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獣人王国編
第341話 幻の第五階層
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「じゃあ、行くよ皆」
「ドキドキしてきた」
「本当にあの第五階層へ……」
「楽しみでござる」
「勇者君、言葉遣いが変になってるぞ……」
「きゅろろっ!!早く早くっ!!」
「ぷるるんっ!!」
転移台の台座の前に立ったレイナを見て全員が緊張感を隠せず、彼女は遂に合言葉を告げた。その瞬間、転移台が光り輝くとやがて光の柱と化してレイナ達を飲み込む――
――光の奔流に飲み込まれた後、レイナは意識を取り戻すと自分の視界が真っ暗な空間に覆われている事に気づく。いったい何が起きたのか理解できなかったが、どうやら暗黒に覆われて空間に転移したらしい。
「いててっ……な、なにが起きたんだ?」
周囲の光景が全く見えず、慌ててレイナは身体を起き上げると、手元に何か柔らかい物が触れた。不思議に思ったレイナは柔らかい物を握りしめる。
「ん?何だこれ……柔らかくて気持ちいい」
最初はクロミンを掴んだのかとレイナは両手で鷲掴み、そのままふにふにと揉んでいるとここで自分が「暗視」という技能を覚えている事を思い出す。技能は意識しなければ発動しないことを忘れていたレイナはすぐに暗視を発動させ、自分の掴んでいる物の正体を見抜く。
こういう状況でのお約束では女の子の胸を掴んでいるのが定番だが、どうやらレイナが掴んでいたのは眠っているクロミンらしく、鼻提灯を作りながらクロミンは熟睡していた。
「ZZZ……」
「って、何だクロミンか……どうしてこんな所で寝てるんだ。ほら、起きなって」
「ぷるぁああっ(←欠伸)」
レイナに起こされてクロミンは瞼を開くと、周囲の異変に気付いたのか不思議そうに身体を弾ませる。そんなクロミンを抱きかかえたレイナは周囲の様子を確認すると、どうやら全員が倒れている事に気づく。
ここで判明したのがレイナ達が存在するのは30メートル程の広さの空間だと分かり、天井の方を確認するとドーム状に広がっている事が判明する。そしてレイナ達が倒れている場所の傍には転移台が存在した。
(ここが第五階層……?暗くて見えにくいな、それにどうして皆気絶してるんだ?)
倒れている人間達を確認するとどうやら全員がレイナと同じく気絶しているらしく、とりあえずは全員が眠っているだけで意識不明の重体という様子ではなさそうだった。皆を起こす前にレイナは詳しく周囲の状況を確認すると、ここでレイナは信じられない物を発見した。
(何だこれ……宝箱?いかにもそれっぽい感じだな……)
暗黒空間の端の方を確認するとまるでRPGゲームでは定番の「宝箱」のような形をした箱が設置され、暗くてよく分かりづらいが金属製の箱である事に気づく。長い間放置されていたわけではないのか、全ての箱は特に埃を被っている様子もなく、レイナは宝箱の一つを開こうとした。
しかし、どの宝箱も鍵穴が存在し、中身を開くことが出来なかった。ここまで来て宝箱の中身が確認できないのかとレイナは落胆する。
(駄目だ、どの宝箱も鍵が掛かってる……あ、でもあそこの宝箱だけ開いている?)
宝箱の一つが開いている事に気づいたレイナはすぐに中身の確認を行うと、残念ながら箱の中身は身体ったが、鍵穴の方には何やら鉄製の針金のような物が差し込まれていた。
どうやらこの宝箱の中身を持ち出した人間は針金を利用してピッキングで無理やりこじ開けたらしく、その人物の正体が過去に幻の第五階層の存在を示した冒険者ではないのかとレイナは疑う。
(この宝箱だけ開いている……もしかしたらリルさんが言っていた第五階層を最初に発見した冒険者の仕業か?でも、それならこの宝箱は長い期間放置されているはずなのに全然汚れていないな……どうしてだろう?)
少なくともリルの話では第五階層を最初に発見した冒険者は大昔に亡くなったと聞いているが、その割には宝箱はまるで最近に開かれたばかりの様に放置され、特に何十年、何百年も放置された状態とは思えない。
考えられるとしたら宝箱に細工が施されて汚れない仕組みになっているのか、あるいはこの空間が特殊な場所で宝箱が錆びたり埃を被らないような仕掛けになっているのかもしれない。だが、現在は予想の域は超えず、試しにレイナは解析の能力を発動して宝箱の様子を伺う。
『ブラックボックス――かつて召喚された勇者が作り出した永久保存用の宝箱。この箱の中に封じ込められた道具は箱が蓋をした瞬間に異空間へと送り込まれ、箱を開いたときに限り、異空間から回収される 状態:施錠中』
「あ、やっぱりこれも勇者が作った宝箱なのか……」
「ぷるるんっ?」
急に喋り出したレイナにクロミンは不思議そうに彼女の頭の上で揺れると、レイナはとりあえずは宝箱の正体が勇者の残した遺物だと判明した事に安心する。一方でこれからどうやって宝箱の中身を回収するのかを考える。
「ドキドキしてきた」
「本当にあの第五階層へ……」
「楽しみでござる」
「勇者君、言葉遣いが変になってるぞ……」
「きゅろろっ!!早く早くっ!!」
「ぷるるんっ!!」
転移台の台座の前に立ったレイナを見て全員が緊張感を隠せず、彼女は遂に合言葉を告げた。その瞬間、転移台が光り輝くとやがて光の柱と化してレイナ達を飲み込む――
――光の奔流に飲み込まれた後、レイナは意識を取り戻すと自分の視界が真っ暗な空間に覆われている事に気づく。いったい何が起きたのか理解できなかったが、どうやら暗黒に覆われて空間に転移したらしい。
「いててっ……な、なにが起きたんだ?」
周囲の光景が全く見えず、慌ててレイナは身体を起き上げると、手元に何か柔らかい物が触れた。不思議に思ったレイナは柔らかい物を握りしめる。
「ん?何だこれ……柔らかくて気持ちいい」
最初はクロミンを掴んだのかとレイナは両手で鷲掴み、そのままふにふにと揉んでいるとここで自分が「暗視」という技能を覚えている事を思い出す。技能は意識しなければ発動しないことを忘れていたレイナはすぐに暗視を発動させ、自分の掴んでいる物の正体を見抜く。
こういう状況でのお約束では女の子の胸を掴んでいるのが定番だが、どうやらレイナが掴んでいたのは眠っているクロミンらしく、鼻提灯を作りながらクロミンは熟睡していた。
「ZZZ……」
「って、何だクロミンか……どうしてこんな所で寝てるんだ。ほら、起きなって」
「ぷるぁああっ(←欠伸)」
レイナに起こされてクロミンは瞼を開くと、周囲の異変に気付いたのか不思議そうに身体を弾ませる。そんなクロミンを抱きかかえたレイナは周囲の様子を確認すると、どうやら全員が倒れている事に気づく。
ここで判明したのがレイナ達が存在するのは30メートル程の広さの空間だと分かり、天井の方を確認するとドーム状に広がっている事が判明する。そしてレイナ達が倒れている場所の傍には転移台が存在した。
(ここが第五階層……?暗くて見えにくいな、それにどうして皆気絶してるんだ?)
倒れている人間達を確認するとどうやら全員がレイナと同じく気絶しているらしく、とりあえずは全員が眠っているだけで意識不明の重体という様子ではなさそうだった。皆を起こす前にレイナは詳しく周囲の状況を確認すると、ここでレイナは信じられない物を発見した。
(何だこれ……宝箱?いかにもそれっぽい感じだな……)
暗黒空間の端の方を確認するとまるでRPGゲームでは定番の「宝箱」のような形をした箱が設置され、暗くてよく分かりづらいが金属製の箱である事に気づく。長い間放置されていたわけではないのか、全ての箱は特に埃を被っている様子もなく、レイナは宝箱の一つを開こうとした。
しかし、どの宝箱も鍵穴が存在し、中身を開くことが出来なかった。ここまで来て宝箱の中身が確認できないのかとレイナは落胆する。
(駄目だ、どの宝箱も鍵が掛かってる……あ、でもあそこの宝箱だけ開いている?)
宝箱の一つが開いている事に気づいたレイナはすぐに中身の確認を行うと、残念ながら箱の中身は身体ったが、鍵穴の方には何やら鉄製の針金のような物が差し込まれていた。
どうやらこの宝箱の中身を持ち出した人間は針金を利用してピッキングで無理やりこじ開けたらしく、その人物の正体が過去に幻の第五階層の存在を示した冒険者ではないのかとレイナは疑う。
(この宝箱だけ開いている……もしかしたらリルさんが言っていた第五階層を最初に発見した冒険者の仕業か?でも、それならこの宝箱は長い期間放置されているはずなのに全然汚れていないな……どうしてだろう?)
少なくともリルの話では第五階層を最初に発見した冒険者は大昔に亡くなったと聞いているが、その割には宝箱はまるで最近に開かれたばかりの様に放置され、特に何十年、何百年も放置された状態とは思えない。
考えられるとしたら宝箱に細工が施されて汚れない仕組みになっているのか、あるいはこの空間が特殊な場所で宝箱が錆びたり埃を被らないような仕掛けになっているのかもしれない。だが、現在は予想の域は超えず、試しにレイナは解析の能力を発動して宝箱の様子を伺う。
『ブラックボックス――かつて召喚された勇者が作り出した永久保存用の宝箱。この箱の中に封じ込められた道具は箱が蓋をした瞬間に異空間へと送り込まれ、箱を開いたときに限り、異空間から回収される 状態:施錠中』
「あ、やっぱりこれも勇者が作った宝箱なのか……」
「ぷるるんっ?」
急に喋り出したレイナにクロミンは不思議そうに彼女の頭の上で揺れると、レイナはとりあえずは宝箱の正体が勇者の残した遺物だと判明した事に安心する。一方でこれからどうやって宝箱の中身を回収するのかを考える。
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