解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
296 / 367
獣人王国編

第294話 大迷宮の謎

しおりを挟む
「でも、どうしてあのブロックゴーレムを作り出す事が転移に影響を与えたの?」
「あのブロックゴーレムは転移台の傍に縄張りを形成していました。あのブロックゴーレムが転移台の傍に住処を築いた理由は二つ、一つ目の理由は転移台に近付く存在を排除するため……そしてもう一つは転移台が放つ魔力を吸収させて不調を引き起こすためです」
「不調……?」


リリスの言葉にレイナは疑問を抱き、不調という言葉に引っかかりを覚えると、彼女はレイナに尋ねてきた。


「私達が大迷宮の階層に転移できるのは転移台の転移魔法陣が必要です。ですが、その転移魔法陣を発動させる魔力はどうやって作り出されていると思います?」
「えっ?えっと……魔石とか?」
「転移台に魔石が設置されているように見えましたか?」
「そういえば……じゃあ、どうやって転移台は発動しているの?」
「結論から言えば転移台は魔力を吸収する仕掛けが施されています。各階層に配置されている転移台は周囲に存在する魔力を吸収して転移魔法陣を発動する仕掛けなんです」
「周囲から魔力を……?」


レイナは魔石などが転移台に取り付けられ、魔石から魔力を得て転移魔法陣が発動しているのではないかと考えたが、リリスによると転移台は魔法を発動させるときは周囲から魔力を吸収して発動させているという。


「大迷宮で死亡した魔物は放置すると、自然と消えてしまうのは知ってますね?」
「うん、前にも何度か聞いたことがあるよ」
「大迷宮では多数の魔物が存在し、常に争い合ってます。なのにどうして大迷宮内の魔物が互いに殺し合って全滅する様子もありません。外部から何度も冒険者が訪れては魔物の討伐を行っているのに大迷宮内の魔物が絶滅しない理由を考えた事はありますか?」
「むうっ……言われてみれば考えたこともないでござる」
「確かにそれは気になっていたが……」


他国に存在する大迷宮では数多くの冒険者が毎日のように大迷宮へと潜り、大量の魔物を狩っている。しかし、どんな大迷宮であろうと魔物が絶滅したという話は聞いておらず、レイナが過去に訪れた事があるヒトノ帝国も同様だった。

ヒトノ帝国の大迷宮は文字通りに「迷宮」のような構造をしており、巨塔の大迷宮と比べても隔離的な構造だった。しかも連日のように数多くの冒険者が大迷宮に挑んでいるにも関わらず、魔物が全滅する様子もない。


「この本によると大迷宮内では魔物が死んだ場合、別の場所で新しい魔物が誕生するそうです。この誕生するというのは子供が産まれるというわけではなく、唐突に新しい魔物が現れるらしいんです」
「現れる?どういう意味でござる?」
「地面の中から魔物が出てくるそうです。実際に大迷宮に入った人間が地中から魔物が現れる姿を目撃した事があるらしいんです」
「地面から……魔物が?」
「はい、といってもモグラのように土砂をかき分けて出てくるわけじゃありませんよ。まるで水中から浮かび上がってくるように魔物が現れるそうです。ちなみに大迷宮で死亡した魔物も水中に落ちるように吸い込まれていくらしいです」


リリスの言葉にレイナ達は地面から魔物が現れる光景を想像するが、何とも言えない表情を浮かべる。想像するだけでもあまりにもおかしな光景であり、そんな事があり得るのかと思うが、実際に大迷宮内でその光景を目撃したとう人間の数は多い。


「私の推測では大迷宮で死亡した生物が消え去るのは大迷宮に吸収され、吸収された死体は魔力に変換されます。その魔力を利用して新しい魔物が生み出されたり、転移台の発動のための供給源として利用されていると思います」
「えっ……」
「死体を吸収して、魔力を作り出している?そんな事が出来るのか?」
「そうでもなければ魔物を殺しても絶滅しない理由が説明できませんからね。あの場所で死んだ魔物は死体と共に吸収され、その後に新しい魔物として生まれ変わる……だから大迷宮内の魔物が全滅する事はないんじゃないかと私は思います。実際にこの死霊魔術師も私と同じ考えを持っていたようです」


大迷宮の魔物が全滅しない理由をリリスは自分なりに推理して告げると、ここでレイナは疑問を抱く。


「でも、大迷宮内の魔物の素材を持ち帰る人も多いよね?死体が吸収される事もないから、別の魔物が誕生するのはあり得ないんじゃ……」
「いいえ、そうとも限りません。魔物の素材を剥ぎ取るのは時間が掛かりますし、大迷宮内では常に危険が隣り合わせです。ゆっくりと素材を解体する時間もありませんから、探索の最中は魔物の貴重な素材だけを剥ぎ取って放置する冒険者も多いはずです」
「確かにそうだな……僕達が前にヒトノ帝国で王女を救い出すときもそうだった」


リリスの発言に諜報活動の時は冒険者として活動していたリルは頷き、彼女の言葉が正しい事を認める。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...