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獣人王国編
第352話 宝がなければ……
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「これが気になりますか?」
「それはそうだろう。中身は何が入ってるんだ?」
「仕方ありませんね、ではよく見ていてください!!ど~んっ!!」
「……って、空じゃないか!?」
リリスが効果音を口にしながら宝箱を開くが、そこには何も入っておらず、チイが落胆した声を上げる。しかし、そんな彼女に対して人差し指を揺らしてリリスは舌を鳴らす。
「ちっちっちっ……確かにこの宝箱は中身が空です。宝も何も入っていません、しかし!!冷静に考えてください、宝がなければ作ればいいじゃないですか!!」
「え、それはどういう意味……」
「レイナさん!!お願いします!!」
「はいよ」
ハンゾウがリリスに質問する前に呼び出されたレイナが宝箱の前に出ると、1枚の銅貨を取り出して解析を発動させる。そして視界に表示された詳細画面の名前の項目を文字変換の能力で改竄を行う。
今回の場合は「銅貨」を「宝物」という文字に変化させると、そのまま銅貨が光り輝いた瞬間、宝箱の中に放り込む。即座にリリスが宝箱の蓋を占めると、全員の注意を引く。
「よく見ていてくださいね、種も仕掛けもありませんよ~……じゃじゃ~ん!!」
「うわっ!?」
「こ、これは……」
「おおっ……凄いっ」
「なんとっ!?」
「キラキラ!?眩しいっ!?」
「ぷるるんっ(手品かっ!?)」
宝箱が開かれた瞬間、そこには宝箱にびっしりと入った大量の金貨、銀貨、魔石の類を見てリル達は驚き、そんな彼等を見てレイナとリリスはハイタッチを行う。
「いぇ~いっ、ドッキリ大成功ですね!!」
「いぇ~いっ」
「ちょ、これはどうなってるんだ!?さっきまで空だったじゃないか……あ、まさかお前ら……!?」
「そうですよ、この宝箱の中身はさっきレイナさんがいれた銅貨を利用して今この場で作り出したんです。つまり、本来ならば存在しないはずの宝物を作り出したんですよ!!」
「な、なんとっ!?では、これらはレイナ殿が作り出したのでござるか?」
「うん。まあ、そうなるかな?」
ハンゾウは驚いた様子で宝箱を覗き込み、金貨や銀貨を取り出して確認を行う。どう見ても本物にしか見えず、魔石の方も同様だった。
レイナがあらゆる道具を作り出せる事は他の人間も知っていたが、まさか銅貨1枚で何百倍、いや何千倍の価値のある宝物を作り出せるとは思わなかった。リルは宝箱の中身を確認し、これだけの財宝を持ち帰れば成果としては十分だといえる。
「これは……改めて怖くなったよ。まさかレイナ君の能力がこれほどとは……!!」
「どうですか?これだけの財宝を持ち帰れば成果としては十分でしょう。私達は第五階層に辿り着き、この宝物を持ち帰ったと報告すれば国王様も満足するでしょう」
「し、しかし……これはレイナ殿が作り出した宝物でござるよ?」
「それがなにか問題があるんですか?いっておきますけど、この宝物は全部本物なんですよ?なら何処でどうやって手に入れたのかは問題じゃありません」
「ええっ……それでいいのか?」
反則紛いの行動で宝物を入手したと言い張るリリスにチイは呆れるが、実際の所はレイナが作り出した道具は本物と遜色はなく、複製品とはいえ本物と全く同じ性能を持つ道具である。
残念ながら第五階層では利用価値の高い宝物は手に入らなかったが、レイナの作り出した「宝物」ならば国王も納得せざるを得ず、今回の白狼騎士団の遠征の成果は認められるだろう。
「さあさあ、団員達を呼び出してこの宝物を見せつけますよ!!私達は第五階層を突破し、遂に宝物を見つけたんです!!」
「うん、嘘は言っていない」
「いや、確かにそうだが……」
「何だか釈然としないでござる」
「う~ん……」
リリスの言葉にネコミンは納得するが、リル、チイ、ハンゾウの3人は微妙な表情を浮かべる。苦労して第五階層まで辿り着いたのは事実だが、持ち帰ってきた宝物の価値が低く、そのためにわざわざレイナを利用して存在しないはずの宝物を用意する事に彼女達は素直に喜べない。
しかい、現実問題として第五階層に価値の高い宝物が眠っている可能性は低い。これまでに発見した宝箱の中身の殆どは戦闘用の道具しか入っておらず、魔水晶に関しても価値はあるとはいえ、それでも成果としては乏しい。魔水晶がいくら魔石の数十倍の価値があったとしても、それが1つか2つ程度を持ち帰ったところでは大きな成果とは言い切れない。
「あの、一応は探索が終えるまでの間は第五階層に潜って他の宝箱も確認しておくので……もしも他の宝箱にも価値の高そうな物が入っていなかったときに限り、この宝箱を渡すのはどうですか?」
「そ、そうだな。悪いが、そうしてくれるか?」
「全く、わがままですね。こんな簡単にお宝が手に入ったのに何が気に入らないんですか」
「その手に入れ方が問題なんだろうが……」
リリスとしてはどうして宝箱をわざわざ作り出したのに他の人間が納得しない事に不満を抱くが、チイ達のほうも彼女の発言に頭を悩ませる。
「それはそうだろう。中身は何が入ってるんだ?」
「仕方ありませんね、ではよく見ていてください!!ど~んっ!!」
「……って、空じゃないか!?」
リリスが効果音を口にしながら宝箱を開くが、そこには何も入っておらず、チイが落胆した声を上げる。しかし、そんな彼女に対して人差し指を揺らしてリリスは舌を鳴らす。
「ちっちっちっ……確かにこの宝箱は中身が空です。宝も何も入っていません、しかし!!冷静に考えてください、宝がなければ作ればいいじゃないですか!!」
「え、それはどういう意味……」
「レイナさん!!お願いします!!」
「はいよ」
ハンゾウがリリスに質問する前に呼び出されたレイナが宝箱の前に出ると、1枚の銅貨を取り出して解析を発動させる。そして視界に表示された詳細画面の名前の項目を文字変換の能力で改竄を行う。
今回の場合は「銅貨」を「宝物」という文字に変化させると、そのまま銅貨が光り輝いた瞬間、宝箱の中に放り込む。即座にリリスが宝箱の蓋を占めると、全員の注意を引く。
「よく見ていてくださいね、種も仕掛けもありませんよ~……じゃじゃ~ん!!」
「うわっ!?」
「こ、これは……」
「おおっ……凄いっ」
「なんとっ!?」
「キラキラ!?眩しいっ!?」
「ぷるるんっ(手品かっ!?)」
宝箱が開かれた瞬間、そこには宝箱にびっしりと入った大量の金貨、銀貨、魔石の類を見てリル達は驚き、そんな彼等を見てレイナとリリスはハイタッチを行う。
「いぇ~いっ、ドッキリ大成功ですね!!」
「いぇ~いっ」
「ちょ、これはどうなってるんだ!?さっきまで空だったじゃないか……あ、まさかお前ら……!?」
「そうですよ、この宝箱の中身はさっきレイナさんがいれた銅貨を利用して今この場で作り出したんです。つまり、本来ならば存在しないはずの宝物を作り出したんですよ!!」
「な、なんとっ!?では、これらはレイナ殿が作り出したのでござるか?」
「うん。まあ、そうなるかな?」
ハンゾウは驚いた様子で宝箱を覗き込み、金貨や銀貨を取り出して確認を行う。どう見ても本物にしか見えず、魔石の方も同様だった。
レイナがあらゆる道具を作り出せる事は他の人間も知っていたが、まさか銅貨1枚で何百倍、いや何千倍の価値のある宝物を作り出せるとは思わなかった。リルは宝箱の中身を確認し、これだけの財宝を持ち帰れば成果としては十分だといえる。
「これは……改めて怖くなったよ。まさかレイナ君の能力がこれほどとは……!!」
「どうですか?これだけの財宝を持ち帰れば成果としては十分でしょう。私達は第五階層に辿り着き、この宝物を持ち帰ったと報告すれば国王様も満足するでしょう」
「し、しかし……これはレイナ殿が作り出した宝物でござるよ?」
「それがなにか問題があるんですか?いっておきますけど、この宝物は全部本物なんですよ?なら何処でどうやって手に入れたのかは問題じゃありません」
「ええっ……それでいいのか?」
反則紛いの行動で宝物を入手したと言い張るリリスにチイは呆れるが、実際の所はレイナが作り出した道具は本物と遜色はなく、複製品とはいえ本物と全く同じ性能を持つ道具である。
残念ながら第五階層では利用価値の高い宝物は手に入らなかったが、レイナの作り出した「宝物」ならば国王も納得せざるを得ず、今回の白狼騎士団の遠征の成果は認められるだろう。
「さあさあ、団員達を呼び出してこの宝物を見せつけますよ!!私達は第五階層を突破し、遂に宝物を見つけたんです!!」
「うん、嘘は言っていない」
「いや、確かにそうだが……」
「何だか釈然としないでござる」
「う~ん……」
リリスの言葉にネコミンは納得するが、リル、チイ、ハンゾウの3人は微妙な表情を浮かべる。苦労して第五階層まで辿り着いたのは事実だが、持ち帰ってきた宝物の価値が低く、そのためにわざわざレイナを利用して存在しないはずの宝物を用意する事に彼女達は素直に喜べない。
しかい、現実問題として第五階層に価値の高い宝物が眠っている可能性は低い。これまでに発見した宝箱の中身の殆どは戦闘用の道具しか入っておらず、魔水晶に関しても価値はあるとはいえ、それでも成果としては乏しい。魔水晶がいくら魔石の数十倍の価値があったとしても、それが1つか2つ程度を持ち帰ったところでは大きな成果とは言い切れない。
「あの、一応は探索が終えるまでの間は第五階層に潜って他の宝箱も確認しておくので……もしも他の宝箱にも価値の高そうな物が入っていなかったときに限り、この宝箱を渡すのはどうですか?」
「そ、そうだな。悪いが、そうしてくれるか?」
「全く、わがままですね。こんな簡単にお宝が手に入ったのに何が気に入らないんですか」
「その手に入れ方が問題なんだろうが……」
リリスとしてはどうして宝箱をわざわざ作り出したのに他の人間が納得しない事に不満を抱くが、チイ達のほうも彼女の発言に頭を悩ませる。
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