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魔王討伐、そして告白
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――異世界に召喚された「霧崎レオ」は剣士の勇者として魔王討伐を命じられ、彼は頼りになる仲間達と共に旅に出る。様々な苦難を乗り越え、遂に彼等は魔王軍の本拠地である魔王城に到着し、最上階に存在した魔王と激戦を繰り広げる。そして止めの一撃を加える為、レオはこれまでの旅を共にしてきた仲間のエルフ族の女剣士「アリア」と協力して打ち倒す。
「行くぞレオ!!」
「ああ!!」
「くっ……人間がぁあああっ!!」
2人の目の前にはローブを纏った老人が存在し、髑髏が取り付けられた杖を構えるが、彼が魔法を発動させる前に2人は斬りかかる。
「聖剣斬!!」
「シャイニングスラッシュ!!」
「ぐあぁあああああっ!?」
魔王の胸に2人が突き出した刃が突き刺さり、魔王は断末魔の悲鳴を上げて全身から煙を噴き出して倒れこむ。その光景に周囲に居た人間達が歓喜の声を上げた。
「やった!!倒したぞ!!」
「俺達は勝ったんだ!!」
「勇者様!!」
「よくやったアリア!!」
仲間達が2人の元に駆け寄り、全員が祝福の言葉を掛ける。その中には各国の王子や王女、更には各地で腕利きの冒険者で有名な人間も含まれており、レオとアリアは笑みを浮かべる。
「さあ……帰ろう。俺達の国へ」
『はい!!』
魔王討伐を果たしたレオ達は自分達の国へ戻る為、魔王城を後にした――
――その日の晩、魔王との激戦で疲れ切った勇者パーティが宿屋で全員が眠り付いた頃、レオはアリアを外に呼び出す。彼女はアトラス大森林と呼ばれるエルフ族の里に帰還する前に彼は自分の想いを伝えるために彼女を呼びだしたのだ。
「アリア!!俺はお前の事が好きだ……結婚してくれ!!」
「レオ……」
アリアはレオの告白に頬を赤く染め、満更でもない表情を浮かべるが、すぐに彼女は自分の腰に差している剣に視線を向け、やがて決意したように真剣な表情でレオに向い合う。
「すまないレオ……私は剣の道に生きる。だからお前の想いには応えられない」
美しき女剣士の返答にレオは呆然とするが、彼女は何も言わずに振り向いて立ち去った――
その後、レオは仲間達に置手紙を残し、武器や防具も全て置いて旅に出る事にした。別にアリアを追いかける為ではなく、これ以上に仲間達と行動が出来ない事を彼は理解していた。
――仲間達の中には各国の王子、王女、あるいは将軍等のような重要な地位の人間が存在し、彼等は魔王を打ち倒した勇者という存在を自国に迎え入れようとするだろう。実際に旅の中で女性陣には何度も色仕掛けを受けており、男性陣からは酒の席で何度も自国の勧誘を受けていた。
しかし、彼は自分が一つの国に所属すれば各国との力関係が大きく崩れる事を悟り、元の世界に戻る手段も存在せず、彼は自分が今まで関わっていない国家に移動する事を決める。そこで彼が行きついたのは辺境の小国であり、彼は冒険者ギルドに登録して冒険者として生活する事を決める。
だが、彼は勇者としての能力は全て失っており、最初にこの世界に召喚された時に出会った女神との契約で彼は魔王の討伐のまでの間は「女神の加護」と呼ばれる恩恵を受けるが、魔王討伐後には女神の加護は消失し、能力も大きく低下していた。
それでも彼の剣の技量までも失われる訳ではなく、勇者としての加護は失ったが元々のレオの資質は素晴らしく、彼は剣も魔法も得意とする剣士だった。最初の頃は恩恵を失った事で自分の肉体に違和感を覚えたが、数年が経過する頃には女神の加護がなくとも十分に竜種のような世界最強の魔物とも単独で渡り合える程の戦闘力を取り戻し、10が経過した頃には彼は冒険者の英雄として数々の人間から称えられる。
「おい、見ろよ!!あれが黒騎士だぜ!!」
「格好いいな……何時か俺もあんな冒険者に……」
「聞いたかよ?あの人、また大国からの勧誘を断ったらしいぜ……あれだけの実力なら大将軍だろうと勤められるのに」
「誰にも仕えず、媚びず、それでいながら優しい最強の剣士か……」
レオの評判は日に日に増しており、何時しか彼が滞在していた小国は彼の国の脅威となっていた魔物達が一掃され、更に彼の噂を聞いて数多くの冒険者が訪れるようになる。冒険者として有名になった頃から各国が彼を将軍として迎え入れようとしたが、レオはあくまでも冒険者の道を選ぶ。
さらに10年の時が経過し、37才になった彼は何時の間にか「剣神」とまで呼ばれるようになり、実際に彼の剣の腕前は既に世界最強と言っても過言ではなく、魔法を使用せずに巨大な竜を無傷で倒した事から彼は英雄から剣神という異名に変化を果たしていた。
しかし、当の本人は剣の道に終わりを感じてしまい、これ以上に自分が強くなる事はないと悟る。限界まで剣を極めた以上、彼は今後は他の人間の指導者として生きていく事を決める。
「行くぞレオ!!」
「ああ!!」
「くっ……人間がぁあああっ!!」
2人の目の前にはローブを纏った老人が存在し、髑髏が取り付けられた杖を構えるが、彼が魔法を発動させる前に2人は斬りかかる。
「聖剣斬!!」
「シャイニングスラッシュ!!」
「ぐあぁあああああっ!?」
魔王の胸に2人が突き出した刃が突き刺さり、魔王は断末魔の悲鳴を上げて全身から煙を噴き出して倒れこむ。その光景に周囲に居た人間達が歓喜の声を上げた。
「やった!!倒したぞ!!」
「俺達は勝ったんだ!!」
「勇者様!!」
「よくやったアリア!!」
仲間達が2人の元に駆け寄り、全員が祝福の言葉を掛ける。その中には各国の王子や王女、更には各地で腕利きの冒険者で有名な人間も含まれており、レオとアリアは笑みを浮かべる。
「さあ……帰ろう。俺達の国へ」
『はい!!』
魔王討伐を果たしたレオ達は自分達の国へ戻る為、魔王城を後にした――
――その日の晩、魔王との激戦で疲れ切った勇者パーティが宿屋で全員が眠り付いた頃、レオはアリアを外に呼び出す。彼女はアトラス大森林と呼ばれるエルフ族の里に帰還する前に彼は自分の想いを伝えるために彼女を呼びだしたのだ。
「アリア!!俺はお前の事が好きだ……結婚してくれ!!」
「レオ……」
アリアはレオの告白に頬を赤く染め、満更でもない表情を浮かべるが、すぐに彼女は自分の腰に差している剣に視線を向け、やがて決意したように真剣な表情でレオに向い合う。
「すまないレオ……私は剣の道に生きる。だからお前の想いには応えられない」
美しき女剣士の返答にレオは呆然とするが、彼女は何も言わずに振り向いて立ち去った――
その後、レオは仲間達に置手紙を残し、武器や防具も全て置いて旅に出る事にした。別にアリアを追いかける為ではなく、これ以上に仲間達と行動が出来ない事を彼は理解していた。
――仲間達の中には各国の王子、王女、あるいは将軍等のような重要な地位の人間が存在し、彼等は魔王を打ち倒した勇者という存在を自国に迎え入れようとするだろう。実際に旅の中で女性陣には何度も色仕掛けを受けており、男性陣からは酒の席で何度も自国の勧誘を受けていた。
しかし、彼は自分が一つの国に所属すれば各国との力関係が大きく崩れる事を悟り、元の世界に戻る手段も存在せず、彼は自分が今まで関わっていない国家に移動する事を決める。そこで彼が行きついたのは辺境の小国であり、彼は冒険者ギルドに登録して冒険者として生活する事を決める。
だが、彼は勇者としての能力は全て失っており、最初にこの世界に召喚された時に出会った女神との契約で彼は魔王の討伐のまでの間は「女神の加護」と呼ばれる恩恵を受けるが、魔王討伐後には女神の加護は消失し、能力も大きく低下していた。
それでも彼の剣の技量までも失われる訳ではなく、勇者としての加護は失ったが元々のレオの資質は素晴らしく、彼は剣も魔法も得意とする剣士だった。最初の頃は恩恵を失った事で自分の肉体に違和感を覚えたが、数年が経過する頃には女神の加護がなくとも十分に竜種のような世界最強の魔物とも単独で渡り合える程の戦闘力を取り戻し、10が経過した頃には彼は冒険者の英雄として数々の人間から称えられる。
「おい、見ろよ!!あれが黒騎士だぜ!!」
「格好いいな……何時か俺もあんな冒険者に……」
「聞いたかよ?あの人、また大国からの勧誘を断ったらしいぜ……あれだけの実力なら大将軍だろうと勤められるのに」
「誰にも仕えず、媚びず、それでいながら優しい最強の剣士か……」
レオの評判は日に日に増しており、何時しか彼が滞在していた小国は彼の国の脅威となっていた魔物達が一掃され、更に彼の噂を聞いて数多くの冒険者が訪れるようになる。冒険者として有名になった頃から各国が彼を将軍として迎え入れようとしたが、レオはあくまでも冒険者の道を選ぶ。
さらに10年の時が経過し、37才になった彼は何時の間にか「剣神」とまで呼ばれるようになり、実際に彼の剣の腕前は既に世界最強と言っても過言ではなく、魔法を使用せずに巨大な竜を無傷で倒した事から彼は英雄から剣神という異名に変化を果たしていた。
しかし、当の本人は剣の道に終わりを感じてしまい、これ以上に自分が強くなる事はないと悟る。限界まで剣を極めた以上、彼は今後は他の人間の指導者として生きていく事を決める。
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