37才にして遂に「剣神」の称号を得ましたが、20年前に自分を振った勇者のパーティのエルフの女剣士に今更求婚されました。

カタナヅキ

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20年ぶりの再会

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「はあ!?冒険者を止めたい!?」
「おい、声がでかいぞギルド長」
「い、いや……だけどよう……急にどうしたんだ?」


レオは冒険者ギルドの建物の応接室でギルド長と向かい合い、彼に冒険者の職を辞す事を伝える。ギルド長はレオとは10年来の付き合いであり、彼の表情を見て冗談の類ではない事を悟り、大きな溜息を吐きだす。


「そうか……まあ、確かに年齢的にも引退は考える年か……」
「いや、別にそういう訳ではないが……まあ、確かに限界は感じてきたかな」
「だけどな……お前が冒険者を止めるとなるとこの国は大変な事になるぜ」


ギルド長の言葉通り、既にレオは冒険者ギルドが存在する国家「バルトロス王国」には欠かせない存在となっており、嘗ては辺境の小国でしかなかった国家が現在はレオという存在のお蔭で既に大国と呼べる程の存在に成長していた。元々は広大肥沃な土地であり、作物も育ちやすく、人間の数も多かった。だが、反面に魔物にとっても暮らしやすい土地であり、数多くの魔物から被害を受けていた。

しかし、20年前にレオが訪れてから状況は一変し、彼は凶悪な魔物を次々と討伐し、更に彼の名声を聞いた腕利きの冒険者が立ち寄るようになり、一気に一流の冒険者が流れ込んできた事により、魔物の被害は激増する。更に王国の軍隊の指導にもレオは関わっており、彼に調練された軍隊は良く働き、更にレオの指導を直々に受けられると聞いて大勢の人間が兵士に志願する。

気付いた頃には20年前は辺境の小国と認識されていた国は世界大国にも劣らぬ国家に成長を果たしており、未だに成長発展が留まらない。だが、成長の要因となったレオは冒険者を止めるとなれば大きな波乱が生まれる事をギルド長は恐れた。


「な、なあレオ……本当に冒険者を辞めるのか?」
「辞める。だが、完全に引退する訳じゃない。これからは指導者の仕事に集中しようと思う」
「そうか……いや、そうだな。確かにお前も冒険者稼業は辛い年頃だからな」


冒険者の全盛期は20代であり、30代を超えた頃から引退する人間も多い。レオのように37才まで冒険者を勤める人間は少なく、普通の冒険者ならば引退してもおかしくはない年齢である。最もレオは剣士としての技量がこれ以上は伸びない事を悟って冒険者稼業を辞めるだけであり、肉体の方は未だに衰えは見せない。

しかし、勝手にギルド長はレオが自分の年齢に限界を感じたと判断し、彼の申し出を受け入れる事にした。但し、大きな混乱を生みだしかねないので今回の件は慎重に伝える必要があり、彼はレオにある提案を行う。


「レオ、お前はギルド員に興味はないか?丁度いい具合に人員がうちも不足しているんだ」
「それは俺にギルドの一員になれということか?」
「察しがいいな。別に引退した冒険者をギルドが職員として受け入れる事は珍しくねえ……これからはギルド員として一緒に頑張ろうや」
「それぐらいは覚悟していた。よろしくなギルド長」


レオは自分の話を受け入れてくれた親友に握手を行い、彼は照れ臭そうに頭を掻きながらレオの引退勧告を受け入れ、今後はギルドの冒険者の指導員と受付員として仕事を励むように伝えた――




――冒険者のレオが引退してから数日が経過し、予想通りに彼の引退は多く人間に衝撃を与えたが、年齢的にも彼が冒険者稼業を続けている事自体がおかしく、それに指導員として冒険者や国の兵士達に指導を行う事に集中すると伝えられ、これからは冒険者としての活躍は出来ないが指導者として活躍する事を期待される。


そしてギルドの受付員として冒険者達の指導を行っている彼の元に手紙が届き、レオは差出人の名前に驚愕し、20年前に生死を共にした女性の呼び出しを受ける。レオは人気の無い山奥に呼び出され、彼は巨大な大樹が存在する場所に呼び出され、手紙の差出人を待ち受ける。


「20年ぶりか……だが、どうして今更……」


手紙を読みながらレオは差出人を待ち続けていると、森の中からこちらに近づいてくる人影を確認し、咄嗟に剣を構える。だが、相手の顔を見た瞬間、彼は動揺を隠せずに声を上げてしまう。


「……アリア、なのか?」
「お前は……レオか?」


彼の目の前に現れたのは20年前に別れた美しき女剣士であり、エルフ族である彼女は20年前と変わらぬ容姿を保っており、その一方でレオの方は年齢の割には若々しい容姿ではあるが、やはり10代の頃と比べると老けており、彼女はレオの変わり様に驚いた。


「レオ……その、私は……」
「待て、アリア……まずは再会の喜びを味わう前にお前が本物かどうかを確かめる」
「っ……!!」


それだけ告げるとレオは剣を引き抜き、アリアは驚いた表情を浮かべるが、彼女も口元に笑みを浮かべてお互いが剣を向き合う。どちらも剣士としては超一流であり、この20年の間にどれ程相手の腕が磨かれたのかを確かめるために2人は刃を交わした。
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