ち上がる。
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