解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
341 / 367
獣人王国編

第339話 ゴーレム・キングの能力

しおりを挟む
「まさか……全身を発熱させて雨を蒸発させている!?」
「分かりました、あいつはマグマゴーレムの能力を取り込んで全身の温度を変化できるんです!!」
「何だと!?」
『ゴアアアアアッ!!』


雨によって崩れ去るかと思われたゴーレム・キングだったが、徐々に全身が赤色に変色し、全身に熱を伝える事で雨水を蒸発させながら登っていく。マグマゴーレムの「体温変化」の能力も所有していたらしく、身体に降り注ぐ水分を蒸発させながら登ってきた。

その様子を見ていたレイナ達は洞穴の様子を確認するが、オウソウとサンが必死で岩石をどかしているがとてもではないが間に合わない。団員達が力を合わせて彼等を手伝ったとしてもゴーレム・キングが存在する限りは振動を受けて再び岩石が崩れる可能性もある。


「ど、どうすればいいんだ!?」
「どうしようもねえよ!!こんなの、逃げるしか……」
「取り乱すな!!冷静になれ、ここで慌てても何も好転しない!!」


絶望的な状況に団員達は取り乱すが、リルが彼等を一括して落ち着かせる。しかし、落ち着かせても状況が変わるわけではなく、このままではゴーレム・キングによって全員が殺されてしまう。

リルは妖刀ムラマサを引き抜き、他の者たちも一応は武器を構えるが、全身を発熱させたゴーレム・キングが迫る光景を見てこのままでは殺される事は分かっていた。それでも最後まで諦めずに戦う事を決意した時、ここでレイナはリルに視線を向ける。


「…………」
「れ、レイナ君?どうしたんだ急に見つめて……」


レイナが自分を見つめてきたことに気づき、リルは戸惑いの表情を浮かべるが、レイナの視線をよく確かめると視線の先に存在するのは自分ではない事に気づく。ならば何を見ているのかとレイナの視線の先にリルは顔を向けると、それは彼女が所有している妖刀ムラマサである事が判明した。

リルが所有しているムラマサを確認したレイナはある方法を思いつき、この方法ならば上手くいけばゴーレム・キングを倒す事が出来るかもしれなかった。だが、この方法が失敗すれば後はなく、もう文字変換の能力でゴーレム・キングを「即死」させるしかない。


「リリス、本当にゴーレム・キングを倒せば大爆発を引き起こすの?」
「え?ええ、確か文献にはそう書いてありましたけど……」
「でもさ、仮にもしも全身が凍り付いた場合はどうなるのかな?それでも爆発するの?」
「全身が凍り付いた場合……あっ!?」


いったい何を言い出すのかとリリスはレイナに振り返ると、彼女が指先を前に伸ばしている事に気づき、文字変換の能力を発動しようとしている事に気づく。



――レイナは視界に表示されたゴーレム・キングの詳細画面の特徴に手を伸ばし、ある二文字を書き込む。その直後、全身が発熱していたゴーレム・キングの肉体に異変が発生し、徐々にゴーレム・キングの動作が鈍くなっていく。



ゴァアアアアアッ――!?



唐突にゴーレム・キングの肉体が変色すると、全身が凍り付いていき、やがて巨大な氷像へと変化を果たす。そして巨体がゆっくりと傾くと、地面に向けて倒れ込む。その衝撃によって凍り付いたゴーレム・キングの肉体が砕け散り、巨大な火属性の核が露出した。

その様子を見ていた者たちは唖然とした表情を浮かべるが、レイナの方は額の汗を拭い、上手く試みが成功した事に安堵する。その様子に気づいたリリスが戸惑いの表情を浮かべながらも尋ねる。


「まさか……まさかとは思いますけど、まさかゴーレム・キングを「凍結」させたんですか?」
「うん、上手くいって良かったよ」


レイナは視界の詳細画面に表示された文字を確認し、特徴の項目を「凍結」と変化させた事を告げた。結果としてゴーレム・キングは身体が凍り付いた事によって熱を奪われてしまい、体内の核も凍結化させられた事で大爆発を引き起こさずに倒す事が出来たという。

正確に言えばゴーレム・キングは完全に死亡したわけではなく、全身が凍り付いた事で肉体の機能が停止し、動けなくなっただけに過ぎない。現在は肉体が崩壊した事でゴーレム・キングの核が出現したが、あくまでも凍結化しただけで死んだわけではなく、氷が溶ければ復活を果たすだろう。だが、復活を果たす頃にはレイナ達はもうこの大迷宮には存在しない。


「ふうっ……死ぬかと思った」


まさか殺しても大爆発を殺す存在が現れるとは思えず、今までレイナはどんな状況に陥ろうと解析と文字変換の能力ならば切り抜けるという自信があった。だが、今回の場合はこの二つの能力でも切り抜けるのがぎりぎりで合ったことを理解し、能力を過信し過ぎていた事を自覚する。


(これからも倒すだけじゃ問題がある敵が現れるかもしれない……油断は出来ないな)


今回はどうにか切り抜ける事が出来たが、改めてレイナは倒すだけでは駄目な敵が存在することを理解すると、改めて皆の様子を伺う。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...