解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
266 / 367
獣人王国編

第264話 団員との連携

しおりを挟む
「シャアアッ……!?」
「うおおおっ!!」
「はああっ!!」


陸上に晒された砂鮫に対して団員達は武器を振りかざし、剣を叩きつけた。しかし、生半可な攻撃は砂鮫の全身を覆う岩石の外殻には通じず、逆に跳ね返されてしまう。


「うわぁっ!?」
「か、硬いっ……!!」
「怯むなっ!!それでも貴様ら武人か!!」


自分の武器が弾かれた事に団員達は怯むが、それを見ていたオウソウは両腕に装着した鍵爪を勢いよく振りかざし、戦技を放つ。


「牙斬!!」
「シャアッ……!?」
「や、やった!?」


オウソウの戦技を受けた砂鮫の1体の外殻に亀裂が発生し、それを見た団員達は歓喜の声を上げる。一方でレイナの方も感心し、速度で相手を翻弄しながら急所を攻撃するチイとは違い、オウソウの場合は力任せではあるが強烈な戦技を生み出せるらしい。

チイと比べればオウソウの戦法は隙が大きい分、威力という点では彼女に勝っていた。並大抵の冒険者でもゴーレムのように固い外殻で覆われた砂鮫に損傷を与える事も難しく、しかもオウソウの場合は持ち前の怪力を発揮して砂鮫の肉体を掴むと、力ずくで持ち上げて振り回す。


「ふんっ!!」
「シャアアッ!?」
「グゲェッ!?」


砂鮫を持ち抱えたオウソウは別の個体に向けて叩き込み、その結果は2体の砂鮫に大きな損傷を与えた。いくら固い外殻に覆われているといえど、同程度の硬さを持つ物体に叩きつけられれば無事では済まず、オウソウの活躍によって2体の砂鮫の肉体に亀裂が走った。


「オウソウに続け!!」
「俺達も戦うんだ!!」
「うおおおっ!!今日はフカヒレだぁっ!!」


その様子を見ていた他の団員達もオウソウに続き、亀裂さえ入ればいくら硬い相手といえども攻撃の手段はあり、攻撃を行う。亀裂に刃を叩きつけ、あるいはひび割れに衝撃を与える事で外殻を取り外し、砂鮫の体内に存在する核を破壊しようとする。

一方で残された最後の砂鮫に対してはサンが駆けつけ、彼女は尾びれを掴んで逃げようとする砂鮫を拘束し、無理やりに引き寄せようとしていた。


「きゅろろろっ!!」
「シャアアッ……!?」
「うわ、サン凄い……俺より力があるかも」
「流石はサンドワームですね……いえ、感心している場合じゃありません。早く止めを刺しましょう!!行きますよ、私のとっておきです!!」


サンが砂鮫を取り押さえている間にレイナ達も近づき、砂鮫に止めを刺すために動く。リリスは懐から小瓶を取り出すと砂鮫に向けて投げつけ、小瓶が触れた瞬間に中身の液体が降り注ぐと、直後に派手な水飛沫と化して砂鮫を濡らす。


「シャアアッ……!?」
「どうですか、水属性の魔石の粉末を組み込んだ冷水です!!粉末状とはいえ、水属性の魔石を含んでいるので強烈ですよ!!」


リリスが取り出したのは水属性の魔石の粉末を取り込んだ水らしく、水属性の魔石の影響で常に「冷水」と化しており、しかも水属性の粉末自体が大量の水分を吸収しているので小瓶に入っていたとは思えないほどの量の水分が蓄積されていた。

砂鮫の弱点は水らしく、岩石のような外殻に水が降り注いだ瞬間に色が変色し、まるで泥のように変化してしまう。それを確認したレイナはデュランダルを構え、変色した箇所から刃を突き刺す。


(ここか!!)


事前にレイナは攻撃を仕掛ける際に「魔力感知」という技能を発動させ、砂鮫の体内に存在する「核」と呼ばれる魔石の位置を把握し、刃を突き刺す。その結果、デュランダルの刃は砂鮫の核を破壊して砂鮫を絶命に追い込む。


『ッ――!?』


核を破壊された砂鮫は最後に一瞬だけ痙攣するが、やがて動かなくなったと思うと肉体を崩壊させて崩れ去ってしまう。その様子を見てレイナはデュランダルにこびり付いた砂を振り払い、安堵した表情を浮かべて背中に戻す。一方でサンの方は嬉しそうにレイナに近付いて抱き着いてきた。


「きゅろろっ♪」
「おっと……よしよし、よくやったねサン。クロミンも偉いぞ」
「ぷるるんっ♪」
「こうしてみるとお母さんみたいですね……他の人たちの方も終わったみたいですし、ひとまずは一件落着ですね」


レイナ達が砂鮫を倒している間、他の団員達も砂鮫と激戦を繰り広げ、砂鮫の討伐を果たしていた。残りの2体のうちの1体はオウソウが仕留めたらしく、彼は砂鮫に与えた傷口から腕を突っ込み、核を引き抜いて破壊した。


「ぐおおおっ!!」
『うおおおおっ!!』
『ッ――!?』


核を抜き取られた時点で砂鮫は肉体を崩壊させて崩れ落ち、残りの1体は団員たちが同時に亀裂の部分に攻撃を仕掛け、そのうちの一人の武器が核に接触したのか破壊に成功していた。流石に全員が戦闘職の称号を持つだけはあり、実力に関しては間違いなくケモノ王国の兵士の中でも最高峰を誇っていた。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...