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エルフの師弟
第26話 エルフの師弟
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「どうした?儂に遠慮する必要はないぞ。こんな魔法を覚えたいというのはないのか?」
「う~ん……あ、それならずっと前に師匠が俺を山の外に飛ばした魔法は?」
「て、転移魔法のことか?あれは聖属性の上級魔法だから簡単に覚えられる物ではないぞ。儂でも覚えるまで三年はかかったからな」
「三年!?」
ナイにとって収納魔法以外で一番印象深い魔法は「転移魔法」なのだが、聖属性の魔法の中でも習得難易度が高く、伝説の魔術師と謳われたクロウでさえも習得までに三年の月日を費やした。ちなみに一般の魔術師が覚えようとすれば五年や十年は掛かるため、むしろ三年で覚えたクロウが異常である。
(う~ん……師匠が魔法を使うのは何度か見たことがあるけど、どの魔法もピンとこないな)
クロウが訓練の際に魔法を扱う場面はナイも何度か見たことはあるが、基本的に彼が扱っていたのは「攻撃魔法」だけである。まだ収納魔法を覚える前のナイならば覚えたいと思ったかもしれないが、黒射や石弾といった技術を自力で習得した今となっては攻撃向けの魔法にあまり興味は引かれない。
(別に今のところは収納魔法だけでも魔物と戦えるし、強い攻撃魔法を覚えるのは今度でいいかな……でも、転移魔法は便利そうだから覚えておいて損はないと思ったけど、流石に三年も待たせられないな)
ナイは一人前の魔術師となって村に帰ると親友《ハル》と約束しており、三年も修行をするわけにはいかない。転移魔法が無理ならば他の属性の攻撃魔法を覚えるのが無難だが、今の時点では収納魔法だけでも戦闘は事足りているので攻撃魔法を覚えたいという気持ちが薄らぐ。
「攻撃魔法以外で俺が覚えられそうな魔法はないの?」
「ん?そうだな……色々とあるが、儂のおすすめは――!?」
説明の途中でクロウは何かに勘付いたように振り返り、少し遅れてナイも異変を感じ取る。二人の魔力感知に反応があり、遠くの空から高速で接近する強大な魔力を感知した。
「この魔力は……いかん、離れろ!!」
「な、何!?こっちに近付いている!?」
魔力が感じた方向に視線を向けると、空中に浮かぶ二人の人間を発見した。空から飛んできたのは金髪の女性二人であり、ナイ達の目の前に降り立つ。二人組が地面に着地した瞬間、強烈な風圧が発生して大量の土煙が舞い上がる。
「うわっ!?」
「ぺっぺっ……こ、この馬鹿エルフが!!いったい何のつもりだ!?」
「あら、意外と元気そうね。てっきりもう老いぼれたと思ってたわ」
「どうもっす!!お久しぶりです、クロウ魔術師!!」
土煙が晴れて現れたのは金髪の美女と美少女であり、どちらもナイがこれまで遭遇したどんな女性よりも綺麗な顔立ちをしていた。いきなり空から降ってきた二人組に対してクロウは表情を歪める。
空から飛んできた事、そして金色の髪の毛に普通の人間よりも細長い耳を生やしている事に気づいたナイは、二人の正体が「エルフ」だと見抜く。実際に見るのは初めてだが、エルフという存在自体は有名なので一目で分かった。
(ほ、本物のエルフ!?初めて見た……父さんの言ってた通りだ)
父親からナイはエルフが人間よりも容姿が優れ、優れた魔法の力を持つ種族だと聞かされていた。この二人は空を飛んできた事を考えてもクロウと同じく魔術師だと確信し、その一方で二人もナイに気が付くと驚いた表情を浮かべた。
「……その子は何処の子かしら?まさか、貴方の孫じゃないわよね?」
「ば、馬鹿を言うな!!こいつは儂の弟子だ!!」
「え~!?クロウ魔術師の弟子!?あんなに弟子は取らないと言ってたのに!?」
「あ、あの……」
エルフの二人はクロウと顔見知りらしいが、三人の間柄を知らないナイは戸惑う。それを見てクロウは仕方なく二人を紹介した。
「ナイ、こいつらは見ての通りのエルフだ。こっちの生意気な女はマリア、そっちの小娘はエリナだ」
「……相変わらず無礼な男ね。言っておくけど、私が年上だという事を忘れてないかしら?」
「お弟子さん、初めまして!!マリア様の弟子のエリナです!!」
「あ、どうも……って、年上!?」
さらりと発言したので聞き逃しそうになったが、マリアと呼ばれた女性はクロウよりも年上という言葉にナイは度肝を抜かす。マリアの年齢はどう見ても20才後半にしか見えないが、80才を越えるクロウよりも年上だという。
「ナイ、お前もエルフが長命の種族だとは聞いた事があるだろう?この女は確かに儂よりも年上だ。実際の年齢は……100才か?」
「85才よ!!勝手に人の年齢を三桁にしないでくれないかしら!?」
「は、85才!?」
マリアの実年齢を聞かされてナイは驚愕し、クロウと大差ない年齢に驚きを隠せない。エルフは人間の三倍近くの寿命を誇り、マリアはエルフの中ではまだ若者の部類らしい。
「じゃあ、もしかしてそっち女の子も……」
「あたしは48歳ですね。人間基準だと16才ぐらいっす」
「そ、そうなんだ……」
自分と同い年ぐらいにしか見えないエリナが自分の父親よりも年上だと知り、改めてエルフの若々しさに驚かされる。その一方でマリアとエリナはクロウの弟子であるナイに興味を示す。
「それにしても人嫌いの貴方が弟子を取るなんて……しかもこんな小さい子供を何処から攫ってきたのかしら?」
「人聞きの悪い事を言うな!?こいつから儂の元にやってきたんじゃ!!」
「けど、前に会った時は自分は弟子は取らないと言ってたじゃないですか?」
「え、そうなんですか?」
「いちいちやかましいわ!!こっちにも色々と事情があるんじゃ!!」
クロウとマリアとエリナは昔からの知り合いであり、ナイと出会うまではクロウは弟子を取っていなかった事も発覚した。伝説の魔術師である彼に教えを乞う者は大勢いたが、クロウが弟子を作ったのはナイが初めてである。
ちなみにクロウがナイを引き取ったのは叔父から殺されかけ、村に戻る事もできずに行き場所を失った子供を見捨てるほど人でなしではなく、それにナイの父親には借りがあった。クロウが山に住む際に村長である彼が色々と資材を提供してくれたお陰であり、そんな彼の代わりにナイを立派に育てる事を誓う。
但し、弟子にした事に関してはナイの父親の義理立てなどではなく、二度も命を懸けて自分の元に訪れて弟子入りを懇願したナイの覚悟に心を動かされたからである。これまでクロウに弟子入りを申し込んだ人間の中にナイほどの強い意思を持つ人間は一人もいなかった。
「……マリア、今更何しにやってきた?まさか儂と決着をつけに来たと言うわけではあるまい」
「……年老いた貴方に興味はないわ。老人をいたぶる趣味はないもの」
「え?それってどういう……」
「御二人は若い頃は好敵手《ライバル》だったんですよ。クロウ魔術師が引退するまではお互いに競い合ってたらしいっす」
クロウとマリアのやり取りにナイは不思議に思うと、エリナが耳元に話しかける。まだクロウが国の魔術師として働いていた頃にマリアと出会ったらしく、彼女とは昔から色々と理由を付けて戦っていた事が判明した。
「う~ん……あ、それならずっと前に師匠が俺を山の外に飛ばした魔法は?」
「て、転移魔法のことか?あれは聖属性の上級魔法だから簡単に覚えられる物ではないぞ。儂でも覚えるまで三年はかかったからな」
「三年!?」
ナイにとって収納魔法以外で一番印象深い魔法は「転移魔法」なのだが、聖属性の魔法の中でも習得難易度が高く、伝説の魔術師と謳われたクロウでさえも習得までに三年の月日を費やした。ちなみに一般の魔術師が覚えようとすれば五年や十年は掛かるため、むしろ三年で覚えたクロウが異常である。
(う~ん……師匠が魔法を使うのは何度か見たことがあるけど、どの魔法もピンとこないな)
クロウが訓練の際に魔法を扱う場面はナイも何度か見たことはあるが、基本的に彼が扱っていたのは「攻撃魔法」だけである。まだ収納魔法を覚える前のナイならば覚えたいと思ったかもしれないが、黒射や石弾といった技術を自力で習得した今となっては攻撃向けの魔法にあまり興味は引かれない。
(別に今のところは収納魔法だけでも魔物と戦えるし、強い攻撃魔法を覚えるのは今度でいいかな……でも、転移魔法は便利そうだから覚えておいて損はないと思ったけど、流石に三年も待たせられないな)
ナイは一人前の魔術師となって村に帰ると親友《ハル》と約束しており、三年も修行をするわけにはいかない。転移魔法が無理ならば他の属性の攻撃魔法を覚えるのが無難だが、今の時点では収納魔法だけでも戦闘は事足りているので攻撃魔法を覚えたいという気持ちが薄らぐ。
「攻撃魔法以外で俺が覚えられそうな魔法はないの?」
「ん?そうだな……色々とあるが、儂のおすすめは――!?」
説明の途中でクロウは何かに勘付いたように振り返り、少し遅れてナイも異変を感じ取る。二人の魔力感知に反応があり、遠くの空から高速で接近する強大な魔力を感知した。
「この魔力は……いかん、離れろ!!」
「な、何!?こっちに近付いている!?」
魔力が感じた方向に視線を向けると、空中に浮かぶ二人の人間を発見した。空から飛んできたのは金髪の女性二人であり、ナイ達の目の前に降り立つ。二人組が地面に着地した瞬間、強烈な風圧が発生して大量の土煙が舞い上がる。
「うわっ!?」
「ぺっぺっ……こ、この馬鹿エルフが!!いったい何のつもりだ!?」
「あら、意外と元気そうね。てっきりもう老いぼれたと思ってたわ」
「どうもっす!!お久しぶりです、クロウ魔術師!!」
土煙が晴れて現れたのは金髪の美女と美少女であり、どちらもナイがこれまで遭遇したどんな女性よりも綺麗な顔立ちをしていた。いきなり空から降ってきた二人組に対してクロウは表情を歪める。
空から飛んできた事、そして金色の髪の毛に普通の人間よりも細長い耳を生やしている事に気づいたナイは、二人の正体が「エルフ」だと見抜く。実際に見るのは初めてだが、エルフという存在自体は有名なので一目で分かった。
(ほ、本物のエルフ!?初めて見た……父さんの言ってた通りだ)
父親からナイはエルフが人間よりも容姿が優れ、優れた魔法の力を持つ種族だと聞かされていた。この二人は空を飛んできた事を考えてもクロウと同じく魔術師だと確信し、その一方で二人もナイに気が付くと驚いた表情を浮かべた。
「……その子は何処の子かしら?まさか、貴方の孫じゃないわよね?」
「ば、馬鹿を言うな!!こいつは儂の弟子だ!!」
「え~!?クロウ魔術師の弟子!?あんなに弟子は取らないと言ってたのに!?」
「あ、あの……」
エルフの二人はクロウと顔見知りらしいが、三人の間柄を知らないナイは戸惑う。それを見てクロウは仕方なく二人を紹介した。
「ナイ、こいつらは見ての通りのエルフだ。こっちの生意気な女はマリア、そっちの小娘はエリナだ」
「……相変わらず無礼な男ね。言っておくけど、私が年上だという事を忘れてないかしら?」
「お弟子さん、初めまして!!マリア様の弟子のエリナです!!」
「あ、どうも……って、年上!?」
さらりと発言したので聞き逃しそうになったが、マリアと呼ばれた女性はクロウよりも年上という言葉にナイは度肝を抜かす。マリアの年齢はどう見ても20才後半にしか見えないが、80才を越えるクロウよりも年上だという。
「ナイ、お前もエルフが長命の種族だとは聞いた事があるだろう?この女は確かに儂よりも年上だ。実際の年齢は……100才か?」
「85才よ!!勝手に人の年齢を三桁にしないでくれないかしら!?」
「は、85才!?」
マリアの実年齢を聞かされてナイは驚愕し、クロウと大差ない年齢に驚きを隠せない。エルフは人間の三倍近くの寿命を誇り、マリアはエルフの中ではまだ若者の部類らしい。
「じゃあ、もしかしてそっち女の子も……」
「あたしは48歳ですね。人間基準だと16才ぐらいっす」
「そ、そうなんだ……」
自分と同い年ぐらいにしか見えないエリナが自分の父親よりも年上だと知り、改めてエルフの若々しさに驚かされる。その一方でマリアとエリナはクロウの弟子であるナイに興味を示す。
「それにしても人嫌いの貴方が弟子を取るなんて……しかもこんな小さい子供を何処から攫ってきたのかしら?」
「人聞きの悪い事を言うな!?こいつから儂の元にやってきたんじゃ!!」
「けど、前に会った時は自分は弟子は取らないと言ってたじゃないですか?」
「え、そうなんですか?」
「いちいちやかましいわ!!こっちにも色々と事情があるんじゃ!!」
クロウとマリアとエリナは昔からの知り合いであり、ナイと出会うまではクロウは弟子を取っていなかった事も発覚した。伝説の魔術師である彼に教えを乞う者は大勢いたが、クロウが弟子を作ったのはナイが初めてである。
ちなみにクロウがナイを引き取ったのは叔父から殺されかけ、村に戻る事もできずに行き場所を失った子供を見捨てるほど人でなしではなく、それにナイの父親には借りがあった。クロウが山に住む際に村長である彼が色々と資材を提供してくれたお陰であり、そんな彼の代わりにナイを立派に育てる事を誓う。
但し、弟子にした事に関してはナイの父親の義理立てなどではなく、二度も命を懸けて自分の元に訪れて弟子入りを懇願したナイの覚悟に心を動かされたからである。これまでクロウに弟子入りを申し込んだ人間の中にナイほどの強い意思を持つ人間は一人もいなかった。
「……マリア、今更何しにやってきた?まさか儂と決着をつけに来たと言うわけではあるまい」
「……年老いた貴方に興味はないわ。老人をいたぶる趣味はないもの」
「え?それってどういう……」
「御二人は若い頃は好敵手《ライバル》だったんですよ。クロウ魔術師が引退するまではお互いに競い合ってたらしいっす」
クロウとマリアのやり取りにナイは不思議に思うと、エリナが耳元に話しかける。まだクロウが国の魔術師として働いていた頃にマリアと出会ったらしく、彼女とは昔から色々と理由を付けて戦っていた事が判明した。
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