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獣人王国編
第285話 罠の準備
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「で、ですけど……どうやって罠を仕掛けるんですか?落とし穴でも掘って魔石を埋めるんですか?」
「いいえ、そんな時間もありませんし、それにブロックゴーレムの巨体を覆いつくすほどの黒霧……いえ、煙幕を作り出すにはこの魔石を一か所に集めて一気に破壊する必要があります。その場合、必然的にレイナさんの力が重要ですね」
「え、俺?」
唐突に名指しで指定されたレイナは戸惑うと、リリスはレイナの背中に抱えてあるデュランダルを指差す。今回の作戦で全ての魔石を確実に破壊する方法を持っているのはレイナだけである事を話す。
「レイナさんは隠密の技能を覚えていますし、待ち伏せて罠を嵌める役目としては一番の適任者です。レイナさんの役目は囮班がブロックゴーレムを引きつけた後、ブロックゴーレムの前で闇属性の魔石を破壊して煙幕を作り出すんです。作戦が成功すればブロックゴーレムは私達の存在を一時的には捉えられなくなります」
「そうか……分かった、そういう事なら任せてよ」
「ならば拙者は囮役としてブロックゴーレムを引き寄せる役目を担うでござる!!一度は逃げ切った相手、次も上手く逃げて罠の場所まで誘導するでござる!!」
「なら私はレイナの手伝いをする……レイナだけに無茶はさせられない」
「私も残りますよ。作戦の言い出しっぺですからね、不慮の事態に備えて私も残っておいた方がいいでしょうし……」
レイナが罠を仕掛ける役目を受けると、心配したネコミンもレイナの傍に控える事を決め、リリスも作戦の発案者として危険な罠の仕掛け人の一人として同行する。
一方でハンゾウの方は囮役を務める事を宣言すると、他の者たちも頷き、覚悟を決めたかのように次々と手を上げていく。
「俺も囮役を手伝うぞ、一人よりも二人で動いた方がブロックゴーレムの注意を逸らせるだろう……足の速さならば自信はある」
「きゅろっ!!サンも手伝う、サンも足早いから!!」
「ぷるぷるっ」
オウソウとサンも囮役を名乗り出ると、クロミンも「任せろ」とばかりに身体を飛び跳ねる。そんな彼等の言葉を聞いて他の団員達も本当にリリスの作戦を実行するのだと理解し、他の者たちもブロックゴーレムに恐怖を抱きながらも賛同した。
「な、なら俺も手伝いますよ。足の速さは俺が生まれた村では俺より早い奴はいませんでしたし……」
「隊長には命を救ってもらったんだ、なら今度は俺達も隊長のために命を賭けますよ!!」
「どうせここに至って死ぬだけだ……なら、やってやる!!」
団員達は覚悟を決めるように頷き、リリスの作戦に乗る事に賛成した。全員の意思が一つになると、リリスは1時間以内に準備を整え、作戦を決行する事を伝えた。
「作戦の開始時刻は1時間後です。それまでの間に全ての準備を整えます、いいですか?逃げるときは皆一緒です。死ぬときも皆一緒ですからね」
「おおっ……白狼騎士団の結成以来、こんな大人数で動く作戦など初めてでわくわくしてきたでござる」
「気持ちは分かる」
「よし、やるぞ隊長!!」
「うん、頑張ろうね」
「きゅろろっ♪(ハイテンションのあまりに小躍りしている)」
「ぷるぷるっ♪(喜びのぷるぷるダンス中)」
何だかんだあったが、幾度もの危険を乗り越えた事でいつの間にか団員達の間にも結束力が高まり、特に最初はレイナ達の事を毛嫌いしていたオウソウさえも彼等の事をいつの間にか認めていた。
今回の作戦の要となるのは全員のチームワークであるため、レイナ達は入念な準備と段取りの確認を行い、そして万全の状態で作戦に挑む――
――1時間後、転移台が設置されている広場にてブロックゴーレムは地中の中に潜んでいた。普段のブロックゴーレムはサンドゴーレムとは異なって地上へ出現する事はなく、自分の縄張りを犯す存在が現れなければ1日中地中の中で暮らしていた。
どうしてブロックゴーレムは地中から姿を現そうとしないのか、それはブロックゴーレムは転移台から発する魔力を糧にしているからである。ブロックゴーレムやゴーレムの主食は「魔力」であり、他の魔物と違って肉などは食さない。彼等にとっては魔力こそが極上の食事と言えた。だからこそブロックゴーレムは長い時を費やして転移台から放たれる魔力を吸収し、ここまで巨大に成長する。
転移台から放たれる魔力は無尽蔵で尽きる事はなく、ブロックゴーレムはその魔力を独り占めにするために縄張りを形成していた。しかし、そんな縄張りに本日は何度も侵入者が現れた事にブロックゴーレムの心境は穏やかではなく、またも侵入者が現れた時を配慮して常に警戒態勢に入っていた。
「ブロックゴーレム!!出てくるでござる!!」
「餌がわざわざ来てやったんだぞ!!隠れてないで正々堂々と姿を現せ、この臆病者がっ!!」
「おくびょうものぉっ!!」
「ぷるぷるっ(言葉に表せないほどの罵詈雑言)」
そして、案の定というべきか再び自分の縄張りに侵入者の気配が現れた事に気づき、ブロックゴーレムは怒りの咆哮を上げて地中から姿を現す。
※新作「最弱職、舐めんじゃねえよ」も投稿しました。
「いいえ、そんな時間もありませんし、それにブロックゴーレムの巨体を覆いつくすほどの黒霧……いえ、煙幕を作り出すにはこの魔石を一か所に集めて一気に破壊する必要があります。その場合、必然的にレイナさんの力が重要ですね」
「え、俺?」
唐突に名指しで指定されたレイナは戸惑うと、リリスはレイナの背中に抱えてあるデュランダルを指差す。今回の作戦で全ての魔石を確実に破壊する方法を持っているのはレイナだけである事を話す。
「レイナさんは隠密の技能を覚えていますし、待ち伏せて罠を嵌める役目としては一番の適任者です。レイナさんの役目は囮班がブロックゴーレムを引きつけた後、ブロックゴーレムの前で闇属性の魔石を破壊して煙幕を作り出すんです。作戦が成功すればブロックゴーレムは私達の存在を一時的には捉えられなくなります」
「そうか……分かった、そういう事なら任せてよ」
「ならば拙者は囮役としてブロックゴーレムを引き寄せる役目を担うでござる!!一度は逃げ切った相手、次も上手く逃げて罠の場所まで誘導するでござる!!」
「なら私はレイナの手伝いをする……レイナだけに無茶はさせられない」
「私も残りますよ。作戦の言い出しっぺですからね、不慮の事態に備えて私も残っておいた方がいいでしょうし……」
レイナが罠を仕掛ける役目を受けると、心配したネコミンもレイナの傍に控える事を決め、リリスも作戦の発案者として危険な罠の仕掛け人の一人として同行する。
一方でハンゾウの方は囮役を務める事を宣言すると、他の者たちも頷き、覚悟を決めたかのように次々と手を上げていく。
「俺も囮役を手伝うぞ、一人よりも二人で動いた方がブロックゴーレムの注意を逸らせるだろう……足の速さならば自信はある」
「きゅろっ!!サンも手伝う、サンも足早いから!!」
「ぷるぷるっ」
オウソウとサンも囮役を名乗り出ると、クロミンも「任せろ」とばかりに身体を飛び跳ねる。そんな彼等の言葉を聞いて他の団員達も本当にリリスの作戦を実行するのだと理解し、他の者たちもブロックゴーレムに恐怖を抱きながらも賛同した。
「な、なら俺も手伝いますよ。足の速さは俺が生まれた村では俺より早い奴はいませんでしたし……」
「隊長には命を救ってもらったんだ、なら今度は俺達も隊長のために命を賭けますよ!!」
「どうせここに至って死ぬだけだ……なら、やってやる!!」
団員達は覚悟を決めるように頷き、リリスの作戦に乗る事に賛成した。全員の意思が一つになると、リリスは1時間以内に準備を整え、作戦を決行する事を伝えた。
「作戦の開始時刻は1時間後です。それまでの間に全ての準備を整えます、いいですか?逃げるときは皆一緒です。死ぬときも皆一緒ですからね」
「おおっ……白狼騎士団の結成以来、こんな大人数で動く作戦など初めてでわくわくしてきたでござる」
「気持ちは分かる」
「よし、やるぞ隊長!!」
「うん、頑張ろうね」
「きゅろろっ♪(ハイテンションのあまりに小躍りしている)」
「ぷるぷるっ♪(喜びのぷるぷるダンス中)」
何だかんだあったが、幾度もの危険を乗り越えた事でいつの間にか団員達の間にも結束力が高まり、特に最初はレイナ達の事を毛嫌いしていたオウソウさえも彼等の事をいつの間にか認めていた。
今回の作戦の要となるのは全員のチームワークであるため、レイナ達は入念な準備と段取りの確認を行い、そして万全の状態で作戦に挑む――
――1時間後、転移台が設置されている広場にてブロックゴーレムは地中の中に潜んでいた。普段のブロックゴーレムはサンドゴーレムとは異なって地上へ出現する事はなく、自分の縄張りを犯す存在が現れなければ1日中地中の中で暮らしていた。
どうしてブロックゴーレムは地中から姿を現そうとしないのか、それはブロックゴーレムは転移台から発する魔力を糧にしているからである。ブロックゴーレムやゴーレムの主食は「魔力」であり、他の魔物と違って肉などは食さない。彼等にとっては魔力こそが極上の食事と言えた。だからこそブロックゴーレムは長い時を費やして転移台から放たれる魔力を吸収し、ここまで巨大に成長する。
転移台から放たれる魔力は無尽蔵で尽きる事はなく、ブロックゴーレムはその魔力を独り占めにするために縄張りを形成していた。しかし、そんな縄張りに本日は何度も侵入者が現れた事にブロックゴーレムの心境は穏やかではなく、またも侵入者が現れた時を配慮して常に警戒態勢に入っていた。
「ブロックゴーレム!!出てくるでござる!!」
「餌がわざわざ来てやったんだぞ!!隠れてないで正々堂々と姿を現せ、この臆病者がっ!!」
「おくびょうものぉっ!!」
「ぷるぷるっ(言葉に表せないほどの罵詈雑言)」
そして、案の定というべきか再び自分の縄張りに侵入者の気配が現れた事に気づき、ブロックゴーレムは怒りの咆哮を上げて地中から姿を現す。
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