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獣人王国編
第246話 帰還と報告
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――その後、合流したリリス達もキングボアの素材の回収を手伝い、とりあえずは魔物が現れる前に運び出せるだけの分の毛皮や肉の回収を行う。後は祭壇が存在する場所へと向かい、第三階層へと転移する合言葉の確認を行う。
「なるほど……第三階層の転移するにはこの言葉を言えばいいんですね」
リリスは台座に刻まれている合言葉を指差し、全員に確認を行わせる。今度は間違っても口に出さないように気を付け、レアは内容を確認すると第三階層へ転移するには「砂漠」という文字を呟かなければならないらしい。
アクシデントはあったが第三階層へ転移する合言葉を知ることができたのは嬉しい誤算であり、念のためにレアはリリスは合言葉を羊皮紙に書き記す。
「これで私たちは第三階層の転移の合言葉を知ることが出来ました。これからは第二階層へ訪れず、第三階層へ一気に移動できますね」
「え?階層を飛ばして転移する事も出来るんですか?」
「出来ますよ。転移台に乗って合言葉を口にすれば別の階層を飛ばして転移する事も可能です。だから私たちはこれからは地上の転移台から第一から第三階層に転移が可能になったというわけです」
「おお、それを聞けばリル殿も喜ぶでござるな!!」
わざわざ苦労して第三階層に目指すために第一階層と第二階層に挑まずに済むというのは有難く、リルも報告を行えば喜ぶだろうとハンゾウは確信した。一方でレアの方は砂漠という記された文字を見て次の第三階層は相当に危険な場所だと予想した。
(砂漠か……とりあえず、水だけは大目に持っていこう)
これまでの合言葉が次の階層の環境を表している事はレアも薄々勘付いており、次の階層はこれまで最も過酷な環境下に身を置くことを予測した――
――予定よりも大分遅くなってしまったが、無事に帰還したレアたちをリルは快く迎え入れ、彼らの報告から第三階層への転移の合言葉を知ることが出来たことに非常に喜ぶ。
「皆、聞いてくれ!!ここにいる勇者レアと彼の率いる部隊が無事に帰還を果たした!!しかも第二階層に生息した階層主を倒し、第三階層への合言葉を持ち帰ってきたぞ!!」
「階層主を倒した!?」
「流石は勇者様だ……」
「それに第三階層の合言葉まで……という事は一気に第一階層と第二階層を飛ばして第三階層へ転移できるのか!?」
夕食の前にリルは団員を集めてレナたちの部隊の功績を発表すると、団員たちは驚いた様子を浮かべ、中には尊敬の眼差しをレアに向ける者もいた。だが、その中で一人だけ疑惑の視線を向ける男がいた。
「ふんっ……本当に第二階層の階層主を倒したのか?証拠がなければ信じられんな」
「オウソウ!!お前はまたそんなことを……」
「ふむ、証拠か……それならレア君、あれを見せてやれ」
「あ、はい」
レアが功績をあげたという言葉が信じられず、オウソウの悪態を吐くとすぐに他の者が止めようとした。だが、そんな彼を見てリルは口元に笑みを浮かべ、レアにキングボアの盗伐の証を見せるように告げた。
その場でレアは鞄を置くと中に手を伸ばし、回収に成功したキングボアの牙を見せつける。その光景を見て団員達は度肝を抜かし、明らかに鞄のサイズと合っていない大きさの牙を取り出したことも驚きだが、鞄から出した代物を見て動揺する。
「これがレア君が倒したキングボアの牙だ!!彼のいう事が嘘だと思うなら直接確かめるといい!!」
「き、キングボアだと……!?」
「信じられない……」
「でも、あの牙の大きさ……普通じゃないぞ」
団員達はレアの元に集まるとキングボアの牙をのぞき込み、中には触れる者もいた。触ってみた時の感触、それでいながら通常のボアの牙よりも大きく、さらに証拠としてレア以外の者たちも素材を取り出す。
「まだ信じられないという人間がいるのならばこれが証拠ですよ!!ほら、見てくださいこの毛皮!!それにお肉も!!」
「今日の夕食はこのキングボアの肉を使った肉鍋でござる!!」
『うおおおおっ!!』
キングボアの肉を取り出すと団員達は興奮した声を上げ、獣人族の殆どは肉類を好むため、大量のキングボアの肉を見て歓喜する。ボアの肉は食材としては人気が高く、さらに言えばキングボアの肉など滅多に味わえない高級食材だった。
300人を超える白狼騎士団だが、キングボアが巨体というだけはあってレアたちが持ち帰った肉は十分に彼らの腹を満たすだけの量はあり、その夜はレアたちの偉業を称えながら団員達は肉鍋を味わったという――
――その夜、レアは幕舎の中でリル達と話し合った結果、明日は「レイナ」として行動するように指示された。
「さて……勇者レアの偉業は十分に団員に知らしめる事が出来た。となると、次はやはりレイナ君の番だな」
「はあっ……なんか、この姿になると少し落ち着いた気になるから複雑です」
「気持ちはわかりますよ。でも、必要なことなので我慢してください」
レアは本日の日付が変更する前に女性の姿へと戻り、レイナとして明日以降の大迷宮の探索に参加する事になった。
「なるほど……第三階層の転移するにはこの言葉を言えばいいんですね」
リリスは台座に刻まれている合言葉を指差し、全員に確認を行わせる。今度は間違っても口に出さないように気を付け、レアは内容を確認すると第三階層へ転移するには「砂漠」という文字を呟かなければならないらしい。
アクシデントはあったが第三階層へ転移する合言葉を知ることができたのは嬉しい誤算であり、念のためにレアはリリスは合言葉を羊皮紙に書き記す。
「これで私たちは第三階層の転移の合言葉を知ることが出来ました。これからは第二階層へ訪れず、第三階層へ一気に移動できますね」
「え?階層を飛ばして転移する事も出来るんですか?」
「出来ますよ。転移台に乗って合言葉を口にすれば別の階層を飛ばして転移する事も可能です。だから私たちはこれからは地上の転移台から第一から第三階層に転移が可能になったというわけです」
「おお、それを聞けばリル殿も喜ぶでござるな!!」
わざわざ苦労して第三階層に目指すために第一階層と第二階層に挑まずに済むというのは有難く、リルも報告を行えば喜ぶだろうとハンゾウは確信した。一方でレアの方は砂漠という記された文字を見て次の第三階層は相当に危険な場所だと予想した。
(砂漠か……とりあえず、水だけは大目に持っていこう)
これまでの合言葉が次の階層の環境を表している事はレアも薄々勘付いており、次の階層はこれまで最も過酷な環境下に身を置くことを予測した――
――予定よりも大分遅くなってしまったが、無事に帰還したレアたちをリルは快く迎え入れ、彼らの報告から第三階層への転移の合言葉を知ることが出来たことに非常に喜ぶ。
「皆、聞いてくれ!!ここにいる勇者レアと彼の率いる部隊が無事に帰還を果たした!!しかも第二階層に生息した階層主を倒し、第三階層への合言葉を持ち帰ってきたぞ!!」
「階層主を倒した!?」
「流石は勇者様だ……」
「それに第三階層の合言葉まで……という事は一気に第一階層と第二階層を飛ばして第三階層へ転移できるのか!?」
夕食の前にリルは団員を集めてレナたちの部隊の功績を発表すると、団員たちは驚いた様子を浮かべ、中には尊敬の眼差しをレアに向ける者もいた。だが、その中で一人だけ疑惑の視線を向ける男がいた。
「ふんっ……本当に第二階層の階層主を倒したのか?証拠がなければ信じられんな」
「オウソウ!!お前はまたそんなことを……」
「ふむ、証拠か……それならレア君、あれを見せてやれ」
「あ、はい」
レアが功績をあげたという言葉が信じられず、オウソウの悪態を吐くとすぐに他の者が止めようとした。だが、そんな彼を見てリルは口元に笑みを浮かべ、レアにキングボアの盗伐の証を見せるように告げた。
その場でレアは鞄を置くと中に手を伸ばし、回収に成功したキングボアの牙を見せつける。その光景を見て団員達は度肝を抜かし、明らかに鞄のサイズと合っていない大きさの牙を取り出したことも驚きだが、鞄から出した代物を見て動揺する。
「これがレア君が倒したキングボアの牙だ!!彼のいう事が嘘だと思うなら直接確かめるといい!!」
「き、キングボアだと……!?」
「信じられない……」
「でも、あの牙の大きさ……普通じゃないぞ」
団員達はレアの元に集まるとキングボアの牙をのぞき込み、中には触れる者もいた。触ってみた時の感触、それでいながら通常のボアの牙よりも大きく、さらに証拠としてレア以外の者たちも素材を取り出す。
「まだ信じられないという人間がいるのならばこれが証拠ですよ!!ほら、見てくださいこの毛皮!!それにお肉も!!」
「今日の夕食はこのキングボアの肉を使った肉鍋でござる!!」
『うおおおおっ!!』
キングボアの肉を取り出すと団員達は興奮した声を上げ、獣人族の殆どは肉類を好むため、大量のキングボアの肉を見て歓喜する。ボアの肉は食材としては人気が高く、さらに言えばキングボアの肉など滅多に味わえない高級食材だった。
300人を超える白狼騎士団だが、キングボアが巨体というだけはあってレアたちが持ち帰った肉は十分に彼らの腹を満たすだけの量はあり、その夜はレアたちの偉業を称えながら団員達は肉鍋を味わったという――
――その夜、レアは幕舎の中でリル達と話し合った結果、明日は「レイナ」として行動するように指示された。
「さて……勇者レアの偉業は十分に団員に知らしめる事が出来た。となると、次はやはりレイナ君の番だな」
「はあっ……なんか、この姿になると少し落ち着いた気になるから複雑です」
「気持ちはわかりますよ。でも、必要なことなので我慢してください」
レアは本日の日付が変更する前に女性の姿へと戻り、レイナとして明日以降の大迷宮の探索に参加する事になった。
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