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王都での日常
第55話 退魔のローブ
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「……なにこれ?」
「こ、これは?」
「どっちも昔、あたしが着ていた服さ。捨てるのも勿体なくてずっと持ってたんだけど、今のあんた達に必要な物だと思ってね」
バルルは自分が学生時代に着ていた制服をミイナに渡し、冒険者になった時に身に着けていたローブをコオリに渡す。どうして自分達にこんな物を渡してきたのかを尋ねる。
「どうしてこれを?」
「その制服もローブも普通の服じゃないからさ。こう見えてもそこいらの兵士が着こんでいる鎧よりも頑丈で役に立つよ」
「え、この服が?」
二人に渡した制服もローブも単なる服ではないらしく、バルルによればどちらも特別な素材で拵えた服だという。その性能は街を警備する兵士が着こむ鎧などよりも高性能らしく、特にコオリの渡したローブは昔の時代の魔術師は誰もが着こんでいた物だという。
「あんたに渡したのは「退魔」の効果を持っているんだよ」
「退魔ですか?」
「名前の通りに魔法を退ける力を持つのさ。ひよっこの魔術師の魔法程度なら傷一つ付かないし、衝撃に強い素材で構成されているから魔法以外の攻撃を受けても簡単に敗れる事はない優れものさ」
「へ、へえっ……」
「昔の魔術師はよくそれを着てたんだけどね、だけど最近の魔術師は見栄え重視で着飾る事が多くなって、地味な見た目のそいつを着る奴は居なくなってきたね……これも時代なのかね」
「……確かに地味な見た目」
退魔の効果を持つローブは性能面では優れているが、外見が地味なために最近の時代は着込む事はなくなったという。だが、コオリの受け取ったローブは地味過ぎるために男女どちらが身に着けても違和感はなく、男性が着ても特に違和感はない。
「……こっちの服は?」
「そいつはあたしが学生時代の時に着ていた制服さ。そいつは今の魔法学園の生徒が着こんでいる制服と違って色々な機能があるよ」
「機能?」
「その制服の胸の部分に水晶が嵌め込まれているだろう?そいつを着込んだ状態でその魔石を回せば服が伸縮して着込んだ人間の体型に合わせた大きさになるのさ」
「……これ?」
ミイナは制服に嵌め込まれた水晶に視線を向け、試しに彼女は実際に着替えて見る事にした。コオリとバルルを外に出させて彼女は制服に着替えると、二人を呼び戻す。
「……ぶかぶか」
「まあ、あたしが三年生の時に着ていた服だからね。ちょっとデカいのは仕方ないね」
「でも胸元の部分はちょっときつい」
「そ、そうなんだ……」
「ぐっ……(←ちょっと悔しい)」
学生時代のバルルよりも今のミイナの方が身長が低いが、胸元だけはバルルよりも大きいらしく、少しきつそうな表情を浮かべる。
「まあいい、それよりも水晶を回してみな」
「こう?」
ミイナが制服の胸の部分に嵌め込まれている水晶を回した瞬間、唐突に制服が縮み始めてミイナの体型に合わせた大きさへと変化した。ミイナは驚いた様子で自分の制服を眺め、胸元の部分もきつさもなくなった。
バルルが通っていた時の学生服は体型に合わせて服が伸縮する機能が備えられており、原理は彼女も分かっていないが胸元の水晶を操作する事で身に着けた制服の大きさを変更できるらしい。しかも他にも機能があるらしく、コオリの受け取った退魔のローブと同じく魔法に強い耐性を持つらしい。
「その学生服は魔法学園の生徒のために作られた代物だからね。だから魔法に対して強い耐性を持っている」
「そうなんですか?あれ、でもそれならどうして今は制服が違うんですか?」
「今の時代の制服も魔法耐性は高い素材で作られてはいるさ。但し、昔のと違って体型に合わせて伸縮する機能はなくなったけどね。先生が言うにはh句を作るのに金が掛かり過ぎるから廃止されたそうだよ」
「これ、気に入った。今の制服よりもこっちの方が動きやすい」
現代の時代の制服は魔法耐性が高いという点を除けば昔の学生服よりも機能がいくつか失われており、ミイナは今の制服よりも昔の制服の方が気に入った。バルルは自分の制服を着こなすミイナを見て昔を懐かしみ、コオリにも早くローブを着るように促す。
「ほら、あんたもさっさとそれを身に付けな。今から課外授業を行うよ」
「えっ……課外授業?」
「また何処かへ出かけるの?」
「昨日も言っただろ、今日は子供のあんたらでも金を稼げる方法を教えてやるのさ」
課外授業という名目でバルルは二人を外へ連れ出し、王都の外へと出向いた――
――王都の外は辺り一面に草原が広がっており、動物以外にも魔物が多数生息していた。但し、王都付近には魔物が近寄ってこれないように仕掛けが施されており、コオリ達はバルルに連れ出されて外に出向くと彼女は説明を行う。
「ほら、あそこに柱が立っているだろ?あれには魔物除けの効果があるのさ」
「あ、本当だ……何ですかあれ?」
「魔物だけが嫌がる魔力の波動を放つ効果を持つ柱さ。一般的には魔除け柱とも言われているね」
王都の周囲には一定の感覚で柱が立っており、バルルによれば「魔除け柱」と呼ばれるこの柱には滅多に魔物が近寄る事はないという。この魔除け柱の傍にいれば大抵の魔物は近づく事もできずに立ち去るらしい。
魔除け柱は内部に魔石が埋め込まれているらしく、この魔石から放たれる魔力の波動を感じ取った魔物は嫌悪感を抱き、柱に近付こうともしない。但し、全ての魔物を退ける効果があるわけではなく、必ずしも魔除け柱の傍は安全とは言い切れない。
「この柱の傍は比較的に安全だけど、油断はするんじゃないよ。魔除け柱といっても必ずしも魔物を追い払ってくれるとは限らない。前に魔物から逃げている途中で魔除け柱に逃げ込んだけど、その魔除け柱の効果が切れていて魔物に襲われた人間もいるからね」
「そ、そうなんですか……」
「魔除け柱が効果を発揮しているのかどうかを確かめる場合、柱の上に立っている水晶玉の輝きと色で確認しな。ほら、この魔除け柱は白く光ってるだろう?これは魔除け柱にまだ魔力が残っている事を示しているのさ」
「へえ~っ」
バルルに言われてコオリとミイナは魔除け柱に視線を向け、言われてみれば柱の一番上の部分には水晶玉が設置されていた。白く光り輝いている間は魔除け柱は効果を発揮しているらしく、水晶玉の光で魔除け柱が作動しているのか確認する事が簡単にできた。
「もしもあんたらが魔物に襲われて逃げる場合、この魔除け柱がある場所に向かいな。但し、大抵の魔物は魔除け柱に近付く事もできないけど稀に魔除け柱の効果を振り切って近付いてくる魔物もいる」
「そんな魔物もいるんですか?」
「ああ、一番有名な奴はトロールだね。トロールは感覚が鈍くて魔除け柱が放つ魔力の波動も全く影響を受けない。まあ、この地方にはトロールは生息していないから襲われる心配はないけど、あんまり油断するじゃないよ。魔除け柱の傍にいれば絶対に安全なんて保障はないからね」
「分かった」
珍しく教師らしい説明をしながらバルルは王都周辺に配置されている魔除け柱を通り過ぎ、二人を連れて草原に出向く。今回は馬車などの乗り物の類には乗り込まず、二人を連れてどんどんとバルルは歩いていく。
どうしてバルルが草原へ連れ出したのかとコオリとミイナは疑問を抱くが、彼女は課外授業という名目で二人を連れ出し、今日のうちにお金を稼ぐ方法を教えるといった。コオリとミイナは例の賞金首を捕まえて得た報酬で装備を整えたため、あまり手持ちの金はない(残った報酬は孤児院の仕送りにした)。
「今日教える方法はあたしが暇な時にしかできない金稼ぎだからね。魔法の練習代わりに金も稼げる、正に今のあんた達にとっては打って付けの方法さ」
「師匠、まさかここって……」
「嫌な予感がしてきた……」
草原にある丘の上に三人は立つと、周囲の光景を確認してコオリとミイナは冷や汗を流す。その後ろに立つバルルは笑みを浮かべ、三人の視界には草原を行き交う魔物の姿が映し出された。
「今日の授業は実戦方式だよ。あんた達の魔法で魔物を倒してみな」
「え、ええっ!?」
「……私はともかく、一年生のコオリはまだ魔物と戦う事はできないはずだけど」
「それは他の教師の教育指導だろう?あたしには関係ないね、あたしの教育方針は実践で育てる!!これが一番のやり方さ!!」
「そ、そんな……」
「大丈夫、コオリは私が守る」
バルルは授業という名目でコオリとバルルに魔物と戦わせるためにわざわざ外に出向き、二人は草原のあちこちに存在する魔物の姿を見て呆然とする。
二人とも魔物との戦闘は既に体験しているが、まさか新しい装備を整えた当日に魔物と戦わされる羽目になるとは思わなかった。しかもこれまでは魔物との戦闘の時は屋内や傍に護衛となる冒険者がいたが、今回はバルルが付き添っているだけで他に二人を守る存在はいない。
(また魔物と戦う事になるなんて……いや、大丈夫だ。もうこいつらと戦える力は持っているんだ)
コオリは心を落ち着かせ、自分はもう魔物を前にして怯えていた頃とは違うと言い聞かせる。いきなり魔物と戦わされると知って緊張してしまったが、コオリはたった一人で魔物が巣食う深淵の森を渡り歩いた事を思い出す。
これまでの魔物と戦闘経験を思い出した途端、コオリは身体の震えを止めて頭が冷静になった。魔物が恐ろしい存在である事は間違いないが、それでも今の自分ならば魔物に対抗する力を持っている。そう思った途端にコオリは緊張が解れ、バルルに話しかける。
「こ、これは?」
「どっちも昔、あたしが着ていた服さ。捨てるのも勿体なくてずっと持ってたんだけど、今のあんた達に必要な物だと思ってね」
バルルは自分が学生時代に着ていた制服をミイナに渡し、冒険者になった時に身に着けていたローブをコオリに渡す。どうして自分達にこんな物を渡してきたのかを尋ねる。
「どうしてこれを?」
「その制服もローブも普通の服じゃないからさ。こう見えてもそこいらの兵士が着こんでいる鎧よりも頑丈で役に立つよ」
「え、この服が?」
二人に渡した制服もローブも単なる服ではないらしく、バルルによればどちらも特別な素材で拵えた服だという。その性能は街を警備する兵士が着こむ鎧などよりも高性能らしく、特にコオリの渡したローブは昔の時代の魔術師は誰もが着こんでいた物だという。
「あんたに渡したのは「退魔」の効果を持っているんだよ」
「退魔ですか?」
「名前の通りに魔法を退ける力を持つのさ。ひよっこの魔術師の魔法程度なら傷一つ付かないし、衝撃に強い素材で構成されているから魔法以外の攻撃を受けても簡単に敗れる事はない優れものさ」
「へ、へえっ……」
「昔の魔術師はよくそれを着てたんだけどね、だけど最近の魔術師は見栄え重視で着飾る事が多くなって、地味な見た目のそいつを着る奴は居なくなってきたね……これも時代なのかね」
「……確かに地味な見た目」
退魔の効果を持つローブは性能面では優れているが、外見が地味なために最近の時代は着込む事はなくなったという。だが、コオリの受け取ったローブは地味過ぎるために男女どちらが身に着けても違和感はなく、男性が着ても特に違和感はない。
「……こっちの服は?」
「そいつはあたしが学生時代の時に着ていた制服さ。そいつは今の魔法学園の生徒が着こんでいる制服と違って色々な機能があるよ」
「機能?」
「その制服の胸の部分に水晶が嵌め込まれているだろう?そいつを着込んだ状態でその魔石を回せば服が伸縮して着込んだ人間の体型に合わせた大きさになるのさ」
「……これ?」
ミイナは制服に嵌め込まれた水晶に視線を向け、試しに彼女は実際に着替えて見る事にした。コオリとバルルを外に出させて彼女は制服に着替えると、二人を呼び戻す。
「……ぶかぶか」
「まあ、あたしが三年生の時に着ていた服だからね。ちょっとデカいのは仕方ないね」
「でも胸元の部分はちょっときつい」
「そ、そうなんだ……」
「ぐっ……(←ちょっと悔しい)」
学生時代のバルルよりも今のミイナの方が身長が低いが、胸元だけはバルルよりも大きいらしく、少しきつそうな表情を浮かべる。
「まあいい、それよりも水晶を回してみな」
「こう?」
ミイナが制服の胸の部分に嵌め込まれている水晶を回した瞬間、唐突に制服が縮み始めてミイナの体型に合わせた大きさへと変化した。ミイナは驚いた様子で自分の制服を眺め、胸元の部分もきつさもなくなった。
バルルが通っていた時の学生服は体型に合わせて服が伸縮する機能が備えられており、原理は彼女も分かっていないが胸元の水晶を操作する事で身に着けた制服の大きさを変更できるらしい。しかも他にも機能があるらしく、コオリの受け取った退魔のローブと同じく魔法に強い耐性を持つらしい。
「その学生服は魔法学園の生徒のために作られた代物だからね。だから魔法に対して強い耐性を持っている」
「そうなんですか?あれ、でもそれならどうして今は制服が違うんですか?」
「今の時代の制服も魔法耐性は高い素材で作られてはいるさ。但し、昔のと違って体型に合わせて伸縮する機能はなくなったけどね。先生が言うにはh句を作るのに金が掛かり過ぎるから廃止されたそうだよ」
「これ、気に入った。今の制服よりもこっちの方が動きやすい」
現代の時代の制服は魔法耐性が高いという点を除けば昔の学生服よりも機能がいくつか失われており、ミイナは今の制服よりも昔の制服の方が気に入った。バルルは自分の制服を着こなすミイナを見て昔を懐かしみ、コオリにも早くローブを着るように促す。
「ほら、あんたもさっさとそれを身に付けな。今から課外授業を行うよ」
「えっ……課外授業?」
「また何処かへ出かけるの?」
「昨日も言っただろ、今日は子供のあんたらでも金を稼げる方法を教えてやるのさ」
課外授業という名目でバルルは二人を外へ連れ出し、王都の外へと出向いた――
――王都の外は辺り一面に草原が広がっており、動物以外にも魔物が多数生息していた。但し、王都付近には魔物が近寄ってこれないように仕掛けが施されており、コオリ達はバルルに連れ出されて外に出向くと彼女は説明を行う。
「ほら、あそこに柱が立っているだろ?あれには魔物除けの効果があるのさ」
「あ、本当だ……何ですかあれ?」
「魔物だけが嫌がる魔力の波動を放つ効果を持つ柱さ。一般的には魔除け柱とも言われているね」
王都の周囲には一定の感覚で柱が立っており、バルルによれば「魔除け柱」と呼ばれるこの柱には滅多に魔物が近寄る事はないという。この魔除け柱の傍にいれば大抵の魔物は近づく事もできずに立ち去るらしい。
魔除け柱は内部に魔石が埋め込まれているらしく、この魔石から放たれる魔力の波動を感じ取った魔物は嫌悪感を抱き、柱に近付こうともしない。但し、全ての魔物を退ける効果があるわけではなく、必ずしも魔除け柱の傍は安全とは言い切れない。
「この柱の傍は比較的に安全だけど、油断はするんじゃないよ。魔除け柱といっても必ずしも魔物を追い払ってくれるとは限らない。前に魔物から逃げている途中で魔除け柱に逃げ込んだけど、その魔除け柱の効果が切れていて魔物に襲われた人間もいるからね」
「そ、そうなんですか……」
「魔除け柱が効果を発揮しているのかどうかを確かめる場合、柱の上に立っている水晶玉の輝きと色で確認しな。ほら、この魔除け柱は白く光ってるだろう?これは魔除け柱にまだ魔力が残っている事を示しているのさ」
「へえ~っ」
バルルに言われてコオリとミイナは魔除け柱に視線を向け、言われてみれば柱の一番上の部分には水晶玉が設置されていた。白く光り輝いている間は魔除け柱は効果を発揮しているらしく、水晶玉の光で魔除け柱が作動しているのか確認する事が簡単にできた。
「もしもあんたらが魔物に襲われて逃げる場合、この魔除け柱がある場所に向かいな。但し、大抵の魔物は魔除け柱に近付く事もできないけど稀に魔除け柱の効果を振り切って近付いてくる魔物もいる」
「そんな魔物もいるんですか?」
「ああ、一番有名な奴はトロールだね。トロールは感覚が鈍くて魔除け柱が放つ魔力の波動も全く影響を受けない。まあ、この地方にはトロールは生息していないから襲われる心配はないけど、あんまり油断するじゃないよ。魔除け柱の傍にいれば絶対に安全なんて保障はないからね」
「分かった」
珍しく教師らしい説明をしながらバルルは王都周辺に配置されている魔除け柱を通り過ぎ、二人を連れて草原に出向く。今回は馬車などの乗り物の類には乗り込まず、二人を連れてどんどんとバルルは歩いていく。
どうしてバルルが草原へ連れ出したのかとコオリとミイナは疑問を抱くが、彼女は課外授業という名目で二人を連れ出し、今日のうちにお金を稼ぐ方法を教えるといった。コオリとミイナは例の賞金首を捕まえて得た報酬で装備を整えたため、あまり手持ちの金はない(残った報酬は孤児院の仕送りにした)。
「今日教える方法はあたしが暇な時にしかできない金稼ぎだからね。魔法の練習代わりに金も稼げる、正に今のあんた達にとっては打って付けの方法さ」
「師匠、まさかここって……」
「嫌な予感がしてきた……」
草原にある丘の上に三人は立つと、周囲の光景を確認してコオリとミイナは冷や汗を流す。その後ろに立つバルルは笑みを浮かべ、三人の視界には草原を行き交う魔物の姿が映し出された。
「今日の授業は実戦方式だよ。あんた達の魔法で魔物を倒してみな」
「え、ええっ!?」
「……私はともかく、一年生のコオリはまだ魔物と戦う事はできないはずだけど」
「それは他の教師の教育指導だろう?あたしには関係ないね、あたしの教育方針は実践で育てる!!これが一番のやり方さ!!」
「そ、そんな……」
「大丈夫、コオリは私が守る」
バルルは授業という名目でコオリとバルルに魔物と戦わせるためにわざわざ外に出向き、二人は草原のあちこちに存在する魔物の姿を見て呆然とする。
二人とも魔物との戦闘は既に体験しているが、まさか新しい装備を整えた当日に魔物と戦わされる羽目になるとは思わなかった。しかもこれまでは魔物との戦闘の時は屋内や傍に護衛となる冒険者がいたが、今回はバルルが付き添っているだけで他に二人を守る存在はいない。
(また魔物と戦う事になるなんて……いや、大丈夫だ。もうこいつらと戦える力は持っているんだ)
コオリは心を落ち着かせ、自分はもう魔物を前にして怯えていた頃とは違うと言い聞かせる。いきなり魔物と戦わされると知って緊張してしまったが、コオリはたった一人で魔物が巣食う深淵の森を渡り歩いた事を思い出す。
これまでの魔物と戦闘経験を思い出した途端、コオリは身体の震えを止めて頭が冷静になった。魔物が恐ろしい存在である事は間違いないが、それでも今の自分ならば魔物に対抗する力を持っている。そう思った途端にコオリは緊張が解れ、バルルに話しかける。
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