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忌み子と呼ばれた少年
第29話 10才の誕生日と新たな技能
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「――ふがぁああ……ぐごぉおおっ……」
「爺ちゃん?爺ちゃんってば……全く、もう寝ちゃった。お酒なんて全然飲めないのに無理なんかするから……」
ナイが10才の誕生日を迎えた日、この日ばかりはアルも仕事を休み、ナイの誕生日祝いを行う。誕生日を迎えたナイよりもアルの方が喜び、普段は全く飲めない酒を飲んで酔いつぶれてしまう。
酔いつぶれて眠ってしまったアルに対してナイは毛布を被せると、彼が眠っている間に外へと出る。そして緊張した面持ちで懐にしまっていた水晶の破片を取り出し、呪文を唱えた。
「ステータス」
呪文を唱えた瞬間に水晶の破片が光り輝き、やがて地面に光の文章が照らされる。この一か月の間、ナイも魔物を倒してきたのでSPは十分に蓄積されていた。
―――ナイ―――
種族:人間
状態:普通
年齢:10才
レベル:1
SP《スキルポイント》:30(使用可能)
―――異能―――
貧弱――日付が変更する事にレベルがリセットされる
――技能一覧――
・迎撃――敵対する相手が攻撃を仕掛けた際、迅速な攻撃動作で反攻に転じる
――――――――
地面に表示されたステータスを確認してナイは満足そうに頷き、ここ最近はアルと共に狩猟に出向く際、魔物を狩り続けたお陰でSPは予想以上に蓄積されていた。
SPが溜まっているのは喜ばしい事だが、逆に言えばそれだけ狩猟の際に魔物と遭遇する機会が多くなった事を意味していた。1年ほど前はこの地方では殆ど魔物は見られなかったのだが、最近は山や森に出向く度に必ず魔物の姿を見かける。しかし、魔物と遭遇する機会が増えたお陰でナイがレベルを上げて大量のSPを集めることに成功したともいえる。
(魔物との戦闘も慣れてきたし、それに身体も鍛えたお陰か前よりも動けるようになった気がする)
レベルが1だとしても身体を鍛えれば筋力や体力は身に着き、一か月前と比べてもナイは自分が強くなっていると自覚する。成長期である事に加え、一角兎の角で作り出した滋養強壮剤の効果が高く、もう転んだ程度で骨に罅が入る事もなくなり、以前と比べて身体つきもたくましくなっていた。
(今日までは色々と忙しくて新しい技能を身に付ける時間もなかったけど、これでやっと新しい技能を覚えられるや)
最近はアルと行動を共にしていたのでナイは新しい技能を身に付ける暇もなかった。冬を迎える前に出来る限りの獲物を狩猟する必要があり、そのせいでナイもアルの仕事を手伝わされた。
遂に一人切りの時間を迎えたため、ナイは新しい技能を習得する事にした。また、誕生日を迎えた事でSPの方もちゃんと増えており、アルの言う通りに成長期の間は年齢を重ねると自動的にSPが加算される事を見越し、今日まで覚えるのを我慢してきたという理由もある。
「よし、SPは30もあるから……残りの技能も習得できる」
迎撃を覚える時に使用したSPは10であり、他の技能も確認した時はSPの消費量は10で固定されていた。これで残った技能も覚えられると思ったナイはステータス画面を開く。
「習得するには……確か、こうだったかな?」
新しい技能を習得したいとナイは心の中で願うと、水晶の破片がそれに反応するかのように画面が切り替わり、まだ未収得の技能の一覧が表示される。
――習得可能技能一覧――
・観察眼――観察能力を高め、周囲の状況を詳しく把握できる(SP消費量:10)
・採取――良質な素材を見分けられるようになる(SP消費量:10)
・調合――調合の成功率が格段に上昇する(SP消費量:10)
・腕力強化――腕力が強化される(SP消費量:10)
・脚力強化――脚力が強化される(SP消費量:10)
・跳躍――跳躍力が強化される(SP消費量:10)
・解体――死骸から素材を剥ぎ取る技術が向上する(SP消費量:10)
・気配感知――敵意を抱く生物の気配を感知できるようになる(SP消費量:10)
・索敵――潜伏している敵の位置を捉える事ができる(SP消費量:10)
――――――――――――
地面に表示された文章を見てナイは驚き、以前に確認した時よりも覚えられる技能の数が格段に増えていた。
「あ、あれ?前はこんなになかったのに……どうして増えてるんだろう?」
前回の時は「観察眼」「採取」「迎撃」の3つしか表示されていなかったが、今回の場合は「調合」「腕力強化」「脚力強化」「跳躍」「解体」「気配感知」「索敵」の7つも増えていた。
どうして急に習得可能な技能の数が増えているのかとナイは戸惑うが、新しく表示された物も含めて技能の内容を確認してある事に気付く。
「もしかしてこれ……僕が身に付けようとしている技術が表示されているのかな?」
現在のナイはアルの指導の元で色々と鍛錬や仕事を行い、それらを見合わせると現在のナイが関わっている技能が表示されているように感じられた。
例えば調合の技能の場合はナイはアルの指導で一か月以上前から薬の調合を行い、腕力強化の方も身体を鍛えるという名目で薪割りなど行っている。脚力強化や跳躍に関しては坂道や障害物が多い山での行動に必要な技術であり、他の技能に関しても今正にナイが欲している技能ばかりである。
「爺ちゃん?爺ちゃんってば……全く、もう寝ちゃった。お酒なんて全然飲めないのに無理なんかするから……」
ナイが10才の誕生日を迎えた日、この日ばかりはアルも仕事を休み、ナイの誕生日祝いを行う。誕生日を迎えたナイよりもアルの方が喜び、普段は全く飲めない酒を飲んで酔いつぶれてしまう。
酔いつぶれて眠ってしまったアルに対してナイは毛布を被せると、彼が眠っている間に外へと出る。そして緊張した面持ちで懐にしまっていた水晶の破片を取り出し、呪文を唱えた。
「ステータス」
呪文を唱えた瞬間に水晶の破片が光り輝き、やがて地面に光の文章が照らされる。この一か月の間、ナイも魔物を倒してきたのでSPは十分に蓄積されていた。
―――ナイ―――
種族:人間
状態:普通
年齢:10才
レベル:1
SP《スキルポイント》:30(使用可能)
―――異能―――
貧弱――日付が変更する事にレベルがリセットされる
――技能一覧――
・迎撃――敵対する相手が攻撃を仕掛けた際、迅速な攻撃動作で反攻に転じる
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地面に表示されたステータスを確認してナイは満足そうに頷き、ここ最近はアルと共に狩猟に出向く際、魔物を狩り続けたお陰でSPは予想以上に蓄積されていた。
SPが溜まっているのは喜ばしい事だが、逆に言えばそれだけ狩猟の際に魔物と遭遇する機会が多くなった事を意味していた。1年ほど前はこの地方では殆ど魔物は見られなかったのだが、最近は山や森に出向く度に必ず魔物の姿を見かける。しかし、魔物と遭遇する機会が増えたお陰でナイがレベルを上げて大量のSPを集めることに成功したともいえる。
(魔物との戦闘も慣れてきたし、それに身体も鍛えたお陰か前よりも動けるようになった気がする)
レベルが1だとしても身体を鍛えれば筋力や体力は身に着き、一か月前と比べてもナイは自分が強くなっていると自覚する。成長期である事に加え、一角兎の角で作り出した滋養強壮剤の効果が高く、もう転んだ程度で骨に罅が入る事もなくなり、以前と比べて身体つきもたくましくなっていた。
(今日までは色々と忙しくて新しい技能を身に付ける時間もなかったけど、これでやっと新しい技能を覚えられるや)
最近はアルと行動を共にしていたのでナイは新しい技能を身に付ける暇もなかった。冬を迎える前に出来る限りの獲物を狩猟する必要があり、そのせいでナイもアルの仕事を手伝わされた。
遂に一人切りの時間を迎えたため、ナイは新しい技能を習得する事にした。また、誕生日を迎えた事でSPの方もちゃんと増えており、アルの言う通りに成長期の間は年齢を重ねると自動的にSPが加算される事を見越し、今日まで覚えるのを我慢してきたという理由もある。
「よし、SPは30もあるから……残りの技能も習得できる」
迎撃を覚える時に使用したSPは10であり、他の技能も確認した時はSPの消費量は10で固定されていた。これで残った技能も覚えられると思ったナイはステータス画面を開く。
「習得するには……確か、こうだったかな?」
新しい技能を習得したいとナイは心の中で願うと、水晶の破片がそれに反応するかのように画面が切り替わり、まだ未収得の技能の一覧が表示される。
――習得可能技能一覧――
・観察眼――観察能力を高め、周囲の状況を詳しく把握できる(SP消費量:10)
・採取――良質な素材を見分けられるようになる(SP消費量:10)
・調合――調合の成功率が格段に上昇する(SP消費量:10)
・腕力強化――腕力が強化される(SP消費量:10)
・脚力強化――脚力が強化される(SP消費量:10)
・跳躍――跳躍力が強化される(SP消費量:10)
・解体――死骸から素材を剥ぎ取る技術が向上する(SP消費量:10)
・気配感知――敵意を抱く生物の気配を感知できるようになる(SP消費量:10)
・索敵――潜伏している敵の位置を捉える事ができる(SP消費量:10)
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地面に表示された文章を見てナイは驚き、以前に確認した時よりも覚えられる技能の数が格段に増えていた。
「あ、あれ?前はこんなになかったのに……どうして増えてるんだろう?」
前回の時は「観察眼」「採取」「迎撃」の3つしか表示されていなかったが、今回の場合は「調合」「腕力強化」「脚力強化」「跳躍」「解体」「気配感知」「索敵」の7つも増えていた。
どうして急に習得可能な技能の数が増えているのかとナイは戸惑うが、新しく表示された物も含めて技能の内容を確認してある事に気付く。
「もしかしてこれ……僕が身に付けようとしている技術が表示されているのかな?」
現在のナイはアルの指導の元で色々と鍛錬や仕事を行い、それらを見合わせると現在のナイが関わっている技能が表示されているように感じられた。
例えば調合の技能の場合はナイはアルの指導で一か月以上前から薬の調合を行い、腕力強化の方も身体を鍛えるという名目で薪割りなど行っている。脚力強化や跳躍に関しては坂道や障害物が多い山での行動に必要な技術であり、他の技能に関しても今正にナイが欲している技能ばかりである。
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