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第59話 盗賊団の目的
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「――何だと!?それは本当なのか!?」
「は、はい……間違いありません。エンの部下には他に高額賞金首が一人居ます」
街の警備兵に盗賊を引き渡した団長はリンとハルカを追う前に兵士達から色々と事情を聞き、彼等の話によるとエンが率いる盗賊団には他に一人だけ賞金首がいる。その男はエンよりも危険な男だと兵士達は語る。
「盗賊団を率いているのはエンですが、実はエンよりも危険な男がいます。その男の名前はモウカと言ってエンの実の弟です」
「弟だと……どんな奴だ?」
「モウカはエンと同じく魔道具の使い手です。エンは熱斧と呼ばれる斧型の魔道具を扱いますが、モウカは炎斧という炎を生み出す斧型の魔道具を所持しています」
「あ、あの有名な魔斧か!?」
斧型の魔道具は「魔斧」とも呼ばれ、炎斧の事は団長も知っていた。エンが所持していた熱斧は刃に熱を宿す事ができるが、炎斧の場合は文字通りに刃に炎を纏う。
元々は熱斧は炎斧を参考にして作られた魔道具であり、炎斧の場合は性能は熱斧を上回る。そんな武器をエンの弟のモウカは扱いこなし、彼はエンが捕まったと知れば必ず報復に訪れるだろうと兵士は注意した。
「モウカは必ず兄を捕まえた皆様に復讐しに向かうはずです。かつてこの街の傭兵団がエンをあと一歩のところで捕まえかけたのですが、その時はモウカが兄を救うために駆けつけて傭兵団を一人残さず殺したそうです」
「お、おい!!脅かすなよ!!」
「脅しではありません!!我々が盗賊団を捕まえられなかったのはエンの傍にモウカが居たからなんです!!いいえ、モウカが居たから我々は手を出せなかったのです!!」
「……マジかよ」
兵士は怯えた表情でモウカの危険性を伝え、必ずモウカはエンが捕まったと知れば彼を捕えた人間に復讐すると考えられた。
「おい、あまり不安させるような事を言うな。ご安心ください、この街にいる限りは我々が貴方を守ります」
「それにエンを捕らえられるような実力者の方が傍に居れば我々としても心強いですし……」
「えっ……いや、ちょっと待て。エンを捕まえたのは俺じゃないぞ」
『えっ!?』
団長は兵士達が勘違いしている事に気が付き、エンを捕まえたのは自分ではない事を伝える。エンを捕えたのは団長ではなく、護衛対象のリンである事を伝え忘れていた――
――同時刻、ニノの街のとある廃墟にて二人の男が立っていた。一人は昨夜にリン達が乗った馬車を襲撃した盗賊の生き残りであり、この男だけが街に忍び込む事に聖越した。
盗賊は顔色を青くして床に正座し、そんな彼の前にはエンと瓜二つの容姿の男が立っていた。この男がエンの双子の弟であるモウカであり、外見はエンに瓜二つだが左目は眼帯で隠している。
「……エンが捕まっただと?」
「は、はい……」
モウカはエンの部下の報告を聞き、特に表情は変わらない。しかし、部下の男は長年の付き合いで彼が静かに怒りを抱いている事に気付いて身体が震える。
「お前以外の連中は全員捕まったのか?」
「い、いいえ……途中までは一緒に逃げてきたんですが、草原の魔物に襲われて結局は俺一人しかここに……」
「ふんっ」
他の盗賊はリン達から逃げた際に散り散りになってしまい、恐らくは魔物に殺されてしまった。夜を迎えると大抵の魔物は狂暴性を増すため、盗賊団の頭を失った部下達は街に逃げかえるのが精いっぱいだった。
エンが率いる盗賊団はニノの街を拠点にしており、実はこの街の兵士も知らない抜け道を彼等は知っていた。だから兵士達がいくら街の外を探しても盗賊団を捕まえられるはずがなく、今まで無事に須吾押す事ができた。
しかし、エンを含めて盗賊達が捕まった以上はこの場所も安全とは言えない。こうしている間にも兵士が詰め寄せてくるかもしれず、自分達が唯一に心休める場所を失った事にモウカは激しい怒りを抱く。
「拠点を変える必要があるな……」
「モ、モウカさん!!俺達はどうすれば……」
「……俺達だと?」
たった一人だけ逃げ延びた盗賊はモウカの足に縋りつくが、そんな男に対してモウカは背中にある斧に手を伸ばし、容赦なく男の首を切り裂く。
「兄を見捨てて逃げ出したお前を俺が受け入れると思ったか?」
「えっ……モ、モウカさん!?」
「これ以上に無様な姿を見せるな……死ねっ!!」
「う、うわぁあああっ!!」
モウカが本気で自分を殺そうとしている事に気付いた男は逃げ出そうとしたが、そんな男に対してモウカは背中に斧を繰り出す。モウカの振り下ろした斧が男の背中に食い込んだ瞬間、斧の刃に炎が纏う。
――兄のエンが所有する「熱斧」は刃に嵌め込まれた火属性の魔石を利用して斧の刃に熱を宿すが、弟のモウカが所有する「炎斧」は刃に炎を纏うだけではなく、切り付けた箇所が発火する仕組みになっている。
背中を切りつけられた男は炎が背中から燃え広がり、全身を飲み込まれる。火達磨と化した男は悲鳴を上げる暇もなく絶命し、それを見届けたモウカは斧を振り払う。すると刃に纏っていた炎が消え去り、残されたのは黒焦げとかした男の死体だけだった。
「役立たずが……」
助けを求めて街まで逃げかえってきた仲間に対してモウカは一切の同情はせず、自分の兄を捕まえた相手の情報を思い返す。信じがたい事だが、エンを破ったのはまだ15、6才の少年らしく、しかも変わった魔道具を所持していたという。
ただの子供にエンが敗れたと聞かされてもモウカは信じなかったが、相手が魔道具を所持しているとなると話は別である。エンの所持する熱斧は性能面ではモウカの炎斧には劣るが、それでも市販されている魔道具で対抗できる代物ではない。
「エンを救うのは後回しだ……まずはガキを見つけるか」
兵士に捕まった兄を救うには流石に骨が折れるため、先にモウカは兄を捕まえた少年を探す事にした。その少年を殺し、ついでに少年が所持する二つの魔道具を奪えば兵士に捕まった兄を助ける際に役立つ。
そもそも今回のエンが引き起こした襲撃は前々から計画していた事であり、実を言えばニノを拠点にしているとある商会の主からイチノで商会を経営しているカイの孫娘を攫うように依頼されていた。
イチノの商業の実権を握っているのはカイの商会であり、更にカイの息子はこのニノで新しい商会を作り上げた。その事に元からニノで商会を経営している人間の中にはカイを妬む者も多く、自分達の街の商業まで牛耳るつもりではないかと警戒する。そこで盗賊団にカイの孫娘のハルカを誘拐させ、彼女の命を引き換えに莫大な身代金を要求する手はずだった。
身代金の取り分は半々という約束で依頼を引き受け、エンは盗賊団を率いてハルカを誘拐しようとした。実際の所はエンはニノの商会の連中に身代金を渡すつもりはなく、それどころか彼等が誘拐を依頼してきた事を脅してニノの商会からも口止め料と称して大金を得ようと考えていた。しかし、結果は誘拐に失敗して盗賊団はモウカを除いて全員が捕まったかあるいは死んでしまう。
「絶対に許さんぞ……必ず殺す!!」
ハルカが向かう馬車には腕利きの薬師の少年も同行するという報告も受けており、逃げかえってきた盗賊から少年の容姿を聞き、ついでに似顔絵も書かせた。モウカはそれを頼りに少年の行方を追う――
「は、はい……間違いありません。エンの部下には他に高額賞金首が一人居ます」
街の警備兵に盗賊を引き渡した団長はリンとハルカを追う前に兵士達から色々と事情を聞き、彼等の話によるとエンが率いる盗賊団には他に一人だけ賞金首がいる。その男はエンよりも危険な男だと兵士達は語る。
「盗賊団を率いているのはエンですが、実はエンよりも危険な男がいます。その男の名前はモウカと言ってエンの実の弟です」
「弟だと……どんな奴だ?」
「モウカはエンと同じく魔道具の使い手です。エンは熱斧と呼ばれる斧型の魔道具を扱いますが、モウカは炎斧という炎を生み出す斧型の魔道具を所持しています」
「あ、あの有名な魔斧か!?」
斧型の魔道具は「魔斧」とも呼ばれ、炎斧の事は団長も知っていた。エンが所持していた熱斧は刃に熱を宿す事ができるが、炎斧の場合は文字通りに刃に炎を纏う。
元々は熱斧は炎斧を参考にして作られた魔道具であり、炎斧の場合は性能は熱斧を上回る。そんな武器をエンの弟のモウカは扱いこなし、彼はエンが捕まったと知れば必ず報復に訪れるだろうと兵士は注意した。
「モウカは必ず兄を捕まえた皆様に復讐しに向かうはずです。かつてこの街の傭兵団がエンをあと一歩のところで捕まえかけたのですが、その時はモウカが兄を救うために駆けつけて傭兵団を一人残さず殺したそうです」
「お、おい!!脅かすなよ!!」
「脅しではありません!!我々が盗賊団を捕まえられなかったのはエンの傍にモウカが居たからなんです!!いいえ、モウカが居たから我々は手を出せなかったのです!!」
「……マジかよ」
兵士は怯えた表情でモウカの危険性を伝え、必ずモウカはエンが捕まったと知れば彼を捕えた人間に復讐すると考えられた。
「おい、あまり不安させるような事を言うな。ご安心ください、この街にいる限りは我々が貴方を守ります」
「それにエンを捕らえられるような実力者の方が傍に居れば我々としても心強いですし……」
「えっ……いや、ちょっと待て。エンを捕まえたのは俺じゃないぞ」
『えっ!?』
団長は兵士達が勘違いしている事に気が付き、エンを捕まえたのは自分ではない事を伝える。エンを捕えたのは団長ではなく、護衛対象のリンである事を伝え忘れていた――
――同時刻、ニノの街のとある廃墟にて二人の男が立っていた。一人は昨夜にリン達が乗った馬車を襲撃した盗賊の生き残りであり、この男だけが街に忍び込む事に聖越した。
盗賊は顔色を青くして床に正座し、そんな彼の前にはエンと瓜二つの容姿の男が立っていた。この男がエンの双子の弟であるモウカであり、外見はエンに瓜二つだが左目は眼帯で隠している。
「……エンが捕まっただと?」
「は、はい……」
モウカはエンの部下の報告を聞き、特に表情は変わらない。しかし、部下の男は長年の付き合いで彼が静かに怒りを抱いている事に気付いて身体が震える。
「お前以外の連中は全員捕まったのか?」
「い、いいえ……途中までは一緒に逃げてきたんですが、草原の魔物に襲われて結局は俺一人しかここに……」
「ふんっ」
他の盗賊はリン達から逃げた際に散り散りになってしまい、恐らくは魔物に殺されてしまった。夜を迎えると大抵の魔物は狂暴性を増すため、盗賊団の頭を失った部下達は街に逃げかえるのが精いっぱいだった。
エンが率いる盗賊団はニノの街を拠点にしており、実はこの街の兵士も知らない抜け道を彼等は知っていた。だから兵士達がいくら街の外を探しても盗賊団を捕まえられるはずがなく、今まで無事に須吾押す事ができた。
しかし、エンを含めて盗賊達が捕まった以上はこの場所も安全とは言えない。こうしている間にも兵士が詰め寄せてくるかもしれず、自分達が唯一に心休める場所を失った事にモウカは激しい怒りを抱く。
「拠点を変える必要があるな……」
「モ、モウカさん!!俺達はどうすれば……」
「……俺達だと?」
たった一人だけ逃げ延びた盗賊はモウカの足に縋りつくが、そんな男に対してモウカは背中にある斧に手を伸ばし、容赦なく男の首を切り裂く。
「兄を見捨てて逃げ出したお前を俺が受け入れると思ったか?」
「えっ……モ、モウカさん!?」
「これ以上に無様な姿を見せるな……死ねっ!!」
「う、うわぁあああっ!!」
モウカが本気で自分を殺そうとしている事に気付いた男は逃げ出そうとしたが、そんな男に対してモウカは背中に斧を繰り出す。モウカの振り下ろした斧が男の背中に食い込んだ瞬間、斧の刃に炎が纏う。
――兄のエンが所有する「熱斧」は刃に嵌め込まれた火属性の魔石を利用して斧の刃に熱を宿すが、弟のモウカが所有する「炎斧」は刃に炎を纏うだけではなく、切り付けた箇所が発火する仕組みになっている。
背中を切りつけられた男は炎が背中から燃え広がり、全身を飲み込まれる。火達磨と化した男は悲鳴を上げる暇もなく絶命し、それを見届けたモウカは斧を振り払う。すると刃に纏っていた炎が消え去り、残されたのは黒焦げとかした男の死体だけだった。
「役立たずが……」
助けを求めて街まで逃げかえってきた仲間に対してモウカは一切の同情はせず、自分の兄を捕まえた相手の情報を思い返す。信じがたい事だが、エンを破ったのはまだ15、6才の少年らしく、しかも変わった魔道具を所持していたという。
ただの子供にエンが敗れたと聞かされてもモウカは信じなかったが、相手が魔道具を所持しているとなると話は別である。エンの所持する熱斧は性能面ではモウカの炎斧には劣るが、それでも市販されている魔道具で対抗できる代物ではない。
「エンを救うのは後回しだ……まずはガキを見つけるか」
兵士に捕まった兄を救うには流石に骨が折れるため、先にモウカは兄を捕まえた少年を探す事にした。その少年を殺し、ついでに少年が所持する二つの魔道具を奪えば兵士に捕まった兄を助ける際に役立つ。
そもそも今回のエンが引き起こした襲撃は前々から計画していた事であり、実を言えばニノを拠点にしているとある商会の主からイチノで商会を経営しているカイの孫娘を攫うように依頼されていた。
イチノの商業の実権を握っているのはカイの商会であり、更にカイの息子はこのニノで新しい商会を作り上げた。その事に元からニノで商会を経営している人間の中にはカイを妬む者も多く、自分達の街の商業まで牛耳るつもりではないかと警戒する。そこで盗賊団にカイの孫娘のハルカを誘拐させ、彼女の命を引き換えに莫大な身代金を要求する手はずだった。
身代金の取り分は半々という約束で依頼を引き受け、エンは盗賊団を率いてハルカを誘拐しようとした。実際の所はエンはニノの商会の連中に身代金を渡すつもりはなく、それどころか彼等が誘拐を依頼してきた事を脅してニノの商会からも口止め料と称して大金を得ようと考えていた。しかし、結果は誘拐に失敗して盗賊団はモウカを除いて全員が捕まったかあるいは死んでしまう。
「絶対に許さんぞ……必ず殺す!!」
ハルカが向かう馬車には腕利きの薬師の少年も同行するという報告も受けており、逃げかえってきた盗賊から少年の容姿を聞き、ついでに似顔絵も書かせた。モウカはそれを頼りに少年の行方を追う――
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