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忌み子と呼ばれた少年
第4話 忌み子
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――ナイ――
種族:人間
年齢:9才
レベル:1
SP《スキルポイント》:9
――異能――
・貧弱――日付が変更する毎にレベルがリセットされる
――――――
水晶板に表示された光の文章を見てナイは驚き、同時に彼の周りの大人たちも目を見開く。表示された文章を確認したアルは信じられない表情を浮かべ、ヨウも難しい表情を浮かべた。
「この年齢でレベルが1なんて……しかもこの異能は……」
「そ、そんな馬鹿な……有り得るはずがねえ、普通なら成人するまで年齢を重ねる事にレベルが上がるんじゃないのか!?」
「れ、レベル……?」
水晶板をアルは奪い取ると、その内容を何度も確認するが文章に変化はない。その様子を見てナイはどういうことなのかとヨウを見上げると、彼女はナイに対して言いにくそうに答える。
「……レベルというは分かりやすく言えばその人の肉体の強さを現しています。何もせずとも18才までは年齢を重ねる事にレベルが上昇するはずですが……貴方の場合は身に付けている異能が原因でレベルが下がっているようですね」
「ヨウ様、この子供は忌み子です!!すぐに隔離するべきです!!」
「えっ……」
「何だと!?今、なんて言った!!俺のガキの事をなんて言いやがった!!」
「ひいっ!?」
ヨウの傍に控えていた修道女がナイを指差しておぞましい物をみるかのような表情を浮かべ、その反応にナイは驚く。一方でアルは「忌み子」という言葉に目を見開き、修道女を睨みつけた。
修道女の態度にはヨウも眉をしかめるが、今にも修道女に掴みかかりそうなアルを落ち着かせるために彼女は間に割り込む。この際にナイはアルが落とした水晶板に視線を向け、異能という項目に表示されている文字を確認する。
(貧弱……これが、僕の異能?)
――技能という言葉にはナイも聞き覚えがあり、全ての人間(森人族、小髭族も含まれる)は生まれながらに「異能」と呼ばれる特別な能力を身に付けているという。
アルの場合は彼は生まれた時から「器用」という異能を持ち合わせており、この異能は小髭族に生まれた者ならば誰もが持っている能力である。名前の通りに手先が器用になる能力であり、アルはこの異能のお陰で狩猟用の道具や裁縫などの細かい作業も得意としている。
しかし、必ずしも全ての異能が身に付けた人間の強みになるとは限らず、ナイが身に付けた「貧弱」は彼の肉体を弱体化させる最悪の能力であった。
「貧弱……私も知識はありますが、実際にこの技能を身に付けて生まれた人は初めて見ます。この貧弱の技能を生まれ持った人間は年齢を重ねてレベルが上がっても、日付が変わればまた元に戻ってしまいます。だからナイ君の肉体は普通の子供よりも身体が弱いんでしょう。しかも病気の類ではないので治療は不可能です」
「うるさい!!こんなもん、壊れてるだけだ!!」
「な、何をっ!?」
ヨウの説明の途中でアルは地面に落とした水晶板を踏みつけ、破壊しようと何度も踏みつける。この際に水晶板は割れてしまい、それを見た修道女は慌てて彼を止めようとした。
「止めなさい、その水晶板はどれほどの価値があると思って……」
「うるせえ!!」
「じ、爺ちゃん……」
アルは修道女の制止を無視して踏みつけると、この際に水晶板の割れた破片がナイの足元にまで届き、それを見かねたヨウが彼を落ち着かせようと止めた。
「落ち着いて下さい、いくら壊した所で結果は変わりません」
「あんたは黙ってろ!!おい、ナイ!!こんな奴等のいう事なんて聞かなくていい!!とっとと帰るぞ!!」
「え、あ、爺ちゃん!?」
「お待ちください!!」
普段はナイに対しては優しいアルだったが、この時ばかりは興奮を抑えきれずに無理やりに彼の腕を引っ張って立ち去ろうとすると、そんな彼にヨウは引き留める。不思議と彼女の声は頭に響き、ナイの腕を掴んだままアルは視線を向ける。
「……お子さんが恵まれぬ異能を持って生まれた事は同情します。ですが、そのお子さんのためを思うのならばその子は私達に保護させるべきです」
「保護だと……ふざけるな、こいつは俺のガキだ!!なら俺が育てるのが当たり前だろうが!!」
「いいえ、その子は普通の子ではありません。レベル1の人間がどれだけ脆弱な存在なのかはよくご存じでしょう?」
「くっ……」
「爺ちゃん……?」
ヨウの言葉にアルは歯を食いしばり、少し転んだだけで腕が折れてしまう程にナイの身体が弱い事を思い出す。信じたくはないがナイは残念ながら普通の子供ではない。
貧弱の技能を生まれ持ったナイがもしもアルの目の届かない所で大怪我をした場合、彼は助けられない可能性もあった。だからこそヨウは彼を陽光教会で保護する事を告げ、アルを説得しようとする。
「その子の未来を想うのならば我が教会に預けるべきです……もしも他の者にその子の異能が知られた場合、貴方達に明るい未来はありません」
「うるせえっ!!」
「その子のためを思って言っているわけではありません!!もしもその子が大人になり、誰かと結ばれて子供が生まれれば彼と同じ苦しみを味わう事になるかもしれないんですよ!!」
「……えっ?」
「ナイ、聞くな!!早く行くぞ!!」
ヨウの言葉にナイはどういう意味なのかと思うが、彼女の話にアルは無理やりにナイの腕を引っ張ろうとした時、力が強すぎたのかナイの腕に鈍い音が鳴り響く。
種族:人間
年齢:9才
レベル:1
SP《スキルポイント》:9
――異能――
・貧弱――日付が変更する毎にレベルがリセットされる
――――――
水晶板に表示された光の文章を見てナイは驚き、同時に彼の周りの大人たちも目を見開く。表示された文章を確認したアルは信じられない表情を浮かべ、ヨウも難しい表情を浮かべた。
「この年齢でレベルが1なんて……しかもこの異能は……」
「そ、そんな馬鹿な……有り得るはずがねえ、普通なら成人するまで年齢を重ねる事にレベルが上がるんじゃないのか!?」
「れ、レベル……?」
水晶板をアルは奪い取ると、その内容を何度も確認するが文章に変化はない。その様子を見てナイはどういうことなのかとヨウを見上げると、彼女はナイに対して言いにくそうに答える。
「……レベルというは分かりやすく言えばその人の肉体の強さを現しています。何もせずとも18才までは年齢を重ねる事にレベルが上昇するはずですが……貴方の場合は身に付けている異能が原因でレベルが下がっているようですね」
「ヨウ様、この子供は忌み子です!!すぐに隔離するべきです!!」
「えっ……」
「何だと!?今、なんて言った!!俺のガキの事をなんて言いやがった!!」
「ひいっ!?」
ヨウの傍に控えていた修道女がナイを指差しておぞましい物をみるかのような表情を浮かべ、その反応にナイは驚く。一方でアルは「忌み子」という言葉に目を見開き、修道女を睨みつけた。
修道女の態度にはヨウも眉をしかめるが、今にも修道女に掴みかかりそうなアルを落ち着かせるために彼女は間に割り込む。この際にナイはアルが落とした水晶板に視線を向け、異能という項目に表示されている文字を確認する。
(貧弱……これが、僕の異能?)
――技能という言葉にはナイも聞き覚えがあり、全ての人間(森人族、小髭族も含まれる)は生まれながらに「異能」と呼ばれる特別な能力を身に付けているという。
アルの場合は彼は生まれた時から「器用」という異能を持ち合わせており、この異能は小髭族に生まれた者ならば誰もが持っている能力である。名前の通りに手先が器用になる能力であり、アルはこの異能のお陰で狩猟用の道具や裁縫などの細かい作業も得意としている。
しかし、必ずしも全ての異能が身に付けた人間の強みになるとは限らず、ナイが身に付けた「貧弱」は彼の肉体を弱体化させる最悪の能力であった。
「貧弱……私も知識はありますが、実際にこの技能を身に付けて生まれた人は初めて見ます。この貧弱の技能を生まれ持った人間は年齢を重ねてレベルが上がっても、日付が変わればまた元に戻ってしまいます。だからナイ君の肉体は普通の子供よりも身体が弱いんでしょう。しかも病気の類ではないので治療は不可能です」
「うるさい!!こんなもん、壊れてるだけだ!!」
「な、何をっ!?」
ヨウの説明の途中でアルは地面に落とした水晶板を踏みつけ、破壊しようと何度も踏みつける。この際に水晶板は割れてしまい、それを見た修道女は慌てて彼を止めようとした。
「止めなさい、その水晶板はどれほどの価値があると思って……」
「うるせえ!!」
「じ、爺ちゃん……」
アルは修道女の制止を無視して踏みつけると、この際に水晶板の割れた破片がナイの足元にまで届き、それを見かねたヨウが彼を落ち着かせようと止めた。
「落ち着いて下さい、いくら壊した所で結果は変わりません」
「あんたは黙ってろ!!おい、ナイ!!こんな奴等のいう事なんて聞かなくていい!!とっとと帰るぞ!!」
「え、あ、爺ちゃん!?」
「お待ちください!!」
普段はナイに対しては優しいアルだったが、この時ばかりは興奮を抑えきれずに無理やりに彼の腕を引っ張って立ち去ろうとすると、そんな彼にヨウは引き留める。不思議と彼女の声は頭に響き、ナイの腕を掴んだままアルは視線を向ける。
「……お子さんが恵まれぬ異能を持って生まれた事は同情します。ですが、そのお子さんのためを思うのならばその子は私達に保護させるべきです」
「保護だと……ふざけるな、こいつは俺のガキだ!!なら俺が育てるのが当たり前だろうが!!」
「いいえ、その子は普通の子ではありません。レベル1の人間がどれだけ脆弱な存在なのかはよくご存じでしょう?」
「くっ……」
「爺ちゃん……?」
ヨウの言葉にアルは歯を食いしばり、少し転んだだけで腕が折れてしまう程にナイの身体が弱い事を思い出す。信じたくはないがナイは残念ながら普通の子供ではない。
貧弱の技能を生まれ持ったナイがもしもアルの目の届かない所で大怪我をした場合、彼は助けられない可能性もあった。だからこそヨウは彼を陽光教会で保護する事を告げ、アルを説得しようとする。
「その子の未来を想うのならば我が教会に預けるべきです……もしも他の者にその子の異能が知られた場合、貴方達に明るい未来はありません」
「うるせえっ!!」
「その子のためを思って言っているわけではありません!!もしもその子が大人になり、誰かと結ばれて子供が生まれれば彼と同じ苦しみを味わう事になるかもしれないんですよ!!」
「……えっ?」
「ナイ、聞くな!!早く行くぞ!!」
ヨウの言葉にナイはどういう意味なのかと思うが、彼女の話にアルは無理やりにナイの腕を引っ張ろうとした時、力が強すぎたのかナイの腕に鈍い音が鳴り響く。
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