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お姫様の気持ち
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――アリアが不器用ながらにレオにアプローチを行っている間、バルカン王国では王女であるマリアが国王の元に詰め寄り、一体何時になったらレオと自分が結婚できるのかを尋ねていた。
「ねえ、お父さん!!一体どれくらい待てばレオ君と結婚できるの!?私、もう待ちくたびれちゃったよ!!」
「だ、だかのう……レオもう30代後半、お主の相手には釣り合わないのではないか!?」
「それを言ったら私はもうすぐ40才だよ!?お父様のせいで結婚出来なかったらどうなるの!!」
国王の前には20代前半にしか見えないゴスロリ服を纏った美女が存在し、もう少しだけ外見が若ければ見栄えも良かったのだろうが、流石に大人の女性が身に着けるにしては少々恥ずかしい恰好だった。
実年齢が40才近くでも20代前半の若々しさを保つ姫も凄いが、彼女のファッションセンスは10代の頃から変わらず、未だにぬいぐるみを抱いて眠ったりもしている。若い頃はそれでも美人で優しい性格なので言い寄ってくる男は後を絶たなかったが、流石に最近ではお見合いの話すら話題に上がらない。
「だいたいお父さんが全部悪いんだもん!!レオ君に暗殺者を送ったり、罠に嵌めて処刑しようとするなんて信じられない!!お父さんの馬鹿!!」
「ひ、姫よ!!そう怒らないでくれ……これもお前の事を想ってだな」
「その結果がこの様だよ!?もう外に出向いても誰も話しかけてくれないし、男の人も近づかなくなったんだから!!」
マリアとしてもレオに振られた後は彼女も諦めて他の男性と交際を行おうとした。だが、どんな男性と出会っても剣神と謳われたレオと比べると見劣りし、父親が男を寄せ付けなかった事も原因で結局はこの年齢に至るまで結婚出来なかった。
元々は父親である国王が悪いのだが、マリア自身もレオ以外の男性が相手になると乗り気になれず、仮に父親が過保護でなくとも他の男性と交際したかは分からない。だが、傍目から見れ親バカの国王が悪いようにしか見えない。
「国王様、まだマリア様をレオ様とご結婚される事を反対されているのですか?もう他に道はないのです!!覚悟を決めてください!!」
「ぐううっ……分かっておる!!だが、肝心のレオが我等に従うかどうか……」
「レオ君なら話せばきっとわかってくれるよ!!優しいし、強いし、格好いいもん!!」
「優しいという部分はともかく、他の二つはあまり関係ないような気がしますが……ともかく、既に作戦は始まっているのです。さあ、姫様と共にレオ殿の元へ参りましょう」
「う、うむ……姫よ、準備はいいな?」
「え、本当にレオ君と会えるの!?」
レオと再会できるという言葉にマリアは満面の笑顔を浮かべ、それを見た親バカの国王は娘が自分よりもレオの事を大切に想っている事に嫉妬を覚える。
(ああっ……遂に我の天使がレオの手に……おのれ小僧、やはりあの時に始末するべきだったか!!)
(また何か悪巧みしていますね……)
国王の表情から心中を察した家臣たちは深いため息を吐き出し、国王が何かを仕出かす前に手を打つことにした。
「レオ君に会える~♪アリアちゃんにも会える~♪」
「ぐぐぐっ……」
「はあ……さあ、出発しましょう」
城の外に止めていた2台の馬車に到着し、先にマリアが乗り込むと、続いて国王が乗り込もうとしたが女官に止められる。
「国王様はもう一台の馬車にお乗りください。こちらは女性専用車両です」
「何じゃと!?娘と一緒に乗れんのか!?」
「女性は女性同士、男性は男性同士にお乗りください」
「もう、お父様早くあっちの馬車に乗ってよ!!早くレオ君たちの所に行きたいのに!!」
「ううっ……」
娘の言葉に国王は渋々ともう1台の馬車に乗り込もうとした時、不意に何故か護衛役の兵士達が馬車に集まっている事に気付く。
「何じゃお主等?どうして集まっている……うおっ!?」
「御免!!」
将軍の一人が国王に飛び掛かると、兵士達が縄を取り出して国王を縛り付けた状態で馬車の中に押し込む。唐突な兵士達の行動に国王は混乱するが、馬車の扉に鍵を掛けられて完全に閉じ込められてしまう。
『大臣!?これは何の真似だ!?』
「申し訳ありません国王様、道中の間は馬車の中で過ごしてもらいます」
『何を言っておる!?貴様、この儂を誰だと思っている!?』
「国を破滅に陥れるにも関わらずに娘を優先した馬鹿王です」
『ぐぬぬっ……ま、待て!!ここから奴の所までどれほどの距離があると思っておる!?食事は!?トイレは!?』
「ご安心ください。食事は窓から渡し、トイレは馬車の隅に存在するおまるをご使用ください」
『ふ、ふざけるなぁあああっ!?』
自分の身勝手で王国の歴史を途絶えさせようとした国王に対して家臣たちは容赦はせず、本当に旅の道中は馬車を一度も開けずに国王を監禁した状態で移動を行った――
※久々の投稿で申し訳ありません……年内にもう一度投稿出来るように頑張ります(;´・ω・)
「ねえ、お父さん!!一体どれくらい待てばレオ君と結婚できるの!?私、もう待ちくたびれちゃったよ!!」
「だ、だかのう……レオもう30代後半、お主の相手には釣り合わないのではないか!?」
「それを言ったら私はもうすぐ40才だよ!?お父様のせいで結婚出来なかったらどうなるの!!」
国王の前には20代前半にしか見えないゴスロリ服を纏った美女が存在し、もう少しだけ外見が若ければ見栄えも良かったのだろうが、流石に大人の女性が身に着けるにしては少々恥ずかしい恰好だった。
実年齢が40才近くでも20代前半の若々しさを保つ姫も凄いが、彼女のファッションセンスは10代の頃から変わらず、未だにぬいぐるみを抱いて眠ったりもしている。若い頃はそれでも美人で優しい性格なので言い寄ってくる男は後を絶たなかったが、流石に最近ではお見合いの話すら話題に上がらない。
「だいたいお父さんが全部悪いんだもん!!レオ君に暗殺者を送ったり、罠に嵌めて処刑しようとするなんて信じられない!!お父さんの馬鹿!!」
「ひ、姫よ!!そう怒らないでくれ……これもお前の事を想ってだな」
「その結果がこの様だよ!?もう外に出向いても誰も話しかけてくれないし、男の人も近づかなくなったんだから!!」
マリアとしてもレオに振られた後は彼女も諦めて他の男性と交際を行おうとした。だが、どんな男性と出会っても剣神と謳われたレオと比べると見劣りし、父親が男を寄せ付けなかった事も原因で結局はこの年齢に至るまで結婚出来なかった。
元々は父親である国王が悪いのだが、マリア自身もレオ以外の男性が相手になると乗り気になれず、仮に父親が過保護でなくとも他の男性と交際したかは分からない。だが、傍目から見れ親バカの国王が悪いようにしか見えない。
「国王様、まだマリア様をレオ様とご結婚される事を反対されているのですか?もう他に道はないのです!!覚悟を決めてください!!」
「ぐううっ……分かっておる!!だが、肝心のレオが我等に従うかどうか……」
「レオ君なら話せばきっとわかってくれるよ!!優しいし、強いし、格好いいもん!!」
「優しいという部分はともかく、他の二つはあまり関係ないような気がしますが……ともかく、既に作戦は始まっているのです。さあ、姫様と共にレオ殿の元へ参りましょう」
「う、うむ……姫よ、準備はいいな?」
「え、本当にレオ君と会えるの!?」
レオと再会できるという言葉にマリアは満面の笑顔を浮かべ、それを見た親バカの国王は娘が自分よりもレオの事を大切に想っている事に嫉妬を覚える。
(ああっ……遂に我の天使がレオの手に……おのれ小僧、やはりあの時に始末するべきだったか!!)
(また何か悪巧みしていますね……)
国王の表情から心中を察した家臣たちは深いため息を吐き出し、国王が何かを仕出かす前に手を打つことにした。
「レオ君に会える~♪アリアちゃんにも会える~♪」
「ぐぐぐっ……」
「はあ……さあ、出発しましょう」
城の外に止めていた2台の馬車に到着し、先にマリアが乗り込むと、続いて国王が乗り込もうとしたが女官に止められる。
「国王様はもう一台の馬車にお乗りください。こちらは女性専用車両です」
「何じゃと!?娘と一緒に乗れんのか!?」
「女性は女性同士、男性は男性同士にお乗りください」
「もう、お父様早くあっちの馬車に乗ってよ!!早くレオ君たちの所に行きたいのに!!」
「ううっ……」
娘の言葉に国王は渋々ともう1台の馬車に乗り込もうとした時、不意に何故か護衛役の兵士達が馬車に集まっている事に気付く。
「何じゃお主等?どうして集まっている……うおっ!?」
「御免!!」
将軍の一人が国王に飛び掛かると、兵士達が縄を取り出して国王を縛り付けた状態で馬車の中に押し込む。唐突な兵士達の行動に国王は混乱するが、馬車の扉に鍵を掛けられて完全に閉じ込められてしまう。
『大臣!?これは何の真似だ!?』
「申し訳ありません国王様、道中の間は馬車の中で過ごしてもらいます」
『何を言っておる!?貴様、この儂を誰だと思っている!?』
「国を破滅に陥れるにも関わらずに娘を優先した馬鹿王です」
『ぐぬぬっ……ま、待て!!ここから奴の所までどれほどの距離があると思っておる!?食事は!?トイレは!?』
「ご安心ください。食事は窓から渡し、トイレは馬車の隅に存在するおまるをご使用ください」
『ふ、ふざけるなぁあああっ!?』
自分の身勝手で王国の歴史を途絶えさせようとした国王に対して家臣たちは容赦はせず、本当に旅の道中は馬車を一度も開けずに国王を監禁した状態で移動を行った――
※久々の投稿で申し訳ありません……年内にもう一度投稿出来るように頑張ります(;´・ω・)
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