解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

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獣人王国編

第267話　地形の変化

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――数時間後、レイナ達は中々止まない砂嵐によって古城の中で閉じこもるしかなく、それぞれが部屋の中で身体を休ませていると、見張り役を行っていたオウソウがレイナ達の休んでいる部屋に駆けつけてきた。

「おい、砂嵐が止んだぞ！！」
「んんっ……何ですかこんな時間に、女の子の部屋にノックも無しで入るなんて厳罰物ですよ。死罪です、死罪……」
「ZZZ……」
「きゅろろろっ……(寝言)」
「う～んっ……(サンとクロミンに乗り込まれて寝苦しいレイナ)」
「いいから起きんかっ！！」

オウソウが自分が見張っている間に呑気に眠りこけていたレイナ達に怒鳴りつけ、砂まみれな彼に起こされたレイナ達は渋々と他の団員と共に外の様子を伺うために出入口の方へ向かおうとした。しかし、窓の外を見た風景に彼等は驚かされた。

「えっ、何ですかこれ……？」
「……あれ、おかしいな。入ってきた場所を間違えたのかな？」
「きゅろっ！？凄く高い！？」
「ぷるるんっ？」

レイナ達は自分たちが最初に入ってきたはずの古城の窓から外を眺めると、どういう事なのか数時間前までと風景が大きく違い、地上から２０メートル以上も離れていた。まるで砂の中に埋もれていた古城が盛り上がってきたかのような感覚に陥り、見張り役を行っていたオウソウも信じられない表情を浮かべていた。

「信じられんが……どうやら先ほどまでの砂嵐によってこの城を埋めていた砂も一緒に吹き飛ばされたようだ」
「いや、吹き飛ばされたって……どれだけ凄い砂嵐だったんだよ！？」
「信じられない……」
「と、というかこれ……下りられるのか？」

オウソウ曰く、砂嵐によって古城を覆っていた大量の砂が吹き飛ばされ、最初に入った出入口から２０メート以上も地上から離れてしまった。最もこの程度の高さならば高レベルの人間ならば降りる事は問題はないと思われるが、戻る場合は少々面倒な事態に陥る。

「これは参りましたね……この高さだと梯子か何かを用意しないと降りるのも上るのも大変そうですね」
「でも、そんな物都合よく持ってなんか……」
「あ、大丈夫だよ。梯子ならあるよ？」
「あるんですかっ！？」

レイナは自分の鞄から縄梯子を取り出し、このような事態に備えて鞄の中には色々な道具を収納していた。大迷宮では何が起きるのか分からないため、この日のためにレイナは文字変換を使用して様々な道具を作り出しては自分の鞄に保管していた。

準備周到なレイナに団員達は驚かされるが、レイナが用意しておいた縄梯子を利用すれば外へ降りる事自体は問題はなさそうだった。だが、気になる点があるとすれば砂の周囲の砂だけが吹き飛ばされただけではないらしく、どうやら数時間前に発生した砂嵐の影響で第三階層の地形その者が変化している事が発覚した。

「見てくださいよこの風景、昨日までとは全然違いますよ。きっと、あの砂嵐の影響で階層全体の地形が変化したようですね」
「そんな事があり得るんですかっ！？」
「ここは大迷宮、私達の常識は通用しない場所だと何度も言ってるでしょう。でも、流石にこれは私も予想外でしたね……またさっきの砂嵐が起きたら面倒な事になりそうです」

一度の砂嵐で殆ど埋め尽くされていた古城が浮き上がり、２０メートル以上も露出した事に関してはリリスも驚き、再び砂嵐が起きたら今度はどうなるのかも予想できない。だが、一つだけいえる事は砂嵐が起きるたびに地形が変動するのであればあまり長居は出来ない。

「あの砂嵐が偶然に起きたとは思えませんし、もしかしたら一定の周期で発生する現象かもしれません。そうなった場合、また砂嵐が発生したらこの古城がどうなるのかも想像できません。下手をしたら全体が埋め尽くされるかも……」
「そんなっ！？」
「じゃあ、ここにいたら生き埋めになるんですか！？」
「あくまでも想像ですよ。だけど、早急に脱出の方法を確保しなければなりませんね……作戦通り、これから捜索班は外に出て転移台の捜索を行いましょう。団員の方は……仮にまだ誰か残っていたとしてもあの砂嵐の中で生きているとは思えませんね」
『…………』

リリスの言葉に誰も否定する事は出来ず、レイナの脳裏にネコミンとハンゾウの姿が思い浮かぶ。二人と他の団員達が無事であることを今は祈るしかなく、レイナはリリスと共に捜索班として外へ赴き、脱出の手口を探してここにいる皆と共に抜け出す事だけに集中する。

(今は皆と力を合わせて生き残る事に集中するんだ……よし、頑張るぞ)

ネコミンとハンゾウ、その他の団員がもう死んでいる可能性もあることを理解しながらも、レイナは他の者たちが生き残って脱出したと信じて今だけは自分たちが生き残るために行動する事にした。そして事前に決めた捜索班の団員達と共に縄梯子を利用して地上に降り立ち、捜索を開始した。

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