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第15話 誤った使い方
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「よし、これなら……やああっ!!」
「っ!?」
リンの雰囲気が変わった事にマリアは驚き、彼は岩に目掛けて素手で殴りつけた。岩に拳が衝突すると衝撃音が鳴り響き、しばらくの間はリンは岩に拳を押し当てた状態で黙り込む。やがて彼は目元を潤ませ、右手を抑え込む。
「いててててっ!?」
「阿保か!?何してんだいあんたっ!?」
唐突に素手で岩を殴りつけたリンにマリアは呆れた声を上げ、いくら身体能力を強化したと言っても鋼鉄以上の硬度を誇る岩を簡単に砕けるはずがなかった。右手を痛めたリンは魔力を纏って回復を行い、罅一つは入っていない岩を恨めしそうに見る。
(全力で殴ったのに……)
腕の筋肉を強化させてリンは殴りつけたつもりだが、岩は傷一つ付かなかった。痛めた右手を抑えながらもリンは岩に近付き、どうすればこの岩を壊せるのかを考えた。
身体能力を強化させて攻撃するという方法は間違ってはいないと思われるが、今のリンではこの岩を壊せる程の力は引き出せない。
(そうだ、今度は右手に魔鎧を纏わせた状態で殴りつければ……)
リンは右手に腕手甲を想像させる魔力を纏い、その状態で殴りつければ岩を傷つける事ができるのではないかと考えた。だが、この方法には大きな欠点がある事に気が付く。
(あ、駄目だ……魔鎧を作り出すと体内の魔力を活性化できない)
身体強化を発動するためには体内の魔力を活性化させる必要があり、要するに体内に一定の魔力を留めなければ身体能力は強化できない。だが、魔鎧を発動するには体内の魔力を外部に放出する必要があり、この二つを同時に発動する事はできないと判明した。
岩を壊すためには身体強化を行い、その上で光剣や魔鎧を利用した攻撃を加えなければどうしようもない。だが、理論上は魔力を活性化させながら魔鎧を発動する事は不可能だった。
(どうすればいいんだ……?)
リンは岩を破壊する方法が分からずに悩み込み、結局はこの日は何も思いつかずに時間を無為に過ごす――
――夕方を迎えるとリンは最後の訓練を行い、この訓練が最も過酷だった。訓練の内容はリンの魔力を限界まで引き延ばすためにマリアが用意した道具を利用する。
「あんたはこれを知っているかい?」
「それは……水晶玉ですか?」
「ただの水晶玉じゃないよ」
マリアが持ち出したのは片手で持てるほどの大きさの水晶玉であり、それを見たリンは不思議に思う。彼女は机の上に水晶玉を置くと説明を始めた。
「こいつの名前は吸魔水晶といってね、名前の通りに魔力を吸収する特別な水晶さ」
「吸魔……水晶?」
「まあ、実際に試してみれば分かるよ。ほら、触ってみな」
「は、はあっ……」
リンは言われた通りに机の上に置かれた水晶玉に手を伸ばした瞬間、まるで磁石のように掌が水晶玉に引き込まれる。
「うわっ!?な、何だこれ!?」
「落ち着きな、どんな気分だい?」
「気分って……うっ!?」
水晶玉に掌が触れた途端、リンは体内の魔力が徐々に減っていく事に気が付く。すると水晶玉にも変化が現れ、水晶玉の内部に白炎が灯る。それを見たリンは水晶玉に自分の魔力が吸われているのだと気が付いた。
掌から魔力を吸い込まれていく感覚にリンは気分が悪くなり、このまま魔力を吸われ続ければ意識を失う。どうにか水晶玉から掌を離そうとするが、上手く力が入らない。
「ほら、早く手を放さないと大変な事になるよ」
「うぐぐっ……て、手が動かない!?」
「しっかりしな、このままだと魔力を根こそぎ奪われちまうよ!!」
マリアの言葉を聞いてリンは必死に掌を吸魔水晶から離そうとするが、魔力が奪われていくうちに身体に力が入らない。やがて意識が薄れてきたリンは机に突っ伏す。
「ううっ……」
「……限界みたいだね」
魔力を奪われてリンの意識が途切れる寸前、水晶玉から勝手に手が離れた。この吸魔水晶は魔力に反応して動く仕組みであり、触れた人間の魔力を奪い切ると吸魔水晶から離れられる。
「この調子じゃ先は長いね……」
吸魔水晶にはリンから奪った魔力が込められており、それを見たマリアは吸魔水晶を持ち上げる。彼女は触れても吸魔水晶は魔力を奪い取る様子はなく、その様子をリンは薄目で確認した。
(どうして師匠は平気なんだ……?)
魔法使いであるはずのマリアが吸魔水晶に触れても魔力を奪われる様子がない事にリンは疑問を抱き、彼女に尋ねようとしたが魔力を奪われたせいで動く事もままならない。結局はその日の修行は終わりを迎え、リンは魔力を回復するまで眠り続けた――
――数か月後、早朝のベッドの上でリンは考え込む。朝、昼、夕方の修行の事を思い返すだけで彼は頭を悩ませ、まさか魔力を極める修行がこんなにも大変だとは思いもしなかった。
(師匠から指導を受けられるのは嬉しいけど、こんな事を毎日続けたら身が持たないよ……)
ベッドの上で珍しくリンは弱気になり、今までと違ってリンは自分が成長している実感はなかった。相変わらず岩を壊す事もできず、吸魔水晶に触れると魔力を奪われて気絶するまで追い込まれる。
順調なのは朝の修行ぐらいであり、マリアが繰り出す棒を魔鎧で受ける事に関しては慣れてきた。だが、最近はマリアも攻撃の際にフェイントを入れるようになり、油断すると魔力で身を守っていない箇所を攻撃されて痛い目に遭う。
『ほら、腹ががら空きだよ!!』
『ぐふっ!?』
頭を狙われたと思っていた時に腹を棒で疲れた事を思い出したリンはお腹を抑え、マリアは棒術の心得もあるらしく、攻撃を受けた時の事を思い出すだけで身体が震える。
(僕、本当に強くなってるのかな……)
数か月が経過してもリンは自分が成長しているのか分からず、不安を押し隠せなかった。もしかしたらこんな事を続けても自分はこれ以上に強くなれないのではないかと考えてしまう。
気分転換に修行を始める前にリンは散歩でもしようかと思い、身体を起き上げて着替えを行う。家を出ると外でハクが眠りこけており、最近の彼はまた大きくなったのでもう家の中には入れなかった。
「グゥウッ……」
「眠ってる……起こさないようにしないと」
眠りこけているハクを見てリンは彼から離れようとした時、足元に落ちていた大きな骨に気付かずに転びそうになる。
「うわっ!?」
ハクの昨日の食べこぼしと思われる骨に足を引っかけたリンは転びそうになった瞬間、咄嗟に両手に魔鎧を纏わせた。両手に纏わせた魔力を尖らせる事で地面に突き刺し、転倒を免れる事ができた。
「あ、危なかった……あれ?これってもしかして……」
「ワフッ?」
体勢を戻したリンは両手を見つめ、まるで「釘」のように変化した魔力を見てある事を思いつく。もしかしたらだが、この方法ならば岩を破壊する事ができるかもしれない――
「っ!?」
リンの雰囲気が変わった事にマリアは驚き、彼は岩に目掛けて素手で殴りつけた。岩に拳が衝突すると衝撃音が鳴り響き、しばらくの間はリンは岩に拳を押し当てた状態で黙り込む。やがて彼は目元を潤ませ、右手を抑え込む。
「いててててっ!?」
「阿保か!?何してんだいあんたっ!?」
唐突に素手で岩を殴りつけたリンにマリアは呆れた声を上げ、いくら身体能力を強化したと言っても鋼鉄以上の硬度を誇る岩を簡単に砕けるはずがなかった。右手を痛めたリンは魔力を纏って回復を行い、罅一つは入っていない岩を恨めしそうに見る。
(全力で殴ったのに……)
腕の筋肉を強化させてリンは殴りつけたつもりだが、岩は傷一つ付かなかった。痛めた右手を抑えながらもリンは岩に近付き、どうすればこの岩を壊せるのかを考えた。
身体能力を強化させて攻撃するという方法は間違ってはいないと思われるが、今のリンではこの岩を壊せる程の力は引き出せない。
(そうだ、今度は右手に魔鎧を纏わせた状態で殴りつければ……)
リンは右手に腕手甲を想像させる魔力を纏い、その状態で殴りつければ岩を傷つける事ができるのではないかと考えた。だが、この方法には大きな欠点がある事に気が付く。
(あ、駄目だ……魔鎧を作り出すと体内の魔力を活性化できない)
身体強化を発動するためには体内の魔力を活性化させる必要があり、要するに体内に一定の魔力を留めなければ身体能力は強化できない。だが、魔鎧を発動するには体内の魔力を外部に放出する必要があり、この二つを同時に発動する事はできないと判明した。
岩を壊すためには身体強化を行い、その上で光剣や魔鎧を利用した攻撃を加えなければどうしようもない。だが、理論上は魔力を活性化させながら魔鎧を発動する事は不可能だった。
(どうすればいいんだ……?)
リンは岩を破壊する方法が分からずに悩み込み、結局はこの日は何も思いつかずに時間を無為に過ごす――
――夕方を迎えるとリンは最後の訓練を行い、この訓練が最も過酷だった。訓練の内容はリンの魔力を限界まで引き延ばすためにマリアが用意した道具を利用する。
「あんたはこれを知っているかい?」
「それは……水晶玉ですか?」
「ただの水晶玉じゃないよ」
マリアが持ち出したのは片手で持てるほどの大きさの水晶玉であり、それを見たリンは不思議に思う。彼女は机の上に水晶玉を置くと説明を始めた。
「こいつの名前は吸魔水晶といってね、名前の通りに魔力を吸収する特別な水晶さ」
「吸魔……水晶?」
「まあ、実際に試してみれば分かるよ。ほら、触ってみな」
「は、はあっ……」
リンは言われた通りに机の上に置かれた水晶玉に手を伸ばした瞬間、まるで磁石のように掌が水晶玉に引き込まれる。
「うわっ!?な、何だこれ!?」
「落ち着きな、どんな気分だい?」
「気分って……うっ!?」
水晶玉に掌が触れた途端、リンは体内の魔力が徐々に減っていく事に気が付く。すると水晶玉にも変化が現れ、水晶玉の内部に白炎が灯る。それを見たリンは水晶玉に自分の魔力が吸われているのだと気が付いた。
掌から魔力を吸い込まれていく感覚にリンは気分が悪くなり、このまま魔力を吸われ続ければ意識を失う。どうにか水晶玉から掌を離そうとするが、上手く力が入らない。
「ほら、早く手を放さないと大変な事になるよ」
「うぐぐっ……て、手が動かない!?」
「しっかりしな、このままだと魔力を根こそぎ奪われちまうよ!!」
マリアの言葉を聞いてリンは必死に掌を吸魔水晶から離そうとするが、魔力が奪われていくうちに身体に力が入らない。やがて意識が薄れてきたリンは机に突っ伏す。
「ううっ……」
「……限界みたいだね」
魔力を奪われてリンの意識が途切れる寸前、水晶玉から勝手に手が離れた。この吸魔水晶は魔力に反応して動く仕組みであり、触れた人間の魔力を奪い切ると吸魔水晶から離れられる。
「この調子じゃ先は長いね……」
吸魔水晶にはリンから奪った魔力が込められており、それを見たマリアは吸魔水晶を持ち上げる。彼女は触れても吸魔水晶は魔力を奪い取る様子はなく、その様子をリンは薄目で確認した。
(どうして師匠は平気なんだ……?)
魔法使いであるはずのマリアが吸魔水晶に触れても魔力を奪われる様子がない事にリンは疑問を抱き、彼女に尋ねようとしたが魔力を奪われたせいで動く事もままならない。結局はその日の修行は終わりを迎え、リンは魔力を回復するまで眠り続けた――
――数か月後、早朝のベッドの上でリンは考え込む。朝、昼、夕方の修行の事を思い返すだけで彼は頭を悩ませ、まさか魔力を極める修行がこんなにも大変だとは思いもしなかった。
(師匠から指導を受けられるのは嬉しいけど、こんな事を毎日続けたら身が持たないよ……)
ベッドの上で珍しくリンは弱気になり、今までと違ってリンは自分が成長している実感はなかった。相変わらず岩を壊す事もできず、吸魔水晶に触れると魔力を奪われて気絶するまで追い込まれる。
順調なのは朝の修行ぐらいであり、マリアが繰り出す棒を魔鎧で受ける事に関しては慣れてきた。だが、最近はマリアも攻撃の際にフェイントを入れるようになり、油断すると魔力で身を守っていない箇所を攻撃されて痛い目に遭う。
『ほら、腹ががら空きだよ!!』
『ぐふっ!?』
頭を狙われたと思っていた時に腹を棒で疲れた事を思い出したリンはお腹を抑え、マリアは棒術の心得もあるらしく、攻撃を受けた時の事を思い出すだけで身体が震える。
(僕、本当に強くなってるのかな……)
数か月が経過してもリンは自分が成長しているのか分からず、不安を押し隠せなかった。もしかしたらこんな事を続けても自分はこれ以上に強くなれないのではないかと考えてしまう。
気分転換に修行を始める前にリンは散歩でもしようかと思い、身体を起き上げて着替えを行う。家を出ると外でハクが眠りこけており、最近の彼はまた大きくなったのでもう家の中には入れなかった。
「グゥウッ……」
「眠ってる……起こさないようにしないと」
眠りこけているハクを見てリンは彼から離れようとした時、足元に落ちていた大きな骨に気付かずに転びそうになる。
「うわっ!?」
ハクの昨日の食べこぼしと思われる骨に足を引っかけたリンは転びそうになった瞬間、咄嗟に両手に魔鎧を纏わせた。両手に纏わせた魔力を尖らせる事で地面に突き刺し、転倒を免れる事ができた。
「あ、危なかった……あれ?これってもしかして……」
「ワフッ?」
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