32 / 129
王都での日常
第32話 問題児
しおりを挟む
――その後、コオリはいつも通りに教室に訪れると疲れた表情のバルルがやってきた。彼女はどうやら逃げ出した女子生徒を捕まえられなかったらしく、行儀悪く教卓の上に座り込む。
「たくっ、あの猫娘……逃げ足だけは大したもんだよ」
「バルル先生」
「……先生なんてあたしには性に合わないよ。そうだね、師匠の方がしっくりくるね」
「はあっ……じゃあ、これからは師匠と呼びます」
バルルの事を今後はコオリは師匠と呼ぶ事が決まり、改めて彼女から先ほどの女子生徒の話を聞く。
「さっきの先輩がもう一人の生徒だったんですか?」
「そうさ、あたしが学園長から面倒を見る様に頼まれた問題児さ。先生《マリア》からあの猫娘の面倒を見てくれるなら教師を任せてもいいと言われたからね」
「猫娘……変わった名前ですね」
「んなわけないだろ。本当の名前は……えっと、ミイナとか言ってたね」
マリアとの交渉の結果、バルルはミイナという名前の女子生徒の面倒も見る事を条件に教師になる約束を交わした。つまり、彼女はまだ正式な教師ではなく、あのミイナという生徒を捕まえて自分を教師として認めさせなければならない。
期日は二週間、それまでにバルルはミイナを捕まえて授業を受けるように説得しなければ彼女は解雇される。だからバルルはこの十日間の間、コオリの訓練を放置してミイナの捜索と捕縛に全力を費やしていた。
「最初は生徒一人の面倒を見るぐらい楽だと思ったんだけどね……先生も性格が悪いよ、よりにもよって獣人族の問題児なんて聞いてないよ」
「ミイナ先輩は獣人族なのにこの学校の生徒なんですか?」
「別にここは人間専門の学校じゃないからね。人間だけが通っているわけじゃないのはあんたも知ってるだろう?」
魔法学園は人間以外の種族も通っており、この魔法学園を案内してくれたリンダもエルフである事を思い出す。但し、コオリは獣人族の生徒は見かけておらず、だから学園には人間とエルフしかいないと思い込んでいた。
「あのミイナという娘は魔拳士でね、ちょっと複雑な事情があって学園長が面倒を見てるのさ。だけど、授業を真面目に受けようとしないから困ってたんだよ」
「え、でも評価を貰わないと上の学年に上がれないんじゃ……」
「一年生の場合は年内に必要な星の徽章を集められなかった生徒でも、特別課題を受けて合格すれば進級できるんだよ。あたしの時はそんな制度はなかったのに……」
「そういえばそんな話を聞いたような……」
ミイナは一年生の時から問題児だったらしいが、彼女は特別課題を受けて合格したらしく、二年生に進級できた。しかし、二年生になってからも授業のサボり癖は治らず、マリアも困っていた所にバルルが教師役を雇うように言ってきたので彼女に面倒を見る様に頼む。
最初の頃はバルルもミイナを捕まえようとしていたが、彼女は獣人族なので人間の生徒を相手にするよりも手強く、今日の朝もミイナを追いかけて校舎中を走り回ったらしい。ちなみにミイナが校舎から飛び降りたのはバルルが屋上まで彼女を追い詰めたのが原因らしく、彼女は屋上を降りようとした時に偶然にもコオリと遭遇した。
「参ったね……あと四日以内に捕まえないといけないのにこの調子だとあたしの方が参っちまうよ」
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ、悪いね。あんたの指導もちゃんとやれなくて……」
バルルはミイナを探す事に疲れたらしく、いつもならば朝の挨拶を終えると彼女は外にでかけるが、今日はコオリの成長ぶりを確認する事にした。
「あんたもここ最近は頑張ってるからね、もう大分魔法の腕も上達したんじゃないのかい?」
「え!?本当ですか!?なら見ててくださいね!!」
「ず、随分と自信ありげじゃないかい……こいつは楽しみだね」
コオリはバルルの言葉を聞いてようやく自分の魔法の成果を見てもらえる日が来た事を喜び、彼女の前で吸魔石と小杖を取り出す。
「じゃあ、よく見ててくださいね……行きますよ」
「あ、ああ……本当に自信があるみたいだね」
普段よりも興奮した様子で魔法を見せつけようとしてくるコオリにバルルは戸惑うが、そんな彼女の前でコオリは真剣な表情を浮かべて吸魔石を左手に握りしめた状態で小杖を構える。
吸魔石を持った状態で魔法を発動しようとするコオリを見て、バルルは止めるべきか考える。以前に彼女はコオリが魔法の練習をしている時、吸魔石に触れた状態で魔法を発動できるようになれと告げた。だが、今回は彼の魔法の成果を見せてくれるだけで十分なので無理に吸魔石に触れた状態で魔法を発動する必要はない。
「おいおい、無理するんじゃ――!?」
しかし、バルルがコオリを止める前に彼の小杖の先から氷塊が誕生した。しかも前に見た時よりも氷塊の大きさは増しており、コオリは吸魔石に触れた状態でしかも「無詠唱」で魔法の発現に成功する。
(無詠唱!?しかも一瞬で発現させた!?)
バルルはコオリが無詠唱でしかも一瞬にして氷塊を作り出した事に驚く。確かに彼女は吸魔石で練習を行うようになればいずれ無詠唱も習得できると語ったが、それでもコオリが十日で無詠唱で魔法を完璧に発現できるようになるとは夢にも思わなかった。
無詠唱を扱えるようになるには相当な鍛錬を積み重ねなければならず、師であるバルルでさえも無詠唱を完璧に扱えるようになるまで二か月は要した。それなのにコオリの場合は十日間でしかも初めて魔法を覚えてから一か月もしない内に無詠唱まで習得した事にバルルは驚愕する。
(こいつ、まさか天才かい!?いや、それだけじゃ説明ができない!!)
才能がある人間でも無詠唱魔法を十日間で覚えるなど普通ならば有り得ず、こんな短期間でコオリが無詠唱魔法を習得できたのは彼の魔力量が要因だった。
(もしかしたら先生の言っていた通りなのか?)
コオリは並の魔術師と比べても魔力が非常に少なく、それが魔術師にとっては大きな欠点になると思われていた。だが、魔力量が少ない事が彼にとっての長所だったのかもしれない。
魔術師が魔法を扱う時、体内に宿る魔力を使用しなければならない。だが、この魔力を利用して魔法を発動させる行為は身体に負担を与える。特に魔力量が大きい人間程、有り余る魔力を制御するのに時間が掛かってしまう。
(こいつが魔力操作の技術を身に着けるのが早いは、魔力量が少ないからかもしれないね……)
他の同世代の魔術師と比べても格段に魔力量が少ないコオリだが、逆に言えば他の人間よりも魔力量が少ないお陰で魔力の制御がしやすい体質なのかもしれない。だからこそコオリは他の生徒の誰よりも圧倒的な速度で魔力操作の技術を身に着けられた。
(まさか魔力量が少ない事が逆に功を奏すなんてね……でも、本人は気付いていないようだね)
コオリが魔力操作の技術を短期間で身に着ける事ができたのは彼が魔力量が少ないという才能に恵まれたからであり、当の本人はその事に全く気づいていない。しかし、コオリは無意識に自分の短所を長所へと成長させていた。
「や、やるじゃないかい……まさか本当に無詠唱を使えるようになるなんて驚いたよ。だけど、そんなにでかい氷を作り出して平気なのかい?」
「あ、はい。これぐらいならもう平気です。それに前よりも魔法が使える回数が増えた気がします」
「へえ、そうなのかい……?」
魔力操作の技術が磨かれた事でコオリは無駄な魔力を全く消費せずに魔法を発動できるようになったが、あくまでもバルルが教えた訓練は魔力を巧みに操作する技術であって魔力が増えるわけではない。だが、何故かコオリは学園に入学する前よりも魔法を扱える回数が増えたという。
「たくっ、あの猫娘……逃げ足だけは大したもんだよ」
「バルル先生」
「……先生なんてあたしには性に合わないよ。そうだね、師匠の方がしっくりくるね」
「はあっ……じゃあ、これからは師匠と呼びます」
バルルの事を今後はコオリは師匠と呼ぶ事が決まり、改めて彼女から先ほどの女子生徒の話を聞く。
「さっきの先輩がもう一人の生徒だったんですか?」
「そうさ、あたしが学園長から面倒を見る様に頼まれた問題児さ。先生《マリア》からあの猫娘の面倒を見てくれるなら教師を任せてもいいと言われたからね」
「猫娘……変わった名前ですね」
「んなわけないだろ。本当の名前は……えっと、ミイナとか言ってたね」
マリアとの交渉の結果、バルルはミイナという名前の女子生徒の面倒も見る事を条件に教師になる約束を交わした。つまり、彼女はまだ正式な教師ではなく、あのミイナという生徒を捕まえて自分を教師として認めさせなければならない。
期日は二週間、それまでにバルルはミイナを捕まえて授業を受けるように説得しなければ彼女は解雇される。だからバルルはこの十日間の間、コオリの訓練を放置してミイナの捜索と捕縛に全力を費やしていた。
「最初は生徒一人の面倒を見るぐらい楽だと思ったんだけどね……先生も性格が悪いよ、よりにもよって獣人族の問題児なんて聞いてないよ」
「ミイナ先輩は獣人族なのにこの学校の生徒なんですか?」
「別にここは人間専門の学校じゃないからね。人間だけが通っているわけじゃないのはあんたも知ってるだろう?」
魔法学園は人間以外の種族も通っており、この魔法学園を案内してくれたリンダもエルフである事を思い出す。但し、コオリは獣人族の生徒は見かけておらず、だから学園には人間とエルフしかいないと思い込んでいた。
「あのミイナという娘は魔拳士でね、ちょっと複雑な事情があって学園長が面倒を見てるのさ。だけど、授業を真面目に受けようとしないから困ってたんだよ」
「え、でも評価を貰わないと上の学年に上がれないんじゃ……」
「一年生の場合は年内に必要な星の徽章を集められなかった生徒でも、特別課題を受けて合格すれば進級できるんだよ。あたしの時はそんな制度はなかったのに……」
「そういえばそんな話を聞いたような……」
ミイナは一年生の時から問題児だったらしいが、彼女は特別課題を受けて合格したらしく、二年生に進級できた。しかし、二年生になってからも授業のサボり癖は治らず、マリアも困っていた所にバルルが教師役を雇うように言ってきたので彼女に面倒を見る様に頼む。
最初の頃はバルルもミイナを捕まえようとしていたが、彼女は獣人族なので人間の生徒を相手にするよりも手強く、今日の朝もミイナを追いかけて校舎中を走り回ったらしい。ちなみにミイナが校舎から飛び降りたのはバルルが屋上まで彼女を追い詰めたのが原因らしく、彼女は屋上を降りようとした時に偶然にもコオリと遭遇した。
「参ったね……あと四日以内に捕まえないといけないのにこの調子だとあたしの方が参っちまうよ」
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ、悪いね。あんたの指導もちゃんとやれなくて……」
バルルはミイナを探す事に疲れたらしく、いつもならば朝の挨拶を終えると彼女は外にでかけるが、今日はコオリの成長ぶりを確認する事にした。
「あんたもここ最近は頑張ってるからね、もう大分魔法の腕も上達したんじゃないのかい?」
「え!?本当ですか!?なら見ててくださいね!!」
「ず、随分と自信ありげじゃないかい……こいつは楽しみだね」
コオリはバルルの言葉を聞いてようやく自分の魔法の成果を見てもらえる日が来た事を喜び、彼女の前で吸魔石と小杖を取り出す。
「じゃあ、よく見ててくださいね……行きますよ」
「あ、ああ……本当に自信があるみたいだね」
普段よりも興奮した様子で魔法を見せつけようとしてくるコオリにバルルは戸惑うが、そんな彼女の前でコオリは真剣な表情を浮かべて吸魔石を左手に握りしめた状態で小杖を構える。
吸魔石を持った状態で魔法を発動しようとするコオリを見て、バルルは止めるべきか考える。以前に彼女はコオリが魔法の練習をしている時、吸魔石に触れた状態で魔法を発動できるようになれと告げた。だが、今回は彼の魔法の成果を見せてくれるだけで十分なので無理に吸魔石に触れた状態で魔法を発動する必要はない。
「おいおい、無理するんじゃ――!?」
しかし、バルルがコオリを止める前に彼の小杖の先から氷塊が誕生した。しかも前に見た時よりも氷塊の大きさは増しており、コオリは吸魔石に触れた状態でしかも「無詠唱」で魔法の発現に成功する。
(無詠唱!?しかも一瞬で発現させた!?)
バルルはコオリが無詠唱でしかも一瞬にして氷塊を作り出した事に驚く。確かに彼女は吸魔石で練習を行うようになればいずれ無詠唱も習得できると語ったが、それでもコオリが十日で無詠唱で魔法を完璧に発現できるようになるとは夢にも思わなかった。
無詠唱を扱えるようになるには相当な鍛錬を積み重ねなければならず、師であるバルルでさえも無詠唱を完璧に扱えるようになるまで二か月は要した。それなのにコオリの場合は十日間でしかも初めて魔法を覚えてから一か月もしない内に無詠唱まで習得した事にバルルは驚愕する。
(こいつ、まさか天才かい!?いや、それだけじゃ説明ができない!!)
才能がある人間でも無詠唱魔法を十日間で覚えるなど普通ならば有り得ず、こんな短期間でコオリが無詠唱魔法を習得できたのは彼の魔力量が要因だった。
(もしかしたら先生の言っていた通りなのか?)
コオリは並の魔術師と比べても魔力が非常に少なく、それが魔術師にとっては大きな欠点になると思われていた。だが、魔力量が少ない事が彼にとっての長所だったのかもしれない。
魔術師が魔法を扱う時、体内に宿る魔力を使用しなければならない。だが、この魔力を利用して魔法を発動させる行為は身体に負担を与える。特に魔力量が大きい人間程、有り余る魔力を制御するのに時間が掛かってしまう。
(こいつが魔力操作の技術を身に着けるのが早いは、魔力量が少ないからかもしれないね……)
他の同世代の魔術師と比べても格段に魔力量が少ないコオリだが、逆に言えば他の人間よりも魔力量が少ないお陰で魔力の制御がしやすい体質なのかもしれない。だからこそコオリは他の生徒の誰よりも圧倒的な速度で魔力操作の技術を身に着けられた。
(まさか魔力量が少ない事が逆に功を奏すなんてね……でも、本人は気付いていないようだね)
コオリが魔力操作の技術を短期間で身に着ける事ができたのは彼が魔力量が少ないという才能に恵まれたからであり、当の本人はその事に全く気づいていない。しかし、コオリは無意識に自分の短所を長所へと成長させていた。
「や、やるじゃないかい……まさか本当に無詠唱を使えるようになるなんて驚いたよ。だけど、そんなにでかい氷を作り出して平気なのかい?」
「あ、はい。これぐらいならもう平気です。それに前よりも魔法が使える回数が増えた気がします」
「へえ、そうなのかい……?」
魔力操作の技術が磨かれた事でコオリは無駄な魔力を全く消費せずに魔法を発動できるようになったが、あくまでもバルルが教えた訓練は魔力を巧みに操作する技術であって魔力が増えるわけではない。だが、何故かコオリは学園に入学する前よりも魔法を扱える回数が増えたという。
16
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】
早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
ダレカノセカイ
MY
ファンタジー
新道千。高校2年生。
次に目を覚ますとそこは――。
この物語は俺が元いた居場所……いや元いた世界へ帰る為の戦いから始まる話である。
――――――――――――――――――
ご感想などありましたら、お待ちしております(^^)
by MY

千技の魔剣士 器用貧乏と蔑まれた少年はスキルを千個覚えて無双する
大豆茶
ファンタジー
とある男爵家にて、神童と呼ばれる少年がいた。
少年の名はユーリ・グランマード。
剣の強さを信条とするグランマード家において、ユーリは常人なら十年はかかる【剣術】のスキルレベルを、わずか三ヶ月、しかも若干六歳という若さで『レベル3』まで上げてみせた。
先に修練を始めていた兄をあっという間に超え、父ミゲルから大きな期待を寄せられるが、ある日に転機が訪れる。
生まれ持つ【加護】を明らかにする儀式を受けたユーリが持っていたのは、【器用貧乏】という、極めて珍しい加護だった。
その効果は、スキルの習得・成長に大幅なプラス補正がかかるというもの。
しかし、その代わりにスキルレベルの最大値が『レベル3』になってしまうというデメリットがあった。
ユーリの加護の正体を知ったミゲルは、大きな期待から一転、失望する。何故ならば、ユーリの剣は既に成長限界を向かえていたことが判明したからだ。
有力な騎士を排出することで地位を保ってきたグランマード家において、ユーリの加護は無価値だった。
【剣術】スキルレベル3というのは、剣を生業とする者にとっては、せいぜい平均値がいいところ。王都の騎士団に入るための最低条件すら満たしていない。
そんなユーリを疎んだミゲルは、ユーリが妾の子だったこともあり、軟禁生活の後に家から追放する。
ふらふらの状態で追放されたユーリは、食料を求めて森の中へ入る。
そこで出会ったのは、自らを魔女と名乗る妙齢の女性だった。
魔女に命を救われたユーリは、彼女の『実験』の手伝いをすることを決断する。
その内容が、想像を絶するものだとは知らずに――
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
転生王子はダラけたい
朝比奈 和
ファンタジー
大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。
束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!
と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!
ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!
ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり!
※2016年11月。第1巻
2017年 4月。第2巻
2017年 9月。第3巻
2017年12月。第4巻
2018年 3月。第5巻
2018年 8月。第6巻
2018年12月。第7巻
2019年 5月。第8巻
2019年10月。第9巻
2020年 6月。第10巻
2020年12月。第11巻 出版しました。
PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。
投稿継続中です。よろしくお願いします!
転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!
ももがぶ
ファンタジー
猫たちと布団に入ったはずが、気がつけば異世界転生!
せっかくの異世界。好き放題に思いつくままモノ作りを極めたい!
魔法アリなら色んなことが出来るよね。
無自覚に好き勝手にモノを作り続けるお話です。
第一巻 2022年9月発売
第二巻 2023年4月下旬発売
第三巻 2023年9月下旬発売
※※※スピンオフ作品始めました※※※
おもちゃ作りが楽しすぎて!!! ~転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい! 外伝~

劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~
絢乃
ファンタジー
F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。
彼は冒険者を引退しようか悩む。
そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。
これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。
これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。
努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる