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獣人王国編
第318話 火竜の経験石
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「シャアアッ……」
「よしよし……ちゃんと傷も治ったな」
「全く、相変わらず恐ろしい能力だな……子供とはいえ、火竜を手懐げる事が出来るとは」
「チイも手懐けてもらう?」
「何でだ!?」
「よし、火竜の子供の件はこれでどうにかなった。問題なのは……どうやってこの火竜の死骸から素材を回収するかだな」
火竜の子供をあやしながらレイナは火竜の死骸に顔を向けると、恐竜の如き大きさを誇る死骸を前にしてどのような手順で素材を回収するのかを悩む。放置しておけばいずれは大迷宮に吸収されてしまうため、早いうちに対処しなければならない。
竜種の素材は貴重のため、何処の部分だろうと非常に高い価値を誇る。この火竜の素材を全て回収すれば国家予算並の報酬が得られるだろうが、残念ながら解体はそんなに簡単にはいかない。死骸とはいえ、頑丈な火竜の肉体を解体するには特別な道具が必要になる。
「とりあえずは爪と牙を切り離してみるか……レイナ君、任せられるか?」
「はい、やってみます」
「頼んだぞ、私達ではどうしようもできないからな。苦労を掛けてすまない」
アスカロンを取り出したレイナはリルの指示通りに従い、最初に火竜の金属のように鋭利で研ぎ澄まされた爪をアスカロンで切り離す。普通の武器では火竜の鱗の肉体を切り分けるなど出来るはずがないが、切断力という点においてはアスカロンに勝る聖剣は存在しない。
爪をどうにか剥ぎ取った後、今度は牙の方の回収を行う。その一方で自分の親が解体されている間、火竜の幼体の方はシロとクロと共にネコミンが引き連れていた。目の前で親を解体される光景など見させるわけにはいかず、彼女なりに火竜を気遣っての行動だった。
「ほら、アカ。これを今から投げるから取ってきて」
「シャアッ?」
「そう、アカというのが君の名前。これからはちゃんとアカと呼ばれたらすぐに来て」
「シャシャアッ!!」
「「ウォンッ!!」」
ネコミンの言葉にアカは承知したように頷き、彼女が投げた木の枝をシロとクロと共に追いかけて回収に向かう。その様子を見ていたチイは呆れるべきか感心するべきか悩み、あっさりとシロとクロと和解した火竜を見て戸惑う。
「流石はネコミン……動物(?)の扱いには慣れているな」
「そういえばシロとクロも育て上げたのもネコミンだったな。そう考えると、ネコミンは魔物使いの才能もあったのかもしれない」
「終わりましたよ~」
皆が火竜の幼体に興味を抱く中、レイナは爪と牙をどうにか全て剥ぎ取ると、袋詰めした大量の牙と爪をどうするべきか尋ねる。リルはそれを受け取ると自分たちが持参した鞄の中に放り込む。
「回収した素材は私達が鞄の中に詰め込む。レイナ君は続けて火竜の体内にあるはずの経験石の回収を頼む」
「経験石……確か、魔物の亜種の中に存在する魔石でしたっけ?」
「竜種の場合は亜種でなくとも体内に経験石を保有していると聞いたことがある。それに火竜の火炎の吐息は経験石の発する火属性の魔力を利用しているはずだ。必ず体内の何処かに存在するはずだから探し出してくれ」
「分かりました。けど、これだけの大きさとなると探すのも大変そうだな……」
アスカロンを手にしたレイナはとりあえずは火竜の死骸の上に立つと、汚れるのを覚悟してアスカロンを突き刺す。死んでから間もないので刃を突き刺すと血液が迸り、衣服が汚れてしまう。
後で身体を洗う事を決意して刃で切り裂き、肉をかき分けていく。やがてある程度切り開くとアスカロンの刃の先端に硬い物が触れる感触が広がり、刃を引き抜いて確認すると切り開いた傷口の奥の方で光り輝く物体を確認した。
(これが火竜の経験石……!?なんて大きさだ!!)
火竜の経験石は以前にレイナがゴブリン亜種を倒したときに入手した代物よりも遥かに大きく、直径で1メートル以上の大きさはあった。とてもではないが一人で運び出せるほどの大きさではなく、困り果てたレイナはどうするべきか悩む。
火竜の心臓部の付近に経験石は存在し、引き抜いて運び出すにしても素手では難しく、なにかロープのような物で巻き付けてから引っ張るしかなさそうだった。だが、生憎と長いロープは持ち合わせておらず、どうするべきかと悩んだ時、唐突に火竜の経験石が輝き始めた。
「これは……うわっ!?」
「どうしたレイナ君!?」
「何があった!?」
経験石の輝きが強まると、レイナは目が眩んでしまい、様子を伺っていたリルとチイが声をかける。その直後に傷口から大量の血液が噴き出し、完全に死亡していたはずの火竜の肉体が痙攣を始める。
先の攻防で頭部を突き刺されて確実に死んでいたはずの火竜の目元が光り輝き、爪と牙を失い、背中の部分を大きく切り開かれた状態にも関わらずに火竜は起き上がると咆哮を放つ。
「よしよし……ちゃんと傷も治ったな」
「全く、相変わらず恐ろしい能力だな……子供とはいえ、火竜を手懐げる事が出来るとは」
「チイも手懐けてもらう?」
「何でだ!?」
「よし、火竜の子供の件はこれでどうにかなった。問題なのは……どうやってこの火竜の死骸から素材を回収するかだな」
火竜の子供をあやしながらレイナは火竜の死骸に顔を向けると、恐竜の如き大きさを誇る死骸を前にしてどのような手順で素材を回収するのかを悩む。放置しておけばいずれは大迷宮に吸収されてしまうため、早いうちに対処しなければならない。
竜種の素材は貴重のため、何処の部分だろうと非常に高い価値を誇る。この火竜の素材を全て回収すれば国家予算並の報酬が得られるだろうが、残念ながら解体はそんなに簡単にはいかない。死骸とはいえ、頑丈な火竜の肉体を解体するには特別な道具が必要になる。
「とりあえずは爪と牙を切り離してみるか……レイナ君、任せられるか?」
「はい、やってみます」
「頼んだぞ、私達ではどうしようもできないからな。苦労を掛けてすまない」
アスカロンを取り出したレイナはリルの指示通りに従い、最初に火竜の金属のように鋭利で研ぎ澄まされた爪をアスカロンで切り離す。普通の武器では火竜の鱗の肉体を切り分けるなど出来るはずがないが、切断力という点においてはアスカロンに勝る聖剣は存在しない。
爪をどうにか剥ぎ取った後、今度は牙の方の回収を行う。その一方で自分の親が解体されている間、火竜の幼体の方はシロとクロと共にネコミンが引き連れていた。目の前で親を解体される光景など見させるわけにはいかず、彼女なりに火竜を気遣っての行動だった。
「ほら、アカ。これを今から投げるから取ってきて」
「シャアッ?」
「そう、アカというのが君の名前。これからはちゃんとアカと呼ばれたらすぐに来て」
「シャシャアッ!!」
「「ウォンッ!!」」
ネコミンの言葉にアカは承知したように頷き、彼女が投げた木の枝をシロとクロと共に追いかけて回収に向かう。その様子を見ていたチイは呆れるべきか感心するべきか悩み、あっさりとシロとクロと和解した火竜を見て戸惑う。
「流石はネコミン……動物(?)の扱いには慣れているな」
「そういえばシロとクロも育て上げたのもネコミンだったな。そう考えると、ネコミンは魔物使いの才能もあったのかもしれない」
「終わりましたよ~」
皆が火竜の幼体に興味を抱く中、レイナは爪と牙をどうにか全て剥ぎ取ると、袋詰めした大量の牙と爪をどうするべきか尋ねる。リルはそれを受け取ると自分たちが持参した鞄の中に放り込む。
「回収した素材は私達が鞄の中に詰め込む。レイナ君は続けて火竜の体内にあるはずの経験石の回収を頼む」
「経験石……確か、魔物の亜種の中に存在する魔石でしたっけ?」
「竜種の場合は亜種でなくとも体内に経験石を保有していると聞いたことがある。それに火竜の火炎の吐息は経験石の発する火属性の魔力を利用しているはずだ。必ず体内の何処かに存在するはずだから探し出してくれ」
「分かりました。けど、これだけの大きさとなると探すのも大変そうだな……」
アスカロンを手にしたレイナはとりあえずは火竜の死骸の上に立つと、汚れるのを覚悟してアスカロンを突き刺す。死んでから間もないので刃を突き刺すと血液が迸り、衣服が汚れてしまう。
後で身体を洗う事を決意して刃で切り裂き、肉をかき分けていく。やがてある程度切り開くとアスカロンの刃の先端に硬い物が触れる感触が広がり、刃を引き抜いて確認すると切り開いた傷口の奥の方で光り輝く物体を確認した。
(これが火竜の経験石……!?なんて大きさだ!!)
火竜の経験石は以前にレイナがゴブリン亜種を倒したときに入手した代物よりも遥かに大きく、直径で1メートル以上の大きさはあった。とてもではないが一人で運び出せるほどの大きさではなく、困り果てたレイナはどうするべきか悩む。
火竜の心臓部の付近に経験石は存在し、引き抜いて運び出すにしても素手では難しく、なにかロープのような物で巻き付けてから引っ張るしかなさそうだった。だが、生憎と長いロープは持ち合わせておらず、どうするべきかと悩んだ時、唐突に火竜の経験石が輝き始めた。
「これは……うわっ!?」
「どうしたレイナ君!?」
「何があった!?」
経験石の輝きが強まると、レイナは目が眩んでしまい、様子を伺っていたリルとチイが声をかける。その直後に傷口から大量の血液が噴き出し、完全に死亡していたはずの火竜の肉体が痙攣を始める。
先の攻防で頭部を突き刺されて確実に死んでいたはずの火竜の目元が光り輝き、爪と牙を失い、背中の部分を大きく切り開かれた状態にも関わらずに火竜は起き上がると咆哮を放つ。
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