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獣人王国編
第357話 ガームの決意
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「ユダン、もう一度聞くぞ。お前は本当に国王様から遺言を受けたのか?」
「は、はい……その通りでございます」
「……そうか、国王様はリルルを選ばれたという事か」
「父上、どうしてぇっ……!!」
ガオは自分ではなく、リルルを次の国王に選んだ事に嘆き、その場に伏せてしまう。そんな甥を見てガームは何事かを考え込み、やがてユダンに顔を向けた。
「ユダン、お前が国王に仕えてからどれくらいの時が経つ?」
「え?えっと……40年ほどでしょうか?」
「そうだな、お前は優れた治癒魔導士だった」
「は、はあ……」
「しかし、そんなお前がどうして急に国王様の病を察知できなかった?つい先日までは元気だった国王様が命を落とす程の病に襲われた?しかも、国王様以外の者は平気だというのに……」
「そ、それは……!?」
「叔父上、それはどういう意味ですか……?」
ガームの言葉にユダンは目を見開き、話を聞いていたガオは顔を上げると、ガームはユダンの前に移動して鬼気迫る表情を浮かべていた。
彼がここへ訪れた理由は国王が突然に病を患い、命の危機に瀕していると聞いたからこそ彼の息子であるガオも連れて訪れた。しかし、ここまでの道中で国王以外の人間は病に侵されておらず、国王だけが唐突に病を患ったという理由に疑問を抱く。
念入りに調査したが特に国王は病に侵される前は特別に変わった行動をしたわけではなく、いつも通りの生活を送っていたという。但し、病が発覚する前日、国王の体調が悪くなったと聞いていた。
「ユダン、お前は国王様が体調を崩された時に薬を調合したそうだな。そして今日に至るまで様々な薬をあの御方に与えていた……違うか?」
「は、はい!!それが治癒魔導士の役目ですので……」
「では、お前が与えた薬はどうして効かなかった?いいや、そもそもお前は本当に薬を調合していたのか?」
「な、何をおっしゃられるのですか!?私が……私が毒薬でも国王様に飲ませたと言い張るつもりですか?」
「ほう、毒薬と来たか……俺はどんな薬を作ったのかを尋ねただけだがな?」
「なっ!?」
「ユダン……お前、まさか!?」
ユダンはガームの言葉に冷や汗を掻き、その様子を見たガオは彼の異変に気づく。そしてガームはある確信を抱いてユダンの首元を掴む。
「貴様か!!貴様が国王様を!!」
「ぐえっ!?」
「お、叔父上!?いきりなり何を……」
首筋を掴まれたユダンはそのまま壁際に追い込まれ、ガームは今にも剣を引き抜いて殺しかからない勢いだったが、ガオが慌てて引き留めようとした。
一方でユダンの方も必死に弁明しようとガームの腕を掴み、言葉を絞り出す。その目元には涙が流れ、彼も自分の本意で国王の命を奪ったわけではない。
「ち、ちがうっ……私は、ただ、命じられて……」
「命じられただと……いったい、誰にだ!?」
「それは……あ、がぁっ……!?」
「叔父上、やりすぎです!!死んでしまいます!!」
ガオはユダンの顔色を見て必死にガームを止めようとすると、仕方なくガームはユダンを手放す。だが、どういう事なのかユダンは首を離された瞬間に倒れ込み、徐々に顔色が悪くなっていく。
「あ、ぎ、ぐぅっ……」
「ユダン、何をふざけて……!?」
「こ、これは!?おい、しっかりしろ……ひいっ!?し、死んで……!?」
ガームが無理やりにユダンから話を聞きだす前に、倒れたユダンは泡を吹いて白目を剥く。その肌色は紫色に変色し、明らかに毒の症状を引き起こしていた。その姿を見てガオは腰を抜かし、ガームは口元を抑える。
突然に倒れたユダンを見てガームとガオは動揺を隠せず、いったいが起きたのか分からなかった。つい先ほどまで話していたユダンが死んだ事にガオは恐怖し、一方でガームは死体の状態から毒物である事は理解したが、いったい何時からユダンの体内に毒物が仕込まれていたのか分からなかった。
(まさか、遅効性の毒を仕込まれていたというのか!?しかし、いったい誰が……)
ユダンの急死にガームは戸惑いながらも死体に近付き、様子を観察する。その時、唐突にユダンの腹が膨らんだかと思うと、1匹のネズミが飛び出す。
「キィイイッ!!」
「何だとっ!?」
「ひいいっ!?」
紫色の毛皮を生やしたネズミが飛び出し、警戒するようにガームを睨みつけるそれを見たガームは咄嗟に捕まえようとしたが、その時に彼の傍の窓から影が差すと、窓を割って何者かが飛び出す。
「ぬぅっ!?」
「うわぁっ!?」
「……お命、頂戴致す!!」
窓を割って現れた人物は全身を黒装束に包み、顔を黒い覆面で覆い隠していた。しかし、その手元には黒色の変わった刃物のような武器を身に付けていた。
それを見たガームは即座にその武器の正体を見抜き、和国の「忍者」と呼ばれる職業の人間が愛用する「クナイ」と呼ばれる武器だと思い出す。その人物は苦無を逆手に持ち、ガームに襲い掛かかる。
「は、はい……その通りでございます」
「……そうか、国王様はリルルを選ばれたという事か」
「父上、どうしてぇっ……!!」
ガオは自分ではなく、リルルを次の国王に選んだ事に嘆き、その場に伏せてしまう。そんな甥を見てガームは何事かを考え込み、やがてユダンに顔を向けた。
「ユダン、お前が国王に仕えてからどれくらいの時が経つ?」
「え?えっと……40年ほどでしょうか?」
「そうだな、お前は優れた治癒魔導士だった」
「は、はあ……」
「しかし、そんなお前がどうして急に国王様の病を察知できなかった?つい先日までは元気だった国王様が命を落とす程の病に襲われた?しかも、国王様以外の者は平気だというのに……」
「そ、それは……!?」
「叔父上、それはどういう意味ですか……?」
ガームの言葉にユダンは目を見開き、話を聞いていたガオは顔を上げると、ガームはユダンの前に移動して鬼気迫る表情を浮かべていた。
彼がここへ訪れた理由は国王が突然に病を患い、命の危機に瀕していると聞いたからこそ彼の息子であるガオも連れて訪れた。しかし、ここまでの道中で国王以外の人間は病に侵されておらず、国王だけが唐突に病を患ったという理由に疑問を抱く。
念入りに調査したが特に国王は病に侵される前は特別に変わった行動をしたわけではなく、いつも通りの生活を送っていたという。但し、病が発覚する前日、国王の体調が悪くなったと聞いていた。
「ユダン、お前は国王様が体調を崩された時に薬を調合したそうだな。そして今日に至るまで様々な薬をあの御方に与えていた……違うか?」
「は、はい!!それが治癒魔導士の役目ですので……」
「では、お前が与えた薬はどうして効かなかった?いいや、そもそもお前は本当に薬を調合していたのか?」
「な、何をおっしゃられるのですか!?私が……私が毒薬でも国王様に飲ませたと言い張るつもりですか?」
「ほう、毒薬と来たか……俺はどんな薬を作ったのかを尋ねただけだがな?」
「なっ!?」
「ユダン……お前、まさか!?」
ユダンはガームの言葉に冷や汗を掻き、その様子を見たガオは彼の異変に気づく。そしてガームはある確信を抱いてユダンの首元を掴む。
「貴様か!!貴様が国王様を!!」
「ぐえっ!?」
「お、叔父上!?いきりなり何を……」
首筋を掴まれたユダンはそのまま壁際に追い込まれ、ガームは今にも剣を引き抜いて殺しかからない勢いだったが、ガオが慌てて引き留めようとした。
一方でユダンの方も必死に弁明しようとガームの腕を掴み、言葉を絞り出す。その目元には涙が流れ、彼も自分の本意で国王の命を奪ったわけではない。
「ち、ちがうっ……私は、ただ、命じられて……」
「命じられただと……いったい、誰にだ!?」
「それは……あ、がぁっ……!?」
「叔父上、やりすぎです!!死んでしまいます!!」
ガオはユダンの顔色を見て必死にガームを止めようとすると、仕方なくガームはユダンを手放す。だが、どういう事なのかユダンは首を離された瞬間に倒れ込み、徐々に顔色が悪くなっていく。
「あ、ぎ、ぐぅっ……」
「ユダン、何をふざけて……!?」
「こ、これは!?おい、しっかりしろ……ひいっ!?し、死んで……!?」
ガームが無理やりにユダンから話を聞きだす前に、倒れたユダンは泡を吹いて白目を剥く。その肌色は紫色に変色し、明らかに毒の症状を引き起こしていた。その姿を見てガオは腰を抜かし、ガームは口元を抑える。
突然に倒れたユダンを見てガームとガオは動揺を隠せず、いったいが起きたのか分からなかった。つい先ほどまで話していたユダンが死んだ事にガオは恐怖し、一方でガームは死体の状態から毒物である事は理解したが、いったい何時からユダンの体内に毒物が仕込まれていたのか分からなかった。
(まさか、遅効性の毒を仕込まれていたというのか!?しかし、いったい誰が……)
ユダンの急死にガームは戸惑いながらも死体に近付き、様子を観察する。その時、唐突にユダンの腹が膨らんだかと思うと、1匹のネズミが飛び出す。
「キィイイッ!!」
「何だとっ!?」
「ひいいっ!?」
紫色の毛皮を生やしたネズミが飛び出し、警戒するようにガームを睨みつけるそれを見たガームは咄嗟に捕まえようとしたが、その時に彼の傍の窓から影が差すと、窓を割って何者かが飛び出す。
「ぬぅっ!?」
「うわぁっ!?」
「……お命、頂戴致す!!」
窓を割って現れた人物は全身を黒装束に包み、顔を黒い覆面で覆い隠していた。しかし、その手元には黒色の変わった刃物のような武器を身に付けていた。
それを見たガームは即座にその武器の正体を見抜き、和国の「忍者」と呼ばれる職業の人間が愛用する「クナイ」と呼ばれる武器だと思い出す。その人物は苦無を逆手に持ち、ガームに襲い掛かかる。
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