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獣人王国編
第310話 火竜
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「あれが……火竜!?」
「レイナ、頭を下げて……見つかったら殺される」
レイナの視界に映し出されたのは通常種の牙竜よりも2倍近くの体格を誇り、更に恐ろしい容貌をしていた。翼を広げて空を飛び、鋭利に研ぎ澄まされた刃物のような牙と爪、見ているだけで身体の震えが止まらないほどの威圧感を誇る。
(あれが火竜なのか……解析!!)
空を移動する火竜にレイナは解析の能力を発動させると、流石は竜種の中でも知名度が高い存在だけはあり、そのステータスの方も尋常ではなかった。
――――火竜――――
種類:中位竜種(通常種)
性別:雄
状態:興奮
特徴:竜種の中でも中位種に位置する「火竜」戦闘力は非常に高く、岩をも溶かす火炎の吐息を放つ。体内に膨大な魔力を秘めた核を保有し、仮に心臓が破壊されても核さえ無事ならば生き続ける事が出来る。縄張りを犯さなければ無暗に他の生物を襲う事はなく、主食は火属性の魔石や溶岩を好む
――――――――――
視界に表示された文章を見てレイナは唖然とした。まず判明したのは牙竜よりも上位に位置する竜種らしく、しかも火炎の吐息という攻撃を行える事、更には火属性の魔石や溶岩を好むという点に明らかに普通の生物とは違った。
溶岩さえも栄養とするなど普通の生物ならばあり得ぬことだが、この世界ではレイナの常識が通用するはずもなく、まずは落ち着いて火竜の様子を伺う。幸いにも別に火竜はレイナ達の存在に気づいた様子はなく、火山の火口へ向けて飛び立つ。
「ふうっ……行ったみたい、もしも隠れるのが遅かったら私達見つかっていたかも」
「クゥ~ン(怖かった)」
「よしよし……戦闘にならなくて本当によかった」
怯えたように身体を震わせるシロにネコミンは頭を撫でて落ち着かせると、レイナの方も姿を消した火竜の事を思い浮かべるだけで冷や汗を流す。今回は見つからずに済んだが、もしも相対していれば牙竜の時以上に厄介な相手を敵に回していただろう。
(牙竜よりも手ごわそうだな……もしもクロミンを連れ出していたとしても、空を飛ぶ相手だと相性が悪そうだな)
同じ竜種ではあるが、牙竜の場合は空を飛ぶ能力は持ち合わせておらず、火竜と戦闘になれば不利に陥るのは間違いない。空を飛んだ相手に牙竜は攻撃手段はなく、一方で火竜は火炎の吐息とやらを吐き出して攻撃が行える。仮にクロミンを連れ出していたとしても火竜との戦闘では不利に立たされるかもしれない。
火竜に見つからなかった事に心の底からレイナ達は安堵するが、一方で火口の方に向かった火竜に視線を向け、何をしに向かったのかを考える。
(この画面によると火竜の好物は火属性の魔石や溶岩らしいけど、もしかして火口の方は餌場になってるのかな?どっちにしろ危険だし、迂闊に近づくのは止めた方がいいかな……けど、ここまでの道中で転移台は見つかってないんだよな)
レイナ達が存在するのは火山の中腹付近であり、どうにかここまで進んできたが転移台らしき物は見かけていない。リルの推察では第四階層に転移台が存在するのならばこの場所が一番怪しいという事だが、火竜の縄張りの中を探索し続けるのは危険が大きい。
だが、ここまで来た以上は調査を止めるわけにはいかず、意を決してレイナは地図製作の画面を確認し、とりあえずは火口付近以外の場所の探索を行う事を決意した。
「よし、とりあえずはもう少しだけ上に登ろう。火竜に見つからないように出来る限り目立たないようにしないと……」
「レイナ、待って。シロが何かを見つけたみたい」
「ウォンッ」
先に進もうとするレイナをネコミンは引き留めると、彼女はシロを指差す。シロは尻尾を振りながら自分に付いて来いとばかりに頷き、ここは野生の勘を信じてレイナとネコミンは後に続く。
「ウォンッ」
「これは……洞穴?こんな場所にどうして……」
「……かなり奥が深そう」
シロが発見したのは成人男性が通れるほどの小さな洞穴であり、奥の方が暗闇で見えないほどに続いていた。レイナは念のために中の方も調べてみる事を決め、鞄から懐中電灯を取り出す。
「ちょっと入ってみよう。もしかしたら奥の方に転移台が隠されているのかも……」
「すんすん……特に魔物の臭いはしない、だけど気を付けて。サンドワームの時のように急に現れるかもしれない」
「その時はサンちゃんの友達が出来そうだね」
サンドワームのような地中に潜む魔物が現れる場合も考慮し、最善の注意を払いながらレイナ達は洞穴の奥へと進む。奥の方へ移動するごとに通路の大きさも広がり、若干下の方へ傾いた坂道になっていた。
しばらく歩いていると岩壁や天井の方で赤く光り輝く宝石のような物が存在する事に気づき、不思議に思ったレイナは懐中電灯で照らしてみると、その正体が壁や天井に埋め込まれた魔石だと気づく。
「レイナ、頭を下げて……見つかったら殺される」
レイナの視界に映し出されたのは通常種の牙竜よりも2倍近くの体格を誇り、更に恐ろしい容貌をしていた。翼を広げて空を飛び、鋭利に研ぎ澄まされた刃物のような牙と爪、見ているだけで身体の震えが止まらないほどの威圧感を誇る。
(あれが火竜なのか……解析!!)
空を移動する火竜にレイナは解析の能力を発動させると、流石は竜種の中でも知名度が高い存在だけはあり、そのステータスの方も尋常ではなかった。
――――火竜――――
種類:中位竜種(通常種)
性別:雄
状態:興奮
特徴:竜種の中でも中位種に位置する「火竜」戦闘力は非常に高く、岩をも溶かす火炎の吐息を放つ。体内に膨大な魔力を秘めた核を保有し、仮に心臓が破壊されても核さえ無事ならば生き続ける事が出来る。縄張りを犯さなければ無暗に他の生物を襲う事はなく、主食は火属性の魔石や溶岩を好む
――――――――――
視界に表示された文章を見てレイナは唖然とした。まず判明したのは牙竜よりも上位に位置する竜種らしく、しかも火炎の吐息という攻撃を行える事、更には火属性の魔石や溶岩を好むという点に明らかに普通の生物とは違った。
溶岩さえも栄養とするなど普通の生物ならばあり得ぬことだが、この世界ではレイナの常識が通用するはずもなく、まずは落ち着いて火竜の様子を伺う。幸いにも別に火竜はレイナ達の存在に気づいた様子はなく、火山の火口へ向けて飛び立つ。
「ふうっ……行ったみたい、もしも隠れるのが遅かったら私達見つかっていたかも」
「クゥ~ン(怖かった)」
「よしよし……戦闘にならなくて本当によかった」
怯えたように身体を震わせるシロにネコミンは頭を撫でて落ち着かせると、レイナの方も姿を消した火竜の事を思い浮かべるだけで冷や汗を流す。今回は見つからずに済んだが、もしも相対していれば牙竜の時以上に厄介な相手を敵に回していただろう。
(牙竜よりも手ごわそうだな……もしもクロミンを連れ出していたとしても、空を飛ぶ相手だと相性が悪そうだな)
同じ竜種ではあるが、牙竜の場合は空を飛ぶ能力は持ち合わせておらず、火竜と戦闘になれば不利に陥るのは間違いない。空を飛んだ相手に牙竜は攻撃手段はなく、一方で火竜は火炎の吐息とやらを吐き出して攻撃が行える。仮にクロミンを連れ出していたとしても火竜との戦闘では不利に立たされるかもしれない。
火竜に見つからなかった事に心の底からレイナ達は安堵するが、一方で火口の方に向かった火竜に視線を向け、何をしに向かったのかを考える。
(この画面によると火竜の好物は火属性の魔石や溶岩らしいけど、もしかして火口の方は餌場になってるのかな?どっちにしろ危険だし、迂闊に近づくのは止めた方がいいかな……けど、ここまでの道中で転移台は見つかってないんだよな)
レイナ達が存在するのは火山の中腹付近であり、どうにかここまで進んできたが転移台らしき物は見かけていない。リルの推察では第四階層に転移台が存在するのならばこの場所が一番怪しいという事だが、火竜の縄張りの中を探索し続けるのは危険が大きい。
だが、ここまで来た以上は調査を止めるわけにはいかず、意を決してレイナは地図製作の画面を確認し、とりあえずは火口付近以外の場所の探索を行う事を決意した。
「よし、とりあえずはもう少しだけ上に登ろう。火竜に見つからないように出来る限り目立たないようにしないと……」
「レイナ、待って。シロが何かを見つけたみたい」
「ウォンッ」
先に進もうとするレイナをネコミンは引き留めると、彼女はシロを指差す。シロは尻尾を振りながら自分に付いて来いとばかりに頷き、ここは野生の勘を信じてレイナとネコミンは後に続く。
「ウォンッ」
「これは……洞穴?こんな場所にどうして……」
「……かなり奥が深そう」
シロが発見したのは成人男性が通れるほどの小さな洞穴であり、奥の方が暗闇で見えないほどに続いていた。レイナは念のために中の方も調べてみる事を決め、鞄から懐中電灯を取り出す。
「ちょっと入ってみよう。もしかしたら奥の方に転移台が隠されているのかも……」
「すんすん……特に魔物の臭いはしない、だけど気を付けて。サンドワームの時のように急に現れるかもしれない」
「その時はサンちゃんの友達が出来そうだね」
サンドワームのような地中に潜む魔物が現れる場合も考慮し、最善の注意を払いながらレイナ達は洞穴の奥へと進む。奥の方へ移動するごとに通路の大きさも広がり、若干下の方へ傾いた坂道になっていた。
しばらく歩いていると岩壁や天井の方で赤く光り輝く宝石のような物が存在する事に気づき、不思議に思ったレイナは懐中電灯で照らしてみると、その正体が壁や天井に埋め込まれた魔石だと気づく。
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