12 / 71
第12話 魔力強化
しおりを挟む
「グギィイイイッ!!」
「うわぁあああっ!?」
後方から聞こえてくる鳴き声と足音を耳にしてリンは悲鳴を上げ、振り返らずともホブゴブリンが迫っている事が分かった。彼は全速力で逃げ出すが、ホブゴブリンは簡単に追いつく。
大樹を沿うよう駆け抜けていたリンに対し、ホブゴブリンは棍棒を振りかざして全力で叩きつけようとした。上から振り下ろすのではなく、横薙ぎに棍棒を振り払う。
「グギィッ!!」
「くぅっ……ああああっ!!」
振り返ったリンはホブゴブリンが自分に目掛けて棍棒を振り払おうとしている事に気が付き、咄嗟に両腕を前に出して魔力を集めた。両手から白炎が生み出されると、大きな盾の形に変化させて棍棒を受け止めようとした。
(避け切れないなら……)
ホブゴブリンが振り翳す棍棒を見てリンは防御の体勢を取ると、棍棒は魔力の盾に衝突した。この時にリンは人生で一番強烈な衝撃を味わう羽目になり、彼は地面に背中から転ぶ。
「グギィッ!?」
「がはぁっ!?」
攻撃を受ける寸前にリンは魔力の盾を斜めに構え、そのお陰で棍棒を受け流す事に成功した。真正面から受けていたらいくら盾があろうと耐え切れずに吹き飛ばされていたが、盾を斜めに構えて攻撃を反らす事で生き延びた。
ホブゴブリンの棍棒は勢い止まらずに大樹に衝突し、強烈な衝撃が大樹に広がった。その影響で大樹に実っていた大量の木の実が降り注ぎ、その木の実を浴びたホブゴブリンは怯む。
「グギャッ……!?」
「はあっ、はあっ……」
木の実を頭から浴びて怯んだホブゴブリンが視界に入り、今ならば逃げる好機だと思ったリンだったが、先ほど攻撃を受けた時の影響で身体がまともに動かない。どうにかホブゴブリンの攻撃を受け流す事に成功したが、盾を構えていた両腕は折れていた。
いくらリンが作り出す魔力の盾が鋼鉄程の硬度を誇っていたとしても、ホブゴブリンの怪力から繰り出される一撃を受けて無事なはずがない。盾越しでも相当な衝撃を受けたリンは両腕の骨が折れてしまい、身体も痺れてまともに動けない。
(か、身体が動かない……)
あまりの痛みに悲鳴を上げる事もできず、身体が麻痺して上手く動かない。それでもここで動かなければ殺される事は分かり切っており、リンは全身に魔力を流し込む。
(回復するんだ……)
怪我をした時は魔力を包み込めば回復速度を格段に高めるため、全身に魔力を纏って麻痺した身体を治そうとした。この時にリンは折れた両腕に魔力を纏うが、ここで彼はいつもとは違うやり方を行う。
これまでは身体の表面に魔力を纏ってばかりいたが、今回の場合は骨が折れているので体内に魔力を集中させる。両腕の折れた箇所に魔力を集中させ、折れた骨を治そうとした時に彼の身体に異変が起きる。
(何だこれ……!?)
両腕に奇妙な感覚を抱いたリンは目を見開くと、いつの間にかホブゴブリンが自分の元に迫っている事に気が付く。ホブゴブリンはリンに目掛けて棍棒を振りかざし、今度は上から叩き潰そうとしてきた。
「グギィイイイッ!!」
「わああああっ!?」
ホブゴブリンが棍棒を叩きつけようとした瞬間、リンは側に落ちていた大樹が落とした木の実を掴み、それを右手で握りしめて投げつける。ホブゴブリンの顔面に木の実が衝突した瞬間、木の実は粉々に砕け散ってホブゴブリンは怯む。
「グギャッ!?」
「えっ!?」
反射的に投げつけた木の実がホブゴブリンの顔面に衝突して砕け散る光景を見てリンは驚き、彼は右腕が普通に動く事に気が付く。先ほどまでは確かに折れていたはずの骨が治っており、それどころか不思議と身体が軽かった。
体内に魔力を送り込んだお陰で両腕の骨は完治し、ホブゴブリンに反撃を喰らわせる事もできた。この時にリンは自分の右手に視線を向け、ある事に気が付く。
(もしかしたら……!?)
右手で投げつけた木の実が簡単に砕けた事を思い出し、ある考えがリンは思いつく。だが、そんな彼に対してホブゴブリンは棍棒を振りかざす。
「グギィイイイッ!!」
「ひぃっ!?」
木の実が当たって一瞬だけ怯んでいたホブゴブリンだったが、怒りを露わにして今度こそ棍棒を振り下ろしてリンを殺そうとした。それに気が付いたリンは考えている暇もなく、両足を動かす。
(やるしかない!!)
棍棒が自分に衝突する前にリンは両足の体内に魔力を注ぎ込み、全力で地面を蹴飛ばす。すると普段のリンならば考えられない程の力で地面を蹴り飛ばし、彼の身体は後方へ吹き飛ぶ。
「うわぁっ!?」
「グギィッ!?」
思いもよらぬ脚力を発揮してリンはホブゴブリンの振り下ろした棍棒を回避すると、ホブゴブリンは信じられない表情を浮かべた。自分の攻撃を立て続けに回避するリンに動揺し、その一方でリン自身も混乱していた。
(何だ今の力……まさか、そういう事か!?)
大樹を背にしたリンは右手と両足を交互に見つめ、ここにきてある事に気が付く。それは魔力を体内に送り込めば筋力を一時的に強化し、身体能力を強化できる事だった。
――厳密に言えば魔力は常に体内に流れているため、魔力を体内に流し込むという表現は正しくはない。正確に言えば体内の魔力を活性化させ、筋肉を一時的に強化すると言った方が正しい。
これまでのリンは魔力を肉体の表面に纏う事しかやってこなかったが、今回の場合は体内の魔力を活性化させ、内側から肉体を強化している。この方法だと体内に存在する骨が折れても瞬く間に完治し、更に筋力を強化して普段以上の力を引き出す事ができる。
要するに骨が治ったのは肉体の再生能力を強化し、ホブゴブリンの攻撃を避けられたのは筋肉を強化したからである。今回の出来事は単なる偶然だが、リンはこの状況下で新しい魔力の使い方を学ぶ。
(これなら……逃げ切れる!!)
両足に魔力を集中させて脚力を強化したリンは駆け出すと、先ほどとは信じられない程の速度で移動を行う。地面を駆け抜けるというよりは跳躍を繰り返すという表現が正しく、一歩踏む事にリンは前方に跳躍して距離を稼ぐ。
「うわわっ!?」
「グギィッ!?」
急に足が速くなったせいでリンは戸惑うが、ホブゴブリンから距離を離す事に成功した。ホブゴブリンからすればいきなりリンが素早く動けるようになったとしか思えず、彼の後を追いかけようとする。
(よし、これなら逃げ切れ……危ないっ!?)
両足の筋力を強化しながら逃げ出そうとしたリンだったが、前方に生えている樹木に気付いて慌てて避けようとした。だが、避けた先にも樹木が生えており、彼は勢いあまって樹木に衝突してしまう。
「あいたぁっ!?」
移動速度が早過ぎてリンは上手く操作できず、自分から樹木にぶつかってしまう。森の中は至る所に木々が生えているため、下手に両足を強化して走り出すと上手く動けずにぶつかってしまう。
自分から樹木に突っ込んでしまったリンは痛みを堪え、どうにか立ち上がる事に成功した。だが、衝突の際に両足に集中させていた魔力が元に戻った瞬間、唐突に両足が重くなって動けなくなった。
「うわっ!?な、何だこれ……あ、足がっ!?」
急に動かなくなった足にリンは驚き、激しい運動の後に起きる筋肉痛でも引き起こしたかのようにまともに足が動かせない。どうやら先ほどの魔力によって強化した反動で両足は酷い筋肉痛を引き起こしたらしい。
(そんなっ!?この状況で……)
両足が動けなくなったリンはホブゴブリンの方に視線を向けると、既に相手は10メートルの距離まで迫っていた。このままではホブゴブリンに殺されるのは確実であり、どうにかリンは魔力を両足に再び集中させて逃げ出そうとした。
「うわぁあああっ!?」
後方から聞こえてくる鳴き声と足音を耳にしてリンは悲鳴を上げ、振り返らずともホブゴブリンが迫っている事が分かった。彼は全速力で逃げ出すが、ホブゴブリンは簡単に追いつく。
大樹を沿うよう駆け抜けていたリンに対し、ホブゴブリンは棍棒を振りかざして全力で叩きつけようとした。上から振り下ろすのではなく、横薙ぎに棍棒を振り払う。
「グギィッ!!」
「くぅっ……ああああっ!!」
振り返ったリンはホブゴブリンが自分に目掛けて棍棒を振り払おうとしている事に気が付き、咄嗟に両腕を前に出して魔力を集めた。両手から白炎が生み出されると、大きな盾の形に変化させて棍棒を受け止めようとした。
(避け切れないなら……)
ホブゴブリンが振り翳す棍棒を見てリンは防御の体勢を取ると、棍棒は魔力の盾に衝突した。この時にリンは人生で一番強烈な衝撃を味わう羽目になり、彼は地面に背中から転ぶ。
「グギィッ!?」
「がはぁっ!?」
攻撃を受ける寸前にリンは魔力の盾を斜めに構え、そのお陰で棍棒を受け流す事に成功した。真正面から受けていたらいくら盾があろうと耐え切れずに吹き飛ばされていたが、盾を斜めに構えて攻撃を反らす事で生き延びた。
ホブゴブリンの棍棒は勢い止まらずに大樹に衝突し、強烈な衝撃が大樹に広がった。その影響で大樹に実っていた大量の木の実が降り注ぎ、その木の実を浴びたホブゴブリンは怯む。
「グギャッ……!?」
「はあっ、はあっ……」
木の実を頭から浴びて怯んだホブゴブリンが視界に入り、今ならば逃げる好機だと思ったリンだったが、先ほど攻撃を受けた時の影響で身体がまともに動かない。どうにかホブゴブリンの攻撃を受け流す事に成功したが、盾を構えていた両腕は折れていた。
いくらリンが作り出す魔力の盾が鋼鉄程の硬度を誇っていたとしても、ホブゴブリンの怪力から繰り出される一撃を受けて無事なはずがない。盾越しでも相当な衝撃を受けたリンは両腕の骨が折れてしまい、身体も痺れてまともに動けない。
(か、身体が動かない……)
あまりの痛みに悲鳴を上げる事もできず、身体が麻痺して上手く動かない。それでもここで動かなければ殺される事は分かり切っており、リンは全身に魔力を流し込む。
(回復するんだ……)
怪我をした時は魔力を包み込めば回復速度を格段に高めるため、全身に魔力を纏って麻痺した身体を治そうとした。この時にリンは折れた両腕に魔力を纏うが、ここで彼はいつもとは違うやり方を行う。
これまでは身体の表面に魔力を纏ってばかりいたが、今回の場合は骨が折れているので体内に魔力を集中させる。両腕の折れた箇所に魔力を集中させ、折れた骨を治そうとした時に彼の身体に異変が起きる。
(何だこれ……!?)
両腕に奇妙な感覚を抱いたリンは目を見開くと、いつの間にかホブゴブリンが自分の元に迫っている事に気が付く。ホブゴブリンはリンに目掛けて棍棒を振りかざし、今度は上から叩き潰そうとしてきた。
「グギィイイイッ!!」
「わああああっ!?」
ホブゴブリンが棍棒を叩きつけようとした瞬間、リンは側に落ちていた大樹が落とした木の実を掴み、それを右手で握りしめて投げつける。ホブゴブリンの顔面に木の実が衝突した瞬間、木の実は粉々に砕け散ってホブゴブリンは怯む。
「グギャッ!?」
「えっ!?」
反射的に投げつけた木の実がホブゴブリンの顔面に衝突して砕け散る光景を見てリンは驚き、彼は右腕が普通に動く事に気が付く。先ほどまでは確かに折れていたはずの骨が治っており、それどころか不思議と身体が軽かった。
体内に魔力を送り込んだお陰で両腕の骨は完治し、ホブゴブリンに反撃を喰らわせる事もできた。この時にリンは自分の右手に視線を向け、ある事に気が付く。
(もしかしたら……!?)
右手で投げつけた木の実が簡単に砕けた事を思い出し、ある考えがリンは思いつく。だが、そんな彼に対してホブゴブリンは棍棒を振りかざす。
「グギィイイイッ!!」
「ひぃっ!?」
木の実が当たって一瞬だけ怯んでいたホブゴブリンだったが、怒りを露わにして今度こそ棍棒を振り下ろしてリンを殺そうとした。それに気が付いたリンは考えている暇もなく、両足を動かす。
(やるしかない!!)
棍棒が自分に衝突する前にリンは両足の体内に魔力を注ぎ込み、全力で地面を蹴飛ばす。すると普段のリンならば考えられない程の力で地面を蹴り飛ばし、彼の身体は後方へ吹き飛ぶ。
「うわぁっ!?」
「グギィッ!?」
思いもよらぬ脚力を発揮してリンはホブゴブリンの振り下ろした棍棒を回避すると、ホブゴブリンは信じられない表情を浮かべた。自分の攻撃を立て続けに回避するリンに動揺し、その一方でリン自身も混乱していた。
(何だ今の力……まさか、そういう事か!?)
大樹を背にしたリンは右手と両足を交互に見つめ、ここにきてある事に気が付く。それは魔力を体内に送り込めば筋力を一時的に強化し、身体能力を強化できる事だった。
――厳密に言えば魔力は常に体内に流れているため、魔力を体内に流し込むという表現は正しくはない。正確に言えば体内の魔力を活性化させ、筋肉を一時的に強化すると言った方が正しい。
これまでのリンは魔力を肉体の表面に纏う事しかやってこなかったが、今回の場合は体内の魔力を活性化させ、内側から肉体を強化している。この方法だと体内に存在する骨が折れても瞬く間に完治し、更に筋力を強化して普段以上の力を引き出す事ができる。
要するに骨が治ったのは肉体の再生能力を強化し、ホブゴブリンの攻撃を避けられたのは筋肉を強化したからである。今回の出来事は単なる偶然だが、リンはこの状況下で新しい魔力の使い方を学ぶ。
(これなら……逃げ切れる!!)
両足に魔力を集中させて脚力を強化したリンは駆け出すと、先ほどとは信じられない程の速度で移動を行う。地面を駆け抜けるというよりは跳躍を繰り返すという表現が正しく、一歩踏む事にリンは前方に跳躍して距離を稼ぐ。
「うわわっ!?」
「グギィッ!?」
急に足が速くなったせいでリンは戸惑うが、ホブゴブリンから距離を離す事に成功した。ホブゴブリンからすればいきなりリンが素早く動けるようになったとしか思えず、彼の後を追いかけようとする。
(よし、これなら逃げ切れ……危ないっ!?)
両足の筋力を強化しながら逃げ出そうとしたリンだったが、前方に生えている樹木に気付いて慌てて避けようとした。だが、避けた先にも樹木が生えており、彼は勢いあまって樹木に衝突してしまう。
「あいたぁっ!?」
移動速度が早過ぎてリンは上手く操作できず、自分から樹木にぶつかってしまう。森の中は至る所に木々が生えているため、下手に両足を強化して走り出すと上手く動けずにぶつかってしまう。
自分から樹木に突っ込んでしまったリンは痛みを堪え、どうにか立ち上がる事に成功した。だが、衝突の際に両足に集中させていた魔力が元に戻った瞬間、唐突に両足が重くなって動けなくなった。
「うわっ!?な、何だこれ……あ、足がっ!?」
急に動かなくなった足にリンは驚き、激しい運動の後に起きる筋肉痛でも引き起こしたかのようにまともに足が動かせない。どうやら先ほどの魔力によって強化した反動で両足は酷い筋肉痛を引き起こしたらしい。
(そんなっ!?この状況で……)
両足が動けなくなったリンはホブゴブリンの方に視線を向けると、既に相手は10メートルの距離まで迫っていた。このままではホブゴブリンに殺されるのは確実であり、どうにかリンは魔力を両足に再び集中させて逃げ出そうとした。
0
お気に入りに追加
393
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
浮気心はその身を滅ぼす
カザハナ
恋愛
とある令嬢は、婚約者の浮気現場に遭遇した。
「浮気男は要らない」
そう言って、男に婚約破棄を突き付ける。
それを聞いた男は焦る。
男は貴族の子息だが、嫡男では無い。
継ぐ家も無ければ爵位も無い。
婚約者の令嬢は、既に当主になる事が決まっており、婚約者の令嬢と結婚すれば、当主にはなれないが働かずとも贅沢が出来る。
男はその場にいた浮気相手を突き放し、婚約者にすがり付く。
「許してくれ!二度と浮気はしない!!」
そんな男に、婚約者の令嬢は、とある条件を出すのだった。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?
桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」
やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。
婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。
あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる