278 / 367
獣人王国編
第276話 サンドゴーレム
しおりを挟む
「そろそろ出発しますよ、各自水分補給は済ませましたね?今日中に脱出するのでここから急いで行きますよ!!」
「は、はい!!」
「ふうっ、あと少しで帰れるんだな……」
「やっと戻れるんだ……」
「気を抜くな!!ここが大迷宮だという事を忘れるな、一瞬の油断も許されない場所だぞ!!」
リリスの言葉を聞いて団員達はもう少しで外界へ戻れる事に気が緩みそうになるが、そんな彼等にオウソウが叱りつけた。確かに彼の言葉は一理あるため、全員が気を引き締める。
「オウソウの言う通りですよ。いいですか、絶対に油断しては駄目ですよ?絶対ですよ?」
「そこまで連呼されると逆にふりかと不安になるんだけど……」
「きゅろっ?」
「ぷるんっ?」
レイナ達は準備を整えると出発を再開して北の方角へと目指す。広大な砂漠を方位磁石も持ち込まずに移動しても迷う事なく進めるのはレイナの「地図製作」の技能のお陰であり、今回の大迷宮のような場所での探索では最も役立つ能力だといえた。
地図製作の画面を確認しながらもレイナは気配感知と魔力感知の能力を発動させ、画面上に自分たちのマーカーを確認する。
このマーカーは味方であれば青色に表示され、レイナに定期を抱いている存在は赤色で表示される。この能力を利用すれば地図製作で表示されている画面内で敵が現れてもすぐに対処できるため、順調に進んでいった。
「レイナさん、どうですか?なにか反応はありましたか?」
「ううん……今まで俺が移動した場所には敵の反応しかない。やっぱり、他の皆はもう……」
「悲観しては駄目ですよ。まだ生きている可能性も十分あります、きっと先に戻ったんですよ」
「そうだといいんだけど……」
ハンゾウとネコミンと他の団員達の心配をしながらもレイナは先を進み、やがて街らしき建物群を遠目ながらに発見した。まだ距離はあるが人間が建設したと思われる建造物が並んでいる事にレイナ達は喜ぶ。
「ま、街だ!!本当に街があったぞ!?」
「こんな場所にどうして……」
「そんな事はどうだっていい!!こ、これで外へ戻れるんですよね!?」
「落ち着いてください、まずは街へ着くまでは騒がずに移動しましょう。他の魔物に気づかれる危険性があるんですよ?」
「あっ……す、すいません!!」
騒ぎ立てる団員達にリリスは呆れた表情を浮かべながら静かにするように告げるが、地図製作の画面を見ていたレイナは目を見開き、自分たちに近付いてくる反応を告げた。
「敵が近づいてくる!!全員、戦闘準備!!」
『っ!?』
「来たかっ!!何処にいる!?」
「ぷるぷるっ!!」
「きゅろっ……また砂の中?」
レイナの言葉に即座にオウソウは鉤爪を身に付け、周囲を警戒する。他の団員も慌てて武器を構える中、クロミンを抱えていたサンはクロミンの言葉を聞いて地面に視線を向けた。
地図製作の画面上にはレイナは3体の敵が近づいている事を把握したが、周囲を見渡しても敵の姿はなく、砂鮫のように砂の中を移動しながら近づいているのかと思った。
しかし、砂鮫が現れる場合は必ず砂煙や背ビレが地上に出現するはずだが、今回の場合はどちらもでもなく、人間の腕の形をした砂が盛り上がる。
『ゴロロロ……!!』
「う、うわぁっ!?」
「な、何だこいつらっ!?」
地中から現れたのは全身が砂で構成された人型の化物であり、その外見はかつて帝都の大迷宮にてレイナが遭遇した「ロックゴーレム」と酷似していた。
だが、こちらの魔物場合は肉体を構成しているのは岩石ではなく砂らしく、唐突に現れた砂の化物に団員達は戸惑う。
「こいつは……サンドゴーレム!?私も文献でしか見たことがありません!!」
「サンドゴーレム!?」
「こいつらは砂で構成されたゴーレムです!!普通の攻撃は通じませんから気を付けてください!!」
「何だと!?」
『ゴロロロッ!!』
リリスの言葉を聞いてサンドゴーレムと向かい合っていたオウソウは慌てるが、その間にもサンドゴーレムの1体がオウソウの元へと迫り、両腕を広げて抱き着こうとしてきた。
サンドゴーレムの体格はロックゴーレムと比べると小さく、身長の方は2メートル程度しか存在しない。それでも大柄なオウソウよりも大きいので抱きしめられたら逃げ切れないと判断したオウソウは身を躱す。
「ぐっ……このっ!!」
オウソウはサンドゴーレムに対して鍵爪を身に付けた右腕を振り払い、腕を切ろうとした。しかし、腕を切ろうとした鍵爪の刃は砂で構成された腕を切り落とす事が出来ず、刃が通過してしまう。
「な、何ぃっ!?」
『ゴロロッ……!!』
慌てふためいたオウソウは何度も鍵爪を振り払うが、砂で構成されているサンドゴーレムの肉体には刃は通じず、どんなに切りつけようと刃は通じなかった。それを見てリリスが注意した。
「は、はい!!」
「ふうっ、あと少しで帰れるんだな……」
「やっと戻れるんだ……」
「気を抜くな!!ここが大迷宮だという事を忘れるな、一瞬の油断も許されない場所だぞ!!」
リリスの言葉を聞いて団員達はもう少しで外界へ戻れる事に気が緩みそうになるが、そんな彼等にオウソウが叱りつけた。確かに彼の言葉は一理あるため、全員が気を引き締める。
「オウソウの言う通りですよ。いいですか、絶対に油断しては駄目ですよ?絶対ですよ?」
「そこまで連呼されると逆にふりかと不安になるんだけど……」
「きゅろっ?」
「ぷるんっ?」
レイナ達は準備を整えると出発を再開して北の方角へと目指す。広大な砂漠を方位磁石も持ち込まずに移動しても迷う事なく進めるのはレイナの「地図製作」の技能のお陰であり、今回の大迷宮のような場所での探索では最も役立つ能力だといえた。
地図製作の画面を確認しながらもレイナは気配感知と魔力感知の能力を発動させ、画面上に自分たちのマーカーを確認する。
このマーカーは味方であれば青色に表示され、レイナに定期を抱いている存在は赤色で表示される。この能力を利用すれば地図製作で表示されている画面内で敵が現れてもすぐに対処できるため、順調に進んでいった。
「レイナさん、どうですか?なにか反応はありましたか?」
「ううん……今まで俺が移動した場所には敵の反応しかない。やっぱり、他の皆はもう……」
「悲観しては駄目ですよ。まだ生きている可能性も十分あります、きっと先に戻ったんですよ」
「そうだといいんだけど……」
ハンゾウとネコミンと他の団員達の心配をしながらもレイナは先を進み、やがて街らしき建物群を遠目ながらに発見した。まだ距離はあるが人間が建設したと思われる建造物が並んでいる事にレイナ達は喜ぶ。
「ま、街だ!!本当に街があったぞ!?」
「こんな場所にどうして……」
「そんな事はどうだっていい!!こ、これで外へ戻れるんですよね!?」
「落ち着いてください、まずは街へ着くまでは騒がずに移動しましょう。他の魔物に気づかれる危険性があるんですよ?」
「あっ……す、すいません!!」
騒ぎ立てる団員達にリリスは呆れた表情を浮かべながら静かにするように告げるが、地図製作の画面を見ていたレイナは目を見開き、自分たちに近付いてくる反応を告げた。
「敵が近づいてくる!!全員、戦闘準備!!」
『っ!?』
「来たかっ!!何処にいる!?」
「ぷるぷるっ!!」
「きゅろっ……また砂の中?」
レイナの言葉に即座にオウソウは鉤爪を身に付け、周囲を警戒する。他の団員も慌てて武器を構える中、クロミンを抱えていたサンはクロミンの言葉を聞いて地面に視線を向けた。
地図製作の画面上にはレイナは3体の敵が近づいている事を把握したが、周囲を見渡しても敵の姿はなく、砂鮫のように砂の中を移動しながら近づいているのかと思った。
しかし、砂鮫が現れる場合は必ず砂煙や背ビレが地上に出現するはずだが、今回の場合はどちらもでもなく、人間の腕の形をした砂が盛り上がる。
『ゴロロロ……!!』
「う、うわぁっ!?」
「な、何だこいつらっ!?」
地中から現れたのは全身が砂で構成された人型の化物であり、その外見はかつて帝都の大迷宮にてレイナが遭遇した「ロックゴーレム」と酷似していた。
だが、こちらの魔物場合は肉体を構成しているのは岩石ではなく砂らしく、唐突に現れた砂の化物に団員達は戸惑う。
「こいつは……サンドゴーレム!?私も文献でしか見たことがありません!!」
「サンドゴーレム!?」
「こいつらは砂で構成されたゴーレムです!!普通の攻撃は通じませんから気を付けてください!!」
「何だと!?」
『ゴロロロッ!!』
リリスの言葉を聞いてサンドゴーレムと向かい合っていたオウソウは慌てるが、その間にもサンドゴーレムの1体がオウソウの元へと迫り、両腕を広げて抱き着こうとしてきた。
サンドゴーレムの体格はロックゴーレムと比べると小さく、身長の方は2メートル程度しか存在しない。それでも大柄なオウソウよりも大きいので抱きしめられたら逃げ切れないと判断したオウソウは身を躱す。
「ぐっ……このっ!!」
オウソウはサンドゴーレムに対して鍵爪を身に付けた右腕を振り払い、腕を切ろうとした。しかし、腕を切ろうとした鍵爪の刃は砂で構成された腕を切り落とす事が出来ず、刃が通過してしまう。
「な、何ぃっ!?」
『ゴロロッ……!!』
慌てふためいたオウソウは何度も鍵爪を振り払うが、砂で構成されているサンドゴーレムの肉体には刃は通じず、どんなに切りつけようと刃は通じなかった。それを見てリリスが注意した。
0
お気に入りに追加
975
あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる